顧客の〈AS-IS→TO-BE〉を担うSalesforce事業
NECグループとSalesforce両者の強みを具現化するシナリオとは
Salesforce事業は専任化された約70名体制でSI事業を主体的に遂行し、NECのSalesforce SI事業の中核を担っています。今回は同事業内で上司・部下だったこともあるお二人に、SFDC事業の戦略や拡大のシナリオ、競合優位性、現在求められているSE像などについてお聞きしました。
メンバー
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H.T.
組織長
1998年に新卒入社。民需から公共まで幅広い業種のWebシステム開発に従事。2018年からSalesforce SI事業に携わり、2020年から組織長を担当。事業拡大戦略の検討・予算実行など部門運営全般を担っている。
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G.K.
SE
2009年に新卒入社。Javaの開発、クラウド関係のSE、製品営業などの経験を経て2014年にSalesforce SI事業に異動。SEや製品営業など様々な対応を行い、2020年度より本格的にSEとしての業務を遂行している。
おふたりの関係性と、これまでのキャリアについて教えてください。
H.T.
ふたりとも2023年度までは同じ第四SLグループにいて、私が上司、G.K.さんが部下という関係でした。彼は現在第六SLグループに異動して自分のチームを持っています。
G.K.
実は、H.T.さんも私も同じ広島出身なんです。そのことに気づいたのがいつだったか、はっきりとは覚えていませんが。
H.T.
2020年度に官庁向けの大型プロジェクトで販促をしていたG.K.さんを、私がSEにキャリアシフトして以降かもしれません。
G.K.
当時H.T.さんはSalesforce SI事業の組織長でしたね。
H.T.
1998年に中国日本電気ソフトウェア(現・NECソリューションイノベータ)に新卒入社してから一貫してWebシステムの開発をしていました。2018年からPMとしてSalesforce SI事業に携わって、2020年度に官庁系の大規模プロジェクトが動き出した頃に組織長を任されています。
G.K.
私は2009年に新卒でNECシステムテクノロジー(現・NECソリューションイノベータ)に入社して、Javaの開発、クラウド関係のSE、製品営業などを経験しました。5、6年目からSalesforce SI事業でもSE・製品営業両方を担当していましたが、H.T.さんに誘われて以降、本格的にSEとして業務をスタートしています。なぜ私に声をかけてくれたのでしょうか。
H.T.
G.K.さんはお客様に数カ月かけて提案していたのでお客さまのことをよく知っているし、プロトタイプを作ってくれたから業務もシステムも熟知している。当時のSEグループに不足していた顧客調整力、推進力を持っていたので、ぜひ来てもらおうと思いました。
G.K.
たしかに。お客様対応が多く、提案には推進力も必要だったのでその部分は強みかもしれませんね。
H.T.
私も昔はお客さまに近い場所でシステム開発に携わっていました。10年以上お付き合いしたお客さまもいます。現場での経験を通じてお客さま目線を養うことは大切ですよね。

Salesforce SI事業の戦略や拡大に向けたシナリオを教えてください。
H.T.
大前提として、Salesforce社の方針や方向性をしっかりと見据えた上で、我々NECグループとしてどのような領域に打ち込めば強みを出せるか、市場の中でのポジションを獲得できるかを考えながら事業戦略を練る必要があります。
G.K.
その前提のもと、2024年度初頭に打ち出したのが「注力領域におけるIndustry Cloud構築事例のモデル化」ですね。具体的な注力領域としては製造、金融、官公庁が挙げられます。
H.T.
総じてNECがプレゼンスを発揮している領域で、お客さまに対してNECと一緒にアプローチしていきます。Industry Cloudとは、製造業向けや金融業向けなど、Salesforceの業種特化型クラウドサービスの総称です。そしてさらに事業戦略をアップデートして、2つの新しい拡大シナリオを打ち出しました。
G.K.
そうなんですね? ぜひ教えてください。
H.T.
まず「BluStellarのScenarioへの対応の強化」です。『BluStellar』はお客さまの変革を成功へ導く価値創造モデルとしてNECが2024年に発表しました。お客さまとNECが進めてきた「実践からの知見」と「コンサルティングやテクノロジーの強み」をScenarioに集約し、多様なテーマにおける変革をお客さまと共に実現しようという取り組みです。もともとSalesforceに導入されていたAIと統合しながら、高い付加価値を提供するという狙いがあります。もうひとつが「モデル化されたソリューションをAgentforceによって高付加価値化へ進化させる」というものです。
G.K.
『Agentforce』はSalesforceの製品で、2024年10月に発表されたばかりですね。2025年1月に説明会に参加して概要を知りました。自律型AIエージェントとして業務効率の改善を含め、顧客体験全般の向上が見込めます。これからリリースされる日本語版にも期待がかかりますね。
H.T.
そこで我々が向き合わなければならないのが、拡大シナリオに対応できる組織作り、人材リソースの強化です。
G.K.
特に上流フェーズからアプローチする体制を強化する必要があります。Salesforceはコンサルタントがアプローチするようなフェーズと相性が良い製品です。実際昨今はコンサルティングファームがSalesforceを使ってインテグレーションするケースが増えてきました。NECもコンサルティング領域の拡大を狙っています。そこで私は2024年から「上流フェーズから関わる体制を強化しましょう」という話をしていました。いよいよ2025年からそのプロジェクトがスタートします。
H.T.
近年はお客さまがシステム導入する際、AS-ISからTO-BEを描けてない、つまり「こういう課題を解決したいけどどうしていいかわからない」という状況が増えています。SIerとしてのスコープを変えず今までと同じアプローチのままでいくと確実に乗り遅れてしまうでしょう。ですから、より上流からアプローチすることでお客さまに選んでいただける体制を早急に整えなければいけませんね。
Salesforce SI事業が優れているのはどのようなところですか。
G.K.
NECグループという枠組みはやはり大きいですね。Salesforce以外の商材やリソースの活用によって組織的な対応力の拡張が可能になっています。我々の事業の得意な領域はCRMとの接続ですが、さらにNECグループという枠組みを活用してSAPなどの基幹システムも訴求していければ、予算の規模もかなり拡大します。
H.T.
Salesforce単独で導入する案件は減少しているので、他サービスとの組み合わせ、他システムとの連携が重要な要素となっているのは間違いありません。
G.K.
もちろんNECソリューションイノベータ単体としての強みもあります。「従業員約1万3000人のうち大半がSE」という会社はまずありません。Salesforceと別のシステムを繋ぐ場合、その別のシステムを扱った人材が社内にいるかどうか?というと、確実にいるのです。これは技術力、顧客対応力という点で凄いことですよね。
H.T.
Salesforceはすでに世間一般に広く知られているサービスです。単独の技術力についてはおそらくどの会社も似たり寄ったりになるので、それ以外のところでしっかり強みを出していかなければなりません。我々はその差別化を重要視しています。G.K.さんが触れたように、NECソリューションイノベータにストックされた各システムの知見は膨大なものがあります。さらにNECグループ全体で捉えると、業種・規模ともにありとあらゆるお客さまへの対応経験を持っています。これは大きな強みだと言えますね。

今後について、おふたりはどのような展望をお持ちですか。
G.K.
私はSEとしての経験値も増やしたいですが、「なんでも屋」として唯一無二の存在になることを目指しています。現在所属する第六SLグループの近くには営業機能を持ったインテグレーションチームがおります。私が製品営業とSE両方を経験してきたことから、営業寄りの活動への積極的な参加を期待されているはずです。もともと私自身は好奇心旺盛な性格なので、何かひとつに絞るよりも「なんでも屋」でいる方が性に合っています。
H.T.
つまり「狭く・深く」よりも「広く・浅く」を狙っていくということ?
G.K.
そうですね。H.T.さんはいかがですか。
H.T.
立場上、自分の展望と組織の展望がかなり重なっていますが…Salesforceは顧客接点という意味ではとても強い製品です。しかしSalesforceだけではなく様々なサービスを採り入れてSE一人ひとりの能力を高めていきたいと考えています。最終的には、業種・規模によらずあらゆるお客さまの課題を解決できるSE集団を作ることが目標です。私個人としては、その目標に向かって自分自身のマネジメントスキルであったり、お客さまや各サービスの知見を高めたりしていきたいですね。

Salesforce SI事業の業務に興味がある方へ、メッセージをお願いします。
G.K.
NECという大きな枠組みの中で、特定の業種・業務領域に限らず様々な経験を積めることが魅力だと思います。好奇心が旺盛な方にとっては「やってみたい」と思った領域に手を伸ばせる楽しい環境です。また、我々ふたりは新卒入社なので他の会社を経験していません。しかし、他のSIerだけではなく、SIerからサービスを提供される事業会社にいた方の経験はとても貴重だと考えています。
H.T.
これから規模を拡大していくSalesforce SI事業にはリーダーポジションを担える方が必要です。カジュアル面接などでは「過去のプロジェクトで出てきた課題をどのように解決したか」を必ず質問し、リーダーをお任せできる方かどうかを判断しています。入社後はNECと共にお客さまの重要案件に携わることになるので、大きなキャリアアップが望めますし、その経験はSEとしての自負に繋がるでしょう。また、一人ひとりのキャリアパスについても真摯に考えています。毎年の面談で要望をヒアリングし、できるだけ要望に沿ったプロジェクトにアサインしています。モチベーションを上げて、いい仕事をしてほしいですね。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
