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人事・総務コラム・第10回
リーダーシップとは?
マネジメントとの違い、論理や種類、リーダーに必要な能力などを解説

  • リカさん、リーダーシップってなんなんですかね…

  • どうしたの珍しく落ち込んだ顔して?

  • 今、忘年会の実行委員長を任されているんですけど、チームが全然上手くまとまらなくて…

  • なるほど…

  • やっぱり僕にはリーダーの素質がないんだと思います

  • でも最近は、リーダーシップは持って生まれた「資質」じゃなくて、あとから誰でも身に付けられる「能力」だって考え方が主流になってきているわ

  • 誰でも…あとから…
    本当ですか!?

  • リーダーシップにも色々な種類があるし、リーダーのタイプもひとつじゃないわ
    あなたに合ったリーダー像を目指せばいいのよ

  • なんだか僕にもできる気がしてきた
    よーし、もう一度やってやる!

  • 切り替えが早いわね…
    でもその前にまずはリーダーについてしっかりと勉強した方がいいわね
    リーダーの種類や必要な能力、戦略人事と関連性についてコラムにまとめているから、しっかりとチェックしてね!

すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 人事・総務コラム・第10回リーダーシップとは?
マネジメントとの違い、論理や種類、リーダーに必要な能力などを解説

リーダーシップはよく耳にする言葉です。しかしマネジメントとどう違うのかいうと、分からなくなってしまう人もいるのではないでしょうか。ここではリーダーシップの概要やマネジメントとの違い、論理や種類、リーダーに必要な能力について解説します。

リーダーシップとは?

リーダーシップとは、目標に向かってチームを導き、引っ張っていく力のことです。これまで「リーダーシップは先天的な資質」と考えられていました。しかし近年、「あとからでも身に付けられる能力」という考えが主流になっています。つまり、リーダーシップはいつからでも身に付けられるのです。

リーダーシップとマネジメントの違い

オーストリアの経営学者ピーター・ドラッカーの著書『マネジメント』からマネジメントについて見ていきましょう。同書によるとマネジメントとは、仕組みや道具によって成果を生み出す組織を運営することと定義されています。つまり、マネージャーはそうした組織を管理・運営する人物といえるのです。
また、マネジメントは組織開発に有効といえます。組織開発とは、企業の課題解決に向けた取り組みで、OD(Organization Development)とも呼ばれるもの。戦略人事のひとつで、社員エンゲージメントの向上を目指した施策の実施、良い風土や人間関係を生む環境づくりなどを実施します。

では、ここで改めてリーダーシップとマネジメントの違いを見てみましょう。

  • リーダーシップ:「目的に向かう進路をつくり、そこに向かって組織を引っ張る」
  • マネジメント:「目的を達成できる環境をつくる」

代表的な4つのリーダーシップ論

リーダーシップ論は数多く存在します。そのなかから代表的な4つの理論を紹介しましょう。

特性理論

特性理論とは、「リーダーが持つ資質は何か」を探す理論です。そうして探し出した要素をもとに優れたリーダーを見つけ出します。分かりやすくいえば特性を把握する方向性の理論です。しかし「その特性は抽象的すぎて把握が難しい」「その特性が本当にリーダーシップなのか」疑念が残りました。

行動理論(PM理論)

行動理論(PM理論)とは、優れたリーダーとされる人物が「どういう行動を取っているか」に焦点を当てた理論です。有名な理論が日本発の「PM理論」となります。
PM理論とは、リーダーシップは「P(パフォーマンス):目標達成や課題に関する機能」「M(メンテナンス):組織や対人関係を調整する機能」の2つに分かれると提唱したものです。PとMを使った4つの組み合わせによって下記のように変わります。

1.PM :「P(パフォーマンス):目標達成や課題に関する機能」「M(メンテナンス):組織や対人関係を調整する機能」ともに高いレベルで維持
2.Pm :「P(パフォーマンス):目標達成や課題に関する機能」は高いレベルだが、「M(メンテナンス):組織や対人関係を調整する機能」は弱い
3.pM :「P(パフォーマンス):目標達成や課題に関する機能」は弱い。「M(メンテナンス):組織や対人関係を調整する機能」を重視
4.pm :「P(パフォーマンス):目標達成や課題に関する機能」「M(メンテナンス):組織や対人関係を調整する機能」ともに弱い。
4つのなかでこの状態になるのは避けたほうがいいとされている

条件適合理論

条件適合理論とは、特性や行動といった「特定の要素」ではなく、「環境や周囲の人物といった、リーダーに影響を与える条件」に注目した理論です。リーダーシップはそのときの状況によって変わるとされています。

コンセプト理論

コンセプト理論は、状況によってさまざまなリーダーシップあります。代表的な5つを紹介しましょう。

  1. カリスマ型リーダーシップ:強烈なカリスマ性や能力によって発揮されるリーダーシップ。ただし、あまりにもひとりの力が強いため、「ひとりを頼りにしすぎて後継者やほか人材の自主性が育ちにくい」といった問題を抱える
  2. 変革型リーダーシップ:改革をもとに目標達成を目指すリーダーシップ。改革の前に「今どのようなリスクがあるのか」を提示して、危機感のもと人材の自主性を促す
  3. EQ型リーダーシップ:人材の気持ちに寄り添ったリーダーシップ。組織全体の意識向上が見込まれるうえ、人材もリーダーを慕うため、意欲的になりやすい
  4. ファシリテーション型リーダーシップ:ひとりが引っ張るのではなく、人材の意見を傾聴して引き出すリーダーシップ。人材は課題を「自分ごと」としてより一層とらえるため、自主的に行動する
  5. サーバント型リーダーシップ:最終決定はリーダーが実施するものの、過程においては人材のサポートに徹するリーダーシップ

リーダーシップの種類

続いて代表的なリーダーシップの種類を5つ紹介します。

コーチング型リーダー

コーチングといった方法で人材の能力を引き出すスタイルのため、人材の成長が見込まれます。しかしじっくり時間を掛けるため長期的な場面には向くものの、短期的な場面には向きにくいといったデメリットを持つのです。

関係重視型リーダー

人材と友好的に接し、良い関係を生み出していくスタイルです。ただし「友好的」を重視する点から対立を避けやすくなります。そのため組織そのものに課題が生じたとき、解決が進みにくくなってしまいます。

強制型リーダー

リーダーの方針を人材へ強制的に実行させるスタイルです。文字どおり強制するため反発も起きやすく、あまり推奨されません。しかし、災害といった大きな有事の際、効果的に働く場合もあります。

民主型リーダー

人材の意見を吸い上げて、それを課題解決に用いるスタイルです。全員の意見をできるだけ吸い出すものの、人材のレベルによっては改善が進まないときもあります。たとえば「その意見は良し悪しに関するもので、解決に向かう意見ではない」といったものです。

オーセンティックリーダーシップ

リーダー自身の価値観といった要素をもとに、人材を引っ張っていくスタイルです。

  • 自身の理解・コントロール
  • 向かう方向と行う目的が明確になっている
  • 自身の価値観を醸成している

などができているリーダーが持つリーダーシップとなります。近年、「今後に必要なリーダーシップ」として注目を浴びているスタイルです。

リーダーシップに必要な能力・資質

最後にリーダーシップに必要な能力・資質を4つ紹介しましょう。

目標やビジョンを設定する能力・資質

コーチングといった方法で人材の「将来的にどこへ向かうのか」目標やビジョンを設定する能力です。進むべき目的地が定まっていなければ、活動も迷走しやすくなるもの。それにより失敗してしまう可能性も高まるでしょう。
しかし、高すぎる目標ですと「自分たちにできるのか」「本当に達成できるのか」などから人材のモチベーションが下がります。「実現可能な目標に設定する」「マイルストーンにて短期目標も設定する」といった調整も必要です。
能力を引き出すスタイルのため、人材の成長が見込まれます。しかしじっくり時間を掛けるため長期的な場面には向くものの、短期的な場面には向きにくいといったデメリットを持つのです。

広い視野から見る、情報を集める能力・資質

下記3つのように異なる立ち位置から見ながら、情報を集める能力も必要となります。

  • 主観:自分自身の目線から見る立ち位置
  • 客観:想像や知識、期待といった自分が持つフィルターを外し、素の状態で見る立ち位置
  • 俯瞰:自分と周囲すべてを含む立ち位置。上から眺めるような全体像

これにより公平さが保たれるため、将来的なリスクの予知も可能になるのです。早くから情報を集めたり試行錯誤したりして、備えもつくれるでしょう。こうした能力は「全体の流れを把握する」「進捗管理」にも有効です。

伝える・傾聴する能力・資質

具体的には、下記の2つとなります。

  • 人材に漏れなく抜けなく正しく伝える能力
  • 人材の話や意見を否定せずじっくり聴く能力

「伝える・傾聴する」と、人材からの信頼が得られます。その理由は、下記のとおりです。

  • 適切に伝えられるため、「コミュニケーションコストがかからずやりやすい」と人材が感じる
  • 傾聴するため、「しっかり話しを聴いてくれる」と人材が安心感を持つ

自己を育て、コントロールする能力・資質

リーダー自身も育とうとする意識が必要となります。なぜならそれによって周りにも良い影響が与えられるからです。前述した「オーセンティックリーダーシップ」はまさにこれのこと。リーダー自身が持つ要素に周囲が共鳴するスタイルです。
また自己をコントロールできれば、突然のトラブル発生や正念場といった場面でも、組織を崩さずに進められます。

リーダーシップと戦略人事

リーダーシップは戦略人事と関連性があります。戦略人事とは、人事担当者が経営理念や事業戦略に沿う人事を進めて、経営資源であるヒトを通じ、経営戦略に参加するという考え方です。戦略人事によって人事の方向性が決まり、組織開発が進みます。


こうした戦略人事に欠かせない人材がHRBP。HRBPとは、戦略・策略・方略といったストラテジーにかかわる人事担当のことで、「Human Resource Business Partner」の略語です。HRBPにリーダーシップを持つ人物を抜擢すると、戦略人事の成功につながります。

リーダーシップは今からでも身に付く

リーダーシップは目標に向かってチームを導き、引っ張っていく力のこと。これまで「リーダーシップは先天的な資質」と考えられていました。しかし近年、「あとからでも身に付けられる能力」という考えが主流になっています。言い換えれば「誰でも身に付けられる能力」なのです。
リーダーシップによって組織活動は成功に近付くでしょう。今から学んでみたりさらなる実践を積んでみたりするのはいかがでしょうか。

NECソリューションイノベータでは、組織開発に貢献する統合HCM(Human Capital Management)システムPOSITIVEを提供しています。AI(人工知能)を活用し人材の最適配置を可能とするほか、人材との双方向コミュニケーションにより組織内の会話を活発化するWebサービスもあり、さまざまな活動をサポートします。

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