
物流コラム配車/配送管理システムの導入事例から
考える、業務効率化とは
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目次
社会への貢献も含め、輸配送におけるさまざまな課題を解消するには総合的に管理し、柔軟に計画が立てられるシステムの活用が効果的。本稿では、配車/配送管理、計画がどういった業務であり、どのような課題があるのかを確認し、最適解となるシステム導入によるメリットを紹介します。
配車/配送管理システムの導入事例から考える、業務効率化とは

国土交通省が、物流における環境負荷の低減を多くの企業の社会的責任と位置づけ、輸配送ルートの再検討、輸送網の集約化など物流の効率化を推進しています。こうした要請に応じ、配車/配送管理はより緻密に、柔軟になされる必要があります。また、最適な配送ルートで効率的に輸配送を実現することは、顧客満足度を高め、業績向上を図るためにも大きな役割を果たすと考えられます。同時に、運輸・流通業界においては、ドライバーの長時間労働や交通事情による配送トラブルなど、さまざまな課題があります。これらの課題には複数の要因が絡み合うため、改善するための工夫も簡単ではありませんが、まずは状況に応じた対応ができるシステム導入の検討を進めることが重要です。本稿では、配車/配送管理、配車/配送計画とはどういったものであるのかをあらためて確認し、最適な管理、計画を実施するために有効なシステムを紹介します。
配車/配送管理とは
輸配送を行う場合、毎日決まったルートで同じ届け先に、同じ時間に配送するのであれば、管理は難しくありません。しかし実際は日々届ける場所も、どの商品を積載するのかも、指定される時間も異なる発注に対応することになります。そうした場合、どの配送先にどの商品を何時までに配送するのかによって、どの車両を使い、どのルートで実行すれば効率的であるのかを考え、計画を作成する必要があります。こうした管理には、ドライバーの勤務状況や交通事情や届け先の周辺状況など、さまざまな制約事項が加味されます。
上記の通り、配車/配送を管理する業務は多岐に渡っています。
配車/配送計画とは
商品を配送先へと届けるためには、どの商品をどの運搬車両に積み込み、どのルートを選ぶのが最適かを考える必要があります。配送先の周辺や地域状況、積み荷の内容、道路交通事情や到着時刻、車両条件、ドライバーの状態などさまざまな要素を加味したうえで、最適な組み合わせを選びます。これら一連の計画立案をするのが配車/配送計画です。
配車/配送計画は輸配送業務を効率的かつ安全に実行するために行われます。
配車/配送計画における課題
配車/配送計画を行う場合、Excelなどを使い、手動で計画を立案することも多いかと思います。しかし、配送先が多くなり、それぞれの配車/配送に関わる条件が多くなると、Excelなどでの管理では非効率なうえ、手作業での入力によるミスも起こりやすくなります。この状態では、誤った計画のまま実行してしまう可能性も高く、交通事情の把握が十分でないためのロスや誤配送といったトラブルの発生につながりかねません。対策を考えるために、配車/配送計画における課題を洗い出してみましょう。
現状に即した配車/配送計画が立てにくい
配車/配送計画は、車両基地、物流拠点、配送先の位置情報に加え、道路交通情報による混雑状況の変化、積み荷の性質、車両の特性や位置情報、ドライバーの経験や労働時間などの多数の情報を把握し、最も効率的な計画を導き出したうえで車両ごとに提示しなければなりません。
道路交通事情は刻々と変化するため、積み荷を届ける時間に遅延がないようにするには、時間的に無理のないように状況を先読みすることが必要になります。また、通常の配車/配送計画を実行中に、突発的な受け荷の依頼が入った場合、どの車両が最も近くを走行しており、立ち寄り可能であるのかを把握したうえで、車両への指示を行うことも必要です。つまり、配車/配送計画は作れば終わりではなく、さまざまな要件を考慮し、優先順位や多様な状況を組み込んだ即時性のある対応が求められるものなのです。
こうした作業は、ベテランでない担当者には不可能に近いと言えるでしょう。
業務が属人化しやすく、担当者への負担も大きい
多様な配送パターンの存在や、積み荷や車両ごとの特性など複雑に絡み合った要件などを理解しながら、最適と考えられる計画を立案するには、熟練した技術が必要です。そのため、経験豊富なドライバーが直接計画を立案したり、同じ計画担当者が長年対応していたりすることになります。言い換えれば、「この人でないと計画立案できない」というように、配車/配送計画立案業務が属人化してしまうのです。このような状況になると、事業継続は難しくなります。例えば、担当者や経験豊富なドライバーが退職したり、異動したりすると、配車/配送計画立案が滞ることにもなりかねません。引き継ぎをするにも経験が頼りの業務の継承は、なかなかスムーズには進まないこともあります。また、業務が属人化した状態では改善がしにくく、不適切な配車になったり、配送ルートやコストに無駄が出ていたりする可能性があります。
また、専門的に配車/配送計画を担っている担当者にとっては、休暇が取りにくい、長時間労働になりやすいなど、負担が大きくなります。
ULTRAFIX/配送計画導入の強み
ULTRAFIX/配送計画は配車/配送計画立案を効果的に行うための支援システムです。配送を指示するための多様な情報や、配送先の地理的条件、周辺環境情報、配送時刻の指定など複雑な物流制約を加味しながら、最適な計画を自動計算することが可能です。
ULTRAFIX/配送計画の主な特徴である、柔軟で現実的な自動計算機能、運行スケジュールのガントチャート表示や、ルート表示などの確認機能をみておきましょう。
自動計算
自動計算機能は、積載率、納入時間指定、品種による車種指定、運行中のドライバー休息時間条件など、多様な物流制約条件が指定できるため、より詳細で最適な計画が立案できるようになります。これにより、無駄の削減、計画立案までの時間や工数の削減が実現できます。
また、自動計算技術によって、誰でも配車計画ができる体制へ移行することが可能になります。その結果、業務の属人化が解消され、人的コスト削減、事業継続性も向上できると考えられます。
確認機能
走行時間や荷降ろし時間などを時間軸で確認することができます。また、車両ごとの積載状況を確認することや、配車の手動調整も可能です。
オーダー状況、走行順を地図上で確認することができるので、突発的な依頼といったことにも対応しやすくなります。そのほか、配送状況を見える化できることで、ドライバーによる業務負荷の偏りを解消することにつながり、長時間労働改善へも取り組むことができます。
導入事例紹介
ULTRAFIX/配送計画の機能を活用して、自社の課題を解消し、さまざまな成果を上げている事例を確認しておきましょう。
設備製造企業
電線、光ファイバーなどの設備製造を行っている企業。全国10カ所の物流センターから製品を配送しています。
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課題・要望
計画に時間がかかりすぎているため、トータルピッキングをしてから、車別に仕分けをするという2段階作業をしなければ出荷作業に間に合わない状態でした。
また、出荷の車別ピッキング指示も配車システムから出力できるようにしたいと考えていました。 -
導入効果
配送計画に2時間かかっていたところが15分に、と劇的な短縮が実現できました。また、伝票仕分け作業に1時間かかっていましたが、この作業は自動で行えるためゼロ時間となりました。
車別ピッキングリスト、車別検品リストを発行し、それに従った車別ピッキングを行うため、積み込みまで1回の作業で完了することができるようになり、その結果、トータルピッキング後の商品の仮置きスペースが不要になるばかりでなく、作業時間の大幅短縮につながりました。
さらに、配車精度が向上したため、車両台数がシステム導入前に比べ5%削減できています。
配達サービスを提供しているスーパーマーケット
このスーパーマーケットでは店舗から個人宅への配達サービスを実施しています。
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抱えていた課題と要望
住宅地の道路状況に合わせた個別配達を行ううえで、配達中の車両駐車位置の管理、個人宅の配送・注文情報の管理の複雑さが業務の効率を下げていました。
また顧客からの配送状況の問い合わせに即座に答えられないケースもあり、対応力のアップは課題でした。
これらの業務に対応するために最適な要員計画を含めた業務の見直し、最適化を図りたいと考えていました。 -
導入効果
個人宅情報を一元管理することにより、ドライバーごとの担当配達先や、配達時の駐車位置、注文カタログの所在場所などの情報をその都度引き継ぐ必要がなくなり、ドライバー間の引き継ぎ業務円滑化が図れました。
また、リアルタイムの配送実績や配達先の不在情報がサポートセンターに集積されることで、顧客からの問い合わせに迅速に回答することもできるようになり、さらに、再配送、再注文などの業務がスムーズに行えるようになりました。
情報がリアルタイムで把握できることで、要員計画の平準化にもつながり、長時間労働改善が図れました。
まとめ:環境負荷低減と顧客満足度向上のための配車/配送管理は柔軟性が鍵
配車/配送管理は、積み荷やドライバーの状況や刻々と変わる諸条件によって変更や臨機応変な対応が求められるものです。こうした管理が最適に実行されれば、短時間で確実な輸配送が行われることになります。つまり、コストを抑えることができ、ドライバーの負担も少なく、環境負荷も抑えることができるのです。しかし、計画立案はかなり複雑な要素を含むため、非常に難しい作業だと言えます。いくつもの配車/配送パターンから最適解を導き出すことも重要ですが、最適な配車を考えたうえで、配送状況を管理しながら臨機応変な対応を迫られることも少なくないのです。トータルで管理し、柔軟に計画できる総合的なシステムを導入し活用することが、現実的な配車/配送管理への近道だと言えるでしょう。まずは、どのような課題を抱え、どのようなトラブルが起こりやすいのかを洗い出し、どう対応すべきであるのかを検討し、対応するシステムを選定することが重要です。
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