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“会えない時代”の利益はこう作れ
見込み客を育てて成果につなげる営業術
【第3回】「メール」でのリードナーチャリングを実践する

UPDATE : 2021.01.29

営業マンがメールでのリードナーチャリングを実践する際に、成果に結びつけるためのポイントとは。

コロナ禍において、新規顧客と接点を持つことが難しくなり頭を悩ませている営業マンがいる一方で、購買意欲の高い顧客を増やし続け、受注に結びつけている営業マンがいます。

連載1回目では、成果を出している彼らが取り組んでいる営業手法「リードナーチャリング」についてご紹介しました。リードナーチャリングは法人営業(BtoB営業)に親和性が高く、特に「メール」でのリードナーチャリングが不可欠である理由を第2回目でお話ししました。

法人営業で対面営業ができず困っている営業マンの方は、社外の方とのコミュニケーション手段として最適な「メール」でのリードナーチャリングをぜひ試してみてください。

ただし、成果に結びつけるためには、留意すべき点がいくつかあります。

第3回目では、営業マンがメールでのリードナーチャリングを実践するためのポイントを解説します。

メールでのリードナーチャリングの手段を知り
効果的に使い分ける

リードナーチャリングに適したメールの手法は3つあります。

登録者に対して一斉に同様の内容を配信する「メールマガジン(メルマガ)」、リードのアクションに応じて“その時”に“知らせたい内容”を“段階的に配信”する「ステップメール」、業種や役職、地域など条件ごとに顧客を分類(セグメント)し、対象のグループのみに情報を配信する「セグメントメール」です。

リードナーチャリングに適したメールの手法

通常のビジネスメールや一斉配信するメルマガのほかにも、メールを送る対象を絞ったり、タイミングをコントロールしたりといったアプローチも可能です。それぞれの特徴を知り、顧客により合った手法を使い分けることが効果を高めるポイントとなります。

では、それぞれの手法を具体的に見ていきましょう。

メールマガジン(メルマガ)

メルマガはメールマガジンの略で、登録者に対して一斉に同様の内容を配信するメール方法です。

キャンペーン告知など自社製品の販売促進やノウハウ提供などの教育・啓蒙、利用継続の促進などを目的とします。

リードに応じて個別に内容を書き分ける必要がないため、コンテンツの作成に手間がかからず運用が比較的容易であるというメリットがあります。

その反面、一人ひとりに合わせたアプローチができないため、興味がなければ迷惑メールとして処理されてしまう可能性も少なくありません。

ステップメール

ステップメールは、リードのアクションに応じて「その時」に「知らせたい内容」を「段階的に配信」する方法です。

対象のリードごとに送信されるため、対応についての安心感醸成やフォローの強化ができます。

たとえば、ウェブセミナー(ウェビナー)に申し込んだリードに対しては、開催の数日前や前日にリマインドメールを送り参加率を高めることができます。
また、ウェビナー終了後にはサンクスメールやレジュメ、レポートなどを送付、アンケートで関心の高い事柄について答えてもらいプレゼントキャンペーンをするなど、その時のプロセスに合ったフォローをしながら次のステップへ誘導することが可能です。

ステップメールの例

このように顧客の興味・関心に合わせたアプローチができる一方で、「顧客化までのシナリオの構築」「配信タイミングの見極め」など複数の要素が絡んでくるため、運用には事前の設計が必要となります。

セグメントメール

セグメントメールは、業種や役職、地域など条件ごとに顧客を分類(セグメント)し、対象のグループのみに情報を配信する方法です。

対象グループのリードが必要としている情報を発信するので、メルマガに比べ高い開封率やクリック率(CTR)が見込めます。そのため、購読解除のリスクも低減できるなど、大変効率の良い手法といえるでしょう。

ただしデメリットとしては、顧客リストを分類したり、各セグメントに合わせてメール文を用意したりといった手間がかかることが挙げられます。

以上のように、それぞれの手法には特性がありますので、目的やリードのプロセスに応じて選択すると良いでしょう。

成果を上げるためには
事前設計と効果測定を行い、PDCAサイクルを回す

どのような手法を使うにしても、メールによるリードナーチャリングを実践し成果を上げるための重要ポイントは、事前設計を綿密に行いPDCAサイクル(「PLAN:計画」「DO:実行」「CHECK:評価」「ACTION:改善」)を回すことです。

やみくもに配信しても成果は出ません。事前設計をしっかりと行い、実行し、効果を測定する。その結果から仮説を立て改善する。そうしてPDCAサイクルを回しながら改善し続けることで、成果を出すスピードを上げるのです。

では、具体的に何をすればよいのでしょうか。

P:ゴール策定などの事前設計

まず初めに、ゴールの策定を行います。

たとえば、キャンペーン応募数や資料ダウンロード数を増やす、特定のWebページに誘導するなど、ゴールを設定しましょう。ゴールに応じて、メールの文面を変える必要があります。

また、具体的な数値目標もあらかじめ決めておくべきです。メールでは、一般的に「開封率」「メール本文のURLクリック率(CTR)」「コンバージョン率(CVR)」がKPI(目標達成の指標)として設定されます。配信するメールの内容に適しているKPIの数値目標を設定します。

D:リードのプロセスに合わせたメール文を作成し配信

リードに合わせたメール文を作成します。

その際、リードのプロセスを考慮することが重要です。このプロセスでこのリードはどういった情報を求めているかを想像し、プロセスに沿ってふさわしい情報を洗い出して、メールの文面に落とし込みます。

興味・関心が低い段階のリードに向けては、自社商品の宣伝ではなく、相手にとって有益な情報や役立つ情報を優先しましょう。

メール文が作成できたら、タイミングに合わせて配信します。

C:効果測定

メールを配信した後には、効果測定も必須です。

後述するメール配信システムやマーケティングオートメーション(MA)ツールなどの測定機能を使うと良いでしょう。

事前設計で設定した「開封率」「メール本文のURLクリック率(CTR)」「コンバージョン率(CVR)」などKPIが達成できているか、測定した数値を検証します。

A:測定結果から仮説を立て改善

測定結果で得られた数値から仮説を立て、改善を行います。

効果の良し悪しは、メール文のタイトルや本文の長さ、見やすさ、情報の中身、クリックされた先のページ内容など、さまざまな影響が考えられます。それらを丁寧に分析して仮説を立て、検証を繰り返します。

また、「相手がメールを受け取るタイミング」も効果を左右する大きな要因の一つです。

たとえば、一般的な企業のビジネスマンであれば朝一でメールチェックをすると想像できます。そうした相手に対しては朝8時~9時頃に配信すると目に止まり開封してもらえる可能性が高まるでしょう。

一方で土日が休みと想定したリードには、業務に追われがちな月曜日午前中や金曜日午後はメールを見てもらえない可能性が高まるため、この時間の配信を避けることも考えられます。

このように、業種や勤務形態によって反応しやすい曜日・時間帯が異なります。そのためいくつかの配信タイミングを試し、自社のリードに対してもっとも効果が出やすいタイミングを見極めることも重要です。

メールを送りっぱなしにするのではなく、絶えず効果測定を行い、仮説を立て、PDCAサイクルを回して改善を重ねることで効果を高めることができます。

ツールを使って効率化を図り
確実に実行する

メールでのリードナーチャリングを確実に実行し、成果を上げるためは、メール配信システムやマーケティングオートメーション(MA)ツールを使って効率化を図りましょう。

自動化することで、仮設の立案や内容の修正など成果に結びつく工程により多くの時間を使うことができます。また、PDCAサイクルを早く回すこともできます。

効率化・自動化が図れるツールは大きく2つあります。

メール配信システム

メール配信システムは、リストに登録した相手に自動でメールを配信するシステムです。

配信する対象者だけでなく日時まで指定できるため、タイミングに合わせて自分が送信する必要はなく、送りたいタイミングで自動的に配信できます。業務時間外でも配信することが可能です。

また、開封率やクリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)を自動で測定する機能も備えています。

マーケティングオートメーション(MA)ツール

マーケティングオートメーション(MA)ツールでは、自社Webサイトにおけるリードの行動を分析し、ニーズに応じた文面のメールを配信することが可能です。

マーケティングオートメーション(MA)ツールには、メール配信機能や開封率やクリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)の自動測定機能だけでなく、自社Webサイトに訪問したユーザーの企業名や個人名などを取得し、リストを作成できるという強みもあります。さらにはリードの選別や絞り込みまでの活動を自動的に行う機能も備えています。

マーケティングオートメーション(MA)ツールを使うことで、メールに加えほかの手段も合わせた総合的なリードナーチャリングを自動的、効率的に行うことができます。

リードナーチャリングを確実に行い、効率的に成果を上げるためには、こうしたツールの活用が欠かせません。メール配信システムやマーケティングオートメーション(MA)ツールの導入を検討してみましょう。

まとめ

購買意欲の高い顧客を生み出し、成果に結びつけるリードナーチャリングについて、3回に渡って紹介してきました。リードナーチャリングは、コロナ禍で顧客と会えない時代に最適な営業スタイルといえます。さらに、アフターコロナとなってもこうした顧客の行動は続くと予想されます。
これを機に、まだ試していない営業マンは新たな営業術を身につけ、ぜひ成果につなげてください。