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課題背景
- 釣り顧客の需要に応えるため深夜~早朝にかけても店舗営業をしたい
- 夜間帯勤務の従業員の疲弊対策として無人店舗を展開したい
成果
- お客様自身でスムーズに決済ができるセルフレジ
NeoSarf/POS のセルフレジシステムを活用することで、無人店舗を実現。
従業員の夜勤勤務を削減し労働環境改善につながった。 - 深夜でも高度なセキュリティで店舗を守る
顔認証システムBio-IDiom KAOATOを利用し事前登録した顧客のみが入店できるようにすることで、
無人店舗においても高度なセキュリティ対策を実現。
導入ソリューション
NeoSarf/POS・Bio-IDiom KAOATOによるスマートショップ システム全体の実現イメージ


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事例の詳細
求められる24時間営業も社員のモチベーション低下が課題に

株式会社タカミヤ
代表取締役社長
上田 桂嗣 氏
釣りをはじめとしたアウトドア用品等の小売事業や、自社ブランドの商品開発、フィットネスクラブの運営などを展開する株式会社タカミヤ。1949年に、現在の福岡県北九州市ではじまった釣具店にルーツを持ちます。釣具業界で老舗の同社は、1996年に先進機能を備えた 物流センターを設立、その後もPOSシステム、会員制度、EC事業への参入と、業界に先駆けた取り組みを次々と成功させてきました。そんなタカミヤの事業を主軸として支えるのが、大型小売店「釣具のポイント」。全国68店舗を持つ釣具専門店で、業界最大手の規模を誇ります。
「釣りはデータ。釣果は、日の出や日没といった時間帯、潮回り、気候や水質などの組み合わせによって変わってきます。釣り人は、データに基づいて昼夜を問わず“釣れる”タイミングで釣り場に行き たいと考えるのです」と教えてくれたのは社長の上田桂嗣氏。なかでも日の出前後の1時間である「朝マズメ」、日没前後の「夕マズメ」は釣果が出やすい時間。さらに夜にしか釣れない魚もいるため、24 時間営業の釣具店は釣り人にとって欠かせない存在です。
そのため「釣具のポイント」では全国4店舗で24時間営業、さらに客数が増える週末を中心に多くの店舗で午前4~5時オープンの早朝 営業を行っています。しかし「景気より天気」と上田氏が話す通り、来店者数は気候次第で大きく変動。気候が良く、さらに釣果が見込める条件がそろえば、深夜や早朝といえども多くのお客が来店します。一方で、雨風が強い日や暑さ寒さが厳しい時期は、深夜営業の時間帯 にお客がまったくこないという日もあるのです。当然、深夜営業にはそれなりのコストがかかるため、来店者がいないことは経営上の負担となります。しかし、上田氏がなにより懸念したのは「スタッフのモチベーション」でした。「私たちは商売人。商売人はお客さまがいらっしゃってくれることが何より嬉しい。一方でお客さまの来店がゼロのなか、モチベーションをキープするというのはなかなか難しいのです」。

中でも、上田氏の心に刺さったのはある社員から十数年前にかけられた言葉です。当時、営業部長として全国の店舗を巡回していたとき、ひとりの社員から「なぜ、私たちだけ夜通しで働かないといけないのですか?」と尋ねられたと言います。「24時間営業の店舗は人気の釣り場への行き道で、お客さまからの需要がある。深夜、店に立つスタッフには深夜手当といった割増賃金も払っているから理解してほしいと彼に伝えたのです。でも『お金より、健康です。』と言われてしまいました。これには堪えましたね」。上田氏自身も店の改装などで夜通し働いたことがあります。「体内リズムもあるのでしょう。疲れを取るために昼間眠ると言っても、なかなか眠れない。お金より健康と言った、社員の気持ちはよくわかるのです」。
かつては釣り場の近くに家族経営の小さな釣具店があり、24時間、餌を購入することができました。しかし、担い手不足といった原因でそのような釣具店は時代が進むにつれて次第に減少。そこで、深夜や早朝の営業をスタートさせるようになったのが大型釣具店です。同業種の小売店では年中無休・24時間営業を謳うところも増え始め、そのうちサービスの提供自体が競争化。「釣り人は君たちの営業時間で動くのではなくて、潮で動くのだから」と言われるほどお客からのニーズもあるため、釣り場に近い場所では釣具のポイントが深夜・早朝に営業をしないという選択肢はありません。
当然これまでにも、現場で働くスタッフたちの労働環境の改善に向けて策を講じてきました。24時間営業を行うのは高いニーズがある店舗のみに絞り、早朝営業も極力、週末に限定。さらに解決策として、ECでの釣り餌の販売を検討したこともあります。しかし、冷凍の餌は送料がかさむため顧客ニーズにマッチせず解決には至りません。「無人店舗のほかには、社員のフォローをしっかり行いながら、深夜に働くスタッフを最小限に抑えるワンオペ営業くらいしか思い浮かばなかった」と当時の苦しい胸中を振り返ります。
一番の懸念だったセキュリティを生体認証でクリア
無人店舗の展開について、本格的に検討することになったきっかけは2016年、シアトルにあるAmazon本社への視察旅行でした。そこで上田氏が見たのが、当時発表されたばかりの「Amazon Go」。完全無人のデジタル店舗です。Amazon社員のための売店だったため、実際に利用することはできませんでしたが、「Amazon Goはまるで夢のようでした。これが実現できたら、当社の課題解決につながるのではないかと考えたのです」と上田氏。帰国後、スマートショップの実現に向けて動き始めます。
まず注目したのは、スマートショップのシステム開発に力を入れている地元企業や工業系の大学。しかし「実現できるレベルではなかった」と上田氏は言います。課題となったのは、セキュリティの問題です。「アメリカにしても日本にしても、当時、スマートショップが普及しなかった理由はセキュリティの問題に尽きると考えています。実は釣具店では、盗難が多いことも課題です。無人のスマートショップをオープンしても、セキュリティが担保できなければ意味がありません」。もちろん、当時出会ったシステムもセキュリティ対策は行われていました。例えば、専用のQRコードを通したり、番号を入力したりして、はじめて利用できるという仕組みです。しかし、上田氏が求めるのはさらに高度なセキュリティシステムでした。
そんなとき偶然訪れた展示会で出会ったのが、NECの顔認証入退管理システムBio-IDiom KAOATOを利用したスマートショップのデモンストレーションです。「惹かれたのは顔認証、つまり生体認証です。免許証や保険証などに掲載される住所で登録した会員情報と顔情報をリンクさせることで、私たちが求めていたレベルのセキュリティを担保できます。これでスマートショップの実現性が一気に高まったのです」。
とはいえ、世間的にはスマートショップはまだはじまったばかり。更に、餌や針などの様々な商品で、釣り人という一般の方を相手にするのは難易度の高いチャレンジです。しかし実際にNECに問い合わせてみると、マンションの住民や工事現場のスタッフを対象に、システムを導入している事例があると判明しました。「これならやれる」と上田氏の想いに勢いがつきます。こうして2020年、同社はNECとともにスマートショップ立ち上げに向けて動き出しました。当初は、24時間営業を行っている既存店に併設するかたちでの導入を検討していましたが、有人店舗との仕切りをどうするかが課題に。そこで「まずはトライを」と、新規に建設予定だった長崎女神店に設計段階から専用のスペースを作り、併設することに決めました。
もうひとつ、当初の予定と異なることとなったのが、セルフレジの導入です。「はじめは、お客さまが商品を手に取ったらレジを通すこと なく決済できる、ウォークスルー型店舗をイメージしていたのです。しかし、そのためには商品棚に多くのAIカメラを設置する必要があるためコストがかかります。さらに、重量センサーと連動することでどの商品を持ち出そうとしているかを判別するのですが、1000アイテムもある商品の重さを測るのは難しいと判断したのです」。例えば、風が吹けば飛んでしまう重さの釣り針1枚、個体差によって重量が変わってしまう釣り餌などは、ひとつひとつ確実に重さを定めるのには限界があります。商品にICタグを付けるという手もありますが、「生きた餌にICタグなんてつけられませんから」と上田氏。現状、ウォークスルー型店舗と相性が良いとはいえません。そこで辿り着いたのが、お客自身が商品をレジに通してキャッシュレスで決済を行うことができるセルフPOSシステムのNeoSarf/POSだったのです。「NECの皆さんは、ニッチな釣り業界をよく勉強してくれて、釣り業界やお客さま心理・動向をしっかり分析して提案してくれることに感心しました。Amazon Goのようなウォークスルー型店舗のイメージそのままでは、こんなに早く当社でスマートショップを展開することはできなかったでしょうね」。当初は想定していなかった数ある問題を解消しながら、プロジェクトは進行。こうして、2022年11月に業界初となる24時間営業の無人店舗「いつでも餌蔵」がオープンしたのです。
「いつでも餌蔵」店舗情報
およびPOS 設置イメージ
- 店舗名:
- ポイント長崎女神店
- 所在地:
- 長崎県長崎市戸町4丁目27号35番
- 概要:
- Bio-IDiom KAOATOを導入し、事前登録した顧客のみ入店できるシステムにすることで無人店舗においても高度なセキュリティ対策を実現。
NeoSarf/POSのセルフレジを活用し、無人店舗でもお客さま自身でスムーズな決済ができる。
「希望以外の何ものでもない」業界初のスマートショップ

長崎港によって分断される長崎市の南部と西部を最短距離で結ぶながさき女神大橋。そのすぐそばに移転オープンした「ポイント長崎 女神店」に併設する形で、「いつでも餌蔵」は店を構えます。「業界初の取り組みということもあり、同業者からの関心が高く、『よく実現されましたね』とおっしゃっていただく機会が多いですね。皆さん、深夜の営業については頭を悩まされていますから」。
利用する釣り人たちからも大きな反響がありました。「お客さまはスマートショップってTVやネットで見たり聞いたりしたことはあっても、身近にあるものではなかったのです。特に釣り業界はITに疎い業界。だから純粋に『すごいね、釣具店でここまでやるの』『スマートショップって本当に存在するんだ』という驚きの声が多くありましたね」。利用には、会員登録のほかに身分証明のための運転免許証や保険証の提出、生体認証のための顔写真の撮影などいくつかステップが必要ですが、「新しい取り組みに興味を持って話を聞いて登録してくれます」と上田氏。オープンから2カ月で1400名ほどの登録がありました。釣りシーズンは秋のため、次のハイシーズンまで1年をかけて店を周知し、会員数を増やす見込みです。
スマートショップの仕組みをすんなりと受け入れてくれた釣り人たちですが、当初、上田氏にはお客がセルフレジをうまく利用できるかどうか懸念がありました。利用方法は、登録時にもしっかり説明していますが、YouTubeでは利用方法を紹介する動画を配信。スタッフが出演するほか、人気の釣り人らにも協力してもらい実際に来店し、利用する様子を撮影して利便性を伝えています。

さらにオープン当初は、無人店舗とはいえ社員がひとりは常駐することを検討していました。しかし、今や完全に無人化。それでも何かトラブルが起きた時すぐに対応できるように、深夜でも社員に繋がる直通の電話窓口を準備しています。「でも、驚いたことに一度も電話がかかったことがないのです。お客さまのITリテラシーは我々が想像していた以上に高かった。考えてみれば、セルフレジやセルフのガソリンスタンドなどはすでに私たちの生活に浸透しています。そのため、抵抗感というのはほとんどなかったのでしょう」。結果は顔認証から決済に至るまで、スムーズに行う方ばかりでした。「若い方はまだしも、ご年配のお客さまが置いてきぼりになってしまうんじゃないか。無人であることに抵抗感があるのではと思いましたが、そんな心配は不要でした」と上田氏。深夜の来店者は、毎朝、録画したデータでチェックすることが可能ですが、60代でほぼ毎日通うヘビーユーザーもいるほどです。当初心配していたセキュリティ面においてもオープンから2カ月半、問題は見つからず業界初の試みは順調なスタートを切っています。
「いつでも餌蔵は、私たちにとって希望以外の何ものでもありません。日中、準備さえしっかりしていれば、我々が眠っている時間に、無人でお客様のサポートを行い、販売してくれるのですから。デジタルの利便性を享受している。最先端とは、こういうことなんですね」。
さらに「いつでも餌蔵」のオープンは、現場で働くスタッフをはじめとした多くの社員のモチベーションアップにも大きく貢献しています。「何より、多くのスタッフが喜んでくれました」と上田氏は声を弾ませます。「自分が働く会社が、最先端のことにトライできる会社であり、実現できる会社であることを誇りに思ってくれています。そして、自分たちの働き方が変わってくることへの期待を感じることもできました。十数年前、『お金より健康』と私に伝えてくれた社員も喜んでくれていると思います。あの言葉で始まったプロジェクトですから。彼の元にも、早く届けたいですね」。
有人・無人・EC店舗を繋げ新たな価値を提供し、リアルの価値を高める

タカミヤでは、2023年春に「いつでも餌蔵」をさらに2店舗オープンする予定となっています。1号店とは異なり、目指すのは既存店舗への併設です。「既存店の展開方法を探るため、現在24時間営業や早朝営業を行なっている北九州市内の店舗を改装して、オープンする予定。現在、準備を急ピッチで進めています。夜の営業時間は午後8時までとして、遅い時間まで働いていたスタッフたちが早めに帰ることができる環境を整えてあげたいです」。当然、無人店舗のみの新規出店も視野に入れています。主な検討場所は、過疎化が進むエリア。過疎化・高齢化が進み、人口が減少するエリアはこれまで、採算が合わない・店に立つスタッフが集まらないという理由で出店を見送ることもありました。「でも、過疎化や高齢化が進んだエリアにも釣り人はいる。そんな人の1匹を釣るお手伝いができるというのも、スマートショップの大きな価値です」。
1号店の「いつでも餌蔵」でも、さまざまな実験・検証を行なっていく予定があります。そのひとつが、オープンのタイミングで設置した宅配ボックスを使った展開です。これは、EC事業との連携を図ってのもの。例えば、ECサイトで注文・決済した釣り餌や道具が、釣りに行く当日に宅配ボックスに届く仕組みを検討中です。このほかにも、将来的には有人のリアル店舗、無人のスマートショップ、そしてEC事業を繋いだ展開を考えています。
「スマートショップは、従来のリアル店舗の対極にある。店頭に立つ スタッフの存在を、ある意味否定することになるのではないかと懸念していたこともありました」。しかし、お客さまとの挨拶からはじまるコミュニケーションや釣り場を案内し、釣りを楽しんでもらうためのお手伝いをすること…それらは、スタッフが店頭に立つからこそできるリアル店舗の強みです。スマートショップとうまく棲み分けをして、リアルの価値が上がっていくと上田氏は考えています。「リアル店舗、スマートショップ、EC事業、この3つの繋がりによって、新たな価値が提供できるようになります。それが今から楽しみですね」。深夜の営業をスマートショップに任せることでできたエネルギーを、新たな事業展開や店頭での企画につなげていきたいと考えています。「デジタル化による無人店舗で接客やコストを省略化しようとは考えていない。デジタルの時間はデジタルの時間で提供しながら、リアルの価値を上げていく。そんな時代になってきているのではないかと思うのです」と上田氏。スマートショップが現実のものとなった今、今後のリアル店舗運営は、もう一度、初心に帰ってしっかりと追求していきたいと声に力を入れて話してくれました。

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お客様プロフィール
株式会社タカミヤ

所在地 | 福岡県北九州市八幡東区前田企業団地1番1号 |
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設立 | 1963年1月16日 |
概要 | フィッシング・マリン用品等の製造・卸・小売販売を手掛ける。釣具専門店「釣具のポイント」を全国に68店舗を展開。「自然と生きる仕事」を掲げ、釣り具の販売を通じて自然と共に生きることの素晴らしさを日本全国に届けている。 |
URL | ![]() |
小売業向けPOSシステム
小売業向けPOSソリューション「NeoSarf/POS」は、店舗運用に必要な機能をパッケージでご提供します。特にPOSレジシステムはNEC製POS専用機以外にも他社POS専用機・PC・タブレットにも対応。これにより、M&Aなどによる統合・合併時、ハードウェア老朽化時でも一つのPOSソフトウェアで管理が可能になるため、IT資産管理業務の効率化を支援します。