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DX時代のデータマネジメントを徹底的に見直す
~全社におけるデータ活用に備えるポイント~
Tableau(タブロー) データマネジメントの重要性は日々高まっています。それは、ITサービスを展開するビジネスだけではなく、製造業や農業などあらゆる業種でデジタル化がこれまでを遥かに上回るスピードで進んでいることと深い関わりがあります。データ活用推進の成功は、その基礎となるデータマネジメント(データ管理)が適切になされているかどうかに左右されると言っても過言ではありません。今や、データを活用した収益化は、多くの企業にとって経営課題の1つとなっています。データマネジメントはDX時代のデータ活用に欠かせない重要なものであり、押さえるべき範囲も多岐に渡るため対応にはしっかりとした準備が必要です。本コラムでは、そもそもデータマネジメントとは何なのか、全社的なデータ活用をする上で求められるデータマネジメントの在り方や想定される困難を確認し、DX時代のデータマネジメントを見直す上で重要なポイントを解説します。
データ活用やDXが進まない理由と対策
~1万人規模の組織を動かすデータ活用事例~
データ活用やDX推進を行うという大方針は決まっていているものの、実態として進んでいないというケースがよくあります。よくある課題や対策、また、当社のデータ活用事例についてまとめたebookです。ぜひご活用ください。
データマネジメントとは
データマネジメントとは、目的に応じたデータをいつでも活用できる状態で継続的に維持・管理することです。そこには、データの登録や更新方法、蓄積や可視化の手段なども含まれます。また、データは集めて可視化をするだけではなく、データを保護する手段も重要で、データに関わるすべてのプロセス、つまりデータのライフサイクルを管理することがデータマネジメントです。
データマネジメントの定義を示したDMBOK
データマネジメントについては「DMBOK」にて定義されています。
DMBOK(Data Management Body OF Knowledge)とは、データマネジメント知識体系がまとめられた書籍のことです。DMBOK2では、データマネジメントの概念について、11個の知識領域が定義されています。
- データガバナンス
- データアーキテクチャ
- データモデリングとデザイン
- データストレージとオペレーション
- データセキュリティ
- データ統合と相互運用性
- ドキュメントとコンテンツ管理
- 参照データとマスターデータ
- データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス
- メタデータ
- データ品質
データマネジメントの最適化とそのメリット
このように、データマネジメントはデータを蓄積するだけではなく、データのモデリングやデザイン、データの統合などを合わせた総合的な活動だといえます。データマネジメントに取り組む際に、企業で扱われる広範囲なデータについて、最適に管理をしていくためにDMBOKの定義は役立てられているのです。
それでは、企業がデータマネジメントの最適化を推進するメリットを見ていきましょう。
全社データ統合・活用促進の土台ができる
データマネジメントを最適化することで、データのライフサイクル管理が企業全体で統一され、全社データが統合、統合されたデータの活用促進する土台となります。この土台ができ上がれば、全社的にデータ活用が進み、データを基にした行動改善や方針判断が可能になるのです。
データの信頼性の向上、セキュリティ、ガバナンスが図れる
データマネジメントが最適化されると、例えばサイロ化されるなどの閉じたデータのサイクルがなくなるため、データの信頼性が向上します。また、データのライフサイクルが統一されているということはメタデータ(例えばデータの更新日やアクセス権限など)がしっかりと管理されているということなので、データが改ざんされるなどのリスクも低下してセキュリティも向上します。データの信頼性向上やデータセキュリティリスクの低下を実現できるデータマネジメントの最適化は、データマネジメントのプロセスの統治、つまりガバナンスを図れているということでもあるのです。
パフォーマンスが良い、ダウンタイムが少ない、待たない
全社で統合されたデータのガバナンスが図れているので、データのライフサイクルはスムーズでダウンタイムが少なく、欲しいデータが欲しいときに取得できます。例えば、データを基にした意思決定を行う際にも、必要なデータの到着を待つこともなく、また、そのデータを疑うことなくスムーズに物事を決断することができるようになります。
全体最適でトータルコストを抑えられる
データマネジメントが最適化されれば、企業組織の各部門が信頼性のあるデータを基に高いパフォーマンスが発揮でき、全社で連携が取れて生産性が向上するなど、トータルコストを抑える結果を生み出せます。
つまり、結果としてデータの精度や信頼性があがることで、意思決定の精度が高まり、必要なタイミングで必要な情報を利用できるといったデータの可用性を得られるため、意思決定の高速化が図れるのです。また、安全にデータの取り扱いができるようになることも大きなメリットといえます。データ活用推進により社内の業務効率があがるだけでなく、データ利活用から新たな付加価値が生まれたり、対外的な取引に関するデータであれば取引先のメリットになったりすることも十分に考えられます。
データマネジメントの最適化を困難にする5つの原因
データマネジメントの最適化には多くのメリットがありますが、一方でデータマネジメントの最適化は困難をともないます。ここでは、その5つの原因を見ていきましょう。
1.システム環境の混在とデータの分散
組織の課題は部署を横断している場合が多いのですが、日本企業には、自部門でできる範囲の対応に終始してしまうことがあり、なかなか組織の横断的な対応に踏み切れないといった傾向があります。組織の横断的な問題について調整することは多大な労力を伴うため、他部署と連携せずに施策を済ませてしまうことも時にはあるでしょう。
また、データを管理するためのシステムが散在していると組織を横断した統合的なデータ利活用に至らずデータ活用推進もなかなか進まない傾向が強く、部分最適化に留まってしまうためデータ活用の効果を十分に発揮できない場合があります。
2.企業内に「データ活用」の文化が浸透していない
多くの企業では、日々の活動データが企業の資産になるという理解はあるのですが、データを活用するという文化が浸透しておらず、多くのデータが蓄積されただけの状態になっていることも少なくありません。データが蓄積されていても、そのデータの見方や活用方法がわからなければデータマネジメントとしての効果は発揮できないのです。「データの活用」が企業内の文化として浸透するまでには、データを活用してその効果が目に見える事例を示すことも大切です。
3.データマネジメントへの投資に対する理解不足
データマネジメントは、始めればすぐに効果が出るものではなく、全社データの精査やデータの扱いに対する取り決め、どのようにデータを活用していくかなど、データマネジメントの土台を作るまでにも工数がかかります。そのため、企業全体としては「データマネジメントに投資する価値は本当にあるのか」といった確信が持ちにくいのも現状です。データマネジメントへの投資に対する理解不足がデータマネジメント最適化への取り組みを阻む要因ともなっています。データマネジメントを開始した直後に効果が見えるのであれば理解もしやすいのですが、なかなか費用対効果を数値で示すまでには時間がかかります。
4.企業組織のサイロ化
上述した「システム環境の混在とデータの分散」にもつながる部分ですが、データマネジメントの最適化を阻む原因の一つが企業組織のサイロ化です。サイロ化は各部門や支店を含む各拠点によって、データが連携されておらず個別にデータが取り扱われている状態を指します。例えば、営業部門と経理部門では別々のシステムを採用していることで、システムの連携だけでなく、システムに蓄積されているデータにもつながりを構築できていないという企業は少なくありません。これが全社データを統合するときの一つの高いハードルとなるのです。データにつながりがないということは、メタデータも個別に最適化されているということですので、データマネジメントを最適化するためには、まず各システムや各部門のメタデータを連携するためのシステムが必要になり、その開発工数がかかってしまいます。
サイロ化については、「サイロ化によるデータ活用の根深い課題とその解決策」にて詳しく紹介していますので参考にしてください。
5.データマネジメントの横断的な推進を担う人物がいない
全社データを統合したデータマネジメントの最適化にもっとも重要なのが、データマネジメントを全社横断的に推進できる人物です。データマネジメントを取り入れてデータ活用を行うための、企業内の文化の浸透は教育でもカバーできます。しかし、そもそもデータマネジメントの推進役が存在しなければデータマネジメントは進みません。データマネジメントには、データマネジメントを深く理解し、データマネジメントを最適化するための全社データ統合やデータ活用文化を先導していく人材が不可欠なのです。
データマネジメントの重要ポイント
それでは、ここからはデータマネジメントの重要ポイントを見ていきましょう。
データマネジメントの目的設定
データマネジメントの第一歩として大切なのが、データマネジメントの明確な目的設定です。
「DXやデータドリブンが流行しているから」という理由でデータマネジメントへの取り組みをはじめても、自社がデータマネジメントをするためのゴールが定まっていなければ工数やコストだけがかかってしまい、結果目に見える効果を得ることができなくなってしまいます。
また、データマネジメントの目的は、データをきれいに整理することや、全社でデータを統一した形で蓄積することではありません。全社データを活用して最終的にどのようなアウトプットにしたいのか。これがデータマネジメントの目的です。
例えば、従業員の稼働や業務効率化を実現したい、データを基に利益拡大をしたい、近年のコロナ禍では全社で取り組んでいるテレワークの割合を正確に把握したいなどといった明確な目的があるはずです。これら明確な目的を実現するために、全社データを統合し、企業としてひと目で判断できるようデータを可視化して分析するなどの方法でデータマネジメントの効果を実感することが大切です。
データの収集、加工
データマネジメントの明確な目的を決定したら、全社データの収集をしなければなりません。そこには、オンプレミスで利用されているシステムやクラウドサービスを使ったシステム、ExcelやWordなどをメインに利用している部署など、さまざまなデータとシステムが混在している企業も少なくないでしょう。メタデータやデータ型が異なるデータを収集しただけでは、データを活用することは困難です。データを集めればツールを使って簡単に分析・見える化ができるわけではありませんので、まずは、企業全体にどのようなデータがあり、どのように運用されているのかを知る作業から始めることがポイントです。
組織内で各部門が利用しているデータを把握したら、それらデータを統一されたメタデータやデータ型に加工していかなければなりません。この過程は非常に時間がかかる上に、上述した目的がしっかりと定まっていなければ、全社データをどのように加工すべきなのかを決定できません。
データの蓄積
全社のデータの現状を把握してデータの収集・加工の段取りが整ったら、データを一箇所に蓄積していきます。全社を対象にしたシステムには、膨大なデータがありますので、収集して加工されたデータを一元的に扱えるようにデータを蓄積する必要があるのです。具体的には、加工したデータをDWH(データウェアハウス)などに格納して一元管理をします。
データを抽出し、変換・加工、格納するまでのプロセスはETLと呼ばれます。
ETLの詳細については「ETLやプレパレ―ションで、全社におけるデータ活用の最適化を図る 」にて詳しく解説していますので参考にしてください。
データの可視化と分析
データを可視化することで、ようやくデータの全体像を「見る」ことができるようになります。全社から収集したデータは統一された形式(メタデータなど)に加工され、DWHなどに蓄積されますが、これら統一され蓄積されたデータをグラフや表にすることでデータとして活用していきます。可視化されたデータは、データマネジメントの目的に沿ったカテゴリなどで分類された状態として「見える」ようになり、そこからデータの分析を行います。
例えば、新型コロナウイルスの拡大にともないテレワークの比率を確認する場合、テレワークに移行できた従業員が何割くらいいるのか、そして目標値を達成していなかった場合は、そこに関連するデータを原因分析を行う材料として利活用します。
データ品質の維持と安全な保護
可視化されるデータは、データマネジメントの最適化により、その品質維持やセキュリティ上の安全性が確保できていなくてはなりません。統一されたデータのライフサイクルによってガバナンスが図れていることが最低限の条件であり、これが整っていないデータは信頼性がなく、データドリブンに役立てることができないのです。万が一、データの改ざんなどが行われていれば、間違ったデータを基に分析が進められ、その結果、正しい意思決定ができなくなります。
データガバナンスについては「データガバナンスとは?その概要や必要性から実施手順までを解説」で詳しく解説していますので参考にしてください。
組織のデータリテラシーの向上
データマネジメントのポイントとなるのは、技術的な面だけではありません。「データを活用する」という企業内の文化を定着させ、半永続的に蓄積されるデータを有効に活用するための「データリテラシー」を向上させなければならないのです。
普段、企業活動において従業員ひとりひとりが生み出すデータは、蓄積するだけではなく、蓄積したデータを如何に効率的な業務へと結びつけるか、そして企業としての利益につなげていくかを常に意識する必要があります。
データリテラシーについては「データリテラシーとは?その能力とメリットから鍛え方までを解説」にて詳しく解説していますので参考にしてください。
データソースを組み合わせて分析する「Tableau」
データマネジメントの肝は、あらゆるデータを可視化することです。そして、可視化したデータを分析することで、はじめてデータドリブンによる経営判断の迅速な意思決定につながります。
そこで利用したいのが、データマネジメントを支援するデータ分析プラットフォームです。データ分析プラットフォームの「Tableau」は、世界でも広く利用されています。Tableauは、Prep(データ加工)やDM(データマネジメント)の機能+BIの機能で可視化できるツールです。Tableauの分析プラットフォームは、直感的なビジュアルでオペレーションが容易で、企業内のあらゆるデータを見える化し、必要なデータを自由にカスタマイズしてWeb上で確認できます。これは、データドリブン経営にとっても直感的な判断に役立ちます。また、Tableauの魅力の一つには、100万人以上のTableauコミュニティの活動も活発で、ユーザー同士でもサポートし合える環境が整っていることが挙げられます。
Tableau活用事例
ここでは、Tableauの3つの活用事例を見ていきましょう
Salesforceと接続して売上データを素早く分析
多くの企業では、顧客と売上管理・分析にCRMを利用しています。中でも、Salesforce(セールスフォース)は、顧客管理からそこに紐づく商談管理、売上データの収集や整理をクラウドにて実現できるサービスです。このSalesforceへTableauを接続することで、新たに顧客データや売上データのためのデータベースを用意する必要がなく、Salesforceに蓄積されているカスタマーデータを可視化してダッシュボードをすぐに作成できます。また、ネイティブコネクタを利用して、Salesforceやforce.com、database.comとネイティブ接続することで、見込み客の獲得やリード管理、パイプラインの範囲設定などで、ビジュアル分析による最適な意思決定が可能になります。
データ分析でリスク管理
大手金融では、Tableauを利用してリスク分析の高度化を実現しています。金融業界では、市場リスクや信用リスクなどのあらゆるリスク管理を行う必要があります。従来は、分析用のRDB(リレーショナルデータベース)開発・管理を行っていましたが、この方法ではRDB(リレーショナルデータベース)にデータを格納して、さらに独自開発システム(ExcelシートやWebサービス)へ抽出してレポート作成を行っていました。しかし、このような方法は、特定のデータを深堀りしたい場合には都度RDB(リレーショナルデータベース)にSQLを発行しなければなりません。また、独自システム開発にもコストをかけなければなりませんでした。しかし、Tableauを利用することで、各種データをダッシュボードで可視化して、リスク管理レポートをいつでも見られる状態を作り出すことができました。数あるツールの中からTableauを選定したのは、直感的に使えるために専門的なトレーニングが必要ないこと、インタラクティブなダッシュボード作成で、より高度な分析を容易に行えること、そして、Webブラウザさえあればどこからでもダッシュボードを閲覧できるという利点があったためです。結果、開発コストの削減やリスク分析の高度化、リスクレポートの改善などの大きな導入効果を得られています。
サイロ化したデータを集約して可視化
大手電力会社は、地球環境に配慮した良質なエネルギーを安定的に届け続けるため、太陽光発電データや電力設備利用状況の可視化を積極的に推進しています。データ分析に必要なシステム開発も行っていましたが、データを抽出してExcelなどを利用した分析がメインでした。しかし、分析対象データはサイロ化されているため、データ共有はなかなか進まない状況でした。そこで、Tableauを導入することで、分析対象データが集約された後にTableau Serverへと抽出されてダッシュボードで可視化され、分析が行われるという手順へ集約されました。Tableauを導入した理由は、ITに詳しくない人でも簡単に利用できるインターフェースなので導入ハードルが低いこと、直感的な操作でレポート作成ができること、そして、大量のデータをスピーディに扱い、結果を複数のユーザーと共有できることです。Tableauを導入したことで、大容量のデータをスピーディに処理できるようになり、直感的にデータを可視化して急な要求にも迅速に対応可能になるという導入効果を得られています。
まとめ:データマネジメントを最適化するために
信頼できるデータの高可用性を保ち運用・管理することがデータマネジメントです。システムの混在やデータの分散、主導できる人材がいないといった課題につまずいてしまいデータマネジメントへの取り組みが進まない企業も少なくありません。そのような状況でも、データマネジメントを最適化するためには、まずはデータマネジメントの目的を明確にすることやデータ収集・加工・蓄積、全社データを有効利用するためのデータリテラシーの向上などのポイントを一つずつ抑えて進めていくことが大切です。
データ活用やDXが進まない理由と対策
~1万人規模の組織を動かすデータ活用事例~
データ活用やDX推進を行うという大方針は決まっていているものの、実態として進んでいないというケースがよくあります。よくある課題や対策、また、当社のデータ活用事例についてまとめたebookです。ぜひご活用ください。