しょうわくん、今度ウチの会社の会計システムがSaaSに移行されるかもしれないわ
今検討が進んでいるみたい
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会計コラム・第13回
会計システムをSaaSに移行する?オンプレミス型と比べたメリットとは
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そうなれば社外からもアクセスできるようになるんですよね?
僕は大歓迎です! -
そうね、クラウドだから時間や場所の制限がなくなって、
リモートワークに適しているわね
SaaSにはその他にもたくさんのメリットがあるのよ -
例えばどんなことですか?
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アップデートやバックアップの手間が減るから、運用や管理の負担が軽減されるの
それにデータの連携も今よりもっとしやすくなるわ -
すごい!これまでと比べると相当便利になりそうですね
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ただ、ネット環境がないと使えなかったり、情報漏えいのリスクが高まるから注意は必要ね!
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なるほど!ウチも早く導入されないかな~
僕今からちょっと社長に掛け合ってきます! -
行っちゃった…
導入する際は必ず自社に必要な機能や使いやすさを検討してからシステムを選ぶことが大切よ
それじゃあ、今回はSaaS型の会計システムのメリットや移行時の注意点、会計システムの選び方についてお話するわ
最後までお見逃しなく!
すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 会計コラム・第13回会計システムをSaaSに移行する?オンプレミス型と比べたメリットとは
会計業務においては、販売、給与、ワークフローから集まってくる多種多様なデータを扱いながら、決められた期日までに作業をこなさなければなりません。従来、多くの企業では自社内でITインフラを構築するオンプレミス型で会計システムを導入することで、作業の多くを自動化し、経理部門の業務を大幅に効率化していました。
しかし最近は、ITインフラをクラウド化したSaaS型での会計システムへ移行している企業も増えてきました。SaaS型にするメリットはどこにあるのでしょうか。ここでは、会計システムの概要と、SaaS型へ移行するメリットと注意点、会計システムの選び方などについてご紹介します。
会計システムの機能
会計システムには、大きく分けて次の2つの機能があります。これは、オンプレミス型でもSaaS型でも同じです。
- 財務会計
- 管理会計
さらに、隣接領域として債権債務管理、資金管理、固定資産管理、購買管理などの機能があります。他の部門が管理する範囲でも、経理処理に関係があれば会計システムで取り扱っているからです。
財務会計機能
日常的な経理処理を行うほか、会計情報を整理して社外向けに公表する財務諸表を作成します。会計システムとしてはオーソドックスな、いわゆるメイン機能です。次のような機能があります。
- 日常的な伝票入力、自動仕訳
- データ連携による入力
- 会計帳簿の作成、各帳票の出力
- 試算表や財務諸表、決算書の自動作成
最近は、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿類を紙ではなく電子保存する、電子帳簿保存に対応したタイプも多いです。
管理会計機能
経営の意思決定のため社内向けの帳票を作成し、財務会計のデータを事業別、部門別、プロジェクト別などに分析する機能です。前年度との業績比較や、業績推移の表・グラフなどさまざまなレポートを作成できますが、種類は企業により異なります。管理会計機能は、次のような機能があります。
- 予実管理
- 経費管理
- データ分析・シミュレーション
また管理会計は財務データだけではなく、販売、人事データと合せて資料化するのが一般的です。
債権債務管理機能
支払手形や買掛金などの債務を管理する債務・支払管理機能と、債権の回収を管理する債権管理機能を組み合わせたものです。企業の「出金」と「入金」を管理するもので、それぞれ単独のシステムで構築される場合も多く、企業によって想定する運用が異なります。
債務・支払管理機能は、次のような機能に分けられます。
- 債務の評価
- 支払消込
- 支払分析
また、債権管理機能は、次のような機能に分けられます。
- 債権の一括管理
- 入金の消込
- 債権回収のサポート
上記のうち特に債権債務は、自社ニーズに合った機能があるか確認します。機能が不足するためにアドオンが必要になる場合は、SaaS型での移行が難しく、後述するIaaS型での移行を検討することになるでしょう。
SaaS型の会計システムへの移行
現状では、まだ自社内にITインフラを構築するオンプレミス型の会計システムを利用している企業も少なくありません。
しかし現在、会計システムをSaaS(Software as a Service)型へ移行する企業や、移行を検討している企業が増えています。SaaS型、つまりクラウドサービスとして提供されている会計システムにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
SaaS型のメリット
SaaS型には、オンプレミス型に比べて次のようなメリットがあります。
- 時間や場所を問わずにアクセスできる
インターネット経由でどこからでも作業でき、テレワークにも対応しやすくなります。
- 利用する端末を問わない
オフィスにあるPCだけでなく、スマートフォン、タブレットなどからも作業が可能です。
- 複数人で同時に利用できる
複数人が同時に操作・閲覧することが可能で、操作・閲覧する場所も選びません。そのため、スピーディーに情報共有ができます。
- コストは利用した分だけ支払う
機能や提供サービスごとにプラン料金が異なり、利用アカウント数に応じて利用料金を支払うのが一般的です。欲しい機能やアカウント数に応じた分だけ費用を支払うことになり、コストを最適化できます。
- アップデートやメンテナンスの手間がかからない
システムのアップデートやサーバーのメンテナンスは、システム開発元が行います。通常、迅速にアップデートが行われるため、法改正・税制改正などにも対応しやすいです。
- BCP対策にも有効
自社が災害や事故などの緊急事態に陥ってもデータが守られることに加え、テレワークやサテライトオフィスを活用することで業務を継続することが可能です。
- データ連携も可能
データ連携機能で銀行やクレジットカードのWeb明細、既存の給与計算システムや経費精算システムと連動し、入力の手間を最小限に抑えることができます。
SaaS型の注意点
- インターネット環境がないと使えない
SaaS型の会計システムはインターネット経由で利用するため、ユーザー側もインターネットにつながっていないと使えません。
- セキュリティに注意が必要
インターネットを経由する分、情報漏えいのリスクはオンプレミス型よりも高くなります。セキュリティツールの導入や二段階認証など、セキュリティの強化が必要です。
- ランニングコストがかかる
原則として導入時の費用だけですむオンプレミス型と異なり、SaaS型は毎月もしくは毎年、利用料金を払う必要があります。
会計システム移行時の注意点
- 導入時には、環境構築が必要
独自の取引や勘定科目の設定など、これまで使っていたシステムと同じような環境を整えるためには導入時に一定の手間がかかります。
- 導入時には教育が必要
これまでのシステムとは画面や操作体系が異なるので、導入時教育が必要になります。慣れるためにはある程度の時間も必要です。
多くの企業では、オンプレミス型の会計システムをSaaS型に切り替えることで大きなメリットを得ることができます。しかしトラブルも考えられますので、移行プロセスをしっかりと確認します。また、質問の回答を得るまでの平均時間、質問回数の上限はあるかなど、現場へのサポートが足りるかについても確認しましょう。
SaaS型以外のクラウド会計システムとは
SaaS型の会計システムは多くのメリットがありますが、カスタマイズできる範囲は限られます。
また、データ連携が十分にできないと、転記入力や確認など多くの作業が発生します。そのため、処理件数が多く、期限がタイトな運用が求められる企業ではソフトウエアをクラウドで提供するタイプのSaaSよりも、自社に合わせてシステムを構築できるIaaS(Infrastructure as a Service)が向いているでしょう。
IaaSでは、クラウドサーバー上のCPUやメモリ、ストレージなどを使って自由にシステムを構築でき、自社の要望に合わせて柔軟な設計が可能です。既存の給与計算システムや経費精算システムと連携するだけでなく、それらのシステムを統合したERP(統合基幹業務システム)を構築し、データを活用することも可能です。ただし、IaaSでシステムを構築するためには、資金と時間、そして十分なノウハウを持った人材が必要です。そのため、IaaSは中堅以上の企業に向いていると考えます。
ERPの会計システムとは
なかには、ERPの中に含まれている会計システムを活用しようと考えている企業もあるかもしれません。会計システムの刷新ではなく、ERPという形で導入するケースです。
ERP(Enterprise Resources Planning)は、統合基幹業務システム、基幹系情報システムなどともいいます。企業の基幹システムと情報システムを一元的に管理できるシステムです。ERPを使えばバックオフィス業務が一元管理されるため大きく効率化することができ、データもすべてのプロセスで連携できます。ERPは業務範囲が広いのがメリットですが、会計システム以外の機能も多く、IaaS同様、導入には多くの時間と費用がかかります。丁寧かつ総合的なサポートを提供できるベンダーを選ぶ必要があるでしょう。
自社に合った会計システムの選び方
システムを選ぶ基準には、自社の規模、業種、予算などさまざまなものがあります。まずは、自社に必要な会計システムはどんなものなのかをはっきりさせましょう。
選び方のポイント
- 必要な仕様を満たしているか
対応する端末やOSなどの動作環境や、ユーザー数や処理件数は問題ないか等を確認します。
- 必要な機能があるか
管理会計機能や債権債務管理機能、データ分析などはシステムによりカバーしている機能が異なります。「何ができるのか」「やりたいことが実現可能か」を確認しておきましょう。
- 使いやすさ
ITリテラシーにばらつきのある社員に使ってもらうには、見ただけで分かりやすいUIや、ユーザーを迷わせないような操作方法のシステムが必要です。
- 拡張性
導入時にどの程度のカスタマイズは可能かだけでなく、将来に備えてどのような拡張性があるかも確認しておきましょう。
- サポート体制
導入・運用・メンテナンスに関して、どの程度のサポートがあるか、オプションで追加のサポートを受けられるかを確認しておきます。
- 既存システムとの連携
既存のほかのシステムとの連携や、現在使用しているツールからのデータ移行は可能かどうかを確認します。
基幹システムと会計システムを同時に切り替える場合は
基幹業務を管理する基幹システムの切り替えと、会計システムの切り替えを同時に検討する場合もあります。しかし、これはトラブルが生じやすいので、できるだけタイミングをずらしましょう。2つ以上のシステム切り替えを同時に行うと、次のような問題が生じるためです。
- トラブルが発生しても、原因を切り分けしにくい
- 双方の整合性を保った要件定義がしにくい
- 試験結果の切り分けがしにくい
- これらの要素から、品質保証の難易度が高くなる
ただし、全体のシステムを統合したERPを構築するという場合は例外です。
会計システムの導入で経理業務の効率化と経営判断のスピードアップを図る
会計システムを導入することで、経理部門の業務を大きく効率化することができます。また、多様で高度なデータ分析により、経営判断のスピードアップも可能です。しかし、ひと口に会計システムと言っても、製品によりカバーする範囲は異なりますし、搭載している機能もさまざまです。自社に合った会計システムを選ぶためには、まず欲しい機能や会計システムの導入目的をはっきりさせましょう。そこからシステムを選択していくことで、自社に合ったシステムを選ぶことができるでしょう。
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