標的型攻撃とはサイバー攻撃の一種であり、攻撃者が明確な意志と目的を持ち、その目的を達成するために執拗かつ継続的に攻撃を行う点が、大きな特徴となっている。「APT(Advanced Persistent Threat:高度かつ組織的な脅威)攻撃」とも呼ばれている。
代表的な攻撃手法としては、電子メールに不正プログラムなどを添付して、従業員などの端末に侵入を図り、そこを足がかりに組織内部のシステムに不正にアクセスした上で、機密情報などを不正に入手するというものがある。電子メールは社内や取引先といった関係者から送信されたように偽装され、受信者が疑うことなくメールの添付ファイルを開いてしまうように工夫されている。また、企業や組織のネットワークとインターネットとの境界に設置されるセキュリティ製品の脆弱性が狙われ、ネットワーク内部に侵入されるケースも存在する。
攻撃者は長期的な攻撃を意図しているため、できる限り発見されずに潜伏できる方法を選ぶ傾向が強い。標的となった組織が攻撃を検知した時には、すでに機密情報が漏洩した後というケースも珍しくない。
感染を完全に防止することは難しいため、侵入を許してしまうことを前提に、多層防御を行って影響を最小化するといった取り組みが重要になる。