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【データドリブンを徹底説明】全社におけるデータ活用の実施方法や課題の解決法

Tableau(タブロー)

データドリブンな組織になるため欠かせないものとは

データドリブンという言葉は近年急速に社会へ浸透してきました。データを起点にビジネスや経営を考えられるようになると、経験や勘に基づく主観的な判断ではなく、データに基づいた客観的な分析・判断ができるため、より公平かつ合理的な意思決定が可能になります。今回は企業においてデータドリブンな取り組みを志す際に不可欠なデータについて、活用方法やよくある課題の解決法なども交えて詳細に解説していきます。

データ活用やDXが進まない理由と対策
~1万人規模の組織を動かすデータ活用事例~


データ活用やDX推進を行うという大方針は決まっていているものの、実態として進んでいないというケースがよくあります。よくある課題や対策、また、当社のデータ活用事例についてまとめたebookです。ぜひご活用ください。

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データ活用やDXが進まない理由と対策~1万人規模の組織を動かすデータ活用事例~

データドリブンが再び注目される理由

デジタル化やIoTの進化によって、企業にはこれまで以上に多くの情報がより早く集まるようになりました。まずB2Cのビジネスにおいては、消費者の行動も価値観も多様化しているため画一的なアプローチではニーズを満たせないことがわかってきています。B2Bにおいては、データに基づく現状把握と問題解決のための意思決定により高度な効率化を実現し、生産現場や物流におけるロスを大幅に削減している企業も多くいらっしゃいます。また、「2025年の崖」といった問題を克服するためにも、多くの企業がDX推進やデータ活用推進を進めています。スピード感をもってデータを使いこなすためにはデータドリブン思考が重要です。データドリブンが再び注目される理由について順番にみていきましょう。

2025年の崖を回避できるか

世の中ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きが加速しています。経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」では、「もしDXが進まなければ、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と言及されています。企業活動はデジタルを活用した変容が求められており、変化の早い時代においては意志決定にこれまで以上のスピード感が求められるため、データドリブンが今、再び注目されています。競争力の維持はもちろん、他社や他業界との持続可能な協調・協創を具体化してくためにも、DX推進やデータ活用は必要要素と言っても過言ではありません。自社の事業を分析し、今後どのような方針や戦略をとり変容可能な未来を描くのか。また「DX推進やデータ活用をする」という号令だけではなく、必要な準備や体制づくりも進めなければなりません。必要な準備や体制が整っているかどうかを確認することも重要なチェックポイントの1つです。

デジタルテクノロジーで既存事業の高度化や異業種参入のチャンスも
変化の早い時代においては意志決定にもスピード感が求められる

顧客ニーズへの素早い対応が鍵

昨今では、「顧客が何を買ったか」という情報の他に「買う際に顧客がどのような行動をしているか」などの細かいデータまで調査・収集する企業も増えてきています。今や商品が売れた、売れないという単純な情報だけではなく、どう売れているのかもデータ収集・活用し、短いサイクルで戦略やアプローチの方法をアップデートする時代です。市場での製品やサービスの陳腐化が年々早くなっており、また細かい顧客ニーズへの素早い対応が求められるため、状況を客観的に捉え臨機応変にアクションプランを実行するようなデータドリブンの考え方が重要視されるようになってきています。

テクノロジー革新や産業変革の超加速化時代

生産現場・工場などでのIoT活用の躍進や、5Gによる超高速・多接続の通信テクノロジー実現、多くの分野でのAIを使用した自動化など、特にテクノロジー革新や産業変革が進んでいて、その様子は「超加速化時代」と呼べるのではないでしょうか。レガシーシステムやアナログからクラウドなどへのシステム移行が次々と進み、RPAやMAなどの自動化の仕組みが業務プロセスに取り入れられ、企業活動も加速しています。このような時代に情報を素早く有効に活用するためには、データドリブンの概念は欠かせません。

データドリブンの定義などについては、下記内容をご覧ください。

データドリブンは経営にも活用される

データドリブンの概念は経営にも適用でき、データとアルゴリズムに基づいた客観性の高い意思決定を実現していけるようになります。データドリブン経営は、従来のKKD(=勘と経験と度胸)経営とは対極の位置にあるといえるでしょう。

当社で実施をしたデータ活用調査*によれば、経営層を巻き込み全社でデータ活用・DX推進を実施しているもしくは検討している企業は 88.1%、そのうち既に取り組みを実施している企業は 37.6% という結果が得られており、多くの企業でデータドリブン経営を進めようとしていることが見てとれます。

データドリブン経営については、詳しく記載した記事がありますので、ぜひご覧ください。

データドリブン経営を実現するために解消すべき課題

データドリブン経営を実現するためには、組織のサイロ化やデータの統合・クレンジング、組織文化の醸成といった課題に立ち向かわなくてはなりません。ここからはデータドリブン経営の実現に立ちはだかる課題についてみていきましょう。

当社で実施をしたデータ活用調査*の中で、データ活用・DX推進をする際の課題についてもお聞きしたところ、「データが一元化できていない(40.6%)」「分析できる状態にデータが整備されていない(33.7%)」「収集時のデータ加工が複雑(29.2%)」と折角のデータがすぐに活用できない状況にあるという回答が上位を占めました。また気になる回答として「エグゼクティブ含めデータリテラシーがない(8.5%)」「データドリブン文化の醸成ができていない(8.3%)」という回答も得られており、このような事柄もデータ活用・DX推進における阻害要因の1つとして認識されていることがわかっています。

組織のサイロ化

組織のサイロ化とは、組織が縦割りの状態になっていることを表します。縦割りのままでは、組織を横断的に考えられず、データドリブンの効果を十分に発揮できません。

組織の課題は部署を横断している場合が多いのですが、日本企業には、自部門でできる範囲の対応に終始してしまうことがあり、なかなか組織の横断的な対応に踏み切れないといった傾向があります。組織の横断的な問題について調整することは多大な労力を伴うため、他部署と連携せずに施策を済ませてしまうことも時にはあるでしょう。

また仮に組織の横断的なデータドリブン対応を開始できたとしても、各部署がデータの価値に気づき始めると、自分たちが保持しているデータは公開せずに自部門の成果を優先・最大化しようと試みる可能性もあります。これでは部分最適に留まり、企業としての価値を最大限に発揮することはできません。

サイロ化については、詳細に記載した記事がありますので、ぜひご覧ください。

データの統合やクレンジングの手間

実際にデータを分析する時間よりも、データの統合やクレンジングなどの下準備に費やす時間の方が圧倒的に多く8割にも及ぶと耳にすることもあります。しかしながら、データの統合やクレンジングには人員確保が十分になされない状態のまま、データサイエンティストなどの優秀な人材が単純作業に時間を割いてしまっているというケースも多いようです。データドリブン経営を効率よく実施していくためには、ボトルネックとなっている個所を見極め、場合によっては有用なツール活用や基盤の見直しを検討するのもよいでしょう。効率化を妨げている要因が兼務が多すぎて回らないといった組織的な課題の場合には、他業務の片手間で実施させるのではなく、専門チームなどを立ち上げてデータの整備とデータ活用・DX推進の両方がスムーズに進むよう、既存の業務とは切り離し新たなミッションと共に適材適所で人材配置を検討することが重要です。

従来のKKD経営でデータ活用が進むという誤解

目指しているビジョンやデータドリブン組織の実現に必要なものが不明瞭で、何からどのように進めていけばよいか分からないといった状態に陥るという話はよく耳にします。この時に従来のKKD(=勘と経験と度胸)経営のやり方に頼ってしまうと、データ活用は進みません。また、号令をかけるだけでも進みません。客観的なデータに基づく意思決定をしていくためにも、ビジョンの共有を行い、実現を可能とするために必要なデータの収集・管理・整備にも努めましょう。

またデータドリブンは業務の効率化を促す効果は期待できますが、データドリブンを実施すること自体が直接的に利益を生み出すものではありません。向かうべき方向性やビジョン、データの鮮度や信憑性、データを正しくとらえる力、客観的・合理的な判断が必要です。そのため、データの整備やデータリテラシー向上にあたりシステム投資や教育コストがある程度必要な場合に、単なる費用とみなされてしまう場合はデータドリブンな組織情勢やDX推進が進みにくいでしょう。実施できる部署から実施し、個別の成功例を作り出してから全社の横断的なプロジェクトにしていくスモールスタートの考え方から始めるのも1つの方法です。

組織的なデータドリブンの実現に向けて必要な取り組み

組織的なデータドリブンの実現には、明確なKPIの設定や、データを重視する組織文化の醸成などが必要です。ここでは、具体的にその取り組み内容をお伝えしていきます。

明確なKPI設定

組織の中にデータドリブンの文化を醸成していくには、あるべき姿を描いてスモールサクセスを積み上げていくことが重要ですが、明確に施策を効果測定していくためにもKPI設定は必須です。明確なKPIを設定せずに、やみくもにデータを分析しても効果はありません。

KPIを設定する際には、組織全体に共通していて社員全員が容易に理解できるシンプルなKPIを設定しましょう。経営トップから担当社員まで合意形成が可能なKPIを設定することで、全社員が同じ目標に向かって日々の業務をこなしていけます。

KPIの設定にあたっては自社のコアコンピタンスを再考したうえで、事業全体に共通して設定でき、かつ財務諸表に対してインパクトが大きい事項をKPIとして選択することが理想です。KPIを設定したら、定点観測を実施しながら日々の業務に対応し、四半期ごとなどの契機で目標値に対して実績値を評価しながら次のPDCAサイクルへつなげていきます。

KPIについては、詳しく記載した記事がありますので、ぜひご覧ください。

データを重視する組織文化の醸成

データドリブンの実施にあたっては、極力ビジネス全般への深い理解やデータ分析、データ処理に関する知識に長けた人材を配置することが重要です。データドリブンの概念自体は世間一般に浸透しているものではないため、データドリブンに関連する施策を実施するときには経営層への入念な説明が必要になることがよくあります。データドリブン経営に効果があることについて科学的な根拠を説明できれば、経営層の理解が得やすいため、データドリブン経営へスムーズなシフトが図れるでしょう。また経営層の理解を得るためには、専門的な根拠を並べたてるだけではなく、経営層でも理解しやすい言葉で説明する必要があるため、データ分析やデータ処理のみならず、ビジネス全般への深い理解が必要になってくるのです。

日本の組織では、全社的に共通の方式を構築してから施策を一度に展開するよりも、個々の組織でデータドリブンによる成果を挙げ、その成功事例を横展開させていく方法が導入しやすい傾向があります。いくつかの部門でデータドリブンによる成果を挙げられれば、データドリブン経営に対する興味が全社的に高まっていくでしょう。

データドリブンの文化が醸成されてくると、中にはデータの価値に気づいた組織がデータを隠蔽してしまうといった事態も想定されますので、いくつかの組織でデータドリブン経営を実施した後には、その事例を基にデータの横展開に先立つルールなどを決定していきましょう。例えば、データの共有量に比例した部門ごとの評価を設けるといった内容も一つの手段です。

また全社的にデータドリブンな組織文化を醸成するには、推進する組織が必要になってきます。データドリブンに見識のある経営層のメンバーを中心として各部門から人員を募り、全社的に方針を展開していけるようなプロジェクトチームを編成しましょう。

データリテラシーに個人差がある場合には、全社的なレベルアップのためにデータリテラシーに関する教育も必要です。全社的にデータドリブン経営を導入していく旨、経営層から宣言を出し、全社員へのデータドリブンに関連する研修を義務付けるなどで、全社のデータリテラシーを伸ばしていけるでしょう。

データドリブンに欠かせないデータ活用の準備やプロセスとは

データドリブンを実施するためには、データを活用するために必要な準備・プロセスがあり、その内容は目的の確認からデータの収集、意思決定など様々です。順番にみていきましょう。

データ分析の目的を確認

まずは、何のためにデータ分析をするのか目的を確認しましょう。良くあるのが、明確な目的を定めずに何となくデータを取得し始めてしまい、膨大なデータを前にして相関性や法則性などを導き出せず失敗に終わるパターンです。まずは明確に目的を設定し、その目的に沿ってデータを集めましょう。

データ収集

ビジネスの意思決定に必要なデータをDWH/データレイクにビックデータとして蓄積していきます。データは、各部門の業務システムやIoT、Webサーバー、外部サービスなどから取得していきます。

日本政府が公開するオープンデータもあり、2021年3月現在では各県の人口推移や民間給与実態統計など、2万8千件を超えるデータセットが登録されています。活用事例も公開されているため、使用目的に合ったデータがあれば使用してみるとよいでしょう。

データの収集にあたっては、データを効率よく収集できる環境づくりも必要不可欠です。特に部門ごとに個別最適になってしまっているシステムについては、データを一元的に管理できる仕組みを構築することが必要です。

データの分析

データの収集が完了したら、目的に沿ってフォーカスすべきデータを決め、整理・分析していきます。主にデータの時間的変化や他のデータとの関連性などに着目して分析を実施し、グラフや図で分析結果を出すことが一般的です。中には分析まで自動化できるツールも存在するため、分析したい内容によって使い分けていきましょう。データの内容によって適切な分析手法の選択やデータの活用法を理解することも大事です。

意思決定

分析結果を経営層やステークホルダーに説明し、意思決定を促す際には、一目でわかる分析結果と経営層がわかりやすい言葉での説明が必要不可欠です。

続いて、レポートなどでデータ可視化した内容を基に、施策や対策、結論などを決定していきます。主にアルゴリズムやAIなどで決定ができる内容であれば極力自動化し、ここではアルゴリズムやAIで判断が困難な選択肢を決定していきます。データドリブンは行動対象の現状・実情もデータとして加味するため、意思決定には、具体的な行動の内容が伴い、意思決定の後にはすぐ実践に移れます。

しかしながら、データドリブンに関する各種教育を受講したとしても、データの取り扱いにすぐには慣れない社員が大半であることが予想されます。そこで分析ツールを利用すればデータ分析作業を分かりやすく効率的に実施していけます。ボリュームも種類も多いデータを一元化して活用していくために最適なデータ分析プラットフォームが「BI(Business Intelligence)ツール」です。データの分析だけでなく、データをまとめたレポートを分かりやすい形でカスタマイズして出力できる機能を持つBIツールも多く、経営層への説明の際にも対応が容易です。

BIツールの中でも、情報システム部門などを介さずに各自でデータを可視化しながら意思決定に役立てていける「セルフBIツール」の使用がおすすめです。データ集計・分析が得意な人に都度依頼をするBIツールから、すべての人が必要なデータに必要なタイミングでアクセスできるセルフBIツールへとシフトすることで、業務のスピードも確実に増していきます。

まとめ:「変化が激しい」「先が見えない」時代の意思決定にこそ積極的なデータ活用を

テクノロジーの躍進により、企業では多くの情報が収集できるようになり、その多くの情報の中で消費者が持つ多様な価値観が浮き彫りになってきています。この多様なニーズを満たしていくには、従来のような一元的なアプローチではなく、データに基づいた対応が必要です。

特に「2025年の崖」などの問題解決や顧客ニーズへの素早い応答、超加速化時代への対応などの要件を満たすには、企業経営にもデータドリブンの概念を取り入れていく必要があります。

データドリブン経営を実現するためには、組織のサイロ化やデータの統合・クレンジング、組織文化の醸成といった課題がありますが、データドリブン経営のメリットは、課題解決の手間を補って余りあるものです。まだデータドリブンに対応していない企業は、データドリブンを経営に取り入れていくことで、さらなる躍進が期待できるでしょう。また、企業内のデータ分析効率化にあたっては、セルフBIツールなどの各自で分析を実施できるツールを活用すると効率的に分析対応ができます。

BIツールの活用で効果的なデータドリブン経営を実現していきましょう。

【補足】データドリブンとは

データドリブンという言葉はOECD(経済協力開発機構)が、2013年にデータドリブンイノベーションという考え方の中で提唱したことで世の中に広まりました。

データドリブンとは、経験や勘に頼った判断ではなく、様々な状況から生まれるデータを基に判断することで、意思決定や企画の立案を効率よくできる方法論です。データの重要性は年々高まっていて、例えば店舗の購買データを詳細に分析することで、ユーザーごとの興味・関心などを把握できるようになりました。その内容に応じたシナリオを設計してマーケティングを実行できます。他には、工場の機械に取り付けたセンサーのIoTデータなどから、保守タイミングを割り出すことも可能です。

経営をはじめ様々なビジネスシーンにおいて、データに基づいた検討・判断を行うことで、客観的かつ迅速で効率の良い行動につながるのではないでしょうか。

データ活用やDXが進まない理由と対策
~1万人規模の組織を動かすデータ活用事例~


データ活用やDX推進を行うという大方針は決まっていているものの、実態として進んでいないというケースがよくあります。よくある課題や対策、また、当社のデータ活用事例についてまとめたebookです。ぜひご活用ください。

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