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会計コラム・第15回
連結決算を行うメリットとは?課題解決と効率化の方法について解説
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そうなんです…
今年から個別決算から連結決算に移行したじゃないですか?
今、ちょうど連結財務諸表の作成に追われまして… -
子会社や関連会社の状況を全部まとめて、ひとつのグループ企業として
決算するのよね
やっぱり大変…? -
子会社から書類を集めたり、たくさんの担当者と連携を取らなきゃいけなかったり、これまで以上にやることが多くて…
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しかも連結決算書類って、必ず監査を受ける必要があるのよね?
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ひぃ~!それじゃあ、ミスは絶対に許されないって事ですか!?
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いや、ミスはどんな時もダメでしょ…
でも連結決算にはメリットもたくさんあるのよ -
どんなことですか…?
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まず、グループの実態が把握しやすいから、金融機関からの融資が受けやすくなるわ
それにグループ企業間での不正の防止にもなるわね -
なるほど!
グループ全体の経営状況が明らかになれば、もっと広い視野で経営戦略が立てられるようになるかもしれませんね!
もっと詳しく知りたいです! -
よ~し、それじゃあ今回はあらためて連結決算について解説するわね!
メリット・デメリットだけじゃなく、起こりがちな課題と解決のポインも解説するので、最後までお見逃しなく!
すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 会計コラム・第15回連結決算を行うメリットとは?課題解決と効率化の方法について解説
市場のグローバル化に伴い、企業会計も国際会計基準への統合が進んで久しいですが、あらためて個別決算と連結決算について整理してみたいと思います。また一方で、個別決算から連結決算への移行を検討しながらも、なかなか新たな体制づくりが進まないという企業も少なくないようです。今回は連結会計と連結決算の定義を紹介するとともに、実施のメリット・デメリット、課題解決に向けた取り組み方法を解説していきます。
連結決算とは?
連結決算とは親会社および子会社、海外支社を含めたグループ全体を単一の組織体として決算を行うことを意味するものです。また、連結決算では、企業グループ全体の貸借対照表や損益計算書を連結財務諸表として公開します。連結決算に必要となる主な書類は次のとおりです。
- 連結貸借対照表
- 連結損益計算書
- 連結株主資本等計算書
- 連結キャッシュフロー計算書
- セグメント情報
- 注記情報(セグメント情報以外)
連結決算ではグループ内の会社間取引は利益から除かれるため、財務の透明性が増し、株主に対し適切な投資情報の提供が可能になります。なお、IFRS(国際財務報告基準)では連結決算での開示が基本とされているため、特に海外市場に進出する、もしくは検討している企業は、IFRSに準拠した連結決算の開示が必須となります。
連結決算を実現する連結会計
連結決算を実現するための会計手法である「連結会計」とは、会計処理のなかでも、子会社や関連会社のある上場企業もしくは資本金5億円以上の非上場企業が行う会計処理です。
財務会計基準機構による企業会計基準委員会では、原則として「同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、親会社及び子会社が採用する会計方針は、原則として統一しなければならない」としています。
つまり連結会計では、グループ内の、会計方針・会計処理のフローや勘定科目の統一が重要です。また、「グループ内債権・債務」「グループ内取引の収益と費用」などの相殺も必要となります。連結決算を行わない場合、決算直前に親会社が子会社に在庫を買い取らせるといったことで、うわべだけ収益を上げることも可能です。しかし、連結決算ではそれらができず、そのような見せかけだけの増益をすることはできません。
連結決算を行うメリット・デメリット
連結決算を行うメリット
連結決算を行う主なメリットは、「正確な経営情報の把握」「不正の防止・早期発見」「事業展開の根拠となる」の3点です。それぞれについて簡単に解説します。
- 正確な経営情報の把握
連結決算の実施により、企業グループ全体にわたる経営状況の網羅的な把握が可能です。その結果、総合的な視野でグループ戦略の立案が行えるようになります。
- 不正の防止・早期発見
仮に子会社が不正会計をしたとしても、連結決算を行えば、不正の早期発見が可能です。また、連結決算を行うことが抑止力となり不正を未然に防げる可能性が高まり、内部統制の強化にもつながるでしょう。
- 事業展開の根拠となる
財務の透明性強化により、金融機関からの融資が有利になるにも大きなメリットです。スピーディーな事業展開を行えるようになり、競合に対し先行できる可能性が高まります。先行できればそれだけで有利なポジションを得られるでしょう。
連結決算を行うデメリット
連結決算を行う主なデメリットは、「担当者の負担増」「監査を受ける必要が生じる」の2点です。それぞれについて簡単に解説します。
- 担当者の負担増
連結決算は、子会社や関連会社と密に連絡を取りながら作業を進めていかなくてはなりません。子会社、関連会社が多ければ多いほど、担当者の負担が増え、通常業務を行う時間を奪ってしまうのは大きなデメリットです。
- 監査を受ける必要が生じる
連結決算を行った際には、会社法444条4項により会計監査役及び会計監査人の監査を受ける必要があります。監査は、決算書類を作成してから定時株主総会開催までに受ける必要がありますので、決算にかかるスケジュールが厳しくなります。
連結決算効率化のポイントと課題
企業規模によっては、数十、数百の子会社、関連会社と連携しながら連結決算を行うケースもあります。ただでさえ、決算時は経理部門の負担が増加しがちなため、できる限り効率的に行っていかなければなりません。ここでは、連結決算で起こりがちな課題と解決のポイントを解説します。
親会社・子会社間のスケジュール調整
連結決算では、親会社が子会社の作成した財務諸表を収集し合算を行っていきます。そのため、いつまでに提出できるのかといった子会社のスケジュールを把握していないといつまでたっても合算業務を行えません。解決のポイントは、親会社と子会社双方の経理担当者が事前に打ち合わせ、スケジュール調整を密に実施することです。子会社の数が多いほど手間も増えるため、早い段階からの調整が必要になります。
親会社・子会社間の取引の把握と会計処理の統一化
連結決算は、単純に子会社から収集した財務諸表を合算するだけではなく、項目によっては正しい数値を算出するための連結修正仕訳が必要です。これを財務諸表がそろうまで待ってから始めると、かなりの手間と時間を要してしまいます。解決のポイントは、連結修正仕訳に向けた事前の集計作業の実施です。親会社と子会社の取引を把握し、債権債務や収益、損益連結の集計を事前に行っておけば、効率的に合算が進みます。また、子会社によって会計処理の手続きに必要な項目がバラバラだと、連結決算時に手違いや認識違い、矛盾などが発生してしまいます。普段から項目の統一を図ることが重要です。
海外子会社との会計処理の統一化
国内の子会社の場合、会計処理の項目は比較的容易に統一を行えます。しかし、海外子会社の場合、言語・通貨・フローなどの違いにより、会計方針や会計処理の統一は簡単ではありません。日本独自の考え方である棚卸資産、有価証券の評価方法、固定資産の減価償却方法等については、海外子会社との統一がなされなくともよいとされています。しかし、「のれんの償却」「退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理」「研究開発費の支出時費用処理」「投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価」など一定の項目は修正すべきとされているため、統一する項目、しなくてもよい項目の把握が必要です。ルールが変化することも考えられるため、常に情報を収集しておくことも重要です。
連結会計システムの導入で解決すること
連結決算をより効率的に進めるには、連結会計システムの導入がおすすめです。具体的には、次の課題解決が実現します。
子会社情報の効率的な収集
連結会計システムの利用によりデータ連携を行えば、子会社の個別会計で確定した決算データを収集することが可能です。また、集計が自動化されるため、連結財務諸表作成の負担軽減も実現します。さらに必要なデータの迅速な入手にもつながり、データを経営分析に活用しやすくなるでしょう。
会計処理の標準化
ほとんどの会計処理が標準化されます。そのため、会計業務の属人化解消につながりますし、事業所別に処理にばらつきがあった場合に、スムーズにやり方を統一させることが可能です。担当者不在、異動、もしくは退職といった人材の流出によって業務が滞ってしまうリスク解消につながるでしょう。
法定監査に対応
会計基準の変更にも迅速に対応できるため、法定監査・内部統制への対応が効率的に実現できるようになります。
海外子会社との連結決算の効率化実現
多言語対応・外貨対応のシステムならば、海外子会社と、会計方針・会計処理の統一化がしやすくなるでしょう。すでに海外子会社がある企業はもちろん、今後海外子会社を持つ可能性がある企業も、多言語対応・外貨対応のシステムの選択をおすすめします。
企業の信頼性を高める連結会計への移行
連結会計は個別決算における問題点をなくし、社会に対して透明性の高い決算内容を開示する会計手法です。
一方で連結決算においては、子会社の会計情報を収集し、煩雑な集計をする必要があります。監査に対応できる連結決算を実施していくためには、連結会計システムの導入が有効な手段です。
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