NECNECソリューションイノベータ

人事・タレントマネジメント、給与、経理システムの特設サイト

会計コラム 公認会計士・税理士 横山 公一氏・第1回 経理、総務、法務など管理部の業務がITで激変!コラム執筆者:公認会計士・税理士 横山 公一氏  掲載日:2017年8月31日

はじめに

IT(Information Technology)の進化スピードは凄まじいものがあります。産業革命は100年単位で変化しましたが、ITの変革は数年、数十年単位で激変しています。ビジネスでもITは必須となっています。金融業界ではFintech、不動産業界ではRetechと、主軸のビジネスにITを実装していかなければもはや致命的となっています。昨今のニュースでも、“ビッグデータ” “IoT” “ブロックチェーン” “AI” と最先端のITテクノロジーのワードが飛び交っています。
しかし、それ以前に、みなさんの周り、紙が多くないですか?

日本の管理業務の現状

日本の管理業務は古いしきたりや組織に引っ張られているのではないでしょうか?日本人の気質なのか?人事制度(減点主義)に起因しているのか?たとえば製造の現場と比べると、効率化を追い求める意識が低いと感じるのは私だけでしょうか?新しい取り組みに億劫に、あるいは臆病になっていると感じているのは私だけでしょうか?
ここに興味深いグラフがふたつあります。
ひとつは「日本、中国、米国 GDPの推移」、もうひとつは「労働生産性ランキング」のグラフです。

[日本、王国、中国 GDPの推移」[労働生産性ランキング」

前者はインターネットが全世界で広がっていった1995年から直近までのGDPの推移です。中国の発展がめざましいことはご承知のことと思いますが、同じ資本主義の先進国である日本と米国の推移に注目してください。この20年間で米国はGDPを150%伸ばしている一方、わが国はマイナス11%となっています。IT、インターネットの利便性は個人レベルでは認識しているはずです。いつ何時でも全世界からありとあらゆる情報が瞬時に手元に収集される。一般の方でもSNSで「お昼に食べたランチが美味しかった」とつぶやけば、かなりの数のフォローがつく。そのIT、インターネットの利便性をビジネスの分野で放棄してきた結果だと考えます。

後者はOECD加盟34か国の労働生産性の順位付けです。わが国は2005年以降11年連続の下落です。生産性を押し下げている要因としては、ホワイトカラー(=インフォメーションワーカー)の生産性の低さにあり、おもな要因のひとつとして「紙を中心とした文書処理並びに管理に関わる時間の浪費」があげられています。

ITがビジネスでの効率化に直結していない、そればかりか、これだけデジタル化が進んでいる現在、ビジネス文書の紙の多さで労働生産性をおとしめているわが国を何とかしなければ、と考えているのは私だけではないはずです。

電子化・ペーパーレス化は国策・規制緩和分野

電子化・ペーパーレス化は国策として、特にここ数年、規制緩和が急速に進んでいます。2001年の電子署名法、2005年のe-文書法、2016年、2017年の電子帳簿保存法 スキャナー保存制度の規制緩和と国の後ろ盾でデジタル化を後押ししています。先程のわが国の生産性の低さをかんがみれば、ましてや世界的な潮流、方向性を考えれば、デジタル化に疑問を持つ方や異論を唱える方はいらっしゃらないだろうと考えます。

しかし、スピード感を持って日本の会社、特に管理部がデジタル化を推し進めていくには、規制緩和をさらに推し進めていく、個々人の意識を変える、デジタル化に関係している専門家がバックアップするなど全方位型で取り組んでいく必要があるでしょう。とはいえ、現行の法制度下で会計、税務、総務、法務の各領域でかなりのビジネス文書がデジタル化可能となっています。

会計・税務

仕訳日記帳、総勘定元帳、補助元帳などの国税関係帳簿、領収書、請求書、納品書などの国税関係書類は紙であれば7年または11年の保存義務がありますが、一定の要件を満たせばデジタルでの保存が可能となっています。電子帳簿保存法 スキャナー保存制度は2016年からの規制緩和で大幅にやりやすくなっており、さらには2017年からはスマートフォンでの画像も原本として認められるようになっています。

総務

会社法上の紙での保存が義務付けられている株主総会議事録、取締役会議事録、定款、貸借対照表、重要な契約書など以前から、一定の要件を満たせばデジタルでの保存が認められています。

法務

みなさん、電子契約はご存知ですか?
WEBでの買い物、みなさん経験されている方も多いと思いますが。これも電子契約です。ただ、会社が商取引をおこなう際に印鑑登録している実印を押印する契約も電子化が可能なのです。2001年に制定された「電子署名法」は紙による自署、実印の押印と同じレベルの推定力を電子署名を用いた電子契約に与えています。金額の大きい、合意の明確化が必要な取引には電子署名を用いた電子契約をおこなうことにより、紙での締結と同じ効果で締結可能となるのです。しかも、電子契約は印紙税法の対象とはならず、印紙税がかかりません。そればかりではなく、紙での契約締結では必須となる、印刷、製本、袋とじ、郵送などの手間が完全になくなります。

次回のタイトル:会計帳簿、国税関係書類(領収書、請求書など)の電子化

執筆者プロフィール

執筆者プロフィール 横山 公一

横山 公一公認会計士・税理士

ペーパーロジック株式会社 代表取締役社長
学習院大学 法学部政治学科卒(1990年)
産業能率大学 客員教授(2015年〜)