INTERVIEW 私たちの力を合わせれば、もっと多くの命を救える。 | NECソリューションイノベータ

INTERVIEW

私たちの力を合わせれば、
もっと多くの命を救える。

消防防災システム開発

金井 佑介

金井 佑介YUUSUKE KANAI

  • 機械工学科 卒業
  • パブリック事業ライン
今村 一大

今村 一大ICHIDAI IMAMURA

  • 生物学科 卒業
  • パブリック事業ライン
三好 尚

三好 尚NAO MIYOSHI

  • 情報工学科 卒業
  • パブリック事業ライン

SUMMARY

NECグループが災害対策システムをバージョンアップ。全国の消防指令センターで使われる指令管制システムの開発に、各拠点の専門家が集結した。新バージョンでは、携帯電話通報の精度向上や指令員の使い勝手を改善することに成功する。開発チームは意見のぶつかり合いを乗り越え、2016年春に新システムの稼働を実現した。

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システムの大幅なバージョンアップに向け、
各拠点のエースたちが集結。

私たちの暮らしを万が一の災害から守るシステム構築は、NECグループの得意とする領域の一つ。火災や救急の119番通報を受け付ける全国の自治体の消防指令センターでも、2004年頃からNECの指令管制パッケージシステムが導入され、消防車、救急車の一刻も早い現場への到着を支えてきた。通報を受けた瞬間から指令員に地図情報、災害の種類、災害地点まで行くためのランドマークなどを表示し、的確な出動につなげる。バージョンアップを重ねながらシステムは進化してきたが、バージョン1の開発から10年を経て、プログラムが複雑化するなどの問題点も見えてきていた。2014年1月、コンセプトから見直す新たなバージョン4(以下、V4)の開発がNEC内で立ち上がる。
このプロジェクトに企画から参加したのが、今村一大。入社してすぐにNECに出向し、消防・防災の事業部で開発に取り組んでいた時期もある消防分野のエース。「私のほかにも九州や静岡などの拠点から消防のシステムを得意とするメンバーが集まり、各拠点の枠を越えたプロジェクトとなりました。ミーティングを重ねながら、強みを持ち寄って、コンセプト、実現すべき機能を定義していきました。」(今村) 格段に増えた携帯電話による通報から災害地点を特定する正確さの向上や、指令員の使い勝手を考えた情報の出し方など、多くの消防本部の現場を知っていた今村たちには、顧客が求めるシステムのゴールイメージはあった。3ヵ月かけて、要件は定義できた。しかし、大規模なバージョンアップをどこからどう進めていけばよいのか。所属も異なるメンバーが、まとめ役不在のまま進めていたプロジェクトは一つ目の壁にぶつかった。

インタビュー写真1

ぶつかる意見。
前進、停滞。そしてまた、前進。

2014年春、停滞気味だったプロジェクトに明るい光が差す。別事業部から開発経験も豊富なマネージャーの金井佑介が加わったのだ。自分たちが主導していこうという方針のもと、金井のマネジメントで、今村たちが温めてきた構想が、いよいよ具体的な設計工程へと前進を始める。「どれくらいの費用で、何名のメンバーで、どのくらいのスピードでコーディングを進めるかなど、開発計画を立てて役員の承認を得ました。正式な開発プロジェクトとして数名のメンバーで6月から本格的に動き出すことができました。」(金井)「金井マネージャーに加わってもらったことはとても大きかった。混沌とした状況を整理してもらい、決めた要件が粗すぎるところにも気付くことができました。」(今村)
進み始めたプロジェクト。使いやすい画面デザインはどうあるべきかなど、外部のデザイナーも交え、より具体的なところに踏み込んだ検証と議論が始まった。金井や今村たちが主導しながらも、NECやほかの拠点のメンバーからの意見も強い。操作盤を画面のどこに配置するかだけで様々な案がぶつかる。「想いを持ってやってきたこだわりがそれぞれにあるから、なかなかまとまらない。私たちもお客様に『あ、よくなったね』と言っていただけるものにしたかったから、妥協できなかった。苦しい時期が続きました。」(今村) 形式的な会議や本意の伝わらないメールのやりとりを重ねていても進まない。意を決した今村は個別に拠点のキーパーソンやデザイナーに会っては、コミュニケーションを密にとり、問題を一つひとつ解消していくことに。じりじりとした前進が再び始まり、2014年11月、予定よりも2ヵ月遅れて、ついに概要設計がまとまり、承認が下りた。

インタビュー写真2

コーディング、そして結合試験へ。
開発現場を託された若手メンバーの奮闘。

いよいよプログラムのコーディングなどの実作業がスタート。九州、静岡、東京の3拠点が、それぞれの得意分野のコーディングを担当して膨大な作業を分担することとした。さらに、V4を導入してくださる最初のお客様をみつける提案活動も同時に動かす必要があった。マネージャーの金井は、これまで中心になって動いてきた今村を、あえて開発作業からは離し、顧客への提案活動に配置。開発は今村のもとでいい働きをしていた若手の三好尚にリードさせることにした。エースの代わりを命じられ、不安を抱きつつも責任ある仕事に奮い立つ三好。今村ゆずりの、自分から動き、関わる人とのコミュニケーションを深めるスタイルで、その期待に応え始める。「わからないことはNECの有識者にも聞いたり、九州にも行って打ち合わせしながら、味方してくださる人を広げていくように心がけて、何とかやっていました。」(三好) 「きっと任せられると思っていました。成長していく様子が嬉しかった。」(今村)2015年夏、ついに3拠点で開発していたプログラムの結合試験をする工程へ。「消防システムに問題があったら、人の命が失われかねないわけです。緊張感を持って進めていきました。」(三好) 川崎市の玉川事業場の隣りの建物に3拠点のメンバーが集まり、実際の機器を動かしながらバグを叩き出したり、目指す性能を出すためにデータの絞り込み方を変えたりしながら、粘り強い試験と修正は半年間に及んだ。同時に今村が進めていた顧客への提案活動も進み、関東と関西にてそれぞれ導入先の消防本部が決定。三好たちが完成度を上げた指令管制システムが2015年冬、納入された。2016年春の稼働に向け、現場での最終試験が続いている。

インタビュー写真3

世界をもっと安全に。
大きな責任。それがモチベーション。

丸2年、様々な壁にぶつかりながらも、打破し、前進してきたプロジェクトメンバー。そのモチベーションの源は何なのか。「私たちがつくるシステムは生命と財産を守るシステム。このシステムを各地に納めることで、もっとたくさんの命を救い、もっと人の財産を守りたい。そこに貢献できていることがモチベーション。さらなる改良を進めていきたい。」(今村)「つい先日、研修に行ったベトナムでボヤを見かけたんです。消防車がなかなか到着せず、自分たちのシステムで貢献できないだろうかと思った。日本でのトップシェアに甘んじることなく、世界にもビジネスチャンスがあるのではと思います。」(三好)「プロジェクトはこれで終わりではないんです。東日本大震災のときのような災害が、ほかの地域で起こる可能性も指摘されている。そのときの大きな混乱のなかでも、自分たちがつくったシステムで、できるだけ人の命を助けたい。パブリックなシステムと個々人のウェアラブル端末がリンクして、危機に際してどう行動するか、人の意思決定をもっと支援することができるんじゃないかなど、安全に役立つ技術をもっと考えていきたいですね。」(金井)
人の命を救おうとする責任感に、これで終わりということはない。3拠点で進めてきたこのプロジェクトは、NECソリューションイノベータの強みである全国支社連携の一つの好例。高い目標のため、拠点ごとのノウハウを集結した彼らのような動き方は、ますます活発になっていく。

インタビュー写真4

※本記事の内容は取材当時のものです。
※所属組織は取材当時のものです。

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