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導入事例:岐阜県 高山市様例
画像による人物像分析システム「FieldAnalyst」観光産業の活性化を目的としたシステムを、
コロナ禍における緊急時状況把握にも応用
ICT活用による効率的で効果的な観光産業をはじめとしたまちづくりの推進を目的に、「FieldAnalyst」の導入を予定していた高山市では、2020年春の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、急遽早期のシステム導入を決断しました。わずか7日間で稼働がスタートした「FieldAnalyst」は、外出自粛時における人の流れの可視化に活用されています。
今後は、観光客の人数・性別・年齢など、客観的なデータをもとに地域全体のマーケティング強化を図り、活気あるまちづくりに役立てていくとともに、Post COVID-19の観光客復帰状況を定量的に把握していきます。

導入の背景
ICT活用によって、「効率的」で「効果的」な観光産業を中心としたまちづくりを進めたい
東京都とほぼ同じ面積の高山市は、全国の市町村の中で最大の広さを誇る自治体です。市の東側には飛騨山脈、西側には白山連峰がそびえ、中心市街地には江戸時代以来の城下町や商家町が保全された伝統的な町並みがあります。また、数多くのスキー場や温泉地を有する同市は、国際会議観光都市にも指定され、国内外から多くの人が訪れる観光都市として知られています。

そんな高山市が観光関連産業のさらなる活性化のために着目したのがICTの有効活用です。
「高山市には、春夏秋冬を通じて魅力的な観光スポットがたくさんあります。そこで、訪れる方々へ『効率的』な観光を、ICTを使ってサポートしたいと考えたのです。たとえば、さまざまな見どころを、効率良く巡る観光ルートなどをご紹介することで、より高い満足をお届けすることができます。また、ICT活用によるさまざまな情報を、お店や宿泊施設など地域全体で共有して『効果的』な情報発信や活気あるまちづくりを進めたいという思いがありました」と、高山市の総務部 行政経営課 係長の山田 雅彦氏は語ります。

行政経営課 行政経営係
係長 山田雅彦 氏
高山市ではこれまで、WiFiパケットセンサーやETCを活用した調査、人手によるリサーチなど、関係団体などと共同で観光客の動向チェックを行ってきました。しかし、“調査期間や時間が限られる”“コストがかかる”といった課題がありました。
そこで2019年、NECソリューションイノベータが提案したのが、画像による人物像分析システム「FieldAnalyst」の活用です。高山市では、すでに導入している他市の事例や名古屋大学からの知見を参考にするとともに、NECソリューションイノベータの協力のもと、建設中であった人道橋の開通前の人の流れを把握するトライアル検証を実際に行い、システム導入を決定しました。
「トライアル検証では、人の数や性別、年齢などの分析データが24時間継続的に捉えられることが確認できました。そしてシステム構築が短期間であることや撮影した映像が瞬時に破棄されるプライバシー保護への配慮も、導入決定の大きな決め手となりました」と、導入決定の理由を山田氏は説明します。
導入の経緯
新型コロナ拡大防止のための外出自粛時の人の動きを把握するために緊急導入
2020年春、突然新型コロナウイルスの感染問題が日本中に沸き起こりました。高山市では、外出自粛時における人の流れや数の可視化を目的として、急遽「FieldAnalyst」導入の前倒しを決定しました。導入したシステムや機器は、交通のターミナルであるJR高山駅前、および観光スポットとして人気の古い町並みにある「まちかど観光案内所」に設置するカメラ2台と、撮影した映像を分析・管理を行うための2台のPCおよびFAのライセンスです。
実際のシステム構築作業では、高山市の職員がカメラの取り付けやLANケーブルの配線設置先との調整を行い、NECソリューションイノベータのスタッフが機器設置やネットワーク構築を担当するなど、双方の協力によって導入決定後わずか7日間での稼働を実現することができました。

「導入されるお客様自身が作業にご協力くださるのは、非常に稀なケースです。カメラの設置場所の折衝や取り付けなど、高山市様のご協力によって作業がとても円滑に進みました。また、製品部門の手厚いバックアップを得て、当社として最善の対応をすることができ、「FieldAnalyst」活用における価値の最大化を図ることができました」と語るのは、導入支援を行ったNECソリューションイノベータ 東海支社の岡元 昌哉です。
導入の成果
外出自粛時における人の数・性別・年齢などを、高精度に把握
「FieldAnalyst」による人の流れの可視化は、ゴールデンウィークの大型連休を見すえた、2020年4月21日からスタート。人数、性別、年齢など客観的データを把握して、大手キャリアが把握するビッグデータより精度の高い状況把握ができるようになりました。また、緊急事態宣言解除後は、高山駅前と古い町並み、平日と休日における人の動きのほか、Go to トラベルキャンペーン開始前後の観光客の変化なども、数値によって手に取るようにわかります。まちづくりの推進のためという目的で導入が決定した「FieldAnalyst」は、緊急時の人出の可視化という想定外の活用においても確かな成果を発揮しました。

「FieldAnalyst」の活用提案、トライアル検証、システム導入&構築支援などを一貫してサポートしてきたNECソリューションイノベータに対して、山田氏は次のように話します。
「導入・構築支援だけでなく、運用中の現在においても私たちの想いや目的をしっかり受け止めて、継続的な視点から機能強化や新たな取り組みなどを積極的に提案してくれる東海支社の皆さんには、とても感謝しています。」
高山市がまちづくりにおいて、特に重視しているポイントが2つあります。第1は、高山市・名古屋大学・NECソリューションイノベータによる「産官学の連携」です。フィールド、知見、技術などそれぞれの得意分野を活かして、さらに魅力ある街づくりを目指します。2つ目のポイントは、ICTのさらなる利活用です。「FieldAnalyst」をはじめ、AIやIoTなど先端技術の活用によって得られる多彩なデータにもとに、新たな価値やサービスの創出などを行っていきます。

今後の展望
ICT活用による正しいデータをもとに、マーケティング強化を地域全体で推進
「Under COVID-19の期間は、これからも続きます。『FieldAnalyst』を活用したマスク装着率の把握なども今後検討していきたいと考えています。また、『FieldAnalyst』によって得られた分析データを地元のお土産店や宿泊施設などに提供し、地域全体で観光関連産業におけるマーケティングを強化できればと思います」と山田氏はこれからの展望を語ります。
「FieldAnalyst」のシステム増設、デジタルサイネージと組み合わせて観光客の属性に合わせた情報やクーポンの提供など、さらなる活用拡大を目指す高山市。さらに、「FieldAnalyst」の分析データと鉄道やバスなど交通機関の乗客データを融合したプラットフォームづくりなどにも積極的な意欲を示しています。
「国内外で豊富な導入実績を誇る『FieldAnalyst』は、現在も機能・性能など進化を続けています。カップル、家族、シニア夫婦など観光客のグループ属性分析といったオプション機能の強化や充実を図っていきます。また、製品担当と導入支援の密接なチーム連係力を活かして、より多くのお客様に「FieldAnalyst」の価値をお届けしていきたいです」とNECソリューションイノベータの岡元は力強く話します。
これまで商業施設などで導入が多かった「FieldAnalyst」ですが、今回の事例では自治体による観光産業の活性化という新たなビジネスシーンにおいて、有用性や成果が期待されています。
最後にICT活用について、山田氏は次のように締めくくりました。
「ICT活用による効率的かつ効果的なまちづくり、とりわけ観光産業での推進は、高山市に限ったことではありません。飛騨・高山・下呂・白川など、近隣の市や町でも同様な取り組みを行い、それぞれの地域が連係し合えば、市や町を超えた広域なエリアにおいて複合的で、相乗的な効果が期待できます。」
FieldAnalystについての資料ダウンロード、お問合せはこちらです。ご質問やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
岐阜県 高山市
- 市制施行:昭和11年11月1日
- 人口:89,182人(平成27年度国勢調査)
- 世帯数:32,670
- 面積:2,177.61平方キロメートル
- 市の木:いちい
- 市の花:こばのみつばつつじ

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令和のリアル店舗マーケティングのポイントは“来場者”のデータ分析
小売業における今後取り組むべきリアルの店舗マーケティングのポイントについて、詳しく解説します。
<目次>
- 購入者はもちろん、来店者全体の分析を基にしたマーケティングへのシフト
- データを活用した店舗マーケティングの取り組み
- リアル店舗においてデータを活用するためのポイント
- NECが提供する人物像分析システム「FieldAnalyst」の特徴・活用例
- 「FieldAnalyst」の導入事例 〜株式会社東京インテリア家具様〜
- 店舗における画像認識技術の活用と「個人情報保護」
画像による人物像分析システム「FieldAnalyst」
画像から自動で人物・顔を検出し、年齢性別などを推定する画像認識技術を活用した製品です。
今まで人の手で実施していた調査や分析をシステムで実現することができます。
2007年販売開始以来、大型商業施設やショッピングセンター、イベントホールなど、世界10か国以上で客層分析ツールとして活用されています。
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