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健康経営
自社DXサービスを用いた健康促進イベント
参加社員
約1000名の完遂率
78.1
%
デジタル技術を駆使し
未来を可視化した健康経営で
社員の「心身の健康」をサポート

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データと事例から見る
DX障壁の超え方
昨今、社会全体で大きなムーブメントとなっている「Well-being」という考え方。これは、直訳すると「満たされた状態」「幸せな状態」を意味し、“社員”はもちろん、“組織”や“会社”、それぞれにおけるWell-beingが一体となりビジネスを推進していくことが、今後の企業のあるべき姿とされている。そうした中、NECソリューションイノベータは、同社ならではのデジタル技術を積極的に活用した「デジタルWell-being」を推進。ここではそれらの取り組みの中から、特に「心身のコンディション」を高めるための「健康経営」に向けた数々の施策について解説する。
- 課題
- 社員が、健康な状態で長く安心して働けるよう、健康セミナーや健康イベントなどで啓蒙してきたが、なかなか具体的な生活習慣改善に向けたアクションを起こせないでいた。
- 成果
- 四半期ごとに開催している『健康ミッションアプリ』を用いた健康促進イベントに、各回700〜1,000名の社員が参加。実に78.1%もの社員が、4週間にわたる長いイベントを最後までやり遂げ、生活習慣改善に向けた、具体的なアクションを継続できている。
社員が心身共に健康であることは、ビジネスの上でも極めて重要
企業活動においてWell-beingを実現するための「健康経営」とは、「従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する」(経済産業省 ヘルスケア産業課『健康経営の推進について』より)と謳われる、新たな経営手法のこと。従来も「労働安全衛生法」のもと、年に1度の健康診断などが義務化されていたが、健康経営はそこからさらに一歩踏み込んだ、まさに「攻め」の健康管理と言えるだろう。

事業支援部長 丸山 一茂 氏
丸山「我々のようなICT企業は人材が全て。そして、優秀な人材に活躍してもらうには、その心身の健康維持・増進と、生き生きと働ける職場作りが何より大切です。しかし、日本全体がそうであるように、当社も社員の高齢化が進んでおりますし、昨今のテレワーク加速に伴って運動不足、コミュニケーション不足も顕在化してきています。そうした中で我々は、今いる社員にベストなコンディションで高いパフォーマンスを発揮して長く活躍してもらうことはもちろん、優秀な人材を新たに獲得するためにも、健康経営の推進が必要だと考えています」
こうNECソリューションイノベータの健康経営推進にかける思いを語るのは、同社がデジタルWell-beingを実現するために設立した「Well-beingタスクフォース」を主導し、主に心身の健康作り、コミュニケーション促進を担当する「事業支援部」の丸山一茂部長。NECソリューションイノベータでは以前から健康増進のためのセミナーなどを積極的に実施していたが、「一部の健康意識の高い方の参加にとどまっていたり、知識を身につけて終わりというか、なかなかその後の生活習慣の改善に向けたアクションへと繋がっていかないことが課題だった」と振り返る。
参加者の80%以上が効果を実感した『健康ミッションアプリ』
そこで丸山ら事業支援部は、NECソリューションイノベータらしいICTを用いた取り組みとして『健康ミッションアプリ』を開発。これは画面上に表示される「3000歩歩こう」などといったミッションをクリアしていくことで社員の健康活動を促そうというものだ。ミッションには直接的に運動を促すもののほか、朝に太陽の光を浴びてもらうために「青空の写真を撮ろう」、出歩いてもらうために「自動販売機の写真を撮ろう」など、間接的なアプローチからさまざまなバリエーションを用意。ミッションをクリアすると「コイン」を入手できるほか、ランキングなどで他の参加者と自分の成果を比較することもできる。
なお、『健康ミッションアプリ』は、NECソリューションイノベータがすでに社外向け、主に自治体などの課題解決ソリューションとして使われてきた『行動変容アプリ』をベースとして開発。その基本機能を応用することで短期でのサービス開始を実現できた。
丸山「2020年に最初のトライアルを実施し、良い手応えを感じたことから、翌年以降3カ月に1度、4週間の社内イベントというかたちで『健康ミッションアプリ』を用いた取り組みを定期開催しています。この際、特に工夫したのが、アプリを継続的に利用してもらうための施策でした。まずインセンティブの1つとして『コイン』を用意しましたが、これを換金したり、商品と交換したりという機能は持たせていません。社内の有識者から、コインにそうした価値を持たせるとコインを取得し換金すること自体が目的となってしまい、本来の目的であるイベント終了後も生活習慣改善の持続に繋がらない懸念があったためです。そこでこのアプリでは、コインは自身や参加チームのがんばりの指標としています。貯めたコインを使って社会貢献団体に寄付できる仕組みは用意していますが、個人が何か得するような仕組みはありません。ミッション達成によって自らの健康増進が実現することが何よりの報酬というわけです」
その上で、回を重ねるごとにミッションの内容を充実させてきた。例えば新型コロナウイルス感染症拡大による社内コミュニケーションの激減を受け、2022年には社内の会話を促すミッションを追加している。このミッションは別の参加者のアプリ画面に表示されるQRコードを読み取るとコイン取得となるため、これまで話をしたことのない社員同士でも、対面で繋がっていく効果があるという。実際、昼休みに本社オフィスで開催したQRコード交換会には社長をはじめ幹部も多数参加し、若手と幹部の交流や部門を越えた社内コミュニケーションがあちこちで生まれた。
また、特にコミュニケーション不足が心配される新型コロナウイルス感染症拡大以降入社した新入社員については、QRコードを読み取った際の獲得コインが倍になるという仕掛けも用意し、新人社員がいち早く社内に馴染めるようにもした。ユニークなものでは、いわゆる脳トレの一環として「夏の川柳」を投稿するというミッションも好評だったという。
こうした取り組みの工夫もあって、『健康ミッションアプリ』の利用者は、2023年度第3四半期までの3回で延べ2,300名強にまで拡大したと、丸山と共に『健康ミッションアプリ』の活用を推進する事業支援部主任、山本美緒は胸を張る。回ごとの数字では1,000名を超えることもあり、これはNECソリューションイノベータ全社員(約1万2,000名)の約8%に相当する数字だ。このアーリーアダプター層をさらに拡大し、より多くの社員、特に若手社員にアプリをインストールしてもらうことが今後の課題となる。

事業支援部 主任 山本 美緒 氏
山本「イベントでは事後に必ずアンケートを行っているのですが、直近の開催では『このアプリが生活習慣を変えるきっかけになりましたか?』という問いに82%もの利用者が『はい』と回答してくれました」
手応えを感じているのと同時に、今後の課題は、イベントが終わった後も行動を継続しようと思う利用者を増やしていくことだと改善すべき点も明白になってきている。
デジタルヘルスケアサービス『フォーネスビジュアス』とのシナジーでさらに健康経営を加速
さて、ここまで『健康ミッションアプリ』を中心とした事業支援部の取り組みを紹介してきたが、NECソリューションイノベータではそれ以外にもさまざまな健康経営に向けた取り組み、チャレンジを行っている。中でも象徴的なものが、デジタルヘルスケア事業推進室とNECソリューションイノベータの子会社であるフォーネスライフ社が共同で取り組んでいる、デジタルヘルスケアサービス『フォーネスビジュアス』の社内トライアルだろう。
『フォーネスビジュアス』は、AIによるシミュレーションと採血による検査で未来の健康状態を予測し、社員一人ひとりに気づきを与え、健康維持・増進の実践、継続をサポートするというサービスだ。
サービスメニューの1つであるフォーネスビジュアス検査サービスでは、少量の血液を採取し、そこに含まれる約7,000種の血中たんぱく質をフォーネスライフ社のバイオ技術を活用して解析することで、認知症、心筋梗塞、脳卒中、肺がんの疾病リスクを予測。さらにNECソリューションイノベータならではのAI技術を始めとするICTを駆使したソリューション『NEC 健診結果予測シミュレーション』や、運動、食事、睡眠、オーラルケア、メンタルケアなどの生活習慣フォロー機能を盛り込んだフォーネスビジュアスアプリや、保健師の資格を持つコンシェルジュの相談サービスとの組みあわせで、検査結果を踏まえた生活習慣改善を適切に進めることができるというサービスだ。
NECソリューションイノベータでは、これを社内にも提供し、健康経営の推進にも役立てようとしているのだが、時を同じくして進められていた『健康ミッションアプリ』の存在が、そこにシナジーを引き起こしたと、デジタルヘルスケア事業推進室<プロフェッショナル>近藤真史は言う。

デジタルヘルスケア事業推進室 <プロフェッショナル> 近藤 真史 氏
近藤「『フォーネスビジュアス』は2021年にNECソリューションイノベータのヘルスケア事業の主要サービスとしてローンチされ、すでに一部の企業、自治体や医療機関で導入されるなど、一定の評価を集めています。ただ、日々の生活習慣改善、行動変容という面では課題を抱えており、どうすればアプリを通じて提供する生活習慣改善メニューを日常生活の中で使い続けてもらえるかを悩んでいました。そうした中、『健康ミッションアプリ』が社内で盛り上がっているという話を聞きつけ、『フォーネスビジュアス』の生活習慣改善フォローのメニューとして「健康ミッション」のイベント開催機能を採り入れることで課題を解消できるのではないかと考えました」
「まだまだ課題は多い」、そう語る近藤だが、その目は希望に満ちている。社内向けの組織であるWell-beingタスクフォース(事業支援部)と、ヘルスケア事業推進部門であるデジタルヘルスケア事業推進室、そして『健康ミッションアプリ』のベースとなる『行動変容アプリ』を開発したエンタープライズ事業ラインプロダクトエンジニアリング事業部が手を取り合って、それぞれの目的達成に邁進できている姿に大いなる可能性を感じているという。
近藤「なお、『フォーネスビジュアス』の社内トライアルにはすでに800名近い社員が参加。現在はまだ効果検証をしている段階なのですが、最初のトライアルに参加した100名に対するアンケート結果では、<生活習慣病の重症化予防に関して改善の取り組みをした>と回答した人が検査前後で13%のプラス、ほか、癌検診の受診率向上など、多くのポジティブな成果が確認できています」
さらなるアップデートで社員がパフォーマンスを100%発揮できる環境を目指す
社外向けソリューションをベースに実現させた『健康ミッションアプリ』や、その成果を取り込んだ『フォーネスビジュアス』など、社内外に向けた取り組みを融合させるかたちで着実に健康経営を実現させているNECソリューションイノベータ。その成果について、山本は次のように語る。

山本「『プレゼンティズム(presenteeism)』という言葉をご存じでしょうか? これは経済産業省が健康経営の進捗具合を測る指標として推奨しているもので、出社してはいるものの、肩こりや腰痛、眼精疲労、女性なら生理痛などによって、本来の能力を100%発揮できていない状態によるロスを示したものです。そこで昨年末、アンケートというかたちでイベント前後のパフォーマンスを数値化して答えてもらったところ、イベント後の方が2〜3ポイント伸びていることが分かりました。特に、事前の回答結果が悪かった人ほど改善の伸び率が大きく、そうした人たちだけを抽出した集計では10ポイント近く伸びていたのです。アンケート自体は簡易的なものではあるのですが、生活習慣の改善に取り組んだり、仲間とのコミュニケーションを増やしたりすることが仕事のパフォーマンスにポジティブな影響を与えることは間違いないでしょう」
丸山「なお、『健康ミッションアプリ』のもう一つ特筆すべき成果として、離脱率が極めて低いということが挙げられます。イベントは四半期に一度、4週間にわたって行われるのですが、一般的に1カ月も続くようなイベントでは参加者の興味を引き続けることが難しく、参加者の継続率が数パーセント程度にまで落ち込むことが少なくありません。そうした中、『健康ミッションアプリ』では昨年末に行われた最新回では78.1%もの参加者が完走。これは一人で黙々とやるのではなく、仲間と一緒に楽しみながらやれる仕組みに工夫していったことが奏功しているのではないかと考えています」
もちろん、2023年度も『健康ミッションアプリ』を用いたNECソリューションイノベータの健康経営推進の取り組みは続いていく。ただし、イベント回数は四半期(3カ月)に1度から、半年に1度にあえてペースダウンさせた。1つのイベントで得た知見を、次のイベントにしっかりとフィードバックし、さらに精度の高い取り組みへとアップデートしていく。

※取材は感染対策を徹底して実施しております
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デジタル変革支援サービスは、DXの実現にむけたデジタル化ビジョンの策定と、目指す価値の実現・検証を行うサービスです。
当社のDXエンジニアがアイデアのプロトタイピングをおこない、お客様が実現したいことを見える形にします。やってみて、そこから学んで、またやってみる、アジャイル型でゴールを目指します。

NECソリューションイノベータは、2022年1月、経済産業省指針に基づくDX認定を取得しました。
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