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テレワークで浮上した問題、従業員の働き方をどう見える化する?
イー・アンド・エム様

大坂智之氏(右) NECソリューションイノベータ プロフェッショナルフェロー
コロナ禍でテレワーク(在宅勤務)が一気に広がる中、企業のマネジメント層から「従業員の勤務状況や業務の進捗状況が見えない」「コミュニケーションが取れない」といった声が増えている。そうした課題を解決するために『NEC 働き方見える化サービス Plus』を導入したのがイー・アンド・エムだ。狙いや活用法などについて、同社開発本部の東 正宜本部長と、同サービスを開発したNECソリューションイノベータの大坂智之・プロフェッショナルフェローに聞いた。
事例の概要
課題背景
- 働き方改革の一環として作業時間逓減活動などに取り組んだ結果、残業時間を約30%削減するも、2020年初めに発生した新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが急務となった。
- 取引先に常駐している従業員も含め、テレワークの常態化により、作業効率の低下や残業時間の増加、コミュニケーション不足による生産性の低下などの課題や不安が浮上。
- 入社1~3年目の若手社員の育成の遅れを懸念
成果
- 「今日メール」や「ひとことコメント」がコミュニケーションのきっかけに。
ダッシュボードでコメントを見て話し掛けたり、数日ぶりに顔を合わせたときの声掛けのネタになっている。 - 業務の遅れが把握できるように
メンバーの業務の遅れが把握できるようになり、早めの対策が打てるように。 - 働き方の可視化できめ細やかなフォローが可能に
細かくフォローできるようになり、リーダーの責任感が強くなった。
導入前の背景や課題
チームの勤務状況を総括的に可視化するツールが必要に
――イー・アンド・エムでは『NEC 働き方見える化サービス Plus』の導入前に、どのような課題や悩みを抱えていたのでしょうか。
東 ソフトウエア開発の受託事業が主力の当社では、グループ全体の従業員約600人のうち、およそ8割がSE(システムエンジニア)です。業界全般にいえることですが残業が多く、当社も7年前から働き方改革の一環として作業時間逓減活動などに取り組んできました。
その結果、7年前に比べ残業時間を約30%削減できていたのですが、2020年初めに発生した新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが急務となり、新たな課題や不安が浮上しました。取引先に常駐している従業員も含め、テレワークが常態化すれば、作業効率の低下や残業時間の増加、コミュニケーション不足による生産性の低下などが生じるのではないか、といったことです。さらに、当社では毎年40人程度の新卒を採用しており、入社1~3年目の若手社員の育成が遅れかねないことも懸念材料でした。
このような課題を、既存のリモート会議システムやメッセージ交換を含めた統合グループウエア、全パソコンの操作ログを収集するセキュリティーソフトを活用して解決できるかどうかを社内で検討しました。その結果、プロジェクト単位で編成されるチームの勤務状況や業務進捗状況などを総括的に可視化するツールが新たに必要という結論に至りました。
――大坂さんは取引先の働き方改革を支援し、自社内でも働き方改革推進リーダーを務めていますが、同様の課題を抱える企業は増えていますか。
大坂 そうですね。緊急事態宣言の影響もあり、多くの企業でテレワーク下の勤怠管理や作業内容の可視化、長時間労働の抑制、コミュニケーションの活性化などが喫緊の課題となっています。そうした課題を解決するサービスが「NEC 働き方見える化サービス Plus」で、勤務時間管理やタスク管理、休暇管理、働き方分析などさまざまな機能を提供しています。
もともとこのサービスはコロナ禍以前に、当社のチームのメンバーが自分たちの働き方を見直すための現場改善活動をきっかけとして開発したものです。それが口コミで社内に広がり、改善を重ねながら、18年4月から全社で導入。今では全社員(約1万3000人)が利用しています。なお、NECグループ全体としても2021年5月現在約5万人の利用が進んでいます。
こうして誕生した背景もあり、単なる勤怠管理というよりも、“メンバーの勤務状況や業務の進捗状況などをチーム内で共有するツール”というコンセプトに賛同していただける企業の導入が多いですね。
選択のポイント
勤務状況や進捗情報をビジュアル表示できるのが魅力
――イー・アンド・エムでは20年8月に導入を決めたそうですが、同サービスを選んだ理由と導入スケジュールについて教えてください。東 先ほど言ったように、部署ごとではなく、プロジェクト単位のチーム管理に適したツールを探していました。例えば、第一開発部と第二開発部の編成チームといったように、組織を横断することもよくあるからです。その条件にマッチしたのが『NEC 働き方見える化サービス Plus』でした。
チームごとにメンバーの勤務状況や進捗情報などを柔軟にビジュアル表示できるのが魅力の一つです。従業員に開示する情報や使用する機能を自由に設定できる点も、利用目的がはっきりしている当社に適していました。加えて、操作しやすく事前準備が容易なこと、少人数から実験的に始められること、1利用者当たりのコストが比較的安価だったことも決め手となりました。


導入スケジュールについては、20年8月に準備を開始し、9月に小規模のトライアル期間を経て導入を決定。10月から対象チームを増やし、12月からはテレワーク対象者全員が利用しています。1チーム当たりの人数は3~15人程度。同サービスの利用枠は100人から徐々に増やし、現在は250人となっています。
導入後の成果
「ひとことコメント」がコミュニケーションを活性化

――導入後はどのように活用し、どのような成果が上がっていますか。
東 この手のツールを導入すると、メンバーは「監視されている、見られている」と感じ、嫌がるのではないか、マネジメント層は「いろいろ管理ツールが増えて面倒」と感じるのではないかと懸念しました。
そこで当社では「コミュニケーションツール」と位置付け、パソコン操作時間のグラフや時間外勤務状況などをお互いに確認することで、声を掛けるきっかけにしてもらえるようにアナウンスしました。テレワークに伴う孤独感を少しでも軽減して、作業効率の低下を抑止するのが狙いです。導入前に全社セミナーを開催し、そうした導入目的と使用機能について説明しました。

コミュニケーションのきっかけになっているのが「今日メール」や「ひとことコメント」「今日の気分をアイコンで示す機能(画面参照)」です。「今日メール」はその日の業務予定を共有する機能で、「〇〇の業務で1時間残業します」「午後はA社で打ち合わせです」といったように予定を書いています。
一方、「ひとことコメント」は「昨日釣ったアジの刺身は最高でした」「今日はライブ配信があるので定時で帰ります」など、雑談のような感覚で使っています。ダッシュボードでコメントを見て話し掛けたり、数日ぶりに顔を合わせたときの声掛けのネタになったりしてコミュニケーションの活性化に役立っています。
成果としては、懸念していたテレワークによる業務効率の低下は見受けられず、むしろメンバーの業務の遅れが把握できるようになり、早めの対策が打てるようになったという声も上がっています。実際、残業については導入前後で約6%程度の低減が実現できています。
また、部下の働き方が可視化されてきめ細かくフォローできるようになり、リーダーの責任感が強くなりました。例年通り新入社員の育成ができているのも、同サービスの導入効果が大きいと思います。
働き方の見直しと改善につながる自己分析にも役立つ

――本サービスの活用例や成果を教えてください。
大坂 パソコンの使用状況や時間の使い方などが詳細に可視化されるため、働き方の見直しと改善につながる自己分析やマネジメントにも利用できます。例えば、当社では上司と部下の1on1ミーティングを月1回行っていますが、その際の情報としても使っています。
多くの企業に好評なのは、先ほどもお話に出ました「今日メール」や「ひとことコメント」です。何げない話題をチーム内で共有できて楽しい雰囲気になります。特に若手社員には上司との会話が増えて相談しやすくなったり、帰宅時間を発信することで帰りやすくなったりするといった効果も見られます。
コミュニケーションが活発になるほど従業員のエンゲージメントも上昇する傾向がありますが、実際、当社でも「ひとことコメント」をうまく活用している部署はコロナ禍においてもエンゲージメントが向上しています。コミュニケーションには雑談がすごく重要なのです。

パソコンがオフラインでもオンラインでも情報を取得できるのも特徴。取引先で作業をしているメンバーも含めてチーム内の業務負担状況を把握できるため、作業の再割り当て(業務の平準化)がやりやすくなります。
また、チーム内の休暇計画をカレンダー形式で見える化しているため、休暇が取得しやすくなり、業務への影響も抑えられます。パソコンロック機能も必要に応じて選択可能。日本電気株式会社では、時間外勤務が未申請の場合、21時を過ぎると端末の画面を覆うようなポップアップが出現する「簡易ロック機能」を使用し、セルフマネジメントで、勤務時間を守る意識付けを行っています。
部門間連携による業務効率化にも効果的

――今後はどのように活用していく方針ですか。
東 アフターコロナでもテレワークは不可欠でしょうし、優秀な人材の採用や離職防止のためにも柔軟に働ける環境づくりは必須と考えています。ですから、テレワークを円滑化できる『NEC 働き方見える化サービス Plus』をもっとうまく使いこなせるようにしていきたいですね。
現在は上手に活用しているチームとそうでないチームがあるため、効果的な活用方法について情報共有を図っていく予定です。また、採用に際して、働き方改革やテレワークに積極的に取り組む姿勢を示すことができるのもメリットの一つと考えています。
――最後に、今後の参考になる導入事例を教えてください。
大坂 あるお客様では勤務状況が部門を超えて確認できるようになったことで、残業の多い設計部門に配慮して処理しやすい案件の獲得に営業部門が努めるなど、部門間の連携が取られるようになっています。こうした業務効率化や負荷分散への新たな気付きも同サービスの効果といえるでしょう。
このような業務の平準化をはじめ、働き方の分析・改善、残業に対する意識改革、コミュニケーションの円滑化など、『NEC 働き方見える化サービス Plus』は使い方によってさまざまな効果が期待できます。テレワークの課題解決のために、より多くの企業に活用していただきたいです。
イー・アンド・エム株式会社
所在地 | 〒102-0083 東京都千代田区麹町3丁目1番地1 麹町311ビル |
創立年 | 1979年10月12日 |
事業内容 | コンピュータにおけるソフトウェアの開発、販売および関連サービス・サポート |
資本金 | 6,000万円 |
従業員数 | 368名(グループ全体/607名 2021年10月1日現在) |
関連資料
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