形がバラバラな製品の外観検査は自動化できるか? ~食品製造の品質管理と人手不足の課題をAIで解決~ | NECソリューションイノベータ

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形がバラバラな製品の外観検査は自動化できるか?
~食品製造の品質管理と人手不足の課題をAIで解決~

UPDATE : 2021.07.30

ものづくりにおいて、なくてはならない工程の1つである「外観検査」。その性質上、他の工程と比べて自動化が難しく、人手に頼らざるを得ませんでした。ところが近年のAI画像認識技術の進化によって、状況が大きく変わりつつあります。ここでは、AIによって劇的に進化した外観検査の自動化について、おもに食品製造の分野における最先端の活用状況を紹介します。

INDEX

食品製造や水産加工における外観検査とは?

外観検査とは、製造業において製品の品質維持のために行う検査の1つです。製品に傷や汚れがないか、形状に異常はないかなどを確認・評価し、規定に適合しないものを除外する、ものづくりにおいて欠かせない工程です。製造ライン上から不適合な製品を取り除くことにより、品質基準に適合しない製品が出荷されてしまうことを防ぎます。また、外観検査には不良品の発生原因を突き止め、不良率などを改善する目的もあります。

こうした取り組みは工業製品だけでなく、食品製造や水産加工の現場でも行われています。加工する前の原材料のコンディションやできあがった加工食品の状態などを外観から確認することで、不良品や異物の混入を未然に防ぎ、ブランドイメージの維持・向上も担っています。

従来の外観検査における手法と課題

外観検査にはカメラやセンサーなどの検査装置を用いることもありますが、機械で微妙な傷や汚れを判別するのには限界があります。そのため、工業製品と比べて良品の品質基準を明確に定めることができない食品製造や水産加工では、最後は人の目でチェック(目視検査)することが一般的です。
このような現場においては、次のような課題が多く聞かれます。

【食品製造、水産加工の生産ラインでのおもな課題】

  • 不良品が取り除かれずお客様に届いてしまい、クレームになった
  • 不良品の対応に、人手と時間が多く取られてしまっている
  • 原材料の形がバラバラなので、自動化したいができずに目視検査をしている
  • 品質基準が属人的になっており、作業員ごとに精度のバラつきがある
  • 熟練作業者が高齢化しているが、人手不足のため技術継承ができずにいる
  • 生産終了見込みがブレる

食品製造、水産加工の分野における外観検査の課題は、機械化(自動化)が難しいことだけではありません。品質基準を明確化できないことから、良品・不良品の振り分けが属人的になってしまい均質化できないことや、検査精度の高い熟練作業者の知見とノウハウを後継者に継承できないなど多くの課題が存在します。

また、外観検査では、見つけ出した不良品を効率的に取り除く仕組みや、目視検査にかかる時間の算出も大きな課題とされています。

外観検査にAI画像認識を活用することで、
食品製造、水産加工の生産ラインでの課題を解決します

前段で紹介した食品製造、水産加工における外観検査のおもな課題は、これまで人手で解決するほかないと思われていました。しかし、高度なAI画像認識技術が登場したことで、これらの問題を一気に解消できる目処が立ちつつあります。

【課題1】不良品の判別・除去に手間がかかりすぎている
【AIで解決】AIが良品・不良品を自動判別。作業者の負担も軽減

AI画像認識技術を活用した外観検査システムでは、ラインを流れる加工品や原材料をカメラで撮影し、その画像をあらかじめ作成したAIモデルをもとに解析することで、瞬時に良品・不良品を見分けることができます。作業者はシステムの指示に基づいて不良品を取り除いていくだけでいいので、これまでと比べて作業負荷が大きく軽減されます。また、作業人員の少人化も可能となるため、人件費の削減も期待できます。

【課題2】検査対象が不定形なので目視で検査せざるを得ない
【AIで解決】形状や色などのわずかな異常もAIで自動判定

ちょっとした焦げや形の崩れなど、良品と不良品の間にわずかな違いしかないようなケースは、人の目でも判定が難しいと言われていました。その点、AI画像認識を駆使した外観検査では、こうした微妙な違いを高精度なAIが見分けます。また、AI画像認識は精度だけでなく、高速処理が可能。高速にラインを流れる加工品や原材料を、瞬時に検査します。

【課題3】人手不足のため人材育成、技術継承がままならない
【AIで解決】AIが熟練者の判定基準を学習し、技術継承をサポート

AI画像認識のもう1つのメリットは、良品・不良品の判定基準が均質化されることです。ベテラン作業者のノウハウを学習させたAIを作り込めば、作業者ごとの判定基準のバラつきがなくなり、品質の安定化が図れます。また、AIによる判定基準の均質化によって経験の浅い若手作業者の作業効率も向上。人材育成や技術継承を効率的に進めることができます。

上記の図は、NECソリューションイノベータが提供する「NEC AI・画像活用見える化サービス」のオプション機能である『動的マーキング』です。AIが見分けた良品・不良品情報を、ライン上に配置したプロジェクターを使いマーキング。作業者が直観的に良品・不良品を見分けられるようになり、経験の浅い若手や外国人労働者でも効率的に技術を身につけることができます。

【課題4】生産終了見込みがブレる
【AIで解決】PCに「終了予測時間」などが表示され、進捗が一目瞭然

外観検査を自動化することの副次的なメリットとして挙げられるのが、作業の進行状況を可視化できることです。システムが認識した加工品や原材料の数をカウントし、さらにそれまでにかかった時間も記録しているため、現在取りかかっている作業がどのくらいで完了するかを正確に把握できるようになります。
その他、不良品発生率なども可視化されるため、問題の早期発見や、改善活動に活用することも可能です。

スモールスタートが可能な
「NEC AI・画像活用見える化サービス」で課題を解決

AI画像認識を利用した外観検査システムは、既に多くの汎用ソリューションが存在します。ここで紹介する「NEC AI・画像活用見える化サービス」の特長は、既存の製造ラインを拡張する形で外観検査を自動化できるという点。ネットワークカメラや画像解析用PCなど最低限の投資で始められるので、小規模な食品製造、水産加工の企業でも導入しやすくなっています。

「目を持ったAI」が品質や進捗をリアルタイムに解析します

「NEC AI・画像活用見える化サービス」では、ライン上に配置された「ネットワークカメラ」がラインを流れる加工品・原材料を撮影。撮影した画像情報を「画像解析用PC」で読み込み、あらかじめ品質基準を学習したAIモデルをもとに分析し、良品・不良品の判定を行います。判定結果などのデータをクラウドにアップロードしておくことで、遠隔地でもリアルタイムに進捗や不良率を確認できるため、問題発生時の対策も素早く行えます。

既存設備に影響が少なく、スピーディに利用開始できます

既存の製造ラインに手を加える必要なく導入できるのも「NEC AI・画像活用見える化サービス」の特長です。市販のネットワークカメラと、AI判定用、情報表示用のPCを用意すればすぐに利用可能。まずは一度試してみたいというお客様のために、カメラやPCなどの機材を無償で貸し出す、1週間のお試しプランも用意しています。また、限定的な利用を経た全社導入や事業拡大に伴い、将来的に拡張しやすいのも利点の1つ。活用の規模に応じて、段階的にシステム増強することも可能です。

まとめ

食品製造ラインも然ることながら、多くの製造業を悩ませている外観検査の効率化。AI画像認識技術の発達は、この問題を飛躍的に解決可能にしました。人手不足が恒常的な問題となっている昨今、画像認識技術を導入しない手はありません。まずは「NEC AI・画像活用見える化サービス」のような汎用ソリューションを利用し、スモールスタートで始めてみることをおすすめします。