サイト内の現在位置を表示しています。

モビリティソリューション・コラム

車載ECUとは?クルマの進化を支える
電子制御コンピューター

車載ECUの役割や種類、ADASおよび統合ECUについて解説

目次

車載ECUは、エンジンからライト、カーナビゲーションなど自動車のさまざまな機能を制御するための装置であり、自動車の環境性や快適性、安全性の向上を目的として搭載されています。自動運転技術など、日々進化する自動車の先端技術を担うためにも、ECUはなくてはならないものです。本記事では、車載ECUを搭載する目的や役割、車載ECUの種類、自動車の今後を担うADAS系のECUや統合ECUについても解説します。

  1. 車載ECUとは電子制御コンピューターのこと
  2. 車載ECUの種類
  3. クルマの進化を支えるADAS系の統合ECU
  4. NECソリューションイノベータの車載ECU領域
  5. まとめ

車載ECUとは電子制御コンピューターのこと

車載ECUにおける「ECU」とは、Electronic Control Unit(エレクトロニックコントロールユニット)の略称で、車両のあらゆるシステムを制御する装置の総称です。主にライトやドア、キーレスエントリーシステムなどの車両のボディに関する分野からブレーキ、エンジン、ステアリングなどの制御、オーディオやナビ、GPSなどの情報に関わる分野などもECUが用いられています。現在市販されている自動車には、およそ100個以上ものECUが搭載されており、さらにはハイブリッド車や電気自動車などの環境に対応した最新の自動車にもECUがなくてはならないものとなっています。

自動車に関連するECUという用語は、Engine Control Unit(エンジンコントロールユニット)として捉えられることもあります。エンジンコントロールユニットとは、エンジンにおける運転制御を電子的に行うためのマイクロコンピューターのことです。現在ではエンジン制御だけでなく、自動車のあらゆる分野で役割を担っていることから、総称としてElectronic Control Unit(エレクトロニックコントロールユニット)として扱われています。なお、エンジンコントロールユニットの呼び名であり、自動車技術者協会(SAE)および国際標準化機構(ISO)で定義されているものは、ECM(Engine Control Module)と呼ばれます。

ECU搭載の目的

車載ECUは、自動車に装備されているあらゆる機器やシステムを制御します。この働きによって、エンジン性能の向上や燃費の低減、排出ガスのクリーン化、運転性(ドライバビリティ)の向上などを目指すのが、ECU搭載の目的です。自動車業界の大きな変革期である今、世界中の各自動車メーカーは自社が誇る最新技術を用いて自動車の環境性能や快適性能、安全性能の向上に力を注いでいます。自動運転技術など、これからの自動車においてさまざまな最新機能の司令塔を担うECUは今後の技術発展において必要不可欠なものになっています。

ECU搭載の目的

ECUの役割

ECUを搭載することで、エンジンやブレーキ、エアバッグ、パワーステアリング、パワーウィンドウ、カーナビゲーション、キーロックなど、自動車におけるあらゆる機器・システムを制御できます。例えば、衝突時にどのくらいの衝撃数値がセンサーから送られてくるかで、エアバッグ作動やシートベルト制御を判断することが可能です。また、パワーウィンドウの場合、開閉するためのモーター制御だけでなく、途中で何か障害があった場合に負荷を計算して数値化し、停止するための判断も行います。このような機能は、ECUに組み込まれたソフトウェアによって実行され、各ECUが車載ネットワークを経由して連携することで、さまざまな機能の制御を行っています。

車載ECUの種類

車載ECUは、大きく分けて5系統の種類に分けられます。「パワートレイン系」「シャシ系」「ボディ系」「マルチメディア系」「ADAS系」です。ここでは、まずADAS系を除いた4系統について解説します。

パワートレイン系

パワートレイン系ECUとは、エンジンECUやトランスミッションECU、ハイブリッドECUなどを指します。

エンジンECUは、燃料の量とタイミング、および点火時期のコントロールを行います。必要な燃料調整と点火時期は、エンジンの回転数や負荷の状態で異なります。そのため、エンジンECU内には動作状況ごとに対応できる制御データ(マップ)が数パターン組み込まれています。

ハイブリッドECUは、ハイブリッド車に搭載されているECUのひとつで、エンジンとモーターという動力源を効率的に活用するための司令塔ともいえるECUです。発進時や低速域ではモーターのみで、急加速の際はエンジンとモーターを合わせるなど、アクセルの踏み込み具合や車速に応じた最適な制御を実現します。

トランスミッションECUは、シフトチェンジの自動制御を行うシステムです。ギアを必要に応じて切り替え、エンジンの回転および出力を駆動輪に伝えます。自動変速によりギア段を最適化、運転疲労の軽減や燃費向上を実現します。

シャシ系

シャシ系に属するのは、パワーステアリングECUやブレーキ・アクセルECUです。

パワーステアリングECUは、ドライバーのハンドル操作の補助を行い、少ない力でもハンドルが動かせるように制御するECUです。モーター角度センサー、モーター制御のために必要な情報を受信するCAN(Controller Area Network)、マイクロコントローラ、トルクセンサー、インバータなどで構成されます。

ブレーキECUとは、ブレーキやアクセルを制御するECUのことで、加速度などセンサーの情報をもとに自動ブレーキを作動し、衝突回避や衝突の被害を軽減するなどの制御を行います。また、アクセル操作を電圧に変換することで、ドライバーの意思をエンジンECUに伝達するアクセルセンサーもシャシ系に含まれます。

ボディ系

ボディ系のECUに属するのは、ワイパーや自動ドア、パワーウィンドウ、キーレスエントリー、電動ドアミラー、車内照明、LEDヘッドライト、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)、イモビライザー(盗難防止装置)などのECUです。主に、ボディ系ECUはドライバーや同乗者の利便性や快適性を高める制御を行います。ボディ系ECUには、キーレスエントリーのドアロックやイモビライザーなど、エンジンが切れている状態でも作動する必要があるECUがあることが特徴です。

マルチメディア系

マルチメディア系のECUには、カーナビゲーションやETC、各種オーディオ、バックモニターなどのECUが分類されます。例えば、カーナビゲーションECUは、画像処理IC、GPSセンサーECU、電子地図メモリーなどで構成され、車両位置の表示や目的地への誘導を実現します。このように、情報システムを制御するECUが分類されます。

クルマの進化を支えるADAS系の統合ECU

5つ目の系統であるADAS系ECUとは、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance Systems)を支える車載ECUのことです。ADASは、内閣府が主導する国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の一端として、研究・開発が進んでいます。ADAS系ECUには、運転支援ECUのほか、ステレオカメラECU、周辺監視ECU、ロケーターECU、自動運転ECUなどがあり、これらはあらゆる先進技術により支えられています。例えば、ミリ波レーダーやレーザーライダー、車載カメラ・ステレオカメラによるセンシング技術です。これらの各種センサーから得たデータを必要な情報に加工するためにアルゴリズムで処理し、ドライバーの運転支援を実現します。

一方で、現在1台に100以上も搭載されているECUですが、ADAS系を含め自動車に要求される機能は今後さらに複雑化すると見られています。そこで、近年それらのECUを統合する技術である、「統合ECU」の実現に注目が集まっています。統合ECUは、自動車業界における新領域である、「コネクテッド」「自動化」「電動化」などにとっても欠かせません。ADAS系ECUがそれぞれの機能を果たすためには機械処理の高速化が必要であり、あらゆるECUを統合し、なおかつ不要な部分を削ることで、効率的な処理の実現が期待されています。

NECソリューションイノベータの車載ECU領域

NECソリューションイノベータにおける車載ECU領域には、ADAS系も含め幅広い車載ECU制御ソフトウェア開発を行っています。ここでは、NECソリューションイノベータの車載組込みソフトウェア開発における四つの開発対応領域について解説します。

車載プラットフォーム/制御系

車載制御開発における分野では、車載セキュリティや車載制御ソフトウェアの開発、車載ネットワーク開発、車載用ソフトウェアマイコン移植サービスを提供しています。

車載セキュリティ開発では、車載ネットワークにおけるデータ保護への取り組みとしてCAN/CAN FD/Ethernet Gatewayに対応可能である認証/暗号化機能を試作済みであり、要望に応じた支援が可能です。また、車載制御ソフトウェアの開発では、ECU制御ソフトウェアからECU間通信モジュール、車両診断モジュールまで対応します。

さらに車載ネットワーク開発においては、下位層(ドライバ)から中間層(ミドルウェア)まで、各車両メーカーの仕様や国際規格に沿った幅広い開発支援が可能です。加えて、車載ECUの機能追加および変更、マイコンEOL(生産終了)などに伴った、車載用ソフトウェアのマイコンへの移植サポートも行っています。この場合、従来の車載用アプリケーションや入出力データを変更することなく、移植することが可能です。

車載プラットフォーム/制御系

ECU制御、ECU通信モジュール、車両診断モジュールの開発や車載ネットワーク開発など、制御系の組込み技術をご紹介します。

開発標準・プロセス

開発標準・プロセスの分野では、活動計画に基づいた機能安全規格(ISO26262)への対応に必要となる成果物の作成および設計内容の改善、現場の作業員への指導などの「機能安全規格実践支援サービス」を行っています。また、「Automotive SPICEアセスメント支援サービス」では、車載業界標準となっているAutomotive SPICEを導入・定着・認定までワンストップで提供しているため、実践力の向上や定着が図れ、公式レベルの認定を得ることが可能です。

Automotive SPICE アセスメント支援サービス

Automotive SPICEアセスメント支援サービスは、自動車業界のナビメーカーや車載制御装置メーカーなどの幅広いお客様に向け、すでに豊富な導入実績があります。お客様の開発プロセスの現状から、Automotive SPICE対応に向けた課題を発見し、成果物の作成、設計の改善、現場での対応要員指導をサポートします。

NEC 機能安全規格(ISO26262)実践支援サービス

自動車業界標準の安全規格にあたる機能安全(ISO26262)について、お客様が実践できるようになるまでプロセス構築・開発遂行の両面から支援し、規格の導入・実践の定着をワンストップで提供します。

NEC マイコンコード静的検証サービス

さらに、お客様が開発したECUソフトウェアに、マイコンの制限事項違反がないことを検証するサービス「静的コードの検証支援サービス」も提供しています。経験豊富であらゆるノウハウを持つ専門スタッフの目によって制限事項に違反がないことを検証し、誤動作の起こらないECU開発が実現可能です。

NEC 車両周辺監視ソフトウェア

NECソリューションイノベータにおいて、10年以上に渡る豊富な実績で培われた、車載カメラによる画像認識技術をベースに開発されたソフトウェアです。車載カメラ・IoTセンサー・各種組込み技術を組み合わせ、自動車や産業車両、倉庫向けに改良を重ねました。お客様の多種多様なケースに対応できる先進の認識ソフトウェアです。

NEC 車両周辺監視ソフトウェア

車載カメラや車載センサー、組込みAI(Deep Learning)を活用した安全運転支援用のシステムや部品、建機、農機、物流車両、工事車両、倉庫などの監視用途に、車両周辺監視ソリューションを提供します。

情報系(IVI)

ドライバーや同乗者が必要とする情報を提供し、運転のサポートや快適性を向上させるためのIVI(車載インフォテイメント)開発分野では、豊富な開発経験を持つことから幅広い対応領域を提供します。主に、OS移植(SoCサポート)からデバイスドライバ、さらにはミドルウェア・アプリケーションまで対応可能です。

IVIは、車内のあらゆるスイッチやタッチパネル、音声による操作により必要となる情報・コンテンツを選択したり処理したりすることで、「情報の提供」および「娯楽の提供」を実現するシステムの総称です。NECソリューションイノベータでは、アプリケーション層開発から周辺デバイスドライバ組込みまでの幅広い開発実績を持っています。

まとめ

車載ECUは、自動車全体におけるさまざまな機能を制御する装置の総称であり、パワートレイン系、シャシ系、ボディ系、ADAS系のECUに分類されます。中でもADAS系ECUは、先進運転支援システムを支えるために必要不可欠であり、それらの複雑化したECUを統合し効率的に処理する技術が注目されています。

今後の自動車に求められる先端技術を駆使した運転支援システムを実現するために、車載領域における開発の豊富な知識と経験を持つNECソリューションイノベータの「車載系組込みソリューション」をご検討ください。支援サービス分野から画像認識、IVI、車載制御分野まで、幅広い領域のソフトウェア開発支援が可能です。

NECソリューションイノベータ モビリティソリューション

NECソリューションイノベータではECU制御、ECU通信モジュール、車両診断モジュールの開発や車載ネットワーク開発など、制御系の組込みについて多数実績がございます。こちらのページで弊社ソリューションや技術紹介をしております。是非ご覧ください。

おすすめのコラム

お問い合わせ・ダウンロード