IFSとは?システムやERPについても解説 | NECソリューションイノベータ

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コラム

IFSとは?
システムやERPについても解説

UPDATE : 2025.05.16

IFSは、製造業をはじめ様々な業界で導入されているERPです。業務領域ごとに分断されがちな情報を一元化し、業務の最適化・効率化、部署間/経営〜現場間を超えたリアルタイムでのデータ活用を促進し、企業の持続的な成長をサポートします。各種ERPとの違いを整理しながらIFS導入のメリットを紹介し、最適なシステム・ベンダー選定について解説します。

INDEX

IFSとは?

IFSは、製造業をはじめ様々な業界で導入されているクラウドベースのERP(統合基幹業務システム)です。製品の企画から設計、製造、保守、廃棄に至るまでのライフサイクル全体を一元的に管理。業務の効率化や情報の可視化を実現し、企業の生産性向上に寄与します。

このERPを提供するIFS社は、1983年にスウェーデンで設立されました。現在では世界80か国以上に事業を展開。製造業のみならず、サービス業、航空宇宙、防衛など、多岐にわたる業界の要件に対応したソリューションを提供している点が大きな特長です。

柔軟性と拡張性に優れたIFSは、変化の激しい現代のビジネス環境において、企業の競争力を支える重要なツールとなるでしょう。

IFS Cloudの主要システムと機能

IFS Cloudは、企業の多様な業務をカバーする統合型のプラットフォームERPです。設備資産管理(EAM)、サプライチェーン管理(SCM)、顧客関係管理(CRM)をはじめ、会計、人材、調達、プロジェクトといった各種機能が揃っており、すべてを単一のデータモデル上で統合的に管理できるのが特長です。

業務領域ごとに分断されがちな情報を一元化することで、部門間の連携がスムーズになり、意思決定のスピードも向上します。また、クラウドベースで提供されるため、スケーラビリティや柔軟性にも優れ、変化するビジネス環境にも対応しやすい仕組みとなっています。

IFS Cloudは、業務の可視化と最適化を支援する強力な基盤といえるでしょう。

IFS Cloud チャート
出典:データドリブン型ものづくりへの変革“ものづくりDX”を支えるグローバルERP「IFS Cloud」|NEC

柔軟なモジュール構成とシステム拡張性

IFS Cloudは、モジュール式のアーキテクチャを採用しており、企業のニーズに応じて必要な機能だけを選んで導入できます。たとえば、設備管理や会計といった特定領域の部分導入から始め、業務の拡大や変化に合わせて段階的に機能を追加していくことも可能です。

この柔軟性により、初期導入時の負担を抑えながら、自社に最適なシステム環境を構築できます。加えて、後からのモジュール追加もスムーズに行えるため、市場環境や業務プロセスの変化にも迅速に対応できる点が大きな強みです。

IFS Cloudは、過不足のないシステムを効率的に構築したい企業にとって、非常に有用なERPソリューションです。

IFSとERPの違いとは?

全社の基幹業務を網羅するオールインワン型のシステムである統合型ERP、特定領域に特化した導入に便利な業務システム型ERPなど、様々なERPがあります。それらERPとIFSはどのように違っているのでしょうか。統合型、業務システム型それぞれの特徴と課題、IFSとの違いを整理し、効率的なシステム構築や変化に強い経営基盤の確立という観点からIFSを導入するメリットを確認しましょう。

統合型のERPとの違い

統合型ERPは、財務・人事・生産・販売など全社の基幹業務を網羅するオールインワン型のシステムであり、広範な機能を一括で管理できます。ただし、導入規模が大きいため初期費用や運用コストが高く、自社特有の要件に合わせるには大幅なカスタマイズが必要になることも。これに対しIFS Cloudは、必要な機能のみを柔軟に選んで導入できるコンポーネント型を採用。効率的なシステム構築が可能です。

業務システム型ERPとの違い

業務システム型ERPは、管理会計や購買管理など特定領域に特化して導入しやすい反面、他部門と連携しにくく、全社最適にはつながりにくいという課題があります。一方、IFS Cloudは財務・生産・保守といった幅広い業務を一つのプラットフォームで統合管理できるため、各部門でリアルタイムにデータを共有可能です。結果として、全社的な業務効率の向上や迅速な意思決定を実現し、変化に強い経営基盤を支えます。

IFSの導入で実現できること

IFS導入のメリットのアウトラインを確認したところで、次に「IFS導入によって具体的に何ができるか」を見ていきましょう。業務プロセスの最適化や効率化によるコストの削減、業務の可視化やデータ活用の促進による運営の効率化、さらにはスピーディーなグローバル展開など、IFS導入によって解決できる課題は決して少なくありません。短期での導入が可能という特性を活かし、企業の競争力を一気に高めることも可能です。

①業務プロセス最適化と効率化がかなう

IFSの導入により、複数部門にわたる業務プロセスが一元化され、全社的な業務フローが最適化されます。これによって、部門間でのデータ共有がスムーズになり、業務効率が飛躍的に向上するでしょう。さらに、手作業や重複作業の排除により、コスト削減が実現し、業務の自動化が進むことで生産性が大幅に向上。こうした改善が相乗効果を生み、企業全体の運営がより効率的かつ高品質なものとなります。

②業務の可視化とデータ活用が進む

IFSを導入することで、データが一元管理され、部門横断的に業務状況をリアルタイムで可視化できます。これにより、経営層と現場双方が迅速かつ正確に情報を把握し、意思決定を支えるデータの入手が可能に。さらに、蓄積されたデータを分析することで、業務改善のヒントが得やすくなり、より効率的な運営が可能になります。データに基づく意思決定が促進され、企業全体の競争力を高めるための強力なサポートが得られるでしょう。

③多言語・多通貨に対応し、グローバル企業のニーズにも応えられる

IFSは、22言語と190以上の通貨に標準対応しており、グローバル企業の多様なニーズに柔軟に対応できます。これにより、海外拠点を含む企業全体で統一されたシステム運用が実現し、地域ごとの商習慣や法規制にもスムーズに適応可能です。各国の特性に合わせた対応ができるため、グローバル規模での業務効率化と情報精度の向上が図れます。結果としてグローバル展開のスピードが加速、企業全体の競争力を高めることが可能になります。

④短期間で導入が可能

IFSはクラウドベースのERPで、標準機能が充実しており、必要最小限のカスタマイズで導入が可能です。このため、短期間での立ち上げが実現でき、実際には半年程度で段階的な導入が完了した事例もあります。迅速にシステムが稼働することで、早期に効果を実感でき、企業の業務効率化や生産性向上をすぐに実現できます。スピーディな導入が可能な点が、IFSの大きな強みといえるでしょう。

⑤製造・エネルギー・航空業界など、業界特化型のシステム機能を搭載

IFSは、製造業、エネルギー業界、航空業界など、各業界向けに特化した専門機能や業務テンプレートを搭載しています。例えば、製造業向けには個別受注、生産販売、設備保全などの生産形態に応じた機能が組み込まれており、業務に合わせた柔軟な対応が可能です。航空業界向けには、MRO(保守・修理・オーバーホール)管理機能を搭載、…というように、業界特有のニーズにしっかり対応します。このように、業界ごとの特化機能により迅速かつ効率的な業務運営が実現できます。

IFSを導入するための具体的な進め方

IFSの導入に向けて、企業は様々なプロセスを踏む必要があります。まず自社の業務課題を洗い出し、IFS導入によって実現したいことをシステム・ベンダーへの提案依頼書(RFP)に落とし込むこと。次に、IFSの導入実績を持ち、業界の知識が豊富なシステム・ベンダーを選定すること。その後はシステム・ベンダーと二人三脚で要件定義〜構築〜テストを進めていきます。導入後のレクチャー、定着までのサポートなどでもシステム・ベンダーは重要な役割を果たしますので、選定は慎重に行いましょう。

金融システム開発の流れ

①自社の課題を整理し、最適なシステム選定を行う

IFS導入を成功させるためには、まず自社の業務課題を洗い出し、改善の目的や目標を明確にすることが重要です。その上で、将来的な事業成長やデジタル化の方向性を考慮し、必要な機能やシステム間の連携、柔軟性や拡張性の要件を整理します。これにより、企業のニーズに合った最適なIFSを選定することができ、長期的な視点での効果的な導入が可能に。システムは導入して終わりではなく、その後の企業の成長を支える基盤となるため、慎重に進めることが求められます。

②対象範囲を設定し、提案依頼書(RFP)を作成する

導入プロジェクトを進める際には、まず対象業務範囲や拠点などのスコープを明確に設定。続いて要件を盛り込んだ提案依頼書(RFP)を作成することが重要です。RFPには現状の課題や改善を期待する業務フロー、システムに必要な機能を整理して記載します。システム・ベンダーによる最適な提案、スムーズなシステム導入を可能にするためには、RFPの段階で「導入後に達成したい成果や業務改善の目標」を具体的に示しましょう。

③システム・ベンダーを選定する

システム・ベンダー選定では、導入作業を担う適切なパートナーを慎重に選ぶことが求められます。選定基準としては、ベンダーの実績や業界に関する知識、IFSに対する技術力、さらに導入プロジェクトでのサポート体制などが挙げられるでしょう。加えて、費用対効果や導入スケジュール、リスクマネジメントの観点からも十分に検討することが重要です。これらの要素を総合的に評価し、最適なパートナーを選ぶことで、プロジェクトがスムーズに進行し、成功に導くことができます。

④要件定義を作成する

要件定義の作成は、IFS導入における重要なステップです。まず、選定したIFSで実現する業務の詳細を整理し、要件定義書にまとめます。これには、現行業務とのギャップ分析を行い、IFSの標準機能で対応できる範囲と、追加開発が必要な範囲を明確にするという視点が含まれます。この作業を通じて、システム導入後の運用が円滑に行えるよう、具体的な業務フローとシステム要件を整理。また、将来の変更に柔軟に対応できるように、機能要件だけでなく拡張性や柔軟性も考慮した設計が求められるでしょう。

⑤設計・構築

要件定義をもとに、次はシステム設計・構築に進みます。まず、IFS上でのシステム設定を行い、必要に応じてアドオン開発も実施。この段階では、ユーザーインターフェース(画面レイアウト)や帳票設計、マスタデータの整備を進めます。また、他システムとのインタフェース設計も重要です。インタフェース設計を行うことで、システム間のデータ連携がスムーズになり、運用効率が向上するからです。設計が完了すると実際に環境への設定・構築が行われ、システムが稼働に向けて形作られます。一つひとつの作業精度がその後の運用に大きく影響するので、慎重に進めることが重要です。

⑥テスト、レクチャーを受ける

構築が完了したら「システムが要件通りに動作するかどうか」をテストする段階へ移行します。単体テストから総合テストまで実施し、不具合の修正や調整を繰り返しながらシステムをブラッシュアップ。同時に、ユーザー部門へのトレーニングを実施し、新システムの操作方法や運用ルールの周知を徹底します。これにより、ユーザーがスムーズに新システムを活用できるようサポートを行い、実際の運用において問題が発生しにくくなります。テストとトレーニングの両面で万全を期すこと。それがシステム導入後の成功に繋がります。

⑦本番稼働し運用をスタート

テストで問題が解消されたら、次は本番環境へのデータ移行を行い、IFSを正式に稼働させます。稼働直後は業務担当者へのサポートを強化。システムの監視を行って問題を迅速に対応できる体制を整えます。システムが定着するまでの間は、運用に関するアフターサポートを提供、トラブルシューティングや改善提案が不可欠です。この伴走により、新しいシステムが安定して稼働し、業務効率化を支える重要な役割を果たします。

IFS導入をスムーズに進めるために必要なこと

IFSの導入を進めるためには、社内外双方との調整が欠かせません。「対・社内」では、経営層や導入を行う現場部門・担当者とのコミュニケーションが「対・社外」ではIFS導入の実績が豊富なパートナー選定がそれぞれ重要になってくるからです。安定したシステム運用を続け、安定的な成長を維持するためには、導入後も社内外のステークホルダーと不断のメンテナンスを行うことが鍵となります。

経営層の理解と現場を巻き込む

IFSに限らずERP全般について言えるのは、経営層の理解を得て現場担当者を巻き込むことが導入成功の鍵となる、ということです。まず経営層がプロジェクトの意義をしっかりと理解し、全面的にサポートする姿勢を示すことが求められます。その上で、現場担当者を初期段階から巻き込み、専任のチームを組成することが重要です。現場の知見を要件定義に反映させることで、業務改革に対する社内の合意形成が円滑に進みます。これにより、導入後のシステム運用がスムーズになり、全社的な効果を最大化できます。

IFSの導入は、適切なパートナー選定と継続的なシステム改善が成功のポイント

中でもIFSの導入を成功させるためには、製品知識と業務知識を兼ね備えたパートナー選定が不可欠です。実績豊富なSIパートナーと共にプロジェクトを進めることで、リスクを低減させ、スムーズな導入の実現につながります。また、導入後もシステムや運用プロセスを定期的に見直し、業務の変化に応じた機能追加や改善が欠かせません。経営環境や業務の変化に柔軟に対応し、IFSを継続的に進化させることが企業の長期的な成長を担保するのです。

NECソリューションイノベータがIFSの導入を支援

IFS社のプラチナパートナーに認定されているNECソリューションイノベータは、日本国内の製造業をはじめ、多岐にわたる業界・企業のIFS Cloudのグローバル展開をサポート。企業のニーズに即した最適なソリューションを提供することで、豊富な実績を築いてきました。

NECグループの工場へのIFS導入経験を活かし、標準化されたSIプロセスやテンプレートを確立。効率的かつ高品質な導入を実現し、導入期間の短縮やコスト削減にも貢献しています。また、IFS社との密接な連携により、日本固有の商習慣や法制度に対応する機能を共同で開発・強化。日本企業に特化したカスタマイズされた機能が提供され、国内市場においても高い評価を得ています。

さらに、IFS認定資格を持つ専門のコンサルタントチームが揃っており、導入計画の策定からシステム構築、データ移行、稼働後の定着支援まで一貫して対応します。この包括的なサポート体制により、企業はIFS導入後の安定運用や継続的な改善においても安心して任せることができるのです。

NECソリューションイノベータは、企業の成長を支援する強力なパートナーとして、IFSの導入から運用まで全てのフェーズをサポートしています。

まとめ

統合型ERP、業務システム型ERPとは異なり、コンポーネント型を採用した効率的なシステム構築が可能で、幅広い業務を一つのプラットフォームで統合管理できるという特長を持つIFS。業務プロセスの最適化や効率化、可視化、グローバル化など様々な観点で導入メリットの大きいERPソリューションですが、その導入には実績と知見を備えたシステム・ベンダーの選定が不可欠。導入から運用までをフルサポートできるNECソリューションイノベータを、パートナーとして検討する価値は大いにあります。