しょうわくん、人事に求められている役割でもある「組織開発」ってわかるかな?
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人事・総務コラム・第6回
組織開発は組織活性化に向けて人事に求められる新たな役割 人材開発との違いは?
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人材開発とは違うんですよね?
人事と組織…ちょっとピンとこないです -
人材開発の対象が社員個人であるのに対して、組織開発は社員同士の関係性や相互作用にスポットを当てて、組織全体で効果を上げることを目的としているの
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なんだか奥が深そうですね
でもそれも「戦略人事」の一環なんですよね!
僕は社員だけじゃなく、組織の課題にもアプローチしながら会社全体の発展に貢献していくつもりです! -
しょうわくん、すごいやる気…!
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そしていつか進化した人事としてウェビナーでプレゼンを…
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(結局そこか…)
では今回は人事に求められる新たな役割「組織開発」について、その定義や具体的な進め方について解説していきます!
すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 人事・総務コラム・第6回組織開発は組織活性化に向けて人事に求められる新たな役割 人材開発との違いは?
現代の人事には優秀な人材の獲得以外に、グローバルな人材の育成や管理職候補の選抜・強化、多様性のある働き方への支援や若手の即戦力化といった幅広い課題へのアプローチが求められています。こうした課題を解決する手法の一つとして注目されているのが、組織開発です。
しかし、まだ聞き慣れない言葉であるため、人材開発との違いが分からない人もいるでしょう。ここでは人事による組織開発についての基本的概念、具体的な施策や進め方を解説します。
組織開発とは
最初に組織開発の定義や特徴、実施のメリットについて解説しましょう。
組織開発の定義
組織開発は、OD(Organization Development)とも呼ばれる企業の課題解決に向けた取り組みで、定義はそのときどきで変わります。一般的には“組織内において当事者自らの手によって組織を良くしていく取り組み、そのための支援の実施”と、捉えられます。
人事担当者が経営戦略へ積極的にかかわる「戦略人事」のなかで、大きな役割の一つとして挙げられています。
組織開発ではコーチングや多様なリサーチによる情報収集、さらに行動科学の理論にもとづく施策を行い、組織としての効果性や健全性を高めていきます。組織運営の行程について計画的な働きかけを実施し、企業運営の安定と継続を目指すのです。
組織開発と人材開発の違い
組織開発と間違えられやすい言葉に、人材開発があります。いずれも人事分野にかかわる取り組みですが、人材開発の対象は個人です。研修や講習、OJTなどの教育を通じて、個々人のスキルや知識の向上を図ります。
一方、組織開発の対象は社員間における「関係性」や「相互作用」です。企業の課題について考える際、個人の問題のみでとらえず、個人と個人、グループやグループ間といったまとまりで考える必要があります。
このように人材開発と組織開発では対象が異なりますが、戦略人事における改革の実施では人材開発と組織開発を統括的に考えるケースも多く見られます。
組織開発を行うメリット
組織開発を行う大きなメリットに、通常の人事管理では対応できない課題へのアプローチがあります。
- 個人が組織に貢献できていない
- チーム力の欠如
- 職場の士気、モラルの低下
- 一体感の不足
上記のような問題が広く内在している場合、社員一人へのケアだけでは根本的な解決につながりません。適切な対応が遅れると、企業全体で帰属意識が薄弱になり、離職リスクの増大を招くでしょう。
組織開発では人間的な側面から課題に対してアプローチしながら、社員同士の関係性、社員と企業の関係性を向上させ、組織力を強化していきます。
組織開発の基本的な進め方
組織開発は組織の体制強化へと働きかける有効性の高い取り組みです。実際に進める際の基本ステップを解説しましょう。
最終目的の明確化
第一に、自社が組織開発によって何を達成したいのか、先にある目的を明確化します。
たとえば「社内の意見を活発化したい」「多様化する働き方で孤立しがち。意思の疎通が図れるようにしたい」「社員の帰属意識の薄れが懸念されている。エンゲージメントを強化したい」など具体性のある目的に対して、どのような状況になれば達成されたといえるのかを突き詰めていきます。
現状把握
目的に対しての問題点を具体化するため、客観的な視点から自社の現状を把握して分析します。アンケートや聞き取り、面談を通じて生の声を収集するほか、出社率・離職率・休暇取得率などあらゆるデータを参考にしていきます。
組織としての課題を設定
現状の把握によって確認された、社員間の関係性・コミュニケーションから課題を抽出します。課題解決で協働するチームメンバーや組織内でキーパーソンとなる人物と、現状・課題に関して情報を共有します。
課題解決に向けたアクション
課題解決に向けた具体的施策の取り組みを企画、実施していきます。実施前には検証方法の具体策についても話し合い、決めておくとよいでしょう。
実施ではいきなり組織全体に対して取り組むのではなく、小規模な取り組みから成果を重ねる方式が効果的です。試験的なアプローチでパイロットケースを作るほうが効果を検証しやすく、有効性を確認しやすいといえます。
効果検証・フィードバック
取り組みから一定期間を経て、成果の検証を行い客観的な評価を下していきます。成否を問わず、取り組み結果を関係者にフィードバックしながら、今後の策を検討します。
成功した施策の全社的展開
成功の確信が得られた施策では、成功事例の分析を行い、ポイントを整理します。規模を広げても効果が期待できるのかどうかが、次の展開へのカギとなるでしょう。
続けてマニュアルの設計、フィードバックや成果の共有の仕組みを設計し、現場が自律的に変革を推進できる環境を整備します。全社的展開が成功しても1度で満足せず、持続できる取り組みにする点が重要です。
組織開発の具体的なアクション例
組織開発は多くの企業が注目する取り組みです。成果をあげている企業が実施するアクション例を紹介します。
コーチング
個人の能力開発の手法として知られてきたコーチングは、組織開発でも有効策の一つです。質問や対話を重ねて、相手自らが答えや気付きを得られるようにサポートします。一般社員だけではなく、チームリーダーや経営層にまで広く活用できます。
フューチャーサーチ
社員だけでなく顧客や取引先など多様な利害関係者が一堂に会し、組織について議論します。ホールシステム・アプローチとも呼ばれる大規模集会的な手法で、一般的には3日間程度のカンファレンス形式で実施します。
複雑性の高い状況や困難な課題に対して、多様な意見を出し合って望ましい未来を探求します。そのため改善に向けて協働するきっかけとなります。
アクション・リサーチ
組織内の関係性、相互作用から生じる問題を調査やヒアリングによって可視化・分析する手法です。
課題解決のアクションを起こすために用い、問題解決に向けた行動計画の立案、実施、結果・影響の検証からさらに次の行動仮説をたてるといった流れをつくります。一連の実践をサイクル化するため、継続的な改善への取り組みが実現できるでしょう。
AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)
自社の強みに注目し、さらに強化していくための施策です。4つのDと呼ばれる「Discovery(発見)」「Dream(夢)」「Design(デザイン)」「Destiny(運命)」のサイクルを通じて、組織の価値を共有します。
探求によって自社の価値・潜在するポテンシャルを発見するため、社員の視野を広げられます。それにより社員は、前向きに課題改善へ取り組めるでしょう。
ワールドカフェ
カフェにいるようなリラックスした雰囲気のなかで進める自由対話から、話し合いを広げる手法です。少人数での対話やメンバーの入れ替えなど形にとらわれず、会話の発展性を重視します。
硬直しがちな企業の会議のイメージから離れ、相互理解やフレキシブルなアイデアの創出を図る場を提供します。それぞれの立場を超えて自社の課題解決を目指す一体感が、醸成されます。
人事の進化を示す組織開発
組織の硬直化や風通しの悪い職場は企業の活力を低下させ、衰退へと向かう原因を生み出すでしょう。組織開発はその打開策で、個人と組織双方の課題解決に踏み出すための力となります。人事部門には単なる人材管理の任にとどまらず、積極的に経営戦略に参加する戦略人事という役割が期待されています。
企業を内部から強化していくには、個人と個人、個人と組織の関係改善に着目していかなければなりません。組織開発を通して経営と働く現場をサポートし、企業発展に貢献できる人事部門としての進化が示されます。
NECソリューションイノベータでは、組織開発に貢献する統合HCM(Human Capital Management)システムPOSITIVEを提供しています。AI(人工知能)を活用し人材の最適配置を可能とするほか、社員との双方向コミュニケーションにより組織内の会話を活発化するウェブサービスなど、戦略人事の促進をサポートします。
組織開発をご検討の際には、ぜひ一度ご相談ください。