しょうわくん、「会社法」って知ってる?
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会計コラム・第4回
会社法とは?会社法の会計や取締役会議事録の電子化など、基本を確認しておこう
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会社について色々なことが定められている法律ですか…?
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それはそうなんだけど…
1円の資本金でも会社が設立できるようになったり、会社法が制定されて、これまでとは大きく変わったこともあるのよ -
それなら僕も知っています!
でも今の僕達の仕事には直接関係ないですよね? -
そんなことないわ
経理担当者は経営層のサポートをすることが多いでしょ?
会社法の観点から監査役などの機関や取締役会について知っておくことで、自分たちの業務の幅も広がっていくのよ -
確かにそうですね
会社全体のことをもっと理解しておくと会計の仕事にも役立ちそうです! -
今日は会社法について最新の情報を詳しく解説していくわね
経理の目線で役立つ情報が満載よ!
すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 会計コラム・第4回会社法とは?会社法の会計や取締役会議事録の電子化など、基本を確認しておこう
経理として数字と向き合い、コスト削減や経営戦略の立案を行う立場なら、経理以外の知識が必要になることもあるでしょう。キャリアを積んだ社会人、もしくは経理のスペシャリストとして、会社法の基本的な内容は知っておきたいものです。会社法の基本や会社法における会計の定義、また、取締役会議事録の電子化についても紹介します。
会社法とは?成り立ちや構成を紹介!
会社法は2006年5月1日に施行された、会社の設立、運営、仕組み、組織などについて幅広く定められた法律です。それまでは商法や有限会社法など、いくつかの法律に分散されていたものが「会社法」へと統合され、会社法の規定によって会社運営が大きく変わりました。代表的な例が「最低資本金制度」の撤廃でしょう。2006年以前の法律では株式会社の設立には最低1,000万円の資本金が必要とされていたのですが、新たな会社法ではそれが撤廃されました。法律上、資本金1円でも会社を設立することが可能になったことは、当時社会に大きなインパクトを与えました。
会社法では会計についても規定があります。会社法における会計は一般に「会社法会計」と呼ばれ、主な目的は株主及び債権者保護です。外部への情報開示が重要であるため、外部報告会計と呼ばれることもあります。ここで開示情報とすべきなのは資産や損益の状況であり、突き詰めれば「分配当可能利益の算定」です。なお、会社法の会計については「会社計算規則」で細かく規定されています。
経理財務のトップ層なら知っている最低限の知識
会社法について、経理財務のリーダーなら理解しておきたいもののひとつが「取締役会」やその決議方法です。というのも、経理とは「経営管理」が略された言葉であり、本来は経営資源(ヒト・モノ・カネ)の情報を的確に把握し、経営層の意思決定を助ける役割を担う存在です。経営層の意思決定を助けるために、経営層の意思決定機関である「取締役会」についても理解を深めておくべきと言えます。
会社法における取締役会とその他の機関
会社法では株式会社の種類や規模などに応じて、取締役会、監査役、会計監査人といった機関を定めています。各機関の役割を確認しましょう。
取締役と取締役会
取締役は株式会社の重要事項や方針を決定する権限を持つ機関です。取締役会設置会社では3名以上の取締役で取締役会を構成します。公開会社など一定の場合には取締役会の設置が必要です。
監査役と監査役会
監査役とは取締役等の職務の執行を監査する機関です。監査役会は3人以上の監査役で構成される監査機関で、監査方針の決定や監査報告書の作成などを行います。
会計監査人
会計監査人とは、会社の計算処理に関する監査を行う専門機関です。大規模な会社に設置義務があり、公認会計士・監査法人のみが会計監査人になることが可能です。
会計参与
取締役と共同して、貸借対照表や損益計算書等の計算書類等を作成する機関です。公認会計士・監査法人又は税理士・税理士法人のみが会計参与になることが可能です。
会社の機関は他にもありますし、複数の機関のうちどのような機関を設置するのかは、「公開会社か非公開会社か」「大企業か中小企業か」などによって規定が異なります。とはいえ、どの機関も目的や役割がはっきりしているため、違いを明確に理解しておきたいところです。
なお「株主総会」は、取締役・監査役の選解任、株式会社の組織運営等の重要事項等を決定する最高の意思決定機関であることも合わせて確認しておきましょう。
取締役会の役割や取締役会の決議
重要事項や方針を決定する権限を持つ取締役会について詳しく見ていきます。取締役会は会社の進むべき方向性を決定し、決定を実行する執行機関です。さらに執行のみならず執行事項のその後について調整、撤廃、監督への責務も負います。また、経営状況や財務諸表を作成し、株主に公にする義務も負います。それは、取締役は株主総会の決議によって選任されるためです。取締役会は株主からの委託を受けてその任に就いていると言えるため、説明責任もあわせて負うのです。
取締役会の決議方法も会社法で規定されており、会社法369条には「取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う」とあります。同じく369条には、決議の利害関係人は議決に加わることができないことや、取締役会の議事録を記録する旨も定められています。
取締役会議事録は、会社の意思決定が行われたことを正式に証明する書類のため、厳格な要件が必要です。そのため、取締役会議事録に記録すべき内容や署名についても規則で規定があります。
取締役会議事録の電子化について
会社法では、取締役会の議事録はその内容や作成方法も厳密に規定されていますが、コロナ禍によるリモートワーク促進の動きをうけ、議事録の電子化が従来よりも容易になりました。詳しく紹介します。
会社法369条4項とは
そもそも、会社法369条4項では、「法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置」をとらなければならないと定められています。
「署名又は記名押印」の具体的な代替措置は、事前に認証局により証明書の発行を受けた電子署名を利用するという、厳密なものと解釈されていました。それが2020年の法務省新解釈により、電子署名のハードルが下がりました。
取締役会議事録の電子署名 2020年の新解釈
2020年の法務省新解釈により、従来よりも取得しやすい「クラウド型電子署名」が取締役会議事録作成の電子署名として適法とされました。これにより電子署名の利便性が一気に向上しました。テレワーク加速の背景もあり、取締役会議事録電子化の普及が進むことが予測されます。
取締役会議事録の電子化が進めば、議事録作成後の印刷、郵送による各取締役の署名押印といった手間が削減できます。議事録完成までの時間コストも大幅に削減できることでしょう。
ただし、代表取締役選任のような登記申請を必要とする内容の決議が行われた場合、申請者の電子署名については従来どおりの要件が必要とされていますのでご注意ください。
例外もあるとはいえ、取締役会議事録の電子化は加速すると予想されます。取締役会議事録の電子化を行う際は、取締役会議事録だけでなく全社的に電子化を促進することも検討するとよいでしょう。電子化を推し進めることで、テレワークの促進や事業全体のスピード感を高める効果が期待できるからです。
日々の業務に関係!会社法等における会計基準とは?
会計は、大きく分けると制度会計と管理会計に分けられます。さらに制度会計は、財務会計と税務会計に分類できます。財務会計とは、会社法、金融商品取引法に基づき、決算書を作成するための会計であり、投資家に対して、会社の経済的な状況をあらわすことを目的としています。税務会計は、法人税法などの税法に基づいて、税務申告を主目的として実施する会計のことです。
目的に応じて基準に違いがあるため、日本の会計基準は広く「一般に公正妥当な企業会計の慣行」とされ、互いに調整しながら日々の会計業務を行っているのです。
さらに近年はグローバル化が進んだことで、会計基準の国際化が進んでいます。国際的な会計基準には、アメリカで採用されている「米国会計基準」やEU域内上場企業で適用が義務付けられている「IFRS(国際財務報告基準)」などがあり、日本の会計基準もこれらに寄せる動きがあります。会計基準は今後も変化が予想されますので動向に注意しておきたい部分です。
経理財務のスペシャリストは会社法についても理解を深めよう
会社法と会計の関係はビジネスパーソンとして理解しておきたい知識です。さらに経営層の意思決定をサポートする経理担当としては、会社法上の機関や取締役会についても基本的な知識を有しておくといいでしょう。知識の幅を広げることで、自らの業務にも厚みを持たせていけるでしょう。また会社法や会計基準は日々変わっていきます。一度得た知識は定期的にアップデートして、状況の変化に対応していきましょう。
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