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RPAの導入事例10選|自動化できる業務と具体的な効果を実例から紹介

定型業務の効率化・自動化が図れるRPA。仕組みや効果は理解しても、実際にどのように活用するのかがイメージできない人もいるでしょう。

本記事では、受注処理や経理業務など、実例をもとに効果とポイントを解説。自治体や企業で「業務効率化」「人手不足解消」を課題とする担当者に役立つ内容になっているので、ぜひ参考にしてください。

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RPAの導入事例

今回は、当社NECサービスの実例から、RPAの導入事例を紹介します。多くの企業で特定業務の工数削減のためにRPAを導入し、大幅な削減効果が得られています。

副次的には、課題に挙がっている“作業者の身体的・精神的負担の軽減やミスの低減”による顧客満足度の向上といったメリットも発生しています。

各企業でどういった課題があり、どういった効果が得られたのか、詳しい内容を見ていきましょう。

受注登録業務のチェック作業工数を大幅削減

最初に紹介するのは、受注登録業務のチェック作業工数を大幅削減した事例です。RPA導入以前の受注登録業務におけるチェック作業は、確認プロセスに多くの時間と手間がかかっていました。月末月初に業務が集中するため、リソースの配分も難しく、ミスが発生すれば修正作業によりさらに工数を圧迫。精神的にも肉体的にも作業者にのしかかる負担が大きいことが課題でした。

この課題に対し、受注伝票入力表をテキストデータ化し、登録前の入力内容をチェックする業務にRPAを適用。これまで5人で対応していた作業をロボットが代行することで、人手よりも作業精度が向上し、さらに属人化を排除することに成功しています。また、ミスによる後工程の工数も削減され、二度手間による無駄の低減にもつながっています。

従来の人手による確認時間が約1分だったのに対して、RPA導入後は約3秒まで短縮。年間業務時間が11,440分(約190時間)もかかっていたところから、年間570分まで大幅に短縮されました。時間にすると、約180時間の削減です。作業者は最終確認と修正のみを担当する形となり、月末月初に集中する受注登録業務の大幅な効率化を実現しています。

帳簿への適時反映を実現

次に「帳簿への適時反映を実現」した事例です。主管銘柄に関係する事案の情報収集・配信業務において、RPA導入前の課題として、非上場法人の情報の露出の少なさがありました。

四半期決算に向けての情報収集ではリストから社名をコピーし、検索サイトで一つずつ確認する単調作業を繰り返していましたが、M&Aや倒産、不祥事といった「重要な何か」がヒットすることはほぼありません。作業時間が限定されているうえに、実施しても作業者に徒労感が残るだけに終わるため、積極的な実施はされていなかったという課題がありました。

この課題に対して、保有する非上場銘柄リストをもとに、官報やWebニュースでクリティカル情報の有無をRPAで自動チェックする仕組みを導入。これにより、チェック漏れがなくなり、決算開示に合わせた適時反映が可能になりました。公式・非公式問わず得られた情報は主管事業部へ即時連絡され、次の一手を早期に検討できるようになったのも大きなメリットです。

また、副産物として得られたBU別FSCMデータ(銘柄保有部門別投資勘定補助簿明細データ)を別業務に活用し、横断的に作業時間も削減。年間17~50時間の工数削減に加え、作業の積極実施や情報活用の面で大きな効果を得られています。

経理業務の自動化で担当者の負担を軽減

経理部門における「業務の自動化で担当者の負担を軽減」した事例です。経理モニタリングにおいて、RPA導入前は、経理担当者が限られた時間内で伝票処理や異常値確認、関係部門への調査依頼準備、さらには問合せ対応まで行っていました。業務は主に月初に集中しており、経理担当者は時間的・心理的な負荷が急増することから、作業遅れやミスを頻発していたことが課題に挙がっています。

この課題に対し、RPAを活用して経理システムからデータを抽出・加工し、購入価格差異やML整合、投入差異、原価0・投入0などの確認に関する調査依頼を担当者へメールで自動送信する仕組みを構築。これにより、作業遅れやモレ・ミスが低減され、担当者の時間的・心理的負荷が大幅に軽減しています。

また、年換算で約55時間の作業時間を削減でき、担当者は丁寧な問合せ対応や高度な業務に集中できるようになりました。一見すると年間約55時間の削減は大したことないように思えますが、とくに月初に集中する作業においての削減効果は、大きな負担を感じていた担当者にとって絶大と言えるでしょう。

エラーが許されない単純作業の工数を大幅削減

毎年5月に行う市区町村からの住民税額データ処理の作業工数を大幅に削減した事例です。具体的には全国のべ約5,200市区町村から約80社分という膨大な量のデータ処理を行う業務で、給与や税金に関わるため、単純作業でもエラーは重大な品質事故につながります。また、作業者は手順説明やマニュアル整備、ダウンロードツールの更新などの準備作業にも多くの時間を費やしており、作業者および責任者の心理的負荷も大きくなっていました。

この課題の改善策としてRPAを導入し、市区町村から通知される住民税額データをシステムから自動でダウンロードする仕組みを構築。導入後は誤ったファイル名での保存や上書きなどの作業ミスや漏れを極小化し、短期間で行う作業でも終日稼働が可能になりました。また、人やPCの手配などの事前準備も大幅に削減できています。

結果として、業務に要する時間は48時間から5時間と約90%も削減され、作業ミスの低減と担当者の時間的・心理的負荷の軽減を実現しています。5月の数日に集中する作業であることから、RPAによる効率化効果は絶大なものと言える事例です。

問い合わせ対応の業務効率化

サービスデスクの「問い合わせ対応の業務効率化」の事例です。従来では、利用者からの問い合わせに対し、サービスデスクに在籍する担当者が過去の回答やFAQ、マニュアルから最適な情報を人力で探していました。最適な情報を導きだすのに資料を横断的に調べることも多く、その業務工数は膨大で時間もかかります。その結果、回答の遅延が発生し、顧客満足度の低下も避けられないという問題がありました。

この課題に対し、RPAとAIを組み合わせた仕組みを導入。まずRPAで過去回答を自社データベースに自動で格納し、事例収集を効率化しました。さらに、利用者の個別質問を入力するだけで最適な回答を提示するAI高度検索システムを構築しました。これにより、サービスデスクの回答工数を大幅に削減。迅速かつ正確な対応が可能となり、顧客満足度の向上にも寄与しています。

契約書チェックの業務効率化

建設業における契約書チェック業務の効率化に成功したRPAの導入事例です。これまでは建業法に関わる案件かどうかを担当者が目視で確認しており、チェックにかかる工数や時間的な負担が大きいという課題がありました。

この課題解決のためにRPAとAI-COR、生成AIを組み合わせた仕組みを導入。まずPDFをサーチャブルPDFに変換し、RPAが特定のワードを抽出、該当ワードがあればチェック必要のフラグを付与します。さらに生成AIには、特定業務知識をナレッジとして追加し、ナレッジを踏まえた文書チェックを実施させます。

これにより、従来人手で行っていた契約書の確認作業を自動化し、作業負担の大幅な低減に成功しました。専門的な知識が求められるドキュメントでも、RPAとAIの連携により効率的かつ正確な確認が可能となっています。

証明書発行業務の単純作業を自動化

RPA導入により、証明書発行業務の単純作業を自動化した事例です。日次業務として行われる証明書発行業務では、決められたルールに基づいたマクロの実行や定型チェックなどの単純作業を専任担当者が手作業で実施していました。チェックエラーのフォロー工数も多く、前提となる定型作業の省力化が喫緊の課題でした。

そこで、RPAに台帳を開いて対象件数分の作業を繰り返し、実行結果を1件ずつ記入するという作業を代行させたところ、年間250時間かかっていた作業が60時間に短縮。年間190時間の削減に成功しています。作業者は空いた時間をフォロー作業や別業務に充てることができ、人材の有効活用を可能にしています。

また、導入検証により、業務を自動化する際の手順や自動化後の実施イメージを具体化でき、今後のRPA展開にも役立つ成果を得られたのも大きな成果として挙げられます。

日次の監視業務を自動化

RPA導入により、日次の監視業務を自動化した事例です。従来は担当者が複数のシステムにログインし、ログを検索・保存してExcelに整理する作業を毎日実施していました。マクロを用いた効率化も行われていましたが、システムをまたぐ操作は人手が必要で、十分な工数削減には至っていませんでした。

この課題に対してRPA導入後は、ウイルス対策やWebセキュリティ、IT資産管理、Active Directory、ネットワーク接続状況など複数のシステムにまたがる一連の作業を自動化。ロボットがログ取得からキャプチャ、Excelへの貼付までを担うことで、担当者は結果確認のみに集中できるようになっています。その結果、年間100時間以上を要していた作業の98%以上を削減し、マクロも既存のまま活用可能となるなど、効率性と柔軟性を両立した改善を実現しています。

出荷指示・売上確認の業務自動化

出荷指示や売上確認といった定型業務は、担当者に大きな負担をかける課題です。出荷指示は1日100件、売上確認は1日50件と件数が多く、さらに店舗ごとに配送・支払方法が異なるため、煩雑さによるミスの誘発リスクも抱えていました。

そこでRPAを導入し、出荷指示業務では在庫確認から書類出力・ステータス更新まで、売上確認業務では入金確認から更新処理までを自動化。従来は年間約1,000時間を要していた作業が、ロボットによる代行で結果の確認のみとなり、1時間以内で完結するまでになっています。結果として、工数をほぼ100%削減し、人的ミスの防止と正確な出荷・売上管理が実現。効率化と顧客満足度の向上を同時に達成することができています。

注文書の内容をシステムに自動で登録

注文書処理の効率化を目的に、AI-OCRとRPAを活用した自動登録の仕組みを導入した事例です。従来は、年間約3,000件の注文書をFAXで受信し、販売店特定や見積書との突合、さらに基幹システムへの登録までを手作業で行っていました。また、複雑な帳票構成や罫線のないフォーマットによる読み取りの負担も大きく、全体的に作業負荷が高いことが課題として挙げられます。

この課題を改善するためにRPAとAI-CORを組み合わせて導入します。RPAで注文書PDFを格納し、AI-OCRでデータ化したのち、RPAで販売店特定、見積データと突合、エラー通知を自動化。人力でエラーデータを訂正したあとにRPAが基幹業務システムに自動登録する体勢を整えたことで、FAX注文処理業務において従来の作業時間の約40%にあたる約270時間もの削減に成功しています。

RPA導入を成功させるためのポイント

RPAは、導入すれば効率的な自動化が実現するわけではありません。成功させるためには、抑えておくべきポイントがあります。代表的なポイントに、次のようなものがあります。

  • デジタル人材を育成・確保する
  • 業務を分けて導入スケジュール・体制を策定する
  • RPA化の優先度が高い業務を切り分ける
  • 開発担当者の工数を適切に管理する

簡単にいうと、「人材」、「体制」、「選定」がRPA導入を成功させるポイントです。具体的には運用に必要な人材の確保と、適切な運用を行える導入スケジュール・体制の構築、費用対効果の高い自動化候補業務の選定です。大きくわけてこれら3つのポイントを揃えることで、RPA導入後の形骸化を防ぎ、有効的な活用が可能になります。

デジタル人材を育成・確保する

RPA導入を成功に導くには、運用・保守・改善に対応できるデジタル人材の育成と確保が不可欠です。なぜなら、導入初期に学んだ手順を継続的に適応・更新し、トラブル対応やプロセス改善を担える人材が社内に存在することが、RPAを「導入して終わり」にしないための鍵となるからです。

人材育成・確保には研修サービスの活用がおすすめです。たとえばNECソリューションイノベータの研修サービス「NEC カレッジ for デジタルレイバー」では、RPAやAI-OCRの未経験者でも体系的に学習を進められます。開発標準や設計書、テスト仕様書など、実務に即したスキル習得を通じ、導入後も自走できる「即戦力となるDX人材」を育成できる仕組みが整っており、RPA定着への成功の下地となります。こうしたサービスを活用しながら、自社でデジタル人材を育成・確保することで「RPAの形骸化」を防げます。

業務を分けて導入スケジュール・体制を策定する

RPA導入を成功させるには、全社一斉展開ではなく業務を段階的に分け、明確なスケジュールと体制を整えることが重要です。一度に全社展開してしまうと、不具合や運用上の問題が発生した場合に会社全体が機能不全に陥りかねないからです。

段階的に導入すれば、こうしたリスクを最小化できるだけでなく、初期導入で得た知見をもとにしたルールやベストプラクティスの確立により、長期的な定着が可能になるといったメリットもあります。

NECでは業務を事務系と非事務系に分け、段階的にクライアント型RPAを全社展開をするためのスケジュール・体制を策定した事例があります。グループ会社全体で統一的なルールを策定する必要があった案件で、情報システム部門に先行してロボット構築を実施。その後、専門部隊を設置し、ルールに基づいて現場主体の活動へとつなげています。情報システム部門と業務部門が役割分担を行い、組織的な管理体制を構築できたことで、安定かつ継続的なRPAの運用・保守が可能となり、長期的な定着につながっています。

RPA化の優先度が高い業務を切り分ける

RPA導入の成功には、候補業務のRPA化の優先度を付けることも重要です。工数削減効果が大きく、かつ定型性の高い業務から着手することで、導入効果を早期に実感でき、その後の社内展開にも弾みがつきます。

NECでは複数の課への導入において、各課の役割を設定し、伴走型でRPAの開発完了をサポートした事例があります。その際、候補業務の洗い出しから段階的に優先度に応じて業務を絞ることを実施しています。これにより、短期間での効果実感を可能にしています。

また、同時に職員自身も集団研修および、RPAツール活用の実践力を身に付ける個別研修を通じてRPA開発を実践。各課に必ず一人はRPAスキルを持つ人材を配置する体制を整えました。これにより特定の課やベンダーに頼らないと「保守できない」というリスクを回避し、継続的に自動化を進められる基盤を構築しています。

開発担当者の工数を適切に管理する

RPA導入において、RPA開発担当者の工数管理は運営保守の品質を左右する重要な要素です。開発リソースが不足すると、既存シナリオの運用保守まで手が回らず、品質問題や緊急対応が発生するリスクが高まるからです。

NECが請負った事例でも、まさにリソース不足による運用保守の品質低下を起因としてユーザー側に緊急対応が必要となるケースを改善した事例があります。解決策としてRPAスキルを持つ2名の要員が工数支援として一部業務に入り、現状業務の把握と課題整理を実施。NECグループで培った開発・運用保守ノウハウをもとに改善提案を行い、推進側要員と同じ目線で課題解決をサポートしています。

このサポートは現在も進行中で、開発担当者の工数を適切に管理することで運用保守まで含めた工数配分の明確化と担当者の負荷軽減、安定したRPA運用を支援しています。

まとめ

RPAは単純作業や定型業務を自動化することで、工数削減や人的ミス防止、担当者の負担軽減といった効果をもたらします。本記事で紹介した事例からも分かるように、業務効率化だけでなく、RPAの導入は組織全体の生産性向上や働き方改革の推進に直結します。ただし、導入を成功させるには、人材育成や体制整備、優先度の高い業務選定などの工夫も欠かせません。まずは優先度の高い業務の選定から取り組んでみてはいかがでしょうか。

また、当社では「住民情報システムをご利用の自治体様向けのRPAテンプレート」を提供しています。「システム登録当の手作業が他の作業を圧迫しているけど、どの業務を自動化すればいいか分からない」、「個別開発だと費用面が心配」といったケースに対応し、短期間・低コストで高品質なRPAを導入できるサービスです。もしこのような悩みがある自治体様は、一度ご相談ください。

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