VR・AR・MRの効果とは? 専門家がビジネスでの活用事例をもとに解説 | NECソリューションイノベータ

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インタビュー

VR・AR・MRの効果とは?
専門家がビジネスでの活用事例をもとに解説

UPDATE : 2021.10.22

進化を続けている「VR」や「AR」。現在の形状が登場した2016年頃はゲームやエンターテインメント分野での活用が主でしたが、昨今ではビジネス用途での活用が進んでいます。この記事では進化を遂げるVRやAR、さらにMRについて分かりやすく解説します。また、多くの企業に向けてXR(VR、AR、MRなどの総称)技術を駆使したソリューションを提供しているプロフェッショナルがビジネス分野での活用シーン、活用事例とその効果をご紹介します。

INDEX

VR AR MRとは
製造・建設・物流などの現場でも活用が広がる

VRとは「Virtual Reality」の略称で「仮想現実」を意味します。2016年頃に第二次ブームが巻き起こり、一般にもその名が知られるようになりました。目を覆うVRヘッドセットを装着することで、文字通り仮想的に再現された現実空間を体感することができます。

また、ほぼ同時期に似た概念として「AR」も登場。ARとは「Augmented Reality」の略称で「拡張現実」を意味します。これは目前に広がる現実の光景に、スマートフォンやARグラスなどを通して、文字やオブジェクト、写真などのデジタル情報が重ね合わさって表示されるというものです。

どちらも当初はゲームやエンターテインメント分野で活用されるにとどまっていましたが、ブームが落ち着いた2018年頃にはこれをビジネスで活用しようとする気運が高まり、現在ではすでに多くの現場で活用が始まっています。そしてこの流れは2020年春からの新型コロナ禍によって劇的に加速。多くの業界、多くの職種でVR、AR技術を活用した取り組みが模索されています。

たとえば建設業労働災害防止協会が2020年9〜10月に行った調査によると、建設工事の安全衛生教育では半数以上の現場でVRを活用した取り組みが行われていました。このように「実際の現場ですでにVR活用が始まっている」ことは間違いないと言ってよいでしょう。

さらに昨今では、VR、ARに連なる新技術として「MR」(Mixed Reality=複合現実)や「SR」(Substitutional Reality=代替現実)なども登場。前者はARをさらに発展させ、現実世界に溶け込むようなかたちでデジタル情報を体感できる技術で、後者は過去に起きたできごとをあたかも現在の出来事かのように目前で再現する技術です。

そして現在ではこれらの総称を「xR」(エックスアール / Extended RealityまたはCross Reality)と言い、エンターテインメントからビジネスまで、今後、幅広い世界で活用が進んでいくことが期待されています。

VRやARで課題解決!
ビジネス用途で効果が期待されるおもな業務

さまざまな現場の課題解決につながると期待されているVR、AR技術。産業分野のビジネス用途では次のような場面に利用することで、効果が高まると期待されています。

教育、トレーニング(VR、AR)

ビジネス用途におけるVR・ARの活用はまず教育、トレーニングで始まりました。VRは事前トレーニングに、ARはリアルタイム指導などに多く利用されています。VRトレーニングでは、座学からいきなり現場といった従来の方法と比べ事前に体感することで習得が早まる、ARトレーニングでは視覚で訴えるため理解が早まる、など効率的に教育を行うことができます。

不測事故対応訓練、高所事故訓練を想定したデモコンテンツの一部

技能継承(VR、AR)

教育、トレーニング活用の一環として技術継承、技能継承への利用も挙げられます。VR、ARを活用することで遠隔地にいる従業員への教育も可能となるため、人数が少なく、現場を離れることができないベテランの技術を全国の若手に伝えることが可能です。

設計検証(VR)

実際に使われている設計データ(CADデータ)をVR空間に投影することで、実際にモックアップなどを作ることなく設計検証が可能になります。モックアップ製造にかかる時間やコストを削減できる効果もあります。

防災訓練(VR)

実際に危険を冒すことなくリアルな空間を再現できるVRなら、防災訓練の教育効果が大幅に高まります。災害時にどのようなことが起こるのかをリアルに感じながら訓練できます。

火の回りの早さを学ぶ危険体感訓練の例

遠隔支援(AR)

遠隔地にいるベテランが、現場の作業員をリモート支援することが可能です。AR技術で画面上に画像などを重ね合わせることができるため、視覚的にも理解を促せます。言葉だけよりも理解が早まる適切な指示を伝えることができます。

遠隔地から現場の作業員をリモート支援

産業分野のビジネス用途における
「VR」の活用事例

NECソリューションイノベータ
株式会社
デジタル基盤事業部
高橋正仁

VRはすでに産業分野でも活用され、効果を挙げています。ここからは、多くの企業にVRソリューションを提供しているNECソリューションイノベータ株式会社デジタル基盤事業部の高橋正仁が、実際の活用事例とその効果を解説します。

実際のラインを使わずに研修・トレーニング(製造業)

「ある製造業のお客様では、工場の製造ラインで働く従業員の研修にVRを使っています。これまではマニュアルと座学で業務を覚えてもらっていたのを、VRを使った訓練に切り換えたところ、実際に業務で使う装置や道具を目で見て確認できることで、より理解が深まる効果を確認できました。

また、製造業の研修ではトレーニングで使った部品や材料を処分しなければならないケースもありますが、VRを活用すれば廃棄コストがなくなるメリットがあります。それ以外の業界でもラインを稼働させるコストがなくなるため、VRヘッドセットを用意するコストを加味しても費用対効果があると言えるでしょう」(高橋)

製造現場の密接なコミュニケーションに活用(製造業)

「製造業の現場では、工場の生産性を高めるため定期的に機械の配置や治具の見直し、そこで働くスタッフの役割分担の最適化などを定期的に行っているのですが、新型コロナ禍以降、対面で行うのが難しくなってしまいました。しかし、カメラ越しの映像でやり取りする既存のビデオ会議システムでは、どうしても伝わりきらないものがあります。

そこである企業では、製造現場を再現したVR空間にメンバーがアバター(CGで再現された分身キャラクター)を使って入り込み、リアル空間に近い環境を再現することで、これまで通りのコミュニケーションをリモートでも行えるようにしようとしています。これまでビジネス現場におけるVR活用はトレーニングが中心でしたが、今後はこうしたコミュニケーションにおいても、VRを活用していく流れが加速していくでしょう」(高橋)

現場作業員へ効果の高い安全衛生教育を実施(建設業)

「非現実的な事柄を体験できるのもVRの強み。建設業ではそれを安全衛生教育に活用しています。安全衛生教育は法令に基づいて実施が義務化されている建設業の現場で欠かせない現場教育の1つ。しかし、従来の指導者がマニュアルに則って注意喚起するやり方では、特にベテランの方に充分に伝わらない問題がありました。

その点VRであれば、足場からの落下など、現場で起こりうるアクシデントを実際に体感してもらうことができます。実際、その指導効果は大きく、新人教育からベテランの再トレーニングまで大きな効果を確認できています。

なお、NECソリューションイノベータではこうしたケースでの工夫として、ユーザーに軽度のショックを与えるデバイスを用意。危険を触感でも感じ取れるようにして学習効果をさらに高めた事例もあります」(高橋)

産業分野のビジネス用途における
「AR」の活用事例

ARもVR同様に多くの現場で活用され、すでに多くの効果を挙げています。前段に引き続き、多くの企業にARソリューションを提供しているNECソリューションイノベータ株式会社デジタル基盤事業部の高橋正仁が、実際の活用事例とその効果を解説します。

現場作業員に遠隔地のベテランが的確に支援(製造業)

「私どものAR技術を駆使したサービスに『NEC 遠隔業務支援サービス』というものがあります。これはスマートグラス(ARグラス)あるいはスマートフォン、タブレットのカメラ越しに、現場の作業者が見ている実際の光景を、離れた場所にいる経験豊富な有識者が確認し、それに基づいた指示を行えるというものです。具体的には、たとえば製造メーカーにおいて、製品の保守メンテナンスを担当するスタッフを支援するといった用途に使われていますね。

ARを使うメリットは、遠隔での指示をより齟齬なく行えること。従来の遠隔指示では『画面の右上のハンドルを回して』だったり、『真ん中のメーターを確認して』というような曖昧な指示しかできなかったのですが、ARを利用することで有識者がポインターで確認すべき場所をはっきり指定できるようになります。また、我々のソリューションでは作業者が現場で利用するマニュアルなどの資料をスマートグラス上に映し出して、そこに有識者が手書きで矢印を書くなどという分かりやすい形で指示するといったことも可能です」(高橋)

複数現場の監督をリモートで実施(建設業)

「建設業でもARは活用されています。建築時に必要となるさまざまな支援・指導は、物件が大規模になるほど移動のコストが大きくなっていくのですが、『NEC 遠隔業務支援サービス』を使っていただくことで、問題の起きた場所に移動することなく、現場の課題をケアできるようになるのです。

たとえば、建築現場ではきちんと作業が行われているか、整理整頓がなされているか、危険対策が講じられているかを確認する監督者という役割があります。これまでは、彼らが役割を果たすためには現場を歩いて回る必要があったのですが、遠隔支援技術を利用することで、その場にいる作業員のARデバイス越しに状況を確認し、是正するポイントを的確に指示できるようになりました。また、複数の現場を1人の監督者が担当するといったこともしやすくなっています」(高橋)

物流倉庫で新人やアルバイトのピッキング作業を遠隔支援(物流業)

「物流業でのAR活用は建設業の用途に近いかもしれません。最新のロジスティクスの現場では大きな倉庫があって、そこにたくさんのトラックが入ってきて、モノが休みなく流れています。その広い敷地の中で何か問題が発生した際、いちいちそこまで行かねばならないと、移動に時間が取られ生産性が上がりません。そこに『NEC 遠隔業務支援サービス』を導入していただくことで、生産効率を高めることができます。

また、物流業ならではの取り組みとして、ピッキング作業の支援が挙げられます。大きな棚のどこに必要とされる商品があるのか、ベテラン従業員がARデバイス越しに指示できるので、新人作業者やパート、アルバイトのピッキングミスを未然に防ぐことが可能になります」(高橋)

「MR」で仮想と現実の融合がさらに加速
ますます広がるビジネスでの可能性

すでに活用が進んでいるVR、ARに対して、MRはまさにこれからが期待されている技術です。そのメリットについては次のようなことが挙げられます。

「MRはARと同様、現実の光景にデジタル情報を重ね合わせる技術なのですが、ARと比べて情報量が格段に大きいのが特長です。ARが画面上に2D情報、ポインターだったり、ペンで書いた指示であったりを重ね合わせるのに対して、MRでは2D情報に加え、3DCGで作られた映像を、まるで本当にその場にあるかのように表示できます。

すでにNECソリューションイノベータでもMRを活用した具体的な事例が動き出しており、今後、VR、ARと同様に産業界に欠かせないものになっていくはずです」(高橋)

まとめ

すでにビジネス分野で利活用が始まっているVR、ARを始めとしたxR技術。今後、さらにその勢いは増していくと言われています。その導入に際しては「最初はできるところから小規模に始めてみることがおすすめです」(高橋)。なお、NECソリューションイノベータでは、VR・ARソリューションの導入検討に役立つさまざまな資料を提供中。まずはこれらに目を通し、自社の業務のどこをVR・ARで効率化できるのかを検討してみましょう。