サイト内の現在位置
データドリブンに必要なKPI設定とは?
Tableau(タブロー)
KPIは、最終目標を達成するための中間数値指標で、単価や顧客数などで最終目標を分解したものを指します。データドリブンと呼ばれるデータ駆動の概念がビジネスに取り入れられ始め、KPIの設定についてもデータドリブンの考え方が適用されてきています。今回はデータドリブンに対応したKPIの設定方法や、その事例について解説していきます。
データ活用やDXが進まない理由と対策
~1万人規模の組織を動かすデータ活用事例~
データ活用やDX推進を行うという大方針は決まっていているものの、実態として進んでいないというケースがよくあります。よくある課題や対策、また、当社のデータ活用事例についてまとめたebookです。ぜひご活用ください。
データドリブン経営とKPIの関係
データドリブン経営とは、業務上で取得できる各種データに基づいた経営を指し、従来のKKD(=勘と経験と度胸)経営とは対極の位置にある手法です。経営の指針となるKPIやKGIを決定するには、データの客観的な裏付けが欠かせません。
データドリブン経営については、詳しく記載した記事があるので、ぜひご覧下さい。
また、データドリブン全体の概要については以下の記事もご覧ください。
データドリブン経営におけるKPIの設定方法
データドリブン経営におけるKPIは、組織全体に共通し、かつ社員全員が容易に理解できるシンプルなKPIを設定することから始め、全社員が同じ方向を向けるようにします。シンプルなKPI設定のためには、最初に自社のコアコンピタンスを再考したうえで、事業全体に共通して設定でき、かつ財務諸表に対してインパクトが大きいKPIを検討することが重要です。
当社で実施をしたデータ活用調査*によれば、全社でデータ活用・DX推進の目的は「生産性の向上」が65%で突出して多数、「売上の向上」「コストの圧縮」がそれぞれ44%、「顧客満足度の向上」「意思決定の迅速化」がそれぞれ34%と続いています。
KPIを設定する上で、目的に合っている指標を設定することが最も重要になります。「KGIとしてのゴールを達成するために必要な要素は何か」「それらの要素がうまく稼働するためのプロセスは何か」「それぞれのプロセスの質を高めるために必要な因子は何か」などゴールから逆算をする形で因数分解をし、どの要素を強化することで最も効率よくKGIの達成が期待できるかを検討し、KPIとして定めていくことが大切です。
- *2021年3月当社調べ(調査実施委託先:株式会社スガタリサーチ)
まったく新しい取り組みをするわけではなく、共通のKPIを指定してそのKPIに対してPDCAを回し、ベースとなるKPIから大きく外れないように、各事業部門や課において細かい粒度でブレークダウンしていきます。

データドリブンの考え方を適用したKPI設定のユースケース
データドリブンをKPI設定に適用する過程の一例として、ここでは全体のフローを整理し、サービスブループリントを用いる方法についてご紹介します。
サービスブループリントとは、ある事業や業務を切り出し、ユーザー体験とサービス提供者の動きを時系列で整理したもので、顧客体験を表す「フロントステージ」と、顧客体験に対応した業務プロセスの動きである「バックステージ」に分かれます。
このサービスブループリントで、コンバージョンからプロセスをさかのぼり、ボトルネックになっている部分をKPIにしていきます。ECサイトであれば離脱が一番大きいページなどをチェックするなど、疎外ポイントの改善をKPIとすると、そのあとのアクションに繋がりやすいのでおすすめです。商品一覧ページからカートへの追加が一番の離脱ポイントなら、カートへの追加を後押しできるようなアクションを実施しましょう。Webサービスの問い合わせ数は取っているが、商談成立回数は取っていないなど、必要なデータがないと気づく場合もあります。
サービスブループリントで自社の業務プロセスを整理することにより、ユーザー行動のうちKPIの達成にあたって考慮すべき優先順位を決めていけます。
KPIの評価の際にはデータを質的な要素でセグメントし、KPIに対する実績の改善に向けて施策を決定・実行しましょう。例えば商品のカート追加数をKPIにしている場合は、ユーザーの属性が取れていれば下記2点の事項を明確にします。
- 一番KPIを達成している属性
- 一番KPIを達成していない属性
KPIを達成しないユーザー属性では、なぜ達成しないのか要因を深掘りしていきます。KPI前後の動きを深掘りするのもよいでしょう。例えば対企業のランディングページなら、商談数をKPIと仮定すると、特定のコンテンツからの商談化数が高ければ、該当のコンテンツを充実させるなどの施策を取っていけます。
社内でのKPI合意に必要なデータドリブンに対する意識醸成
データドリブンという言葉は、まだ世の中に浸透しきっているとは言い難いですが、データに基づく意思決定は従来から存在していた概念なので、まずは自社のデータドリブンに対する意識を醸成していけば、社内でのKPI合意もスムーズになっていきます。データドリブンの意識を醸成していくには、まずビジネス全般への深い理解やデータ分析、データ処理に関する知識に長けた人材をデータドリブンの担当として配置することが重要です。データドリブン経営に効果があることについて科学的な根拠を説明でき、上層部の理解を得やすくなります。研修などによる一般社員に対するデータドリブンの教育も欠かせません。
日本の組織では、個々の組織でデータドリブンによる成果をあげ、横展開させていく方法がおすすめですが、データ基盤は単一のものとし、各組織で同じデータ基盤を利用することが条件です。後々のデータ統合のコストカットにもなります。 データの価値に気づいた組織がデータを隠蔽してしまわないように、データの横展開に先立つルールや成果などの決定も重要です。
KPIを定めた後に同じ指標を定点観測できるダッシュボードを構築でき、さらに各指標がなぜその数値になっているかなど、自分で分析を深められるデータ分析プラットフォームとして、セルフBIツールなどを導入すると分析や意思決定のスピードを上げる効果が期待できます。
BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの活用
データの取り扱いに慣れない場合でも、データ分析プラットフォームを利用することで、作業を効率化していけます。ボリュームも種類も多いデータを一元化して活用するのに最適なのがセルフBIツールなどのデータ分析プラットフォームです。
まずは、どのような結果を導き出したいか目的を定め、必要と予想されるデータを集め、OLAP分析(On Line Analytical Processing/多次元分析)などの分析手法を用いてデータを分析していきます。さらに複数の異なるデータを横断して分析でき、アクションプランの検討ができるシミュレーション機能を利用して、蓄積したデータから売上予測や需要予測といったさまざまなシミュレーションを行い、複数シミュレーションを比較して今後のアクションを検討します。
AIを駆使して、複数の異なるデータの中から相関性や法則性を探し出し、新たな発見を導き出すことも可能です。
まとめ:データドリブンを取り入れたKPIの設定で効率的な意思決定を
データドリブン経営とは、事業活動で取得した各種データに基づいた経営のことです。経営の指針となるKPIやKGIの設定には、データの客観的な裏付けが欠かせません。
データドリブン経営におけるKPIは、組織全体に共通し、かつ社員全員が容易に理解できるシンプルなKPIを設定することが重要です。自社のコアコンピタンスを再考したうえで、事業全体に共通して設定でき、かつ財務諸表に対してインパクトが大きいKPIを検討します。社内でのKPI合意に必要なデータドリブンに対する意識醸成も重要です。適切な人員配置や研修を実施し、組織としての成功事例を積み重ねることによって、徐々に意識を醸成できます。
データドリブンを取り入れたKPIの設定で効率的な意思決定をし、自社の事業を推進していきましょう。
データ活用やDXが進まない理由と対策
~1万人規模の組織を動かすデータ活用事例~
データ活用やDX推進を行うという大方針は決まっていているものの、実態として進んでいないというケースがよくあります。よくある課題や対策、また、当社のデータ活用事例についてまとめたebookです。ぜひご活用ください。