Interview #02 クラウド技術者の裾野を広げるため尽力。

自らも発信力のあるトップエンジニアをめざす

大学院で人間工学について学んだ後、社会の役に立つシステム構築に携わりたいとエンジニアを志したY.S.。現在はクラウドを専門としてプロジェクトに関わるとともに、管理職の立場からチームのスキルアップに貢献、自らも資格の取得に注力しています。その背景にある想いや経験について語ります。

Interviewee インタビュイー

  • Y.S.

    プロフェッショナル

    2008年に新卒入社。現在は主にAWSを用いたクラウド構築業務を担当すると共に、2023年に管理職へ。チームのスキルアップに貢献しつつ、自らも資格の取得に注力している。

スキルアップの重要性を部下に示すべく、自ら率先して全12個のAWS資格を網羅

私は現在、主にAWS(Amazon Web Services)を用いたクラウド構築業務を担当しています。クライアントは一般の企業から官公庁まで多種多様。新たなお取引先を開拓する役割も担っているので、時には企業に赴いてクラウドのシステムを提案し、受注につなげることもあります。

長らくプレイヤーとして実務に携わってきましたが、2023年度より管理職に昇格したことで、部下のマネジメントも求められるようになりました。私が率いるのは、東北支社においてクラウドを専門とするチームです。メンバーの7人がそれぞれ個別に要件定義からプロジェクトを進めているので、私が全体を把握しながら随時サポートしています。

慣れない管理職の仕事を任された当初は、新たに管理の仕事が増えたことやプレッシャーに押し潰されそうになることもありました。しかし上司に打ち明けたところ、しっかりとフォローしてくれました。そのお陰で少しずつ業務に慣れ、今ではチームのためにできることも増えてきていると自負しています。

管理職になってから強く意識するようになったのは、チーム全体におけるスキルの底上げです。当然ですが、クラウドの対応を行うためには、さまざまな前提知識が必要になります。そのため、メンバーには業務に関連する資格の取得をめざしてほしいと伝えています。

より説得力を持ってスキルアップの必要性を伝えたいと考えた私は、全部で12種あるAWSの資格をすべて取得。「2023 Japan AWS All Certifications Engineers」にも選出されました。上司として自分の背中を見せることが、部下のモチベーションの向上につながるはずだという想いがあったんです。

もちろん、すべての資格を網羅することは非常に苦労しましたが、当社はキャリアアップのための資格取得に理解がありますし、受験料も負担してもらえるのでありがたかったです。また約1万2,000人以上いる社員の中には、AWS Ambassadors、AWS Top Engineers認定者を含め、優秀なクラウドの技術者が多く在籍しています。クラウドという技術軸でそういった社員と交流する機会があったことも大いに刺激になりました。

実は管理職になる以前から、スキルアップに対しては個人的に関心がありました。東北支社には「Tohoku Playgrounds(TPG)」という、スキルアップに向けたコミュニティがあるのですが、数年前にその中でAWSをテーマにした活動を立ち上げた背景には、技術力を底上げしたいという想いがありました。

オンライン上で週に1回30分程度、同じ目標に向かう社員が集まって互いに励まし合いながら、資格の勉強を続けることができたのは大きな成功要因だったと思っています。12個の資格を取得することも、自分ひとりではおそらく達成できなかったでしょう。

こうしたコミュニティも活用しながら身につけた勉強のノウハウを、今度は社内セミナーなどを通じて部下に共有する活動も行っています。すでに取り組みの成果は顕著に現れており、3年間でチーム累計54個のクラウド資格取得を実現しました。

エンジニアとしてのベースとなる考え方を身につけた金融システム担当時代

私は高校を卒業後、地元である仙台を離れ、東京の大学・大学院で人間工学の研究をしていました。研究を続ける中で、人間にとって使いやすいシステムを開発したい、また、地元に貢献したいという想いを強め、その両方を実現できるNECソフトウェア東北(2015年、グループの統合に伴いNECソリューションイノベータに社名変更)に就職。当初は東京にて大規模金融システムのインフラ構築を担当していました。

金融系のシステムには、高い安定性が求められます。24時間365日のうち数秒でも不具合が生じれば、大幅にクライアントやエンドユーザーの利益を損ねてしまう可能性があるからです。そのインフラ部分に関わるということで、常に緊張感を持って業務に取り組んでいたことを覚えています。高可用性が求められるシステム構築に携わったことで、技術的にもエンジニアとしてのベースになる考え方を身につけることができました。

早い段階でプロジェクトのリーダー的な業務を行ったことも、今につながる経験だったと感じています。周囲のメンバーは年齢も国籍もバラバラでしたが、相手に対してわかりやすく説明するなど、互いを尊重しながら仕事をする雰囲気づくりに努めていました。

念願かなって仙台に異動になった私は、NECが提供するパブリッククラウドサービス基盤のインフラ構築に従事することになりました。当時は世の中のシステムがオンプレミスからクラウドに変わっていく過渡期にあり、私の業務内容も次第にクラウドに関連したものに変わっていったのです。金融系のシステムとまったく異なる技術を要するクラウドを扱うことになり、当初は戸惑いながらも新しい知識を貪欲に吸収していた時期だったように思います。

クラウド業務に対するスキル不足を実感。スキルアップを図るきっかけに

大手小売業者向けのログ収集基盤の構築案件でチームリーダーを任され、AWSに関わる業務が本格的にスタートしました。具体的には、クライアント企業内で出力されるログを一箇所に集めて解析することで、端末の不具合を検知したり、未然に防いだりする基盤を構築することが主な役割でした。

案件が始まった当初はAWSの資格をひとつしか所有していなかったので、お客さまへの説明に赴く際に自らのスキル不足を痛感することが多々ありました。質問を持ち帰って検討するのではなく、その場で即答できるような知識を身につけたいと強く思うように。AWSの全12種の資格取得を意識したのはこのころです。

最終的にはクライアントに聞かれたことに対して、ほとんどすべて即答できるレベルにまで至りました。社内でも数少なかったAWSの案件を、高いクオリティかつ高い利益率で達成した結果、社内で評価され表彰されることに。やるべきことを把握し、実行に移し、成果を出せたことは、大きな自信につながりました。

チームの成長を促進し、クラウド市場の開拓を先導したい

当社はクラウド技術者が成長をめざす上で理想的な環境なのではないかと感じています。新しい領域にチャレンジしたいという熱意があれば、挑戦する機会を与えてくれる。もちろん、入社後の仕事やスキルアップに対するフォロー体制もしっかりしています。

自分のスキルを磨きたいという希望を、会社としてサポートしてくれるところが当社の最大の魅力ですし、システムに関わる仕事を通じて自己実現したいという想いを抱えた人には、非常に働きがいのある環境だと思います。

今後の社会の流れとして、クラウドの案件はますます増加していくと考えています。そのため引き続きクラウドの案件に対応していくことが私たちの使命です。一方で、それを可能にするためには人材が不足しているという実感もあります。クラウド要員の育成や体制の拡大を実施する。そして、チーム内での学びを重ねながら、クラウド市場の開拓を先導していくことが私の当面のミッションです。

同時に、個人としてクラウドに関する技術をさらに磨いていきたいとも思っています。めざしているのは、「Japan AWS Top Engineer」の称号を取得すること。これはAWSの各種認定資格を保有する日本国内の技術者の中で、とくに高い技術力を持つ個人を表彰する取り組みです。表彰されるためには、技術力を高めるだけではなく、周りに還元していくような対外的な活動が不可欠となります。

その第一歩として、他の支社ともコラボしながら勉強会を実施する試みをスタートしています。「Japan AWS Top Engineer」が非常に高い壁であることは理解していますが、地道な活動を通じて発信力のあるクラウド技術者になることをめざし、これからも挑戦を続けていきたいと思います。

※ 記載内容は2023年11月時点のものです