Part1 会計システムの更新で発生する問題とは?
第1回 仕訳データの取込機能に隠れたコストを解決せよ!
第1回 仕訳データの取込機能に隠れたコストを解決せよ!
登場人物のご紹介
北陸に本拠を置く中堅企業X社は近年急速な成長を遂げています。
会計にまつわる業務内容も増加していますが、システムが追い付いていないため、会計システムの強化が急務となっています。
ナビゲーター:西島
皆様にフィットする会計システムへ的確にナビゲート。
H社SE:アイちゃん
X社の基幹システムを担当するベンダH社のSE。会計システムを得意とする。
X社システム課長:中江
X社のシステム管理責任者。経理に明るく会社上層部からの信頼も厚い。
X社システム担当:中島
中江課長のもとで働く待望の若手社員。H社のアイちゃんとは旧知の仲。
【Part1】会計システムの更新で発生する問題とは?
会計システム更新の際によく問題となるのが、仕訳の取り込み機能についてです。
仕訳の取込み機能とは販売システムや給与システムといった、会計以外のシステムで発生した取引データを、会計システムに自動的に仕訳伝票として反映させる機能のことをいいます。
仕訳伝票を手入力する手間を省くための必須機能で、昨今の会計パッケージソフトでは標準搭載されています。
今回は、この仕訳を取り込む機能をテーマにお話ししたいと思います。
こんな状況ありませんか
会計システムの更新を検討しているX社では、使いやすさで定評のあるYソフトウェア社の会計システムのデモを実施してもらい、導入を前向きに検討しています。
会計システムは、企業のシステム全体においても中心的存在であり、多数のシステムとデータ連携を行っています。
更新にあたっては様々な問題が発生することが懸念されます。
では、システム更新のときによく発生する問題とは何でしょうか。
見ていきましょう。
中江課長、この前Y社にデモしてもらった新しい会計パッケージシステムですが、かなりの値引きがありました。
総額○○○万円です!
そうか。予算内に収まりそうでよかった。
もちろん当社の基幹システム(販売システムなど)の改造費用は含まれているよな?
えっ?どういうことでしょう??
現在、基幹システムが売上などの取引データを、テキストデータの形で会計システムに渡しているのは知っているよな?
会計システムはそのテキストデータを会計仕訳データとして取り込んでいるんだ。
基幹システム側で、勘定科目など、会計システムが必要とするデータを付加しているから、会計システムが変わったら基幹システムのほうも改造しないといけないんだよ。
そうだったんですか!?とても大事な機能ですね。
でもインタフェースデータのレイアウト(※1)変更くらいですよね?
- ※1 自動仕訳の機能では、各システムからテキストファイル等でデータを出力し、それを会計システム側が取り込むのが一般的です。その時のテキストデータの形式や並び順のことです。
いや、レイアウトの変更はもちろん、いろいろ新旧のシステムの違いによる影響があるんだ。
たとえば、借方・貸方を判定する区分が違ったり、そもそも自動仕訳をするために必要な情報を、外部システムが持っているとは限らないぞ。
(ここで補足しますね)
新しい会計システムが会計以外の外部システム(販売・給与etc・・)から仕訳の取り込みをするためには、
- 外部システムを改造する
- 会計システムに元のレイアウトのまま取り込む機能を追加する
この2つの方法があります。
「パッケージ製品である会計システムには改造を加えず、そのまま導入したい」というお客様のニーズが強い場合は①を採用することが多いです。
そんなに大変なんですか!?
ということは、外部システム側での改造が必要ということですね。
会計システムにデータを渡しているシステムは多数ありますから、予算に収まるわけないですよ~~
それを各ベンダーと費用調整するのがお前の役割だろ!
何とか最低限に抑えるんだ!
(ヒィーッ)
わ、わかりました!
早速各社と交渉してきます!
会計以外の外部システム、とりわけ販売・生産管理と言った基幹システムはまだまだ手作りシステムであることも多く、新会計システムへの対応のための改造についても見過ごせない費用となります。
また、改造した結果が正常に取り込めるかを、全ての取引パターンでテストする必要があるため、テストのために多大な時間を要します。
結果として、パッケージ本体の費用を上回るだけの費用がかかる可能性も十分にあります。
コストを抑えて、基幹システムと会計システムの連携をうまく取るために、X社はどうしたらいいのでしょうか?
次のページでは、その問題を解決する「自動仕訳機能」についてご説明します。