サイト内の現在位置
コラム
物流コストを削減するための業務改革とは
~TMSとWMSによる最適化~

UPDATE : 2022.01.21
物流業務において品質を維持しつつ、コスト削減を目指すことは、経営上の重要な課題です。配送料や作業料の値下げに限界を感じ、可視化しづらい工程におけるコスト削減に頭を抱える経営者・部門責任者は多いでしょう。この記事では物流コストの内訳から削減方法までを解説。単なる輸送費・配送費の買い叩きではなく、抜本的な改善を目指します。
INDEX
- 物流コストとは?知らぬ間に増えて削減が難しい理由
- 物流の6大機能と物流コストの内訳
- 輸送・運送費
- 荷役費
- 保管費
- 物流管理費
- 売上高における物流コスト比率
- 物流コストの削減方法
- 拠点集約して保管費・輸送費を削減
- 5S活動を徹底する
- 専門業者にアウトソーシングする
- 抜本的な物流コストの削減はNECソリューションイノベータが解決
- 輸送費の削減には「輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX」を
- 人件費の削減には「倉庫管理システム ULTRAFIX/WMS」を
- まとめ
物流コストとは?
知らぬ間に増えて削減が難しい理由
物流コストとは、商品が生産者から発注者に届くまでの物流に関わるすべての費用を指します。
配送に必要なトラックのような有形物の費用から、人件費や光熱費といった無形の費用まで、その形を問いません。
特に社内で物流部門を完結させている場合、決算書の勘定科目が自家物流費として一括で扱われるため、内訳が見えづらくなっているでしょう。これらのコストは可視化が難しいため、いつの間にかコストが増えてしまうことが起こり得るのです。
抜本的な物流コストの削減に取り組むには、この内訳を見える化したうえで、工程ごとに課題を洗い出す必要があります。
物流の6大機能と物流コストの内訳
「物流」の定義について、JIS(日本工業規格)では「物資を供給者から需要者へ、時間的及び空間的に移動する過程の活動」と定めています。つまり単に商品が届けられる様子を「物流」とするのではなく、そのプロセスの一つひとつが「物流」である、とも言い換えられるでしょう。
物流のプロセスには6大機能と呼ばれる工程があります。それが、「輸送」「荷役」「保管」「包装」「流通加工」「情報処理」の6つです。
物流と言うと、商品を運んだり保管したりする「輸送」「荷役」「保管」にスポットが当てられがちです。しかし業務効率化や商品の付加価値向上を考慮すると、「包装」「流通加工」「情報処理」の仕組み強化も欠かせません。
この6大機能をスムーズに連携させ、生産地や工場から消費者のもとに商品を迅速かつタイムリーに届けるのが物流です。ここでは6大機能を踏まえたうえで、物流コストを4種類に分けて解説します。
輸送・運送費
商品を運ぶときに発生する費用を輸送費、または運送費と呼びます。
消費者のもとに商品を届ける宅配便や路線便の「小口配送料金」、生産者から物流センターへの「チャーター輸送費」、海外や国内遠方への輸配送に発生する「航空便・船便・貨物鉄道などのあらゆる配送料金」が輸送費、運送費に含まれます。
自社便を使用する際には、ガソリン料金や減価償却費なども輸送費に該当します。
荷役費
荷役費は倉庫や物流センターから荷物や商品の入出荷に伴う作業の費用を指します。
入出荷の工程では、入庫や出庫(ピッキング)の荷役業務に加え、包装(ラッピング)、梱包(ダンボール・緩衝材など)、流通加工(タグ貼り・シール貼りなど)の費用が発生します。
当然ながら人が動けば費用も発生するため、付加作業が増えるほど、荷役費も増加します。作業時間当たりでの見積もりを行う場合は、作業効率で費用が変動するため、作業水準の取り決めを事前に行うとよいでしょう。
保管費
保管費は商品を倉庫に保管する際にかかる費用です。外部倉庫に商品を委託するときにかかる保管料、または賃借料が保管費にあたります。保管料の料金体系には大きく分けて3種類の算出方法があります。
●個建て保管料
- 1個あたりの単価で料金を算出。貨物サイズが均一の場合や年間を通して物量の変動が大きい商材に採用されやすい料金体系。1ヵ月を3つに分ける三期制を一般的に採用します。
【計算式】1期あたりの保管料=(前期末の在庫数+今期の入庫数)×1個あたりの単価
※三期制では、1ヵ月を「1期:1日~10日」、「2期:11日~20日」、「3期:21日~末日」と分けます。
●坪建て保管料
- 1坪あたりの単価で料金を算出。貨物サイズが均一でない場合や年間で物量が大きく変動しない商材に採用されやすい料金体系。
【計算式】保管料=1坪当たりの単価×使用坪数 ※1坪=3.3m3
●容積建て保管料
- 1m3あたりの単価で料金を算出。海上輸送用コンテナなどを利用する場合に適用されることが多い料金体系。重量が大きい場合は、1tもしくは1kgあたりで算出する「重量建て」となるケースもあります。
自社倉庫を活用する場合の保管料の算出時には、光熱費や保険料のほか、保管設備及びマテハン機器の減価償却費も考慮する必要があります。
物流管理費
物流管理費とは、物流管理のために発生するバックオフィス側の人件費および管理に要する費用を指します。物流システムや受発注システムの導入・運用など情報処理に関する部分のコストです。具体的には入出庫を作業者に指示するための伝票の発行や納品書の出力、システムによる在庫管理の人件費が該当します。
また、物流システムの導入に関する開発・保守管理なども物流コストの物流管理費として計上すべきでしょう。
売上高における物流コスト比率
売上高物流コスト比率とは、企業の売上高に対する物流コストの割合を示した数値です。日本ロジスティクスシステム協会の「2020年度物流コスト調査」によると、売上高物流コスト比率は、全業種平均で5.38%と、前年度より0.47%増加。この数字は過去20年間の売上高物流コスト比率の中で、2番目に高い数字です。
業種別にみた物流コスト比率では、2019年度と比較して製造業が0.54%、卸売業は0.80%増加。一方で小売業は0.61%減少しています。
なお物流コストの中で最も大きな割合を占めるのが輸送費です。同調査の結果、全業種における物流機能別のコスト構成比は、輸送費が55.2%。次に保管費が15.7%、その他(包装費・荷役費・物流管理費)が29.1%と判明しました。

こうした数値を自社の業界や機能別コストの構成比と比較して、削減できそうなポイントを探ってみるのもよいでしょう。
物流コストの削減方法
抜本的な物流改善といっても、何から手をつけたらよいかわからない物流担当者や経営者も多いでしょう。ここでは物流コストの削減方法について、有効な手段を3つ解説します。
拠点集約して保管費・輸送費を削減
物流コストを削減する有効な手段の1つとして、物流拠点の削減が挙げられます。拠点が多いと、その分倉庫の保管費がかかるうえ、拠点間の横持ち輸送費、人件費も発生するでしょう。もちろん拠点を増やせばリードタイムを短縮できるメリットもあります。
しかし現在では多くの宅配便で、全国ほとんどの地域が、翌日もしくは翌々日納品可能です。よって「リードタイムの顧客への影響」、「全国への小口配送にかかる費用」、「分散拠点でかかる総合的な費用」の3つを勘案し、できる限り拠点を集約することが物流コスト削減の鍵となります。
5S活動を徹底する
倉庫内のルール策定もまた、物流コスト削減には重要です。
5S活動とは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5つのSを目標とする取り組みや改善を指します。もとは製造業や建設業における、環境整備のための合言葉でした。物流においても5Sを念頭に、ルールを決め、徹底することで、作業担当者の工程や納品要件が可視化されます。
例えば、台車やパレットなどのマテハン機器置き場に、看板と仕切りを設置する取り組みなどが挙げられます。倉庫を整理する改善策の1つで、誰もがすぐに必要なモノを取り出せるようになるため、業務効率化につながります。こうした5Sに関わる小さな積み重ねが、物流コスト削減の効果として期待できるでしょう。
専門業者にアウトソーシングする
自社でコスト削減の対応が難しい場合は、3PLや4PLなど専門業者に業務のアウトソーシングをするのも有効な手段です。
3PLとはサード・パーティー・ロジスティクス(Third Party Logistics)の略称で、物流システムの構築から実際の物流に関するオペレーションまでを委託できるサービスです。さらに昨今では3PLに加え、物流戦略のコンサルティングサービスが付随する4PLも注目されています。
3PLや4PL業者に物流業務を委託すると、在庫最適化や業務効率化も含め、キャッシュフロー改善の効果があると言われています。物流業務に割いていたリソースを手放し、中核業務に専念できるので、結果として自社サービスの改善も期待できるでしょう。
抜本的な物流コストの削減はNECソリューションイノベータが解決
ここまでお伝えしてきたように、物流コストは各プロセスで発生しています。コスト削減には特定の項目だけに目を向けるのではなく、業務プロセス全体で改善する必要があります。
そうしたニーズに応えるため、NECソリューションイノベータでは物流業務を全方位でカバーするソリューションを展開しています。

ここでは抜本的な物流コストの削減と付加価値の高いサービスの提供に寄与するTMS(輸配送管理システム)とWMS(倉庫管理システム)を紹介します。
輸送費の削減には「輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX」を
物流コスト比率の中でも最も高い割合を占めるのが輸送費・運送費。これらの費用削減に効果的なのが「輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX」です。


そもそも配車・配送計画は経験に頼る側面が大きく、属人化しやすい業務。そのため、輸送費の増減は作業者の腕次第といっても過言ではありません。「輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX」を使用すれば、自動計算技術により、誰もが的確にできる業務へと変貌します。勘に頼らない計画立案により以下のコスト削減が期待できるでしょう。
- 配車・配送計画の自動化による配送コスト削減
- 計画立案の自動化による積載率・回転率の向上
- 計画立案時間の迅速化による事務コスト削減
- 車両別チャートで可視化、業務を平準化し、ドライバーの残業代削減
また位置情報、配送進捗、配送状態を可視化でき、問い合わせに対して即答できるようになります。「輸配送管理システム(TMS)ULTRAFIX」ではコスト削減に加えて、サービス品質の向上にも大きく貢献します。
人件費の削減には「倉庫管理システム ULTRAFIX/WMS」を
物流コストの中で可視化が難しい人件費などの物流管理費削減に効果を発揮するのが、「倉庫管理システム ULTRAFIX/WMS」です。


在庫管理業務は正確性と効率化が両立されていなければ、現場への指示が滞ったり、誤出荷が起こったりと「ムリ・ムダ・ムラ」が増えてしまいがちです。その結果、倉庫スタッフの人件費が余分に発生します。またExcelでの在庫管理では、アイテムの数が増えるたびに管理が煩雑になり、正確なデータ処理に限界を感じるでしょう。
その点、「ULTRAFIX/WMS」を導入すれば、HT(ハンディーターミナル)で入荷検品を行った時点で同システムに在庫が生成されるので、リアルタイムかつ正確な在庫管理が行えるようになります。作業の進捗状況も%表示で可視化されるため、現場スタッフへの作業指示の「ムリ・ムダ・ムラ」は解消されるでしょう。人件費の削減には、「何の商品を」「いつ出庫したか」など工程ごとの可視化が不可欠ですが、同システムを活用すればそれを実現できます。
まとめ
物流コストの削減には、物流業務を「見える化」し、各工程で対策を講じる必要があります。しかしながら、自社のノウハウだけで完結するには限界もあるでしょう。特に抜本的な物流業務の見直しやシステムの整備には、専門的な知見や技術が必要不可欠です。
NECソリューションイノベータでは、物流業務を全方位でカバーするソリューションでお客様の課題解決を支援します。TMSやWMSの機能を最適化すれば、物流コストで最も高い割合を占める輸送費や、可視化しづらい物流管理費の削減が可能になるでしょう。デジタル化を進め、物流コストの改善を図ってみてはいかがでしょうか。