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会計コラム・第6回
管理会計とは?財務会計との違いとメリット、管理会計システムも紹介

  • リカさん、最近「管理会計」って言葉をよく耳にしますね

  • しょうわくん、いい所に目を付けたわね
    社外用の財務会計だけじゃなくて、これからは社内の業績を把握して評価するための管理会計は経理にとって、とても大切な仕事になるわ

  • 経営管理に役立つ情報を提供することは、企業の発展に欠かせないですもんね!

  • その通り!
    これからの経営にはスピーディーな判断が求められるし、パンデミックのようなイレギュラーな事態にも的確に対応しなくてはいけなくなるわ

  • その時に具体的な判断材料になるのが管理会計というわけですね!

  • じゃあ今日は管理会計について、そのメリットや具体例についてコラムで詳しく解説していくわ
    経理だけじゃなくてこれからの経営に役立つ情報が満載だから最後までお見逃しなく!

すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 会計コラム・第6回管理会計とは?財務会計との違いとメリット、管理会計システムも紹介

経理は記帳や月次決算など、日々会計業務を行っていきます。そのなかで、会社では「会計=財務会計」になりがちです。財務会計は経営状況を外部に開示する重要な会計です。しかし会社の会計には財務会計のみならず、管理会計もあります。管理会計は自社の方向性を決定する場合に有益な会計であり、利益を出せる経営を行うためにも必要なものです。日々の会計業務のなかで、意識したい「管理会計」について紹介します。

管理会計とは

管理会計の概要から見ていきます。

管理会計とは

管理会計とは企業会計の一種です。主に経営者の意思決定を助けるための会計情報で、経営者は管理会計上の情報をもとに組織内部の業績把握、評価、コスト削減などを的確に行うことができます。管理会計は内部向けの会計情報ですので、行うかどうかは会社の任意です。しかし、会社の「安全性」「収益性」「生産性」「成長性」などを判断できるため、経営を正しい方向に導くためには行った方が有益でしょう。
会社経営においては「売上」や「仕入」、社員への「未払金」や固定資産の「償却費」など、さまざまな数字が日々発生しています。それらの数値を分析するには、収集したデータを使える形に加工する作業が必要です。こうした作業と分析が管理会計といっていいでしょう。

管理会計と財務会計の違い

財務会計と管理会計には、次のような違いがあります。

財務会計
主に外部報告を目的として行うものです。投資家が会社を評価、比較する際にも重要な情報なので、法令等により共通のルール(会計基準)が設けられています。また、作成する書類の種類も「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」などのように定められています。財務会計の会計基準に沿った数値や書類であるため、経営の意思決定にはこれだけでは不十分な側面があります。

管理会計
経営の意思決定のために内部で閲覧するものです。作成する書類に定めはありませんし、自社にとって作成しやすい形式で問題ありません。ただし有益なものにするためには、自社で「何を分析したいのか」を明確にしたうえで、作成ルールを整備するのが望ましいでしょう。また、経営状況は刻々と変化するため、スピード感を持って行うことも必要と言えます。

管理会計の重要性が増している背景

管理会計の重要性が増している背景を2つの視点から説明します。

1:経営にスピード感を出すため

IT技術の進歩により、社会や経済のグローバル化は進んでいます。遠い国で起きた出来事が即座に日本のビジネスに影響するといったように、ビジネス環境は目まぐるしく変化します。国際的な競争力をつけるためにはスピード感を持った経営が必要です。また、競争力を強めて会社規模が大きくなれば、「買収」「海外展開」「新規事業立ち上げ」など、投資判断を迫られる場面も増えてくるでしょう。
管理会計は経営判断の迅速化に役立つと同時に、さまざまな切り口で数値を把握できるため、会社規模が大きくなっても客観的で的確な経営判断が可能です。

2:イレギュラーな事態に対応するため

管理会計は、不況時や不測の事態の際にも役立てることが可能です。例えば新型コロナウイルスのようなイレギュラーな事態によって一時的に減益が見込まれる場合に、経営への影響、減益にどこまで耐えられるかなどを予測しやすくなります。
では、一例として「予算管理」を行った場合に期待できる効果を考えてみます。「予算」について、管理会計では単に期首に予算を設定するだけでなく、その経過の分析も行います。数字の進捗を月次で確認すれば、状況が良くない場合は即座にテコ入れが可能ですし、一定期間ごとに実績を分析、評価することで今後に生かすこともできます。期中に予算の見直しをすることもあるでしょう。年単位の評価をすることも大切ではあるものの、月単位で実績を比較&評価することで経営状況と意思決定のタイムラグを最小限に抑えることができます。必要な時期に必要な対策を取れるようになるでしょう。

管理会計の具体例とメリット

国際競争力を高めたり、イレギュラーな事態において的確な判断をしたりするための判断材料になる管理会計。では、どのようにそれらを分析していくのでしょうか。具体例とそのメリットを見ていきます。

セグメント分析

一般的に、会社規模が大きくなるほど、対象の数値の種類と数は増えていき、分析の難易度は高くなります。そうした膨大な情報を、さまざまな切り口で分析するのがセグメント分析です。例えばサービス別、部門別、製品や製造工程別などのセグメントに分けて会計情報を分析します。セグメント分析には次のようなメリットが期待できます。

  • セグメントごとに分析することで、細かい単位で売上、原価、利益などを把握が可能になり、戦略を立てる材料になる
  • セグメントごとの情報を作成、共有することで、経営者のみならず各セグメントの責任者や関係者も業務上の課題や改善点を意識できる
  • 同種のセグメント間で比較することにより、各セグメントにおける経営活動上の課題や成果が明確化する

セグメント分析例1:製品分析

製品分析は、セグメント分析の代表的な分析例のひとつです。複数の製品を製造している場合、製品ごとに分析することで各製品がどれだけ「売れているのか」「利益を出しているのか」などを把握できます。具体的には製品ごとに以下のような数字を見ていきます。

  • 受注や売上
  • 販売先
  • 費用と利益
  • 売掛金
  • 棚卸資産

セグメント分析は「製品Aは売上が大きいが棚卸資産も多い。さらに売上時期を分析し、需要に応じて販売できるようになった」「製品Bは、売上はそう多くないが利益率が高い。さらに現金収入が多く売掛金が少ないので会社の資金力を高める」などのように役立てることができます。
また、時系列で推移を見ることでさらに深く分析することができます。「コンスタントに売上を得ていた製品Cが、先月から売上が落ちている」のように、いち早く問題を察知し、対応策を練ることもできるでしょう。

セグメント分析例2:プロジェクト分析

プロジェクト分析では、プロジェクトごとに収支や問題点を把握することが可能です。ここでいうプロジェクトでは、一般的にセグメント分析で使用する地域や部門などと違い、期間があるものを指します。プロジェクト分析では「売上」「原価」「予算」などの数字をプロジェクト単位で確認し、プロジェクトごとの進捗や損益を明らかにします。
プロジェクト分析の成功事例には次のようなものがあります。

  • 収益性の高いプロジェクトに注力することで、その分野で高い市場評価を得ることになった
  • 収益性が良くないプロジェクトの原因が原価高であることが分かり、コストの低い仕入先に変更することで収益性が上昇した
  • プロジェクトの労働生産性が低いことが分かり、工程削減に取り組んだ。結果的に労働生産性の向上だけでなく、従業員の働きやすさや満足度も向上した

製品分析やプロジェクト分析などの分析の手法にかかわらず、管理会計情報を現場と共有できるといいでしょう。それによって製造ラインの人員やプロジェクトメンバーも数字を意識して働くことができるだけでなく、経営陣により現場業務の変更が行われる場合に、意図を理解してもらいやすくなるでしょう。

管理会計を効率的に導入できる 管理会計システムとは

どの数字に注目しどう数字を組み合わせるか、どのようなセグメントで分析するかなど、管理会計にルールはありません。さまざまな手法のなかから自社にとって最適な管理会計を行っていくうえで、会計システムが「管理会計に対応できる機能を有しているか」ということは重要な問題です。というのも、会計システムによっては項目が不足していてセグメント分析ができない場合がありますし、欲しいデータが分散していてデータ取得に時間がかかるケースもあり得るからです。
また、経営者が該当書類を見て経営判断を行うことが前提ですので、理解しやすい構成でなくてはなりません。そのため、数値を見やすく加工できるかどうかも重要です。
既存の会計システムで管理会計を行うのが難しい場合は、管理会計機能のあるシステムに移行する方法もあります。新しいシステムを導入する場合は、管理会計機能の豊富さに加え、自社システムから移行のしやすさや、現状のノウハウを生かせる柔軟性があるかなど複数の視点で選んでいきましょう。また、システム移行にかかるサポートも重視して選ぶことで、満足度の高いシステムが導入できるはずです。

管理会計を理解して経理の存在感を高めよう

財務会計とは違う視点で経営を見ていく「管理会計」は、経営において重要な存在です。普段の業務は財務会計に偏りがちですが、数字を生かすことが経理の本領とも言えます。とはいえ、月次決算や決算書などの財務会計の処理に追われ、管理会計にまで手が回らない経理部も少なくないことでしょう。そのような場合は、業務効率化が実現でき、かつ管理会計にも対応した会計システムを導入することで、無理なく経理の質を高めていってはいかがでしょう。
豊富な導入実績とノウハウのある「SuperStream-NX」は管理会計機能が充実しており、グラフや地図イメージを活用して数字を効果的に見せることも可能です。ご興味がございましたらお気軽にお問合せください。

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