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キャリアは会社が決める時代から、自分で動かす時代へ。 NECグループで広がる“社内転職”という選択肢

キャリアは会社が決めるもの──そんな常識が大きく変わり始めています。
NECグループでは、「ジョブ型人材マネジメント」の導入とともに、社員自らが希望するポジションに手を挙げられる“社内転職”の仕組みが広がり、NECソリューションイノベータでも2025年度から本格的に運用が進んでいます。これにより、従来の制度のように社内のみでなく、NECグループ全体を視野に入れたキャリア選択が可能になりました。
今回は、制度拡大以前の段階で、NECソリューションイノベータ内での異動に挑戦した2名の事例を紹介します。制度の運用・設計を担う人事担当者と、実際に“自分でキャリアを動かした”社員の体験から、NECソリューションイノベータにおける新しいキャリア形成の姿を紹介します。
社員が自らの意思でキャリアを描くために
「NEC Growth Career(以下、NGC)」は、「社員一人ひとりが自らの意思で将来のキャリアを描き、ありたい姿に挑戦できる環境をつくる」ことを目的に導入された社内公募制度です。NECグループ全体のキャリア機会を社員に広く開示することで、人材の流動性を高め、魅力的なキャリア形成の場を継続的に提供する狙いがあります。結果として組織の競争力強化にもつながります。
一方で、会社や組織長は事業戦略に基づいてポジションを設計し、適切な人材を迅速に配置します。この「適時・適所・適材」の考え方が、ジョブ型人材マネジメントの根幹です。こうした取り組みを進めることで、社員の満足度やエンゲージメントを高め、さらなる成長を加速できる企業を目指しています。
NECソリューションイノベータでは、2020年から社内公募制度「ジョブチャレンジ」を運用してきました。これはNGCの前身となる制度で、当初は社内異動に限定された仕組みでしたが、今回NGCとしてNECグループ共通の制度となり、NECグループ各社のポジションにチャレンジできるようになったのが大きな変化です。職種や会社の壁を越えてキャリアを広げられる環境が整ってきました。
制度の運用・設計を担う竹田は次のように語ります。
「NECソリューションイノベータでの経験を踏まえ、次のステップに挑戦したい社員にとって選択肢が広がっただけでなく、グループ内の他社からNECソリューションイノベータに挑戦するケースも生まれています。実際、募集ポジションの数も大きく増えています。NECソリューションイノベータでは今年4月時点で69件だった募集が、8月には135件に。NECグループ全体でも344件から656件へと倍増しました。また、NECグループ共通のポータルサイト上では、各社がホットポジションを紹介するオンラインイベントも開催されており、イベント内で社員がリアルタイムで質問できる仕組みも用意されています」(竹田)

NEC HRビジネスパートナー統括部 主任 ※NECに出向中
NGCが後押しする“やりたいこと”への挑戦
実際にNGCを利用した社員は、どのような手応えを感じたのでしょうか。 今回は、NECグループ間での異動が可能になる以前に、NECソリューションイノベータ内で異動に挑戦した事例を紹介します。
入社以来、エンジニアとしてWebアプリケーションの開発に携わってきた佐藤は、NECグループ外への出向をきっかけにキャリアの転機を迎えました。
「出向先ではこれまでとはまったく異なる営業支援という業務を担当しました。お客様と直接対話しながら価値を生み出す仕事に、これまでにない面白さを感じました。転職も考えましたが、社内公募制度があることを思い出し、周囲の後押しもあって応募を決めました。
やりたいことを相談していく中で、知り合いの方々にいくつかの部署を紹介していただき、事前に実際の業務内容について詳しく聞けたのも大きかったですね。最終的に現在の部署のシニアマネージャー、マネージャーとの1on1が決め手となって異動を決めました。NGCは利用後1年間は再利用できない制度なので、納得のいく選択ができるよう多くの方に協力していただきました」(佐藤) 。

DXテクノロジー事業部門 BluStellar推進統括部 主任
佐藤は、NGCを活用した異動について「思ったよりハードルが低かった」と振り返ります。
経歴を登録し、面談を重ね、双方の希望が合えば異動が成立する。異動元の事情に縛られない制度なので、自分のやりたいことに向かって飛び込めるのが良かったといいます。
申し込みから決定までは約1カ月。その後の引き継ぎを含め、2〜3カ月で異動しました。
「現在はBluStellar推進統括部でDX支援を担当しています。自社を“クライアントゼロ”としてDXを実体験しながら、その知見をお客様へ還元していく取り組みです。ビジネスが、製品やサービスを“提供する”だけでなく、お客様とともに価値を創り上げる“伴走型”へと変化する中で、今は自分が本当に挑戦したかった領域に取り組めている手応えがあります。
また、上司から『まずはやってみよう』と背中を押してもらえる環境があり、思い切ってこの領域に飛び込んで本当によかったと実感しています」(佐藤)
3度の挑戦。強みを軸に選ぶキャリアへ
もう1人のNGC利用者である作野は、同じくNECソリューションイノベータ内での異動を通じてキャリアの一歩を踏み出した入社6年目の社員です。現在、医療PDソリューション統括部で働いています。入社後3年間は官公庁向けシステムのSEとして経験を積んできましたが、所属グループの解散をきっかけに、自身のキャリアと向き合うことになりました。
「新しい配属先で働くなかで、技術を極めるよりも、人と関わる仕事のほうが自分に向いているのではないかと感じるようになりました。そこでNGCを使って新しい道を探そうと考えたのです。実は過去に2回NGCの選考に落ちていて、異動が決まったのは3度目の挑戦でした。落ちた時は正直落ち込みましたが、なぜ自分は挑戦したいのか、本当にやりたいことは何かをあらためて見つめ直すきっかけにもなりました。職務経歴書や自己PRを練り直し、自分の強みを整理できたのは大きかったです。結果的に、一番自分に合うポジションに出会うことができました」(作野)

医療ヘルスケア・スマートシティ事業部門 医療PDソリューション統括部
現在は、ヘルスケア領域で、健診結果から将来の検査値や疾患発症リスクの提示をするサービスの販促を担当しています。
「お客様にどう満足していただくかを考えるのが楽しくて、手探りの中にもやりがいがあります。前の職種では気づけなかった自分の強みが見つかったことで、『仕事ってこんなに楽しいんだ』と素直に思えるようになりました」(作野)
キャリアを“自分ごと”に変える文化へ
これまでの異動は、会社の意向で決まる“配属されるキャリア”が中心でした。しかし今年度から、ジョブ型人材マネジメントの導入とNGCの拡大により、社員が自発的に行き先を選び、自らの意思でキャリアを切り拓く動きが加速しています。
「“自分のキャリアは自分で描くもの”という意識が、社員の間で少しずつ根付いてきています。NGCがNECグループ全体を対象に広がったことで、募集する側も優秀な人材を獲得するために、働く環境の整備や人材育成に力を入れるようになり、社内・グループ内での人材獲得競争が活性化しています。一方で転職を考える社員にとっても、“まずグループ内で探してみよう”という発想が生まれています。NGCは社外転職に比べて制度や文化の違いによるリスクが小さく、挑戦しやすい安心感があります」(竹田)

NGCを軸にしながら、キャリア形成をさらに後押しする施策も始まっています。その取り組みを推進しているのが、キャリア開発支援を担当する村田明飛(NEC HRビジネスパートナー統括部/NECに出向中)です。
「NGCは異動が前提なので、踏み出すにはハードルが高いと感じる社員もいます。そこで今年11月、異動前に仕事を体感できる『社内インターンシップ制度』を実施しました。3日程度実際の職場を見学したり、業務に触れたりできる仕組みです。キャリア形成のファーストステップにしてほしいという思いから、“まず試してみる”という選択肢を用意しました。初回は2つの事業ラインで計37件の募集があり、8名が参加しました。今後は、より幅広い職場を経験できる機会へと拡大していきたいと考えています」(村田)
また、中長期的なキャリアの方向性を整理できる「NEC AIキャリアトーク」の活用も始まっています。

「社員一人ひとりが“自分らしく成長する”ために、自身のキャリアを振り返り、今後を考えるきっかけとなるツールです。キャリア開発計画の策定やキャリアレビューに役立ててもらえればと思っています」(村田)
安心してチャレンジできる「社内転職」。辞めなくてもキャリアは変えられる
制度を運用する竹田はNGCの魅力をこう語ります。
「転職は“環境を一度ゼロにする”リスクがありますが、NGCは会社を辞めなくてもキャリアを変えられる仕組みです。万が一異動先が合わなかったとしても転職と違ってキャリアに傷がつくわけではなく、また次の挑戦に向けて動きやすい点も大きな特徴です。NECグループは共通のバリューや行動指針があるので価値観のギャップが小さく、ITインフラや制度が共通のため立ち上がりもスムーズです。環境を変えるリスクを最小限にしながら、やりたいことに安心してチャレンジできる点がNGCの魅力だと考えています」(竹田)
今後については、「まずは利用をさらに広げること」が目標です。 募集ポジション数は増えているものの、まだまだ拡大の余地があります。また、NECソリューションイノベータはエンジニア職の比率が高いため、NECグループ各社の他の職種経験者にとっては、応募への心理的ハードルが生まれやすいという課題もあります。
「専門技術だけではなく、業界知識や業務経験を活かせるポジションも多いので、そうした情報発信を強化し、もっと気軽にチャレンジできる状態にしていきたいと考えています」(竹田)
現在の利用者の中心は30代ですが、シニア層も一定数利用しています。キャリアの後半においても挑戦できる仕組みとして広がりつつあります。
自分らしく挑戦する——キャリアは「積み重ね」でつくられる
最後に、NGCによって新たなスタートを切った利用者の2人に今後の展望を聞きました。
「キャリアは“描くもの”だけではなく、これまで積み重ねてきた経験をつなぎ合わせることで形づくられていく側面もあると思っています。今後もこうした経験を丁寧に振り返りながら、自分のキャリアの形を認識しなおし、自分らしい挑戦を積み重ねていけたらと考えています」(佐藤)
「お客様の課題を深く理解し、NECグループ全体を横断して最適なソリューションを届けることで、お客様にとって本当に価値があり、納得いただける提案ができる存在を目指します。
また、ヘルスケア領域をより広い視点で捉え、NECグループ全体の価値向上にもつながる提案に挑戦していきたいです」(作野)

ジョブ型人材マネジメントとNEC Growth Careers。
この2つの仕組みは、社員が自らキャリアを選び、その挑戦を会社が支えていくという新しい文化を育てています。「自分でキャリアを動かす」という考え方が当たり前になりつつある今、NECソリューションイノベータもその実践を強く推し進めています。
これからも、社員一人ひとりが自分らしく挑戦し、成長し続けられる環境づくりを推進していきます。
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UPDATE:2025.11.28