導入事例・株式会社小田急百貨店 様

NEC 遺失物管理ソリューション

クラウド型により初期投資を抑えて遺失物管理システムを導入。データ管理やメンテナンスの不安を軽減し、業務標準化・効率化へ貢献。

株式会社小田急百貨店

  • 本社:〒160-8001 東京都新宿区西新宿1丁目1番3号
  • 創立:1961年6月1日
  • 資本金:37億7千万円
  • 事業内容:百貨店業

株式会社小田急百貨店

左から、
(株)小田急百貨店 経営企画部 IT担当 村上 順一 氏、
(株)小田急プラネット アウトソーシング事業部
鹿島 健太郎 氏・島崎 晃 氏

事例のポイント

課題背景

  • 遺失物預かり所の現場パソコンでの管理・運用のため、管理業務担当者の負担が大きい。
  • 端末・OSの更新や蓄積データ増大等に伴うメンテナンスの不安をなくしたい。
  • 項目の設定や入力・データ管理のルールが担当者に依存しているのを解消したい。

成果

  • システム使用者からの問い合わせ等に対応する担当者の負担やメンテナンスの不安を大きく軽減。
  • 入力ルールやデータ管理など、担当者に依存せず全社的に標準化された運用が可能に。
  • 警察への手続き書類・管理帳票の出力などの自動化により、煩雑だった業務が効率化。
  • クラウド型が選べたことで、短期間・低コストでの導入を実現。さらに現場運用にあったカスタマイズも両立。

導入前の背景や課題

独自システムを現場のパソコンで運用。業務担当者の負荷や継続運用が課題に。

乗降客数が日本一と言われる新宿駅に直結する小田急百貨店 新宿店様は、ウイークデーから土日祝日まで、多くのお客様が買い物や食事などを楽しみます。お客様のにぎわいに比例して増えるのが、日々多く届けられる落とし物です。幅広いお客様層が来店し、外国人観光客が増えていることもあり、拾得物の種類もますます多種多様になっています。

このような中で、改正遺失物法に則った管理による確実かつスムーズなお客様対応を行うために、新宿店様では従来、遺失物管理業務の担当者が自らMicrosoft® Office Access®やMicrosoft® Excel®を使って独自にシステムを作り、現場の特定のパソコン上で遺失物管理を行ってきました。また、遺失物登録の入力作業やお客様からの問い合わせなどへの対応は、当時も今も、管理部門の全従業員で当たる体制にしています。

以前に遺失物管理業務を担当され、独自システムの構築も担った島崎 晃氏は、当時の本業務の現場について次のように語ります。

「その前は遺失物を紙のリストに手書きして管理していましたが、書くのにも時間がかかっていました。社員の世代が幅広いこともあって、人により書き方も異なるので、リストから探すのも大変で非効率的です。これをデジタル化してパソコンで検索できるようにしたことで、お客様をお待たせする時間も減り、私たち遺失物管理の担当者にも、他の従業員にも大変便利になりました。ところが、老朽化に伴ってパソコンを更新することになり、近い将来、そのソフトが使えなくなることが分かったんです。そこで、IT部門に相談することにしました」。

島崎 晃 氏
島崎 晃 氏

相談を受けたIT部門の村上 順一氏は、従来のシステムについて、次のような課題があると考えました。

「先述したパソコン更新の問題だけでなく、年々蓄積したデータがハードディスク容量を圧迫するようになり、他の業務時にも動作が遅くなるなどの影響が出ていました。また、遺失物管理担当の限られた社員がシステムを構築・運用していたため、時にはその社員が休暇の日や退社時間後にも、システム使用時のエラーや不明点が出ると従業員から問い合わせが来ることになってしまい、その負荷が大きくなっていました。システムの管理・運用の現場依存を解消し、より安全・安定的にデータを保管できるようにすることが必要でした」(村上氏)。

さらに、人による入力の仕方の違いは、紙使用時よりは減ったものの、「手打ち入力のため、品目などの登録表現にはまだばらつきがあり、お客様が探していた拾得物が登録されていたにもかかわらず、検索で引っ掛からなかったケースも多くあったので、さらに標準化したシステムの導入で、もっと効率化できたらと思いました」。

村上 順一 氏
村上 順一 氏

選択のポイント・移行時のメリット

従来に近い作業性と初期投資を抑えた導入を両立

そこで村上氏が選んだのが、NECの「遺失物管理ソリューション」でした。ポイントは主に3つです。第一に、「クラウド型の導入形態が選べたこと」です。
「サーバや新たなパソコンの用意も不要で、導入期間を短く、すぐに運用することができ、費用も抑えられました。これまでもNECにはさまざまなシステムの構築・運用をサポートしてもらっており、信頼していたことも決め手になりました。自社内のパソコンで管理し、容量の増大に悩んでいた遺失物管理データも、暗号化やアクセスログ出力などセキュリティ対策がされた環境で管理されるので安心です」(村上氏)。また、ブラウザベースの業務画面のため、パソコンやOSの更新による影響も最小限に抑えられます。

鹿島 健太郎 氏
鹿島 健太郎 氏

第二に、「クラウド型でありながら、カスタマイズをしてもらえたこと」(村上氏)です。
「遺失物管理担当者はもちろん、落とし物を探しにいらしたお客様への対応や拾得物の登録で日々システムを使う従業員たちは、現場が作った従来システムにかなり慣れ親しんでいました。今回のソリューションでは、従来の使い勝手に新しいシステムを近づける対応をしていただき、ありがたかったです」。
第三に、「遺失物管理担当者への依存を解消できること」です。入力項目がマスタ化され、担当者に依存しない運用ができます。マスタはIT部門で管理し、現場から変更の要望があれば、手続きを踏んで周知の上で変更しています。また、「誰でも直感的に操作できるブラウザベースの画面のため、使い方のレクチャーもわずかで済みました。実際、現在使用する従業員からの問い合わせは、従来のように遺失物管理担当者でなく、私たちIT部門が受けていますが、あまり多くはありません」と村上氏は笑顔を見せます。

導入後の成果

入力の標準化で検索性向上を目指す。今後は他店導入でさらなる標準化も。

こうして小田急百貨店 新宿店様では、2017年5月に「NEC 遺失物管理ソリューション」による新システムの運用をスタート。遺失物担当者として新しいシステムを日々使用している鹿島 健太郎氏は、導入後に感じたメリットとして、まず、「拾得物の品名がマスタ化されているので、登録時の人によるばらつきが減り、探しているものが検索で見つかりやすくなったこと」を挙げます。また、「時に、自分では品名が分からないものも届けられたりすることがあるのですが、大分類・中分類とプルダウンで選んでいけば品名が出てくるのが便利です」と言います。

ただし、最近では海外からの旅行者などお客様の多様化が進み、マスタに登録されていないようなイレギュラーな拾得物も増えているそうです。
「その場合は、『最近こういうアイテムがよく届いているから、マスタに追加してほしい』とIT部門に申請して増やしてもらうようにしています。こうした変更は全社的に周知されるので、遺失物管理業務の標準化を進めるうえで理想的だと思います」。

小田急百貨店 新宿店様のサービスカウンター
小田急百貨店 新宿店様のサービスカウンター

遺失物管理データは社外のクラウドサーバに。すべての遺失物管理業務は、ウェブにつながった既存のパソコンのみで行えます。

島崎氏は、「傘など、拾得数が多い物を探す場合は、大分類から傘類、品目で長傘・折り畳み傘・ビニール傘のいずれかを選び、さらに特徴のキーワードで検索してから絞り込み、そこから詳細情報をチェックすることで、効率よく探すことができます」と明かします。また、「いつ落としたかが正確に分からない、ひと月分を全部調べてほしい」といったご要望もあります。そんな時は、期間で絞り込んで検索できます。
さらに、新宿店様では、日々の業務で活用しやすくするため、1日の拾得物の一覧をプリントアウトし、紙でチェックする運用にしています。毎日の最後にその日分の拾得物を一覧形式でプリントするようにし、当日や翌日に、自分の落とし物を探したいというお客様への対応に利用しています。このように新宿店様では、その都度、デジタルとアナログを柔軟に使い分けています。

拾得物を警察に届ける際には指定様式の書類が必要ですが、改めて情報を入力する必要はなく、拾得登録時に入力したデータを基に、自動で出力されます。
「また、現金の入った財布などを警察に届ける際には、従来はお札や硬貨ごとの数を手入力、合計金額も自分で計算していましたが、新しいシステムでは、拾得物登録時のデータで自動的に計算され、明細も表示して書類が出力されるので、とても楽になりました。さらに、こうした警察用書類は、数年ごとにフォーマットが変更になるため、従来は他の業務との兼ね合いの中で、それに対応してシステムを修正するのが大変でした。今はそういったフォーマットの更新もクラウド側で反映してくれるので、とても助かっています」(島崎氏)。

最後に村上氏に、IT部門として考える遺失物管理業務の今後の展望について、お話を伺いました。

「新宿店での運用がもうすぐ1年になり、軌道に乗ってきたところで、2018年は他の店舗での導入を考えています。現在は店舗ごとに独自の形式で業務を行っていますが、全社的な業務標準化を図ることで、従業員の異動時もスムーズに対応できます。各店の担当者に新システムのデモをしたところ、自動化される業務が多いと実感してくれたようで、非常に評判がよかったです。まだ、拾得物の特徴の入力方法のばらつきなど、標準化しきれていない部分もありますが、担当従業員がよりシステムに慣れれば、会社としてさらなる標準化を進めていけるのではないかと考えています。現在は活用できていない画像登録機能も、今後便利に使えるのではないかと期待しています」。

NEC 遺失物管理ソリューション・クラウド型

インターネット上でシステムとデータを管理する、クラウド型。クラウド型をご利用の場合は、サーバ・データベース等のハードウェアが不要。クライアントだけでご利用いただけます。

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