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業務効率化
受発注業務
20,000 時間/年 削減
RPAを駆使して年間約10万件の 受発注業務を“自動化”

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DX障壁の超え方
NECグループは2018年7月、“NEC 119年目の大改革”と銘打った社内変革プロジェクト『Project RISE』を始動。経営層から現場層まで、ハードウェアからソフトウェアまで、全てをキードライバーとした、多岐にわたる働き方改革を本プロジェクトの1つとして推し進めてきた。NECソリューションイノベータもこの動きに呼応し、2019年4月より、独自の変革活動『NES Project RISE』をスタート。ここでは、その取り組みの中でも特に大きな成果を上げているRPA(Robotic Process Automation)を用いたプロジェクトについて、最初期から構築と運用に取り組んできた中核メンバーたちに、その歩みを語ってもらった。
- 課題
- 社内変革プロジェクト『NES Project RISE』のもと、プロセスと仕事のシンプル化による社内業務の工数削減が求められていた。そんな中、受注・発注手続きの負担軽減が大きな課題の1つに。業務システムへのデータ入力が手作業で行われているなど、改善の余地があった。
- 成果
- RPAを導入したことで、受発注業務(エントリー・精査)の自動化に成功。人間とロボットの協業により約20,000時間の効率化を達成できた。適用範囲を拡げることで、今後さらなる拡大を見込んでいる。
社内変革プロジェクト『NES Project RISE』のもと、RPAの導入を決意
2018年7月にNECグループ各社横断でスタートした社内変革プロジェクト『Project RISE』。意識改革、インフラの整備、業務・プロセスのシンプル化などを強力に推進していくことで社員一人ひとりのパフォーマンスを最大化し、次の100年も力強く成長し続けるNECグループの実現を目指している。その一環として、グループ内でシステムソリューション事業を司るNECソリューションイノベータでは、独自に『NES Project RISE』を立ち上げ、特に大きな効果が望める社内プロセスと仕事のシンプル化を企図。当時の状況を、IT・業務改革推進部の柿沼健太は次のように振り返る。

IT・業務改革推進部 シニアマネージャー 柿沼 健太 氏
柿沼「『NES Project RISE』の発足を受け、まず大きなところから改革していこうと現場の業務内容を棚卸し、可視化していきました。その結果わかったのが、受発注の手続きが多くの部門において負担になっていること。しかも当時は社内システムが大幅刷新されたタイミングでもあったため、ユーザーにとってのわかりやすさと使い勝手の向上が重要課題の1つになっていたのです。当時、年間 約120,000件の受注手続きに対して約140,000時間もの時間を要していました」
そこで柿沼は、社内システムの改善と並行し、短期間で業務効率化を実現する手段としてRPAの導入を検討。すると、すでに現場部門でRPAの適用にチャレンジし、成果を上げ始めている部署があるという声が耳に入ってきた。
柿沼「受注の業務プロセスは、異なる事業部間でもそこまで大きくは変わりません。であれば、それを横展開することで、スピーディーに全社レベルで業務をシェイプアップできるのではないかと考えました」
『NES Project RISE』以前から独自の改善活動としてRPA導入が始まっていた
NECソリューションイノベータの中で、メーカー・流通・サービス業を中心とする民間企業に対してICTソリューションを提供するエンタープライズ対応事業部門では、『NES Project RISE』が発動する以前より、独自の改善活動としてラインスタッフ内の受発注フォロー業務の工数削減に取り組んでいた。

IT・業務改革推進部 主任 岡 優子 氏
岡「事業部のスタッフ部門である企画本部ではかねてより、受発注業務が事業部ごとに個別最適化されていることを問題視していました。もちろん一定のルールはあったのですが、その解釈が部署や担当者ごとに異なっており、発注の精査やフォローに大変な時間を取られていたのです。そこで社内システムが刷新されたタイミングでこれを標準化して効率化することを目指しました」
そう語るのは、当時エンタープライズ企画本部で受発注申請の精査を担当していた岡優子。岡は、各現場担当者との改善活動を通して受発注申請の標準化に取り組んでいく中、RPAを用いることで一気に効率化が図れるのではないかと夢見た。
岡「まずは受注精査業務を標準化し、誰がやっても同じようにできるように整理したのですが、もしかしてこれはロボットでも同じようにできるのではないかな、と。おりしも、この取り組みを始めた2017年ごろにRPAが注目を集め始めていたこともあり、会社からの支援を受ける形でRPAの導入検討をスタートすることができました」
また、岡は費用的な負担がさほど大きくないこと、開発のスケールが大きくなりすぎないこともRPAのメリットだと言う。
岡「グループ共通のシステムに手を入れるなんてことになったら億単位の費用がかかりますし、いつ完成するのかもわからなくなってしまいます。その点RPAであれば、開発期間も短くてすみますから、今回私たちが目指した改善活動にぴったりでした。当時はまさかこの後、RPAを横展開していくなんて大きな話になっていくとは思ってもいませんでしたよ(笑)」
RPA推進センターの支援のもと、受発注業務の自動化ロボットを開発
受注申請精査の自動化(ロボット化)を実現するため、岡は、グループの業務効率化・高度化を推進するNECマネジメントパートナー株式会社のRPA推進センターに支援を求めた。この依頼を受け、RPA推進センターは、中小規模のRPA需要が今後さらに拡大していくことを見越して本プロジェクトへの支援を決定。その開発実務は、NECソリューションイノベータ ソリューションビジネス事業部が担当することになった。

ソリューションビジネス事業部 主任 原口 理 氏
原口「我々は開発に先駆けてまず、実際にRPAが投入される現場での業務プロセスのヒアリングを実施し、その上で、RPAの導入によってプロセスがどう変わるか、どれくらいの成果(=費用対効果)が見込めるかの可視化を入念に行いました。結果、この業務においては、別のシステムから基幹システムに手作業でデータを転記したり、システム間の値の整合性チェックしたりするといった無駄な作業が多いことがわかりました。これを完全に自動化できればかなりの効率化が期待できることから、RPAを導入する価値があると判断したのです」
岡「当時、受発注申請の精査は10人くらいのチームで行っていたのですが、繁忙期には全メンバーが一日中チェックし続けても終わらないほどの分量があり、それ以外の業務を全くできないような状態に陥っていました。これを解決するのがスタッフ一同の悲願でしたね」
この後、RPA推進センター主導のもと、約1年かけて2018年7月に待望の受注申請精査の自動化ロボットが完成。その成果はすぐに発揮され、精査にかかる時間や人員を低減することができていると言う。そして、この成功を聞きつけた柿沼が、岡らの取り組みに合流。社内横断の展開体制を立ち上げ、懸案となっていた手入力の自動化などの機能を向上させ、さらにこれをNECソリューションイノベータ全体に拡げていくことになった。
柿沼「この際、心がけたのは、一気に他事業部、支社に展開するのではなく、丁寧に説明しながら段階的に利用組織を増やしていくことでした。当時のRPAは、まだ出てきたばかりの新技術でしたから現場の不安も小さくありません。そこで、すでに運用実績を誇っていた岡さんと一緒に現場を訪ね、導入のメリットをアピールして回りました。1日に複数拠点を訪問するというハードスケジュールで巡ることもあったのですが(笑)、きちんと対面で説明することにこだわりました。そして、そうしたからこそ現場の細かなニーズを拾っていけたのだと考えています」
具体的には2019年2月から、柿沼、岡、そして岡の上司の3名が、現場とシステムのコミュニケーションドライバとなり、RPA未導入の事業部門や支社を直接巡回。RPAを導入するメリットの説明や、現場個別のニーズや課題のヒアリングをして巡りながら、夏ごろには段階的に受注申請精査ロボットの運用をスタートさせた。また、それと並行して、手入力の自動化ロボットや、業務システムからデータを抽出して資料を作るロボットなど、多数のロボットの開発も推進。プロジェクト開始時は約2,000名のエンタープライズ事業部門向けの取り組みだったRPAの導入が、その2年後(2021年夏ごろ)には、NECソリューションイノベータのほぼ全ての部門で使われるツールとして、約12,000名の社員に受け入れられるまでに及んでいる。
なお、そのロボット開発においては将来的な全社展開を見据えて業務側のプロセスを標準化し、汎用的な構成のロボットを設計。そうすることで部署ごとの作業の違いを吸収しやすくし、ロボットを1から手直しするよりも少ない手間で横展開できるようにした。さらに本プロジェクトでは、ロボットの台数が増えることで増加する運用者の手間を代行するためのロボットも開発。いわば「ロボットを運用するロボット」を導入することでさらなる効率化を実現している。
また、ロボット導入の進行に合わせて、各支社での稼働状況や成果をBIツール「Tableau」を用いて情報公開・共有したことも導入意欲の喚起や不安の解消に功奏したと言う。
今後さらに機能強化を進め、入力レスな受発注プロセスをスタンダードにしたい
現在、各業務ラインでの受発注業務からその精査などまで、NECソリューションイノベータ全社で幅広く活用されるようになったRPA。その具体的な成果について柿沼は次のように説明する。

柿沼「それまで手作業で行われていた受注業務の平均エントリー作業時間は1件あたり約48分、精査業務の作業時間が1件あたり約10分かかっています。年間約120,000件の取引のうち、これまでにエントリー作業が年間16,000件、精査業務は年間約60,000件にRPAを適用するところまできました。もちろん、それぞれの作業には人間のチェックを必要なものとして残している部分があり、全ての作業を削減できたわけではないのですが、それを勘案しても約20,000時間の削減効果はあったと考えています」
なお、RPA推進センターがRPA導入によって生み出した削減効果はグループ全体で年間約250,000時間と発表されている。そのうち、約20,000時間が今回の取り組みによって生み出されたことからも、その成果の大きさがうかがい知れるのではないだろうか。なお、柿沼は、約20,000時間の作業時間削減に加え、各担当者が、他の業務もある中で受注データを正確にエントリーしなければならないという心理的なプレッシャーからの解放や、ルールに基づく入力やチェックにより精査時の否認件数が削減されたこと、ロボットによる自動化で作業の漏れが減ったことも、数字に表れないRPAならではの大きな成果だと強調する。
柿沼「もちろん、RPAの活用はこれで終わりではありません。今後はまだ自動化できていない領域にもRPAを使えるよう、適用範囲を拡大していき、入力レスなプロセスをNECソリューションイノベータのスタンダードにしていきたいと考えています。また、『NES Project RISE』も約3年の活動を経て、2022年に『NES Project RISE 2.0』へと進化。2030年ビジョンや第I期中期経営計画の実現を目指し、さらに活動を加速させるべく、全体像をアップデートしています。」

※取材は感染対策を徹底して実施しております
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NECソリューションイノベータは、2022年1月、経済産業省指針に基づくDX認定を取得しました。
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