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人事・総務コラム 村松 鋭士氏・第2回マイナポータルを利用した電子申請とは? ―マイナポータル経由の健康保険の電子申請の概要についてコラム執筆者:村松 鋭士氏  掲載日:2021年7月15日

2020年11月から、マイナポータルで「健康保険」の電子申請がスタートしました。特定の法人(資本金1億円超の法人など)については、2020年4月から一部届出の電子申請が義務化されていますが、健保組合については、2020年11月からマイナポータルで健康保険の電子申請ができるようになりました。

マイナポータル経由の健保電子申請のメリット・デメリットや、企業の人事労務担当者がマイナポータル経由で健康保険の電子申請の実施を行うにあたり、注意しなければならないこと、事前準備などの確認すべきことをご紹介します。

マイナポータルを利用した電子申請とは? ―マイナポータル経由の健康保険の電子申請の概要について

社会保険の電子申請方法の種類と内容・条件

電子申請による社会保険の手続きの方法は、2種類あります。
1つ目は以前からある「e-Gov」(イーガブ「電子政府の総合窓口」)、2つ目は「マイナポータル」を利用した手続き方法です。

「e-Gov」は社会保険関連を中心とした届出業務に最適化されたもので、「マイナポータル」はマイナンバーを基軸とした届出業務の効率化を狙ったものとなっています。
「e-Gov」は社会保険(健康保険・厚生年金)、雇用保険、労働保険など幅広く電子申請ができますが、「マイナポータル」は社会保険については15種類(※参照)、雇用保険は4種類、労働保険は非対応となっています。そのため、「マイナポータル」で対応していない申請は「e-Gov」で申請、または紙やCD-ROMなどでの申請と両建てでの運用となります。

※マイナポータルを利用した電子申請が可能な届出の種類。ただし、マイナポータル申請APIに対応したソフトのみ申請可能なものもあります。

  1. ①健康保険 厚生年金保険 新規適用届
  2. ②健康保険 厚生年金保険 被保険者資格取得届
  3. ③健康保険 厚生年金保険 被保険者資格喪失届
  4. ④健康保険被扶養者(異動)届
  5. ⑤健康保険 厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届
  6. ⑥健康保険 厚生年金保険被 保険者報酬月額変更届
  7. ⑦健康保険 厚生年金保険 被保険者賞与支払届
  8. ⑧任意適用申請書
  9. ⑨一括適用承認申請書
  10. ⑩任意適用取消申請書
  11. ⑪産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届
  12. ⑫産前産後休業終了時月額変更届
  13. ⑬育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届
  14. ⑭育児休業等終了時月額変更届
  15. ⑮介護保険適用除外等該当・非該当届

「マイナポータル」と「e-Gov」の詳細をもう少し見ていきます。
「マイナポータル」は2020年4月から電子申請が始まったもので、「gBiz-ID」(ジービズ-アイディ 法人共通認証基盤)を取得(無償で取得できます)したうえで、社会保険や雇用保険の主要な手続きの電子申請が可能です。ただし、マイナポータルから申請を行う場合は、マイナポータルと連携する給与・人事システムが必要となります。マイナポータル単体では、申請ができません。

「e-Gov」は政府が運営する行政情報のポータルサイトで、社会保険や雇用保険、労働保険の100種類を超える申請ができます。マイナポータルと違い、ポータルサイトで申請が可能です。申請にあたり、従来は、電子証明書(有償)が必須でしたが、2020年11月の「e-Gov」更改により「gBiz-ID」での申請も可能となっています。

2020年4月から始まっている電子申請の義務化の範囲

2020年4月から政府全体で行政手続コスト(行政手続に要する事業者の作業時間)を削減するために、特定の法人の事業所が行う社会保険・労働保険に関する一部の手続きは、必ず電子申請で行わないといけないことになりました。
特定の法人とは、以下の4つを指します。

  • ○事業年度開始の時において、以下の(イ)または(ロ)に該当する法人
  • (イ)資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
  • (ロ)銀行等保有株式取得機構がその会員から「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律」第41条第1項及び第3項の規定により納付された同条第1項の当初拠出金の額及び同条第3項の売却時拠出金の額の合計額が1億円を超える法人
  • ○相互会社(保険業法第2条第5項に規定する)
  • ○投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第12項に規定する)
  • ○特定目的会社(資産の流動化に関する法律第2条第3項に規定する)

ただし、健康保険組合への手続きについては、2020年4月においては電子申請義務化の対象から除外されていましたが、2020年11月からマイナポータルの整備が完了したことを機に、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届の3届については電子申請義務化の対象となりました。なお、健康保険組合は「e-Gov」には対応していませんので、マイナポータルを通しての申請のみとなります。

その他に、特定の法人は、労働保険の年度更新手続きや雇用保険の被保険者資格取得届や喪失届、高年齢雇用継続給付支給申請、育児休業給付支給申請といった申請も電子申請で行うことが義務となっています。
特定の法人ではなければ、従来の紙での申請も可能となっていますが、特定の法人の場合は、以上の手続きは電子申請が必須ですので、ソフトなどの連携・設定・構築の最適化が必要です。

マイナポータルの電子申請のメリット・デメリット

最後に、以上のことも含めメリット・デメリットとしてまとめていきます。「e-Gov」では有償の電子証明書が必要でしたが、「マイナポータル」では無償の「gBiz-ID」を取得すれば、電子申請をすることができます。電子申請をトライしてみたかった事業所にとっては、無償で始められる点は良いのではないでしょうか。手書きで作成する時間や郵送コスト、いつでも申請できる、申請から各役所での処理の短縮化、とマイナポータルを利用したほうが圧倒的にメリットは高いです。

デメリットとしては、まだまだ「マイナポータル」で申請できる種類(社会保険・雇用保険:19種類)が少ないのと、労働保険は非対応な点です。もちろん手続きとして、主要な入退社手続きだけでもマイナポータルで申請するということだけでも、かなりの手続き作業の短縮化になると考えられます。

また、「e-Gov」と違い、「マイナポータル」単体では電子申請ができず、人事・給与システムからAPI連携によりgBiz-IDとパスワードで認証のうえ、直接マイナポータルに送信となります。現在、事業所で使用しているシステムがあることが前提で、またそれがマイナポータル対応なのか、申請できる範囲がどこまでなのか、確認が必要となります。なお、日本年金機構の「届書作成プログラム」という無償でダウンロードして使用できるシステムもありますが、申請API機能がないため、健康保険組合のデータをマイナポータル経由で届出することができません。

このようにまだまだ「マイナポータル」は開発途上ですが、「e-Gov」に代わって主要となっていくと思われますので、今からマイナポータルに慣れておくのも良いと思います。また、最近では民間のソフトの開発も進み、e-Gov外部連携APIに対応したものはもちろん、マイナポータルAPIに対応したものも多く出てきていますので、今後、電子申請に着手する事業所は、ソフト選びから始めてみましょう。
社会保険システム連絡協議会のサイトでは、ソフト一覧を案内していますので、参考にしてみてください。

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執筆者プロフィール

村松 鋭士

村松 鋭士社会保険労務士

2010年に「TFS&SPIRAL社会保険労務士事務所」を開業。また、社労士事務所と併せてチームビルディングを主体とした人材育成研修やコンサルティング、コーチングを行う「株式会社スパイラル・アンド・ゴーゴー」を設立。社労士として15年以上、企業の人事労務に携わってきた経験をもとに、労務相談や人材育成研修、評価制度などを一体的に実施。