サイト内の現在位置
GISソリューション・導入事例
愛知県犬山市様 スマートデバイスGIS導入事例


固定資産税の現地調査業務に「GISAp Tablet」が有効。
高精度な航空写真の活用により調査の効率化、精度向上を実現。
犬山市様では、平成26年4月より、固定資産税の現地調査業務支援ツールとして、「GISAp Tablet」を導入・運用されています。全国的に見ても現地調査業務にタブレットツールを導入しているケースはまだ少ないのが現状です。現在は機能を限定してお使いですが、調査精度の向上面で確かな効果が現れているとお聞きしています。今回、システムの導入と活用推進に関わられている皆様にお集まりいただき、お話を伺いました。
愛知県犬山市
人口:74,796人(平成26年11月30日現在)
世帯数:29,627世帯(平成26年11月30日現在)
市制60周年を迎えた犬山市は、愛知県の最北端に位置する歴史と自然豊かなまちです。市の北を木曽川が流れ、伝統的な鵜飼(木曽川うかい)が行われています。国宝犬山城や、博物館明治村、野外民族博物館リトルワールドなどでも知られています。平成23年度から平成34年度の12年間を計画期間とする第5次犬山市総合計画が始まりました。目指すまちの姿を「人が輝き 地域と活きる“わ”のまち 犬山」とし、未来へ向かって新しいまちづくりを進められています。

紙地図の電子化に向けて平成23年4月より統合型GISの運用をスタート
犬山市様では、平成11年から統合型GISの全庁的な立ち上げに向けて基本計画をスタート。1年目はまず都市計画にGIS導入、次に固定資産税に導入され、地図の電子化と業務活用を段階的に進められています。その目的と進捗状況を改めてお聞きしました。

「庁内各部署で個別に作成、管理、活用していた地図情報の共有化を図ることを目的に、平成23年4月に情報管理課が中心となって統合型GISを作ることになり、現在、都市計画策定、固定資産管理、農地管理、の3カテゴリーを基軸に具体的な活用計画に取り組んでいます。全体で共有するものと個別に工夫を重ねて利用していくものという2軸で進めていければと考えています」(河合)
「固定資産税に関わる業務において、地図の電子化はさまざまなメリットをもたらします。土地面積がすぐに算出でき、正確な画地計測が行えるようになるのもそのひとつです。私どもでは、まずは、紙地図を電子化していくことを当面の目標とし、少しずつ情報や機能を付加しているところです。その意味では、まだ頭出しの段階といえます」(舟橋)
このような中、固定資産税の現地調査業務の改善ツールとして新たに注目されたのがタブレットの活用でした。
現地調査時の紙地図が抱える問題解決にタブレットが有用と判断
固定資産税の土地・家屋評価を正確に行うために必要なのが現地調査です。紙地図を現地に持ち出し、実際の土地・家屋状況を調査し、その結果を調査リストに記入し、帰庁後、その内容を固定資産税システムに入力する、というのが一連の作業です。
「紙の地図帳を担当地区ごとにファイルで整理していますが、市全体では何十冊にものぼりかなりの量になります。その中から該当のファイルや必要な部分を印刷して持ち出し、現地調査にあたっています。」(舟橋)
「紙の地図ですから、現場で使っている時に破れることもあります。また、毎年作り変えるので経費的にも無駄が多く、保管管理にもスペースが必要となります」(長瀨)
そのような問題の解決に向けて、犬山市税務課様では平成26年4月より、「GISAp Tablet」を導入されました。
高精度な航空写真をタブレットで持ち歩くことで調査精度が向上
では、現地調査にあたって、タブレットをどのように使われているのでしょうか。
「最新の地番図と航空写真をタブレットに格納し、現地調査に持ち出しています。別に現地調査用のリストを作っていて、調査結果はそこにチェックしていき、帰庁後、そのリストをもとに基幹系のシステムに情報を入力していきます。移行期ということもあり、今のところタブレットは現地調査にあたっての基礎資料となる地番図と航空写真の参照ツールとして使っています」(舟橋)
限定的な使い方ではありますが、地番図と高精度な航空写真データをタブレットに入れて現場調査に出かけられるようになったことで、現地確認がより正確に行えるようになったといいます。
「例えば、土地の売買があった場合、法務局の通知書をもとに現地調査に出かけるのですが、売買の状況によっては土地の形が変わっている場合があります。土地というものは意外と複雑で、地番図だけでは判読が難しい場合があります。とはいえ、境界線の見間違えや見落としはあってはいけないことです。その意味で、対象の所在、状況確認のためのツールとして地番図と航空写真をタブレットに入れて持ち出せるようになったことの意味は大きいですね。一番変わったのは精度。現地確認作業がより正確かつ効率よく行えるようになったのは確かです」(武内)
「GISAp Tablet」が持つ様々な機能の活用はステップアップ方式で
「GISAp Tablet」は、地図と台帳情報の持ち出しができるほか、現地でGPSや住所での検索、リアルタイムにデータ入力が行えるなどの機能を有しています。犬山市様では、機能を限定し利用されていますが、今後の活用計画はどうなのでしょうか。
「地図へのメモ書きや撮影した写真データを地理情報と紐づけて保管したり、オンラインでシステムへのデータ転送ができることは承知しています。現在、オフラインでの利用をしていますが、現地で直接データ入力できるようにするのが次のステップです。さらに、帰庁しなくても現地からネットワークを通じて情報を更新できるようにすることを未来図として描いています。調査・評価に必要な様々な情報をタブレットに付加し、固定資産税システムと連携させていくことにより、業務の精度もさらに向上し人為的なミスもなくなっていく。そのような形になれば業務効率は格段に向上していくと考えています。ただ、セキュリティの厳格化についてはしっかり考慮しなければなりません」(舟橋)
「業務の効率化、精度向上を含めた便利さとセキュリティは大体反比例するものです。オンライン利用するメリットは十分承知していますが、便利さ一辺倒で進めていくわけにはいかない。扱う情報が重要なだけに万が一にもセキュリティ面で問題があってはなりません。ステップはかかりますが、きっちりとした基準のもとで一番使いやすい形にしていきたいと思います」(河合)
GISの活用、タブレットの活用がもたらすメリットを全庁レベルへ
最後に、タブレット活用の今後の可能性についてお話をお聞きしました。
「今後、統合型GISで各課のデータを管理できるようになれば、様々な現場確認業務にタブレットの有用性が大いに発揮されると思います。例えば、部課を越えてタブレットを貸し借りする場合、共有するべきデータは共有でき、必要以外のデータは閲覧できないようにすることも容易に行える。紙ベースではできないことです。全庁的に見ても紙ベースでの情報の保管や更新・管理は大変な労力とコストを伴います。現在、税務課が中心になって取り組んでいるGISの活用をほかの業務などでも活用していくことによって全庁的なメリットも出てくるのではないかと考えています」(長瀨)
「私どもでは、税務課だけでなく、他の課にも有益になるのであればということでタブレットの導入に踏み切りました。今課長が述べたように、将来的には部課を越えた複合的な使い方を考えています。コストもさることながら、業務や事務精度を上げていくことが行政の本分ですので、大いにメリットは出てくるでしょう」(舟橋)
「自治体規模が大きくなると、どうしても個別GISが先行してしまい、全体での共有、統合化はなかなか難しいようです。その点、当市の規模ですと全庁で一緒にやっていこうという方向にもっていきやすい。またそのような方向にもっていきたいと考えています。統合型GISについても、またタブレット活用についても、専門的な知識がなくても「とにかく使ってみよう」と、皆で発想を膨らませていくのがよいでしょうね」(河合)
ちなみに、このようなかたちでタブレットを使い始めているところは近隣ではまだないようです。
「当市の取り組みを何らかの参考にしていただければと考えています」(長瀨)
犬山市様の取り組みが、近隣はもとより全国の自治体様に多くのヒントを提供できるものになることを願っています。NECもそのお役に立てるよう努めてまいります。
愛知県犬山市のご担当者様
- 企画財政部 税務課 課長
長瀨隆生 氏 - 企画財政部 税務課 課長補佐
舟橋正人 氏 - 総務部 情報管理課 課長
河合武史 氏 - 企画財政部 税務課 統括主査
武内道広 氏
-
住民情報システム連携事例愛知県江南市様統合型GISと住民情報を連携。
“人”の情報を地図に表現し、市民サービスの向上に活用。 -
農地基本台帳システム導入事例愛知県江南市様統合型GISと連携する農地基本台帳システムを導入し、
農地利用状況調査や農地管理、水稲生産計画など幅広く行政対応に活用。 -
統合型GISシステム更新事例愛知県みよし市様従来の「統合型GIS」を刷新し、さらに操作性を向上。
使い勝手のよいシステム導入により作業効率の向上を実現。