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「AWS re:Invent 2024」参加レポートVol.3
アフターも大事な学びと交流の時間。広がる出会いの可能性


毎年、ラスベガスで開催されるアマゾンウェブサービス(以下、AWS)最大の学習型カンファレンス「AWS re:Invent」。2024年は12月2日から6日にかけて実施され、世界各国から約60,000人が会場を訪れました。現地参加したエンジニアの体験談の第3回(最終回)は、AWSの社外コミュニティでも活躍するソリューションサービス事業ライン 第一PFSI事業部の加藤裕士に、現地での交流や体験について聞きました。
AWSコミュニティビルダーとして感じた、現地の熱量と日本との違い
まず、「AWS re:Invent 2024」に参加した感想を教えてください。
加藤 日本でも学習系イベントの「AWS Summit Japan」や、ユーザーグループ主催の「JAWS DAYS」など、多くのAWS関連イベントが開催されています。しかし、世界中からユーザーが集まるre:Inventでは、日本のイベントと比較してどれくらい熱量の高いやり取りが行われているのかを、実際に体感してみたいと思っていました。いざ現地へ行くと、その規模の大きさにまず圧倒されました。また、さまざまなセッションやアクティビティを通じて、AWSがいかにエンジニアやユーザーの心をつかむのが得意であるかをあらためて実感できた5日間でした。

ソリューションサービス事業ライン 第一PFSI事業部
前職にて営業、情報システム部門を経て、2024年3月にNECソリューションイノベータへエンジニアとして入社。2023年からAWS Community Builderに選出。2024年からJapan AWS All Certifications Engineerとして表彰されている。社外活動として「JAWS-UG (Japan AWS User Gloup)」にて複数の支部でイベント開催等、運営を行っている。 |
AWSがユーザーの心をつかむのが上手だと感じたのは、どのような場面でしたか?
加藤 たとえば、高度なAWSの技術を持つ方やAWSコミュニティの発展に貢献した方には、AWSから資格や称号といったインセンティブが与えられます。会場には、そうした認定者だけが利用できる専用ラウンジや、認定者同士が交流できるスペースが用意されていたりしました。また、各ブースでは思わず集めたくなるようなSWAG(記念品)が配布されています。そういった仕掛けを通じて、AWSに貢献するファンを育てつつ、来場者も楽しみながら参加ができるようになっており、相互のコミュニケーションがうまく機能していると感じました。
日本で開催されるAWSのイベントにもよく参加していますか?
加藤 はい、積極的に参加しています。私はNECソリューションイノベータに入社して1年ほどですが、前職では異なる業種で営業職として9年ほど務めていました。当時の会社でDX化の話が持ち上がり、社内ではパソコン操作に明るいという理由で担当を任されたことが、AWSを学び始めるきっかけでした。しかし、当時は周りにエンジニアが1人もおらず、相談相手もいない状態。そこで、AWSのユーザーグループに参加し、勉強会や交流会に積極的に足を運ぶようになりました。そのユーザーグループの場で今の上司と出会い、その縁でNECソリューションイノベータに入社することになったんです。

AWSコミュニティは世界各地に存在していますが、日本のコミュニティにはどのような特徴があると感じていますか?
加藤 私は2023年と2024年に「AWSコミュニティビルダー」に認定され、コミュニティ活動をサポートする立場でもあります。今回、コミュニティビルダーのパーティーに招待され、海外のユーザーとも交流する機会がありました。
日本のAWSユーザーグループは2010年に活動を開始しており、世界的に見ても歴史が長いと言われています。現在では全国に60以上の支部があり、私は札幌支部(地域支部)とCDK支部(技術支部)の運営に携わっています。日本のコミュニティはユーザー同士のつながりがとても強く、ときに親戚同士のような距離感で参加者同士がつながっているのを目にします。さらに、AWSの活動に精力的なコントリビューター(貢献者)も多く、そうした熱意がイベントの盛り上がりにも反映されています。そのため、日本のユーザーグループの熱量はおそらく世界的に見てもかなり高いと言えるのではないかと思います。
今回現地に行くことで、日本のAWSコミュニティの強みを再確認したところはありますか?
加藤 そうですね。最新情報のキャッチアップについてはタイムラグが発生するものの、日本のコントリビューターの皆様の活動や熱意という点において、日本のエンジニアやコミュニティも世界的に高く評価されているということを肌で感じました。

生成AIだけじゃない、進化を続けるAWSの既存サービス
実際に現地を訪れてみて、re:Inventに対してどんな印象を持ちましたか?
加藤 期間中、さまざまなアーティストをゲストに招いた音楽イベントも開催されていて、会場ではお酒を飲んだり踊ったりと、クラブカルチャーを楽しめる空間が提供されている点が印象的でした。日本のカンファレンスでは、こうした技術と完全に切り離されたミートアップの場はあまり見かけないので、re:Inventはエンターテインメントの要素も取り入れながら、さまざまな形で参加者同士のつながりを生み出している懐の深いイベントだと感じました。
また、今回の参加の大きな目的の一つが「アフター」でした。世界中の参加者と交流し、新たなつながりを築くことがre:Inventの本質的な魅力だと考えていたので、夜の時間帯にどんな人と話し、どんな関係が生まれるのかをとても楽しみにしていました。

記憶に残る出会いはありましたか?
加藤 いろいろな方と名刺交換をしたり、SNSでつながったりしました。特に印象的だったのは、AWSの黎明期から携わってきた方々と直接お話しできたことです。当時の貴重なエピソードを伺いながら、AWSの進化の歴史を肌で感じることができ、とても感慨深い体験でした。
NECソリューションイノベータの社員の多くはマラソンイベント等のアクティビティに参加していました。
加藤 私も「re:Invent 5K RUN」で走るのを楽しみにしていたのですが、会場内をたくさん歩き回ったことで、直前に足の爪が剥がれてしまい、断念しました。その時間はSNSに流れてくる仲間の写真を眺め、悲しい気持ちで過ごしていました。ただ、別の日には空き時間を利用して、話題の球体型エンターテインメント施設「スフィア」を見学しました。そこでしか味わえない最先端の設備による映像美は感動的でした。
あらためて、re:Inventを振り返って、どんな気づきがありましたか?
加藤 私が学び始めた頃と比べると、AWSの各サービスはアップデートを重ね、成熟フェーズに入ったと言われることが増えました。昨年は特に、生成AIが大きな注目を集め、新たな技術として急速に盛り上がっている印象を受けました。しかし、実際にre:Inventの会場で感じたのは、生成AIだけでなく、既存のサービスも日々進化を続け、新機能が次々と追加されていることです。また、AWSはユーザーであるエンジニアや開発者と対話を重ねながら、技術的な課題を解決し、事業を発展させていることもあらためて実感しました。今回の体験を通じて、AWSのさらなる進化を確信するとともに、自分自身も楽しみながら学び直していきたいと考えています。

最後に、今回の参加メンバーを引率した一人である田中拓摩に、「AWS re:Invent 2024」を振り返り、得られた成果や今後への期待について聞きました。

ソリューションサービス事業ライン 第二PFSI事業部 シニアプロフェッショナル
田中 参加したエンジニアが大いに刺激を受けている様子を見て、渡航をサポートした一人としてとてもうれしく思いました。今回はツアーではなく、NECソリューションイノベータとして個別に渡航を手配したため、手づくり感のあるイベントとなりました。そのため、参加した20名のメンバーとの間に自然と一体感が生まれたように感じています。ただ、ラスベガスに行ってそれで終わりではありません。まずは参加者同士で得た知識や体験を共有し、それをさらに社内の他のメンバーに向けて発信したいと考えています。re:Inventでの学びや刺激が社内全体に波及し、新たな挑戦や成長につながることを願っています。

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UPDATE:2025.2.21