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GISソリューション・導入事例
愛知県江南市様 住民情報システム連携事例


統合型GISと住民情報を連携。
“人”の情報を地図に表現し、市民サービスの向上に活用。
江南市
住所:愛知県江南市赤童子町大堀90
市制施行:1954年6月1日
人口:101,557人(2013年3月末現在)
世帯数:39,017世帯(2013年3月末現在)
市の花:ふじ

課題と効果
課題
- 住民の情報が地図と連携していないため、最新の居住地が地図上で把握できない。
- 各部署で個別に導入されているGISの地図が全庁横断的に利用できていない。
- 紙地図を使用していたため住民窓口での地図の検索閲覧に時間がかかる。
成果
- 日々の住民異動情報を統合型GISに連携することで最新の居住地が地図で確認できるようになり、精度の高い分析や企画立案ができるようになった。
- 統合型GISから業務で必要な地図や台帳情報が共有参照できるようになり、類似の地図作成に関わる複数部署の重複作業が軽減された。また、資料作成や計画策定が効率的におこなえるようになった。
- 住民情報システムとの連携により、住民の居住地を即地図に表示できるため、住民窓口対応が迅速になり、市民サービス工場に役立てられるようになった。
- 導入前の課題が払拭されたうえ、“建物”や“場所”の他に“人”の情報を地図上に可視化・共有化することでさまざまな角度から住民情報を分析でき、行政に活かせるという最大の導入効果を得られた。
システムの費用とデータを管理することが導入のネックに
江南市様では、平成24年4月より、統合型GIS「GISAp Integrated」と住民情報システムを連携したシステムが稼働しました。GISは、地理的情報や位置に付帯する情報を管理し、視覚的に表現するシステムであり、さまざまな業務の分析や企画立案に役立てることができます。これまでGISの良さを認めつつも、導入に踏み切れなかった理由について、経営企画部総務課課長の片野富男氏は次のように語ります。
「平成2年には、GISの導入を検討しました。また平成6年には、固定資産台帳の整備に合わせ、やはりGISの導入を再検討した経緯があります。検討の結果分かったことは、当時は導入経費が非常に高額で、GIS活用のメリットを理解していても、地理情報のみの管理では費用対効果が低く、なかなかGISの導入に踏み切れませんでした」
統合型GISの導入は議会の提案と市長の決断が決め手
その後、平成21年には農地制度の見直しに伴い、農地法の一部が改正され、同年12月に施行。また同じく平成21年に、住民基本台帳法も一部改正され、平成24年7月に施行される予定でした。そこで、江南市様は住民情報システムの再構築とともに農地基本台帳システムの導入検討を開始しました。
「まず声が上がったのは、農業委員会からでした。農地利用状況調査にGISを活用したいという要望があり、それを踏まえ議会からは、全庁で地図が利用できる統合型GIS導入の提議があり、市長の決断と指揮のもと事業化が進められました。これを受け、NECに相談したところ、改正農地法に対応しGISと連携した農地基本台帳システムがあり、さらにGISと住民情報システムをオンラインで連携できるとの提案がありました。この提案により、これまでの課題が払拭されるうえ、使用者全員が真の意味で共有できる“統合型”のGISによって新たな課題が解決される可能性が見出されたのです」(片野氏)
江南市様からのご依頼を受け、NECソフトウェア中部(現NECソリューションイノベータ)は、平成22年6月、各部署向けにGISの勉強会を実施。参加した職員は、GISを利用することによる業務のメリットが理解でき、さらにGISに付加された住民情報を活用するアイディアを出し 合うなど庁内での統合型GIS導入の気運が高まりました。導入にあたり、さまざまな検討を重ね、平成23年5月にシステム構築を開始しました。
庁内で地図データを共有しさまざまな業務での活用が可能に
江南市様が導入された統合型GIS「GISApIntegrated」は、庁内で横断的に地図や台帳情報を共有できるシステムです。庁内で公開可能な地図やプロットした台帳情報を重ねあわせることでさまざまな業務に活用できます。
また、住民情報システムと連携することで、住民窓口で住民の居住地を地図に表示し、その場で確認することが可能となります。江南市様では、統合型GISのマッチング機能を活用し、個別に管理している業務データを一括で地図に登録することが可能となりました。 例えば、高齢者の居住地を地図に表示し、安否確認の見回りルートの作成や、災害弱者の居住地を地図にプロットし、指定した範囲に位置する災害弱者一覧の作成などが可能となります。また、介護保険受給者を年齢別に色分けして地図に表示し、管理区域ごとに統計グラフを作成することもできるなど多様な業務に活用できる機能を備えています。
人の情報を地図に表示し、多様な角度から市民サービス向上に活用
江南市様では平成24年5月に100名以上の職員に研修を実施。その後、8月と12月に個別の課題解決のため、統合型GISの具体的な活用法について実際のデータを使って個別研修(相談会)を実施しました。経営企画部総務課電算情報グループの浅野耕太郎氏はシステムの活用について次のように語ります。
「住民情報システムとの連携によって、”建物”や“場所”だけではなく“人”の分布を住民の異動を意識することなく地図上に可視化・共有化することができ、市役所として総合的なサービスの向上につながるのではと期待しています。
例えば、地図上に可視化した住民情報を利用して、子どもの分布を年齢別に色分けし、図面上で学区別や字別に仕切れば視覚的に分布状況も把握できるうえ、GIS上で簡単に統計を取ることができ、より実情に合った子育て支援を実施することができます。また、介護保険受給者の分布が地図上で地区別・要介護度別に分かれば、要介護のお年寄りの支援計画にも活かせます。児童福祉や高齢者福祉など、これまでGISになかなか縁のなかった分野でもさまざま角度から住民情報を分析することができ、行政に活かせることが最大の導入効果であると考えています」
平成25年度から本格的に活用開始。将来はGISデータのオープン化も検討
導入後の段階的な研修を終え、江南市様の各部署では、本格的に統合型GISを活用しています。「機能の便利さを知ったことで、これまで抱えていた課題の解決のためどう活用していくのかを真剣に検討するなど、職員のモチベーションが非常に上がっています。現在も各課が具体的な活用方法を検討しています。連携機能によって、都市計画や土地利用だけではなく、さまざまな行政計画を作成する際の参考資料としても活用していきます」(浅野氏)

「本格的な活用は平成25年度からと考えていますが、各部署から上がってくる利用効果を大いに期待しています。また、このGISを、将来的にオープンデータのツールとして活用することも検討しています。データを見るだけでなく、二次加工して利用していただき、商工業や観光の振興など、市の活性化に役立ててもらおうと考えています」(片野氏)