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RPAコラム(管理部門) 池邉 竜一氏・第1回
特集・コラム

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RPAコラム(管理部門) 池邉 竜一氏・第1回管理部門はすでに最低人数で運営されている!?コラム執筆者:池邉 竜一氏  掲載日:2018年9月28日

管理部門はすでに最低人数で運営されている!?

管理系の部門において、特に経理、財務周りの部署の人員構成が社内最大人数で大掛かりに運用されているような会社には、これまでお目にかかったことがない。
そもそも、経理、財務周りの人員補充は、経営課題の中でも優先順位が低い…というと語弊があるが、コストセンターとして、出来るだけお金をかけずに回そうとする意識が働きやすいのは事実である。

現に、1990年代初頭のバブル崩壊後において、人員削減のターゲットに最も早く着目されたのが営業部ではなかったことは、何を言わんや!である。不況になると、まずは、不要不急な投資や費用は極限まで抑えられる。作れば作るほど売れる時代では無くなるので、開発コストが抑制され、同時に生産ラインが調整される。いよいよ不況が長引いてくると、最後に営業コストが見直されていく構造であった。つまり、管理コスト削減⇒開発コストの抑制⇒生産ラインの調整⇒販売・営業コストの見直しが順次、図られてきた。

その一方で不況を脱して、経済が好循環し始めた時に、再び投資や費用をかけるにあたり、ターゲットとなるのは一体どこか?
ここで重要なことは、経営視点においては、至極当然のごとく「効率的」「合理化」を念頭において、「ムリ・ムダ・ムラ」のない投資を考えるということだ。
ここで言う「投資」とは、未来に入ってくるお金を今使うことがモットーであり、売上UPに貢献することや期待できることには積極的に予算が付けられるが、売上UPに直接貢献しないものには、一向に予算が回ってこない。
つまり、経営視点では、最小投資で最大効果が期待される中、間接的に売り上げに貢献する部署、すなわち、間接部門においては、景気の循環にかかわらず、常に「最小人数」で運営することが命題とされる。
したがって、管理系における経理・会計関連の部署は、総じて、すでに最小人数で高効率的な運営が常になされていると言えるのだ。

管理部門はすでに最低人数で運営されている!?

最低人数で回さなければならない負の構造とは!?

その中で悩ましい課題が、「月末あるいは月初のトップピークの人員調整をどのようにやり繰りしていくか?」である。つまり、繁忙期と閑散期における要員の必要数の確保をどのようにして経営に理解させるかが課題である。
その課題を乗り越えていくために、間接部門に携わる者は、最小人数で運営されることを求められる中、「多能工」として、いくつもの業務をマルチタスクに行うことで、現状を凌いでいる。
そんな状況下、ニアショアやオフショア※1などBPOの登場は、つねに管理部の予算を締め付ける脅威の存在になる。業務効率を追求して生み出された成果は、すなわち「多能工」による高効率運営は、いつもニアショアなどが提示してくる「低価格」と比較されて、さらなるコスト削減の脅威に晒される。

負の構造を引き起こすBPOとは!?

それでは、なぜBPOの存在が管理系に対する脅威の存在となるのか?ここが今回の重要なポイントである。そもそも、この存在が成立する構造とは、同じような業務を束ねて、一極集中で運営することにある。すなわち一つの作業手順に「専門特化」することで、一作業あたりの作業スピードを速め、精度を高め、そして、複数企業の業務を一人の人材が作業することによって生産性と採算コストを賄っているからである。

当たり前の話、「多能工」で業務を行っている作業者と「専門特化」で業務を行っている作業者の生産性の高さは、火を見るよりも明らかで「専門特化」の作業者に軍配があがる。
ここで重要なポイントは、複数企業の作業を一人が行っていることである。なぜ、そのようなことが出来るのか?
端的に言えば、同じ作業がたくさんあると一つあたりの業務効率があがるのである。

物事の始まりにおいて、例えば、起業して間もない頃や新規事業を始めたばかりの場合、売上もわずかで、伝票や請求書発行の作業あたりの量もたがが知れている。しかし、この売上が徐々に増えてくると、伝票や請求書発行の作業量も増えてくる。つまり、黎明期から成長期に入ってくるとおのずと一つあたりの作業量が増えてくる。
作業量がまとまってくると、専門特化した方が作業効率もあがる。しかし、ここで社内の人員を増やしてしまうと、次にくる衰退期を迎えた時、人員削減の調整を行わないといけない。その雇用リスクを避けるために、経営視点は、ニアショア・オフショアなど外部リソースに発注することを好む。
しかし、ニアショア・オフショア発注に対する弱点は、それなりの量に達していなければ、旨みが出てこないことである。
そのため、必要最低限とは言え、それなりの人員を雇用した状態で売上が安定か停滞している状況下においては、「多能工」のまま凌ぐほかない。

負の構造からの脱却!デジタルレイバー採用のすすめ

日本固有の雇用制度が複雑な利害関係として絡みあう現場において、かつ繁忙と閑散、成長と衰退を繰り返す経済活動で増員と同じ効果が期待できる間接部門のための新たな施策は、デジタルレイバー(RPA)の採用に尽きると言える。
デジタルレイバーは、何体作ってもライセンス費用は変わらない。その業務が小ロットであっても構わない。繁忙・閑散期がはっきりしていて、普段やらせることがなかったとしても費用がかさむ訳でもないし、雇用リスクは“0(ゼロ)”である。
これからの管理部門における人員構成の戦略は、積極的にデジタルレイバーを採用することによって、この不毛な増員サイクルから脱却することが重要である。

※1 ニアショア・オフショア
開発業務を外注すること。国内など近隣の企業に任せることを「ニアショア」、海外など遠方の企業に任せることを「オフショア」という。

執筆者プロフィール

池邉 竜一氏

池邉 竜一一般社団法人日本RPA協会 理事

キューアンドエーワークス株式会社代表取締役社長。
1971年12月生まれ。大分県出身。慶應義塾大学経済学部卒業。
1999年7月、人材派遣業の株式会社アークパワー設立。2001年4月、同社代表取締役就任。2013年4月、キューアンドエーグループ傘下(NECネッツエスアイ連結対象会社)となり、2015年7月、キューアンドエーワークス株式会社に社名変更。エンジニア育成・派遣事業を中心に、テクニカル系コールセンターへの派遣、RPA市場においては業務改革(BPR、BPM)を通じてさまざまな人材の活躍の場を作り、新たな労働力の創出に取り組む。2016年7月、一般社団法人日本RPA協会の理事に就任。