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コラム
CRMとは?
意味や機能、導入検討と定着のポイントまで解説

UPDATE : 2022.04.22
今やセールス活動の必須のツールとなりつつある「CRM」。CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」を意味します。本記事では、CRMの基礎知識からSFAやMAといった関連ツールとの違い、選び方のポイントなど、CRMにまつわる疑問点を一通り解説。実際に導入した企業がどのような成果を得たのか事例も交え、さらに定着のポイントまでを紹介します。
INDEX
- CRMとは?
- CRMが必要とされる理由
- CRMとSFAとの違い
- CRMとMAとの違い
- CRMでできること、おもな機能
- 顧客情報の一元管理
- 商談や営業活動の管理
- メール配信機能
- 問い合わせ管理
- マーケティング支援
- データ分析
- CRM導入で期待できる効果
- 顧客情報を部門間でリアルタイムに共有できる
- 顧客満足度が向上する
- 業務の効率化が図れる
- CRM導入事例
- 事例1:顧客満足度が高まり、リピートや新規案件の紹介が増加
- 事例2:デジタルマーケティングへの移行で、質の高い集客が可能に
- CRMの選び方
- 必要な機能がそろっているか
- 他ツールとの連携やカスタマイズが可能か
- クラウドかオンプレミスか
- セキュリティが堅牢か
- サポートが充実しているか
- CRMは導入してからが本番
確実に定着させるコツ - まとめ
CRMとは?
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、直訳すると「顧客関係管理」を意味します。ここで言う顧客との「関係」とは、連絡先など顧客の基本情報からコミュニケーション履歴、商談状況、購入履歴、その他関連業務の進捗などを含みます。これらを一元的に管理することで、顧客理解を深め、サービスやマーケティングの質を高めていくことができます。もちろん、これらの情報は部署横断で共有可能。顧客との関係性から属人性を排し、企業として強固なつながりを維持できるようになります。その結果、LTV(Life Time Value/顧客生涯価値)を高める効果も期待できるでしょう。
なお、一般にビジネスの現場でCRMと言った場合は、こうした広義のCRMの概念ではなく、狭義にCRMシステム(顧客管理システム)やCRMツールを指すことが多いです。本文でも以降、CRMはCRMシステム、CRMツールを指します。
CRMが必要とされる理由
CRMが重用されるようになった背景には、近年、ビジネスのライフサイクルが極度に短くなり、従来のやり方では顧客ニーズや市場の変化に追随しきれなくなったことが挙げられます。また、顧客の価値観や購買行動も多様化しており、それに合わせた顧客視点のマーケティング手法が求められるようになりました。こうした中、顧客との関係性や動向を正確に把握できるCRMに注目が集まっているのです。
CRMとSFAとの違い
CRMと混同されがちな言葉に「SFA」があります。SFAとは「Sales Force Automation」すなわち「営業支援システム」のこと。顧客ごとの案件や商談の進捗を一元管理でき、営業活動を効率化することが目的です。CRM同様、業務から属人性を排することでチーム連携しやすくする狙いもあります。そのため同じものと思われることが多いですが、CRMは「顧客との関係性」を、SFAは「商談や案件」をベースにしている点が大きく異なっています。
CRMとMAとの違い
もう一つ、近しい用語で「MA」があります。MAは「Marketing Automation」の略で、文字通りマーケティング活動を自動化するためのツールのこと。見込み客(リード)の情報を一元管理し、獲得から育成(リードナーチャリング)、選別、そしてセールス部門に受け渡すところまでを行うツールです。MAはおもにマーケティング部門で使われており、見込み顧客を育成し、質の高い商談を作り出すことに力を発揮します。

CRMでできること、おもな機能
ここではCRMで実際にどのようなことができるのか、具体的な機能について説明します。
顧客情報の一元管理
顧客の社名や所在地、担当者の連絡先(個人の場合は氏名や個人情報)といった基本情報に加え、流入経路や販売履歴、問い合わせ・クレーム対応、その他注意事項などセールスに必要な幅広い情報を一元管理・共有できます。また、一部のCRMシステムではメールのやり取りなどを記録できる機能もあります。
商談や営業活動の管理
その顧客と現在どんな商談が進行中か、これまでどのような商談を行ってきたか、どういった成果を上げてきたか、といった情報を記録・閲覧できます。これにより、異動などで担当者が変更になった場合でも滞りなく営業活動を継続できます。また、営業担当者と取引先の関係性が属人化することも避けられます。
メール配信機能
顧客情報や過去の取引内容を元にしたメール配信機能も、CRMの重要な機能の1つです。特定の条件で顧客をセグメントし、セミナーやアンケート、キャンペーン情報などをメールで一斉送信できます。
問い合わせ管理
おもにカスタマーサポート領域で用いられる機能です。顧客からこれまでどのような問い合わせがあったのか、それに対してどのようなサポートを行ったのかなどを記録・可視化できるため、連絡の漏れや二重対応を未然に防ぐことができます。
マーケティング支援
CRMシステムの一部には、シナリオメールやスコアリング(リードスコアリング)などマーケティング手法をサポートする機能を備えたツールもあります。購入金額や購入頻度などのデータをもとに、適切なタイミングでDMを配信したり、優良顧客を可視化してクーポンを配信したりするなどのアプローチを適切に行なえるようにします。
データ分析
システムに蓄積された顧客情報で、データ分析することができます。顧客情報にもとづいた分析により、顧客インサイト(本質的な購買動機)を明らかにすることが可能になります。顧客のニーズを正しく把握することで、顧客ごとに合致したセールスやマーケティングなどのアプローチを行えるようにします。
CRM導入で期待できる効果
CRM導入によってどのような効果が期待できるのか? ここでは多くの企業にとって特に有用なメリットを3つ紹介します。
顧客情報を部門間でリアルタイムに共有できる
顧客に関する情報を企業内で一元化できることが、CRM最大のメリットです。これまでのやり方では部門ごと(場合によっては担当者ごと)に顧客情報が分散管理されるのが通例でした。しかしCRMを導入することで、異なる部門間でも顧客情報を共有できるようになります。顧客情報はリアルタイムに更新、共有が可能です。
顧客満足度が向上する
顧客情報が適切に共有されることで顧客とのやり取りがスムーズになるため、顧客満足度が向上します。問い合わせに対し正確に素早く回答できる、適切なタイミングでサービスを提案・提供できるなど、幅広いシーンでCRMの効果があらわれるでしょう。顧客との信頼関係を築くことで継続的な関係性が定着し、LTVの向上にもつながります。
業務の効率化が図れる
顧客情報を一元化できていなかったことによる無駄が排除されるため、業務が滞りなくスムーズに進められるようになります。社内での情報共有、連携が自動化されるほか、メール配信やデータ分析などもCRM上で効率的に行えます。また、PDCAサイクルを回していくことで業務プロセスの改善を加速することも可能です。
CRM導入事例
実際にCRMを導入した企業がどのような成果を上げているのか? ここでは成功事例を2つ紹介します。
事例1:顧客満足度が高まり、リピートや新規案件の紹介が増加
地域密着型の総合建設業を営むA社は、それまで5つの部門で個別に顧客情報や案件情報を管理しており、部署間での情報共有が不十分でした。また、共有のための手法も紙資料の回覧という形になっていて、最新情報をリアルタイムに把握できない状況にも悩まされていたそうです。
そうした課題を解決しようと、全社的にCRMを導入。顧客情報、工事案件情報に加え、営業活動から見積り、施工、アフターフォローまでを部署横断で一元管理することができました。これにより、スピーディかつスムーズな顧客対応が可能に。結果、顧客満足度が大きく向上し、リピート率向上や新規案件の紹介などといった大きな成果が生まれています。
事例2:デジタルマーケティングへの移行で、質の高い集客が可能に
中小企業向けにネットワークサービスを提供するB社は、それまで見込み客からのWebフォームを通じた問い合わせ内容をデータとして蓄積・共有する仕組みがなく、流入経路や広告施策などの効果を可視化する方法もありませんでした。そのため、営業活動においてそれぞれが個人の裁量・手法で行われるという状況が横行していました。こうしたやり方は極めて非効率なだけでなく、営業活動が属人化してしまうというデメリットも生じます。そこでCRMを導入し、状況を改善することになりました。
具体的には自社Webサイトで顧客の行動履歴を収集し、Webフォームからの問い合わせ内容もCRMに集約することで、流入経路や行動データを分析。また、既存顧客をセグメント化し、月2度のメール配信もスタートしました。結果、CRM導入前と比べてより多くの新規顧客を集客でき、その中でも特に自社に関心の強い層にアプローチできるようになりました。受注額もCRM導入以前と比べて1年目、2年目と倍々に増加しているそうです。副次的な効果として、これらの効果を耳にした他部署からの問い合わせが増加するなど、社内のつながりが強化されたと言います。
CRMの選び方
CRMにはさまざまな種類が存在します。どのシステムを選ぶのが自社にとって最適なのか? ここではCRMを選択する際に、確認すべき点を解説します。
必要な機能がそろっているか
業界や顧客の属性など、自社の顧客に合致した機能を備えているかをまず確認しましょう。将来的に新たな用途が発生した時に対応できるよう、汎用性、拡張性を備えているかという点も大事です。
他ツールとの連携やカスタマイズが可能か
CRMは、先に紹介したSFAやMAと連携させることでさらに力を発揮します。すでにSFAやMAの仕組みを導入している場合、あるいは導入する予定がある場合は、それらとの連携性についても確認しておきましょう。
クラウドかオンプレミスか
近年は初期投資が不要でスケールアップ・ダウンしやすいクラウド型が人気です。クラウド型には在宅ワーク時や営業先など、場所を問わずにアクセスできる柔軟性があります。ただし、コールセンター用途など社内利用が中心の場合は構成の自由度が高く、セキュリティ面で強固とされるオンプレミス型も根強い人気があります。
セキュリティが堅牢か
顧客情報(特にBtoC)は極めてセンシティブなデータとなるため、情報漏洩への対策など強固なセキュリティが求められます。候補としているCRMがどこまでのセキュリティ対策を提供しているのか(基本ポリシーや漏洩時の対応など)、あらかじめ確認しておきましょう。
サポートが充実しているか
いざというときのサポート体制も重要です。トラブルが発生した時の対応はもちろん、CRMの効果をより得られるようにするためのカスタマーサクセス体制などにも注目し、選択するようにすべきです。
CRMは導入してからが本番
確実に定着させるコツ
これからのビジネスに必須であるCRMは、使い続け、データを蓄積していくことでパフォーマンスが何倍にも強化されていきます。そのためには導入後、社内に根付かせる戦略も必要となります。
強くおすすめするのが、CRM導入に長けた外部サポートサービスを利用すること。たとえば、NECソリューションイノベータでは『NEC Salesforce定着化支援サービス』を提供しており、代表的なCRMシステムである「Salesforce」の活用成熟度測定や導入目的の明確化、計測の取り組み支援などを行っています。必要に応じてこうしたサポートを利用し、確実に定着させていくことが肝要です。

まとめ
顧客満足度を高め、収益を上げていくためにも自社の顧客情報を全社的な資産とし、データにもとづいたセールス・マーケティング活動が求められています。そのためには、CRMの導入は必須です。蓄積がものを言うCRMは、1日でも早く導入することが他社に対するアドバンテージとなりますので、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。また、すでに導入している企業の場合も、定着度合いをあらためて見直してみると良いでしょう。