サイト内の現在位置
TNFD情報開示
自然資本・生態系サービスへの取り組み
私たちの生活や企業の活動は、森林、土壌、大気、水、生物資源、鉱物資源等などの「自然資本」およびそれらが組み合わさって提供される「生態系サービス」に支えられています。しかし、自然資本の減少や生態系サービスの喪失は急速に進行しています。このような中、いま当社が実行すべきは減少や喪失を止め、さらには回復させる「ネイチャーポジティブ」に向けて行動することと考えています。
当社の主力事業はソフトウェア・サービスであり、自然資本や生態系サービスに対する負荷は相対的に大きくありません。しかし、当社はマテリアリティの一つに「地球環境への貢献」をあげ、「事業活動に伴う環境負荷低減をはかるとともに、 製品・サービスの提供をとおして社会全体の環境負荷低減に貢献する「環境経営」を推進します」と宣言しています。
豊かな地球を次世代、さらに次の世代に残すため、また、企業の社会的責任を果たすため、当社は自然資本・生態系サービスの保全・回復に取り組んでいきます。

ガバナンス
当社は「環境方針」において、気候変動対応や資源循環推進とともに生物多様性保全に取り組み地球環境保全に貢献するとしています。
また、当社のマテリアリティの1つに「地球環境への貢献」を挙げており、これを実現するためのテーマとして気候変動対策、循環型社会、生物多様性を設定しています。そしてテーマごとにKPIを設定し、その達成状況を経営会議で審議することとしています。
取り組み例
ジオパークおよびジオパークを目指す地域のサポート
当社は、日本国内のジオパーク(※1)およびジオパークを目指す地域のサポートを行う日本ジオパークネットワーク(Japanese Geoparks Network、以下JGN)や、各地のジオパークなど、自然資本を保持する地域と連携し、ネイチャーポジティブ(※2)な仕組みづくりを目指しています。2023年度は、全国5地区でICTを使ったインタープリテーション(※3)の実証活動により、成果を確認しました。また、2024年3月には環境省を中心にネイチャーポジティブ経済移行戦略(※4)も公表されました。それも踏まえてネイチャーポジティブの実現に向けた意識改革や新たな価値創造に関して、今後の取り組みをさらに加速させていきます。
- (※1)地球科学的意義のあるサイトや景観が、教育、保護、持続可能な開発の観点から総合的に管理されたエリアを指す。国内には、日本ジオパーク委員会が認定した、日本ジオパークが47地域あり(2024年10月時点)、その内の10地域(隠岐、室戸など)がユネスコ世界ジオパークにも認定されている。
- (※2)生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることを指す概念。自然再興とも訳される。2022年12月、COP15(生物多様性条約第15回締約国会議)やG7などでも扱われ、国際的な認知度が広がりはじめている。
- (※3)地域への来訪者に自然や歴史・文化の魅力や価値を伝える/理解してもらうための技術や活動のこと。
- (※4)企業が行動を変え、自然を保全する経済に移行する必要性や、移行にあたって企業が押さえるべき要素、新たに生まれるビジネス機会の具体例、ネイチャーポジティブ経営への移行を支える国の施策を具体化させたもの。


NEC我孫子事業場生物多様性保全活動
NEC我孫子事業場の敷地内には、利根川から派生してできたと考えられる湧水池「通称:四つ池」があり、NECは、2009年から手賀沼水生生物研究会と協働で四つ池の生態系保全活動に取組んでいます。この活動は千葉県および利根川流域の生態系保全に貢献する機会となっています。
また、NECはこの場所を ICTソリューションの実証の場と位置付け、当社はNECと共に生物多様性の保全優先度の評価、生物多様性に関するビジネスアイディア創出のワークショップや環境 DNA 調査を行っています。

ブロックチェーン技術を活用した次世代型木材流通システムの構築
当社はブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用した次世代型木材流通システムの構築に取組んでいます。伐採から製材/加工、輸送、販売に至るまでの工程情報をブロックチェーンに登録することで、顧客は木材のトレーサビリティの確保や合法性、FSC 材、産地の証明に活用できます。
本実証は農林水産業みらい基金 2022 年度助成事業『「D」が森林と都市を「X」する』(事業主体:宮城十条林産株式会社)において宮城県仙台市にて行っており、国内産材の有効利用を図るという目的で検証を進めています。
また、木材は成長の過程でCO2を蓄積しているため、将来的には輸送や加工工程で排出されるCO2排出量をトレースすることで、実質のCO2蓄積量の証明に活用できます。


環境省モデル事業 世界自然遺産西表島のペットボトルごみ発生抑制の実現を目指して
当社は令和6年度環境省「観光地におけるごみのポイ捨て・発生抑制対策等モデル事業(観光庁連携事業)」にミシマ・オーエー・システム株式会社を公募主体として採択されました。本実証では、海洋プラスチックごみ(※1)やマイクロプラスチック(※2)の要因の一つであるペットボトルごみの発生抑制を目指し、世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」を構成する西表島において、2024年9月, 10月にマイボトルを利用した旅を推進しました。
MMO iriomote(西表島内で給水所を提供する有志の民間事業者の団体。宿泊施設や飲食店等35店舗が加盟。)や象印マホービン株式会社と連携し、ICTとナッジを活用したマイボトルや給水所、マイボトル洗浄機の利用を促す行動変容の仕組みと、インタープリテーションの仕組みによる効果が認められ、モデル事業の中で唯一ごみの発生抑制を実現する取り組みとして評価されました。成果発表会では横展開を希望する声もあり、引き続きネイチャーポジティブの実現に向け、自然資本の要素の一つである水をテーマに新たな価値創造を進めていきます。
- (※1)生態系を含めた海洋環境の悪化や海岸機能の低下、景観への悪影響、船舶航行の障害、漁業や観光への影響等、国内外で様々な問題を引き起こしています。
- (※2)海洋プラスチックごみが波や紫外線などの影響を受けて5mm以下に微細化されたもので、非常に小さいサイズのため回収が難しく、海洋環境に悪影響を与えることが懸念となっています。



NEC田んぼ作りプロジェクト
2004年からNECグループで取り組んでいる霞ケ浦の水源地である耕作放棄地再生および生物多様性保全を目的とした活動に参画しています。本プロジェクトの目的は、稲作をはじめとした自然体験活動を通して自然と触れ合うことによる従業員の環境意識向上と、活動そのものを通した生態系の回復にあります。生態系の回復については、生物多様性の指標であるカエル、メダカ、トンボ、ホタル、哺乳類(カヤネズミ)、鳥類(フクロウ)等の復活が認められました。
また、本プロジェクトのフィールド(茨城県牛久市)が環境省「モニタリングサイト1000」に認定され、これに則した生態系調査を2024年より開始 。本取り組み内で、NECとともに種の多様性を評価する技術として注目されている環境 DNAを用いた研究も進めています。

チャリティハーブガーデン活動
チャリティハーブガーデン活動は、NECソリューションイノベータの企業市民活動の一環として、東京都江東区の景観美化を目的に2006年に始まった取り組みです。地域住民とともにラベンダーを中心としたハーブガーデンの維持・管理を担い、また加工品づくりや地域イベントでのチャリティ販売をしています。販売を通して預かった寄付金は、主に「花苗基金」の原資として活用されており、区内の緑化活動の活性化につながっています。本活動は、持続可能な社会の実現に向けた東京都の地域戦略(※1)で定められる基本戦略「Tokyo NbS」(※2)にも合致しています。
- (※1)2022年に東京都として行政、事業者、民間団体(NPO・市民団体)など、様々な組織と連携・協議しながら取り組みを進めることで、2030年までにネイチャーポジティブの実現を目指す「東京都生物多様性地域戦略」を策定しています。
- (※2)自然を活用した解決策(Nature-based Solutions, NbS)。IUCN(国際自然保護連合)では、NbSを「社会課題に効果的かつ順応的に対処し、人間の幸福及び生物多様性による恩恵を同時にもたらす、自然の、そして、人為的に改変された生態系の保護、持続可能な管理、再生のための行動」と定義しています。

