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すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座

会計コラム・第1回
電子帳簿保存法による電子帳簿保存とは?経理部の生産性向上やテレワーク推進にも影響

  • リカさん、今帳簿管理はペーパーレス化が進んでいるようですね

  • 電子化すれば印刷のコストがかからないだけじゃなくて、保管も安全だし管理もしやすいから、この流れはどんどん加速するはずよ

  • 電子データなら離れた場所での情報共有も簡単だからテレワークにも向いていそうですね

  • そう、業務効率化にもつながるから、これからの時代にマッチしていると言えるわ

  • データの保存のしかたに決まりはあるんですか?

  • 「電子帳簿保存法」で規定されているわ
    近年スマホで撮影したデータが認められるなど、時代に合わせて変化しているから、電子化を検討するなら押さておいたほうがいいわね

  • なるほど
    もっとくわしく知りたいです!

  • それじゃあ、コラムで電子帳簿保存法や申請の方法についてくわしく解説していくわ

すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 会計コラム・第1回電子帳簿保存法による電子帳簿保存とは?経理部の生産性向上やテレワーク推進にも影響

従来、経理財務の業務は帳簿管理や証憑(しょうひょう)の仕訳など、書類ベースの業務が必須でした。しかし電子帳簿保存法の制定、普及につれて、徐々にペーパーレス化が進んでいます。しかしながら、すべての企業が電子化に対応しているとは限らず、これからペーパーレス化を本格導入する企業も少なくないでしょう。ここでは、今後ペーパーレス化を推し進める企業の経理担当者向けに、電子帳簿保存法と、電子帳簿保存を導入するメリットについて紹介します。

電子帳簿保存法とは?対象となる書類も紹介

1998年に制定された電子帳簿保存法。端的に言えば会計帳簿や証憑を電子データで保存することを認めた法律です。なお、電子帳簿保存法における会計帳簿や証憑とは国税関係の帳簿書類を指します。
従来、電子データは改ざんが容易であるため、保存方法として認められていませんでした。しかし、電子化が進むなかで経済界からの強い要望があり、電子帳簿保存法が成立しました。2005年には決算関係書類や帳簿など一部の書類を除いてスキャナによる保存が容認され、さらにその後、デジタルカメラやスマートフォンなどで撮影したデータも容認されるなど、制定後も時代の変化に対応する形で緩和が進んでいます。

電子帳簿保存法の対象となる会計帳簿には次のようなものがあります。

  • 帳簿 仕訳帳・総勘定元帳・経費帳(任意選択)・売上帳(任意選択)など
  • 決算書類(国税関係書類)損益計算書、貸借対照表など
  • その他の種類 取引相手に交付する書類(見積書、請求書、領収書など)の控え

なお、複数ある帳簿のうち一部の帳簿のみを電子データによって保存する方法も可能です。ただし、電子保存する帳簿はそのすべてが電子データ化されなければならず、手書きと電子データの混在した帳簿は電子保存の対象となりません。

電子帳簿保存の保存方法や要件を解説

電子帳簿保存の保存方法

電子帳簿保存の保存方法は大きく2つです。

  • 電子データ保存 ハードディスクやサーバー、DVDやCD、もしくは磁気テープなどへの記録
  • スキャナによる保存 書類をスキャナで読み取ってからの保存のほか、スマートフォンやデジタルカメラなどを含む

ただし、仕訳帳、総勘定元帳など一定の帳簿、および貸借対照表や益計算書、棚卸表など一定の決算書類関係は対象外です。帳簿や決算関係書類以外の契約書、領収書、請求書、納品書などが対象になります。
2016年からはスキャナ対象書類の金額基準「3万円未満」が撤廃され、2017年からはスマートフォンによる撮影での電子ファイル化も認められています。

電子帳簿保存する場合の要件

続いて、電子データ保存で帳簿を保存する際に満たすべき要件を紹介します。要件は5つですが、そのうち最初の「1」と「2」は帳簿保存のみに対する要件です。帳簿は特に要件が厳格である点に注意します。

要件1 訂正・削除履歴の確保(帳簿のみ)

  • 記録事項の訂正・削除を行った場合の履歴内容を確認できること
  • 通常の業務処理期間を経過した後の入力履歴を確認できること

要件2 相互関連性の確保(帳簿のみ)

  • 電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間において、相互にその関連性を確認できること

要件3:関連書類などを備える

  • システム関係書類など(システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなど)を備え付けること

要件4:可視化(出力・目視)の確保

  • 保存場所に、電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できること

要件5:検索機能の確保

  • 取引年月日、勘定科目、取引金額その他のその帳簿の種類に応じた主要な記録項目により検索できること
  • 日付又は金額の範囲指定により検索できること
  • 二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること(※帳簿のみ)

※引用:国税庁 はじめませんか、帳簿書類の電子化!

電子帳簿保存と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「e-文書法」の関係について

電子帳簿保存と親和性が高いDX(デジタルトランスフォーメーション)、また関連性の高い「e-文書法」との関係について解説します。

電子帳簿保存とDXとの親和性

DXとは、デジタル技術による構造改革です。経理業務で、DXを推進するためのツールとして、「OCR」「RPA」などがあります。

  • OCR 手書き文字をデジタルデータ化する技術
  • RPA 定型的な業務を自動化する技術

例えば、電子帳票管理システムの導入によって証憑の自動読み込みが可能な「OCR」を活用すると、証憑を読み込めばそのまま「日付」「取引金額」「取引先名」「勘定科目」などの項目による証憑検索が可能になります。電子帳簿管理システムはWebサーバーやクラウドの活用で遠隔地からもアクセス可能ですので、読み込む場所も選びません。支店で読み込んだ証憑を本店側で確認することができます。現物証憑の到着を待つことなく業務を進められるので、タイムロスを生じずに承認処理が可能です。
業務の自動化が行える「RPA」も、電子帳簿管理システムとの親和性が高いです。RPAとは定型的業務の自動化であり、「Excelデータを出力」「出力したデータの内容をファイルに転記」「Excelの集計作業」「データのダウンロードやアップロード」などの作業を、設定すれば自動で行うことができます。
これらのDXを推進するためのツール類を活用することで、証憑の自動読み込みから電子化データの抽出や出力まで、幅広い業務の効率化が図れます。もちろん人の目によるチェックは随時必要です。また、内容的には今行っている作業の自動化であり、業務量そのものが減ったり変化したりするわけではありません。しかし効率化が図れるほか、自動化のためには手順やマニュアルの明確化が必須であるため、業務の属人化も軽減することが可能です。
経理部全体での業務効率化が進めば、経理人材は資金調達の必要性やコスト管理の提案、経理状況分析報告など、さらなる成長につながる業務に注力することができます。
このような効果が見込めるため、電子帳簿保存と一緒に証憑の自動読み込み(OCR)や業務の自動化(RPA)などのDXを推進するためのツールの活用も検討するといいでしょう。少なくとも電子帳簿保存を導入するのであれば、ローカルファイルでの管理では良さが活かされません。Webサーバーやクラウドの活用による情報の一元管理は導入したいところです。

e-文書法と電子帳簿保存法はどう違う?

「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の違いに悩んでいる人も多いかもしれません。「e-文書法」は、法人税法や会社法、証券取引法などで紙による原本保存が義務付けられている文書について、電子保存を認めるとした法律で、2005年に誕生しました。e-文書法が適用される法律は多くありますが、実際の電子化保存を行う場合の要件などは、各府省の府省令などで定められています。一方、電子帳簿保存法は国税庁が管轄する法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。
2005年の電子帳簿保存法改正は、この「e-文書法」に対応するもので、この改正により紙で保存しなければならなかった国税関係書類(決算関係書類を除く)に関し、スキャンした画像データを原本として保管することが可能になりました。

電子帳簿保存のメリットや適用を受けるための申請方法

電子帳簿保存のメリットをあらためて振り返るとともに、申請方法も見ていきましょう。

電子帳簿保存のメリット

電子帳簿保存を導入するメリットには、ペーパーレス化による印刷コストの削減や、保管スペースにかかるコストの削減があります。読みやすい状態のまま長期的に、安全な状態で保存することができます。また、紙ベースですと原則としてその場所でないと管理ができませんが、電子データ化することで遠隔地での情報共有が可能になります。電子データであれば検索性に優れているため、業務効率化にも寄与します。
さらに、テレワークが行いやすくなるため、コロナ禍のようなイレギュラーな事態でも業務を継続しやすいです。テレワークが導入できれば、「通勤が不要になり通勤ストレスが軽減」「介護や子育てによる時短勤務者も仕事がしやすくなる」など働き方改革にもつながります。

電子帳簿保存 申請の方法

所轄の税務署長などに適用届出書を提出します。手数料は不要ですが、「電子帳簿保存」「電子書類保存」「スキャナ保存」は別々の申請書です。提出期限はそれぞれ電子保存を開始する日の3カ月前までで、申請書類は国税庁のHPより入手可能です。
なお、領収書や見積書など「電子取引の開始」については税務署長への申請書は不要ですので、取引先との調整が重要になるでしょう。

電子帳簿保存をうまく導入すれば経理業務の効率化が進む

電子帳簿保存を行うことでペーパーレス化が進みます。ペーパーレス化だけでも印刷コストや保管スペースの削減効果はありますが、せっかく電子帳簿保存システムを導入するならば、業務の自動化ツールや管理システムなどの導入も検討したいところです。それによって「業務効率化」「テレワーク推進」「属人化の防止」などさまざまなメリットが得られます。
まずは、現状で課題に感じている部分から業務改善をしていくといいでしょう。改善によって日々の業務に余裕が生じれば、経理状況の分析を深く行うことができ、より効果的な経営戦略の立案ができるようになります。
SuperStream-NXは、電子帳簿保存法に対応したシステムですので、安心して電子帳簿化やDX化を進められるでしょう。

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