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高砂酒造株式会社様
インタビュー記事

NEC 清酒もろみ分析クラウドサービス

データを基準にした情報共有で
仕込みの状況を把握
環境や経験によるすれ違いを防ぎ客観的な状況判断を実現

北海道の中央に広がる大雪山系を望む旭川市で、良質な水と北海道産の素材を生かした酒造りを続けている高砂酒造様。「NEC 清酒もろみ分析クラウドサービス」を活用することで、日々変化するもろみの状況をタイムリーに把握するとともに、過去のデータを参照しながら最適かつ最善な仕込みを実践。伝統的な杜氏の技を大切に守りつつ、新しい酒造りのスタイルを視野に入れた技術伝承や人材育成にも力を注いでいます。

環境や経験の違いを
データでフォローする

高砂酒造株式会社様の創業は1899年。北海道旭川市に酒蔵を持ち、120年を超える歴史を刻んできました。大雪山系を水源とする豊富で良質な地下水と、北海道産の酒造好適米を用いた酒造りが特徴で、メインブランド「国士無双」シリーズは北海道を代表する銘酒のひとつです。
杜氏の森本良久氏は2008年に高砂酒造様に入社。それ以前は札幌に本社を置く日本清酒(株)で、『現代の名工』として労働大臣表彰を受けた津村弥(わたる)杜氏のもと、蔵人としての修行に励んでいました。
「津村杜氏は日々の作業や仕込みの状況を細かくメモする方だったので、記録に残っているものがとても多く、私もそれを読ませてもらうことができました。口で言うだけでは間違って伝わることもありますから、記録が残っていたというのはとても幸運だったと思います」
そんな経験を積み、高砂酒造様に転籍した森本氏ですが、環境が変わったことで戸惑うことも少なくなかったと言います。「職場も上司もいきなり変わったので、新しいやり方に慣れるのに思った以上に時間がかかりました」と当時を振り返ります。
高砂酒造様が「NEC 清酒もろみ分析クラウドサービス(以下:本サービス)を導入されたのは2018年のこと。もろみの温度経過や成分検査、A-B直線、BMD曲線などの分析データをクラウドに保存し、仕込み状況を日々把握できるところに大きな魅力を感じ、導入を決断されました。
「データを基準化することで、職場環境や蔵人の経験に左右されずに仕込みの状況を判断できます。もし、私が転籍する時期にこのサービスが両方の職場に導入されていたら、技術の継承や杜氏の代替わりもよりスムーズにできたかもしれませんね」

高砂酒造株式会社執行役員 製造部 部長杜氏
森本 良久氏

過去と現在を直接比較し
日々の状況判断に生かす

本サービスの導入にあたり、森本氏が最も期待した点は毎年のデータを比較できることです。
「過去と現在を簡単に比較できるところがいいですね。これまでも手書きの記録を比較することはあったのですが、記憶や印象で比べていたり、うまくいかなかった理由を自分なりに判断してしまう面もありました。今は、分析データに基づいて去年と今年の違いを客観的に比較することができる。そこが一番のメリットだと思います」
酒造りは非常にデリケートな作業で、同じ素材を使い、同じプロセスで造っても毎年同じ酒質の製品ができるとは限りません。その要因はさまざまありますが、状況判断を誤ると大きな損失を招く場合もあります。
「間違った方向に行きそうな時は、できるだけ早く原因を見つけて修正することが重要です。そのためにも、日々データを入力しながら、その都度過去のデータと比較し、ずれているところがあれば調整しています。必要だと感じた時に、すぐその場でデータを確認できるのはとても助かります」
また、もろみの状態を日々管理するだけでなく、来季の酒造りの計画にも本サービスを役立てています。
「どの銘柄をどのような方針で造るかを考える時、昨年や一昨年のデータを参照しています。例えば、前年の造り方に気になるところがあったので、一昨年のやり方に戻してみるといった対策ができるようになりました」
高砂酒造様ではほぼ毎年、さまざまなコンクールで受賞・入賞を果たしており、2022年の全国新酒鑑評会(令和3年醸造年度)では金賞を受賞。森本さんは、「シーズン中は常にデータを確認し、過去の成功例のデータに添うようにその日の作業を判断していく。それができたからこその受賞だったと思います」と、精度の高い酒造りを実感されています。

データを見ながら来季の計画や営業戦略などについて打ち合わせする森本氏と営業部長の𠮷原裕貴さん

情報共有や申し送りにも
分析データを活用

若い世代に日本酒の魅力を伝える「若蔵(わかぞう)」を主宰するなど、後進の育成にも力を注ぐ高砂酒造様は、若手蔵人の教育にも本サービスを活用しています。
「出来上がった酒について副杜氏と評価を行うのですが、去年と今年はどこが違うのか、なぜ違うのか、そういう判断にもデータを活用しています。シーズン中はお互い忙しいため、その場で検討することができない事柄も多いのですが、後になってから振り返る時に当時のデータや資料が揃っていると正確な議論ができます」
酒造りは冬の時期に酒を仕込む「寒造り」が一般的ですが、近年は人手不足や働き方改革などの影響もあり、一年を通して酒造りを行う「四季醸造」が注目されています。蔵人の通年雇用も増えつつあり、酒造りの形態が多様化しているのが現状です。
「伝統的な寒造りでは、一人の杜氏がシーズン中付きっきりで監督するのが普通でした。しかし、これからの酒造りは、複数のスタッフが交代で管理しながら通年で酒造りをするやり方に変わってくると思います。例えば、昨日と今日で現場を仕切る人が違う場合、仕込みの状況や作業の段取りなどを的確に申し送りしなければなりません。そのような場合には、誰がいつ見ても同じ情報を共有できるデータの存在が重要になってくるはずです。仕込みに関わる各種データは、どの蔵にも共通する普遍的な情報なので、これからの酒造りを目指す若い人たちには、基本的な知識・技術として積極的に学んでほしいですね」

主力商品の「国士無双」のほか、北海道産果実を使ったリキュールや酒粕を使った商品も人気

企業情報
高砂酒造株式会社 様

住所   北海道旭川市宮下通17丁目右1号
創立   明治32年(1899年)
URL   new windowhttps://takasagoshuzo.com

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