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コラム
EBPMとは?
自治体における推進事例と、定義・導入ステップをわかりやすく解説

UPDATE : 2025.11.28
EBPMとは、政策立案や実施を客観的なデータや科学的根拠に基づいて進める手法です。従来の経験や勘に頼る方法とは異なり、施策の効果や因果関係を明確に把握できます。ICTやビッグデータを活用することで、地域特性や市民ニーズを踏まえた政策改善が可能です。政府や自治体でも導入が進み、透明性の高い行政運営と成果重視の政策形成を支える重要なアプローチ手法として注目されるEBPMについて解説していきます。
INDEX
- EBPMとは
- EBPMの定義と従来の政策立案との違い
- EBPMが注目される背景と必要性
- 政府や自治体における施策効果検証の手法
- ロジックモデルの活用
- データ分析とエビデンス収集
- ランダム化比較実験による効果検証
- EBPM×3の新たな枠組み
- EBPMを推進する体制整備
- 自治体でのEBPM推進の取り組み
- 内閣府や経産省によるEBPM推進体制
- 政策統括官や推進室の立ち位置
- 研究機関や民間企業との連携
- EBPM推進の課題と今後の展望
- エビデンスが乏しい政策の扱い方
- 効果がない、逆効果の政策排除
- 今後のEBPM強化とワイズスペンディングの徹底
- EBPM支援事業者を選ぶ際の4つのポイント
- 1.自社(自治体)の課題とマッチする分野の実績があるか
- 2.長期的な伴走支援が可能か
- 3.データ活用・分析の専門力があるか
- 4.国の認定やガイドラインに準拠しているか
- NECソリューションイノベータによるEBPM支援
- まとめ
EBPMとは
EBPM(Evidence-Based Policy Making)は、政策の立案や実行を経験や勘に頼らず、客観的なデータや証拠に基づいて進める考え方です。科学的な根拠を踏まえることで、どの施策がどのような成果を生み出しているのかを明らかにし、根拠に基づいた改善を可能にします。また、意思決定の過程を明確に示すことができるため行政の透明性が向上。市民からの信頼獲得にもつながります。成果を重視した持続可能な政策運営を支える、新しいアプローチといえるでしょう。
EBPMの定義と従来の政策立案との違い
EBPMは、統計データや実証研究の成果を活用し、政策の因果関係や効果を科学的に検証する仕組みであることに対して、従来の政策立案は担当者の経験や勘、限られた成功事例に依存することが多く、客観的な検証が十分に行われていませんでした。
EBPMの最大の特徴は、政策の有効性をデータに基づいて確認できる点にあります。こうした手法を取り入れることで、政策の透明性や説明責任を高め、より効果的で持続的な行政運営へとつなげることが可能です。さらに、限られた財源を最適に活用し、社会課題の解決力を高めることも期待できるのです。
EBPMが注目される背景と必要性
近年、行政運営の現場では限られた財源や人員の中で、費用対効果の高い施策を選び抜くことが強く求められています。社会課題が複雑化・多様化する一方で、すべての施策に十分な予算を投じることは難しく、客観的な根拠に基づく判断が欠かせません。こうした状況を支える基盤として、ICTの進展やビッグデータの活用が急速に広がり、膨大なデータを分析して政策に反映する環境が整いつつあります。
さらに国際的にも、限られた資源を賢く使う「ワイズスペンディング(賢い支出)」の考え方が重視され、結果を検証しながら改善を重ねる行政運営が主流となっています。EBPMは、こうした時代の要請に応えるための不可欠なアプローチだといえるでしょう。
政府や自治体における施策効果検証の手法
行政や自治体におけるEBPMの実践では、施策の仮説構築からデータ収集、効果検証までの一連の流れが重視されています。その手法としてロジックモデルを活用することで、施策の目的や手段、成果を因果関係として整理でき、どの活動が結果に結びついているかを明確化できます。
更に従来のPolicy Makingに加え、MonitoringやManagingを組み込んだEBPM×3の枠組みが提唱され、施策実施後も継続的な監視と改善が可能になっています。以下では、データに基づく検証と改善のサイクルを取り入れることで、政策の透明性と有効性を高められる手法を紹介します。
ロジックモデルの活用
ロジックモデルとは、施策の目的・手段・成果を一連の因果関係として整理する枠組みです。政策の構造を要素に分けて整理することで、施策の効果を可視化できます。このモデルを活用すれば、どの要素が結果に影響しているかを把握しやすくなり、検証や改善の効率化につなげることが可能です。現在では、自治体や省庁の政策立案・評価の現場で標準的に用いられ、EBPMを支える実践的なツールとして重要な役割を果たしています。
データ分析とエビデンス収集
EBPMの実践には、的確なデータ分析と信頼性の高いエビデンス収集が欠かせません。近年では、行政統計や住民アンケートなどの従来型データに加え、民間企業が保有するビッグデータやAIによる分析技術の導入が進んでいます。これにより、地域特性や住民行動の変化をより詳細に把握できるようになりました。
複数のデータソースを統合し、経済・福祉・環境といった多面的な視点から政策効果を検証する手法も広がっているようです。データの活用範囲が拡大する一方で、エビデンスの精度が政策の妥当性を大きく左右します。分析手法やデータ品質の確保が十分でなければ、誤った結論を導きかねません。だからこそ、信頼できるデータ基盤を整備し、専門的な知見をもつ人材と連携して検証を行う体制が求められています。
ランダム化比較実験による効果検証
ランダム化比較実験(RCT:Randomized Controlled Trial)は、政策や施策の効果を科学的に検証するための代表的な手法です。対象者を無作為にグループに分け、一方に施策を実施し、もう一方には行わないことで因果関係を明確に測定できます。こうした手法を用いれば、外部要因の影響を排除し、施策そのものの効果を純粋に把握することが可能です。教育分野では学習支援策の成果測定、医療では治療方法の有効性検証、福祉では支援プログラムの改善など、幅広い分野で導入が進んでいます。RCTは、データに基づいて政策の有効性を判断する仕組みを提供し、科学的根拠をもとにした政策選択を実現するための中核的なアプローチなのです。
EBPM×3の新たな枠組み
EBPM×3とは、従来のEvidence-Based Policy Makingに「Monitoring(監視)」と「Managing(管理)」の要素を加えた新しい枠組みです。政策を立案して終わりではなく、実施後の進捗や成果を継続的に追跡し、得られたデータをもとに改善を重ねることを重視しています。政策の実効性をリアルタイムで把握し、状況変化に応じて柔軟に対応することが可能です。
また、モニタリングによって現場の課題を早期に発見し、マネジメントの仕組みで改善サイクルを確立できます。EBPM×3は、政策の立案から実施・評価・改善までを一体的にとらえる考え方であり、行政の持続的な成果創出を支える実践的なアプローチです。
EBPMを推進する体制整備
政府や自治体では、EBPMの推進に向けた体制整備が進められています。中央政府では内閣府や経済産業省を中心に、政策形成から効果検証までを一貫して行える枠組みを構築しました。地方自治体においても、地域課題の解決や施策の効果向上を目的に独自のEBPM導入が進んでいます。
大学や研究機関では、因果推定やデータ解析の専門知見を提供し、政策評価の精度向上に貢献しています。民間企業もビッグデータやAIを活用した分析ツールを提供し、行政の意思決定を支えているのです。こうした中央・地方・研究・企業の連携により、政策立案から実施、評価、改善までを一体的に進められる体制が整備されつつあります。ここからは、行政全体の意思決定の質を向上させる取り組みを具体的な事例とともに紹介しましょう。
自治体でのEBPM推進の取り組み
神戸市は行政データの可視化を目的とした「データラウンジ」を運営しています。ここでは、市民や職員が自由にデータにアクセスでき、政策立案や効果検証に活用します。
一方、岐阜県関市ではビッグデータを活用した「関市データダッシュボード」を構築。地域の現状や施策の成果をリアルタイムで把握できる仕組みを整備しました。これらの取り組みにより、施策の効果を定量的に評価できる体制が強化され、意思決定の透明性や効率性の向上につながっています。
内閣府や経産省によるEBPM推進体制
内閣府では「内閣府本府合理的根拠政策立案(EBPM)推進チーム」を設置し、政策立案の推進に必要となる事務を行っています。全府省庁横断での政策形成や評価の取り組みを推進しています。
例えば経済産業省では、産業政策や成長戦略にEBPMを導入し、施策の効果や課題を定量的に評価。政策立案の透明性が高まり、各府省庁間での一貫性ある判断が可能になりました。政策の実効性を確保するための基盤として、EBPM推進の体制は欠かせない存在です。
政策統括官や推進チームの立ち位置
各省庁の政策統括官はEBPMの全体設計を担い、施策形成における司令塔の役割を果たす立場です。施策の方向性や優先順位を定め、各部局の活動を統括する任務を担っています。
一方、推進チームはデータ収集や分析を主導し、部局間の調整や情報共有を円滑に推進するポジションです。この体制により、政策立案から効果検証までの一連のプロセスを一貫して実現できる環境が整えられました。これにより行政全体で科学的根拠に基づく意思決定が可能になり、政策の透明性と実効性が向上しています。
研究機関や民間企業との連携
EBPMの実践においては、大学や研究機関が因果推定やデータ解析の専門知見を提供することで、政策効果の精密な評価が可能となりました。さらに、民間企業もビッグデータやAI技術を活用した分析ツールを提供し、行政の意思決定を支えています。行政・研究・企業の三者が連携することで、政策立案から効果検証までのプロセス全体の精度と効率が高まっているといえます。このような協働体制は、EBPMを効果的に運用するための重要な基盤です。
EBPM推進の課題と今後の展望
EBPMの推進には、データの不足や分析体制の未整備といった課題が残されています。特に、効果が見られない施策をどのように改善または中止するかが今後の焦点となるでしょう。持続的な取り組みのためには、人材育成と基盤整備が欠かせません。そのためには、専門的知見をもつ支援事業者との連携が政策の質を高めるポイントとなります。
エビデンスが乏しい政策の扱い方
政策に必要なエビデンスが十分でない場合、限定的な試行や補完的な調査を組み合わせる手法が有効で、初期段階でも政策効果の方向性を把握できます。また、定性的な情報や現場の声を活用して仮説を補強することも重要でしょう。数値データだけに依存せず、多角的な視点を取り入れることで、政策判断の根拠を強化できます。
加えて、柔軟な改善を前提にした政策設計が求められます。実施後のモニタリングで課題を早期に発見し、得られた知見を反映させることが成功の鍵となるのです。このようなアプローチを通じて、データが限られている状況でも、科学的根拠に基づく政策運営を進めることが可能になります。
効果がない、逆効果の政策排除
政策の効果が確認できない場合、継続せずに改善策を講じるか中止を検討することが重要です。特に、施策が逆効果をもたらすことが判明した際には、迅速に撤退する判断が求められるため、定期的な政策評価制度の整備が不可欠です。評価結果は、政策立案者だけでなく関係部局や市民にも公開されることで、透明性の高い意思決定を支える材料になります。
また、政策の修正や廃止のタイミングを逃さず、柔軟に対応する体制を整えることが、行政全体の効率性と信頼性の向上につながります。結果として、限られた資源を有効に活用しつつ、実効性の高い政策運営を実現できるのです。
今後のEBPM強化とワイズスペンディングの徹底
限られた財源を有効に活用する「ワイズスペンディング」の観点から、EBPMの導入が全国的に加速しています。ワイズスペンディングとは、費用対効果を意識して政策を優先順位付けし、成果を最大化する考え方です。施策の効果を定量的に把握することは、意思決定の質を高める重要な手段となり、専門人材の育成やデータ基盤の整備が、EBPM強化の鍵を握るといえるでしょう。
国際的なベンチマークに基づく制度整備は、政策の透明性や信頼性向上に寄与します。また、目的に応じてEBPM支援事業者を適切に活用すれば、分析や評価の効率性をさらに高められます。
EBPM支援事業者を選ぶ際の4つのポイント
DX支援を有効活用するには、まず目的と役割を明確にしておく必要があります。また、他の企業の失敗例を把握しておくと、同じ過ちを避けやすくなります。特に契約前には要件を整理し、支援事業者とのコミュニケーションを丁寧に行うことが大切です。そこで、DX支援活用におけるよくある3つの失敗例をご紹介します。
丸投げによって目的が不明確化してしまう
EBPMを円滑に進めるには、信頼できる支援事業者の選定が欠かせません。導入段階だけでなく、運用フェーズを見据えた伴走型の支援を行う事業者を選ぶことが成果につながります。さらに、国の認定を受けた事業者であれば、信頼性の面でも安心して任せられるでしょう。特に、課題への適合性、長期的な支援体制、専門的な知見、制度やガイドラインへの準拠という4つのポイントが重要なので、ひとつずつ確認していきましょう。
1.自社(自治体)の課題とマッチする分野の実績があるか
EBPM導入を成功させるためには、自社や自治体が抱える課題と類似した分野での支援実績をもつ事業者を選ぶことが大切です。手掛けた事例を確認することで、どのようなアプローチで課題を整理し、政策立案や事業改善につなげているのかを把握するのです。分析スキルの高さだけでなく、行政や地域の特性を踏まえて現場の課題に寄り添えるノウハウの有無も重要な判断基準となるでしょう。
検討に際しては複数の事業者の事例を比較することで、自組織の目的に最も合ったパートナーを見極められます。単なるツール導入ではなく、課題の特性に応じた分析設計や伴走支援ができる企業を選びましょう。
2.長期的な伴走支援が可能か
EBPMを導入し組織に根付かせるには、初期設定だけでなく運用改善まで一貫して支援できる体制が求められます。そのため、導入後も政策効果の検証や改善策の実施をサポートできるパートナーが望ましいといえるでしょう。
さらに、PDCAサイクルを共有しながら現場の意思決定に反映できる協働体制は、持続的な成果を生む上で欠かせません。長期契約や柔軟な支援形態を提供できる事業者は、信頼性の面でも安心感があります。定期的な進捗報告や課題整理を行う仕組みがあると、導入効果の最大化に直結します。単発の助言にとどまらず、課題解決に向けて伴走できるかを事前に見極めましょう。
3.データ活用・分析の専門力があるか
EBPMを効果的に運用するには、進捗管理や課題共有が透明かつ迅速に行える体制が整っているかを確認することも重要です。データ分析や可視化の専門力をもち、現場の状況に応じて柔軟に対応できるかも評価のポイントとなります。
変化する状況に適応し、必要な改善策を即座に提案できる能力も欠かせないため、関係者を巻き込みながらプロジェクト全体のモチベーションを維持できるリーダーシップが発揮できるかも見極める必要があります。単に分析結果を提供するだけでなく、実務への応用や意思決定に直結させる力があるかどうかも判断基準のひとつです。これらの要素を総合的に評価することで、組織のEBPM導入が持続可能で効果的なものになるといえます。
4.国の認定やガイドラインに準拠しているか
EBPM支援事業者を選定する際には、経済産業省の認定など公的な基準に適合しているかも重要なポイントです。公的な制度に準拠している事業者であれば、補助金や支援制度を活用できる可能性が広がります。
また、国のガイドラインに沿った運用は、事業の信頼性を裏付ける要素となります。透明性の高い手法で政策支援を提供できることは、関係者間での合意形成にも役立つでしょう。さらに、制度準拠は事業の品質や法令順守の観点でも安心感を与えます。選定時には、制度適合性を確認すると同時に、過去の認定取得実績やガイドラインに基づく運用経験も評価基準に含めると良いでしょう。こうした視点でパートナーを見極めることで、導入後のリスクを抑え、持続可能な政策実行につなげることができます。
NECソリューションイノベータによるEBPM支援
NECソリューションイノベータは、全国の自治体向けにEBPM導入を支援してきた豊富な実績があります。データ活用基盤とロジックモデルを提供し、政策立案から効果検証までを一貫してサポート。これにより、自治体は施策の効果を可視化し、改善のための意思決定を迅速に行うことが可能です。
経済産業省のDX認定事業者であることも、自治体に大きなメリットをもたらしています。国のガイドラインに準拠した安心性と信頼性の高いサービスを提供。認定を受けているNECソリューションイノベータとの協業により、自治体は補助金活用の面でもメリットを享受できます。
具体例としては、2022年7月から12月にかけて豊中市と共同で産業施策の効果検証を実施しました。この取り組みでは、市政データを活用し、政策の成果や改善点を明確化し、市民や行政双方にとってわかりやすく、実践的な政策評価が可能になりました。
NECソリューションイノベータは、このように自治体のデータ活用を後押しし、効果的な政策形成と持続可能な行政運営に貢献しています。
まとめ
政策立案や実施をデータや科学的根拠に基づいて進めるEBPMは、従来の経験や勘に頼る方法とは異なり、施策の効果や因果関係を明確に把握できます。その推進には中央省庁や地方自治体、研究機関、民間企業が連携し、専門知見とデータ基盤を活用しています。
しかし、データ不足や分析体制の未整備などの課題も浮上しています。今後は人材育成や支援事業者との連携を強化し、ワイズスペンディングの徹底と持続可能な行政運営が求められることが予想されます。NECソリューションイノベータはこうしたEBPM導入をあらゆる側面からサポートし、自治体の効果的な政策形成に貢献。新たな課題にも取り組みながら、さまざまな課題解決に寄り添っています。
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