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人事・総務コラム・第3回
給与システム導入に向けて押さえておきたい基本知識と選定のポイント

  • リカさん、今年からいよいよ給与システムが電子化されますね!
    これで給与計算の効率もアップするし、ミスの心配もなくなるし、いいことづくめですね!

  • そうね
    楽になるのは単純な給与計算だけじゃないわ
    勤怠管理システムと連携させて複雑な給与計算も自動で処理できるようになったり、電子申請や年末調整ももっとスムーズになるのよ

  • そんなに色々なことができるんですか?
    それなら僕たちの仕事も一気に変わることになりますね!

  • 私達は使う側として、給与システムについて知っておかなきゃいけないことも多いわ

  • 他にもどんなことができるのか知りたいです
    給与システムについてもっと教えて下さい!

  • それじゃあ今回は給与システムの役割や種類、選び方のポイントを紹介するわね
    導入後に後悔しないためにもしっかりチェックしてね

すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 人事・総務コラム・第3回給与システム導入に向けて押さえておきたい基本知識と選定のポイント

社会保険電子申請の義務化や年末調整電子化の開始など、ペーパーレス化は着実に進んでいます。社員管理の方法にも、見直しの時期が来ているといえるでしょう。
これらの電子申請に大きく関連するのが、給与システム。今は単なる給与計算機能だけではなく、総務や人事といった部門の管理と連携するタイプも多く見られます。ここでは給与システムの基本情報に加え、選定する際のポイントや注意点を解説します。

給与システムとは

給与システムは、その名称どおり給与計算業務を容易にするツールです。しかし、給与システムの機能はそれにとどまりません。最初に給与システムの概要を解説します。

給与システムの役割

給与システムは、給与に関連する情報を統括的に管理する機能を持ちます。給与は企業と社員を結び付け、日々の業務のモチベーションにつながる重要な要素。しかし、社員が多くなるほど計算についての作業は煩雑となり、担当者の業務負担は大きくなります。
給与計算システムは、雇用形態に関わる情報や勤怠管理データなどから給与を自動的に計算します。毎月の給与計算の精度が向上するだけでなく、税金や控除額、年末調整の処理も簡略化するため、単純な計算ミスが減ります。このように社員の給与を始めとする金銭的な管理を、一括で行うのが給与システムです。

給与システム導入のメリット

給与システム導入によるメリットには、以下のようなものがあります。

  • 業務効率向上

給与関連の処理には給与や賞与だけではなく、社会保険の処理・更新、年末・年度末処理、明細書の発行といったさまざまな作業が関連します。給与システムにより、こうした煩雑な作業の多くが自動化され、人事担当者の業務負担が軽減します。
日々リアルタイムで処理が行われるため、月末に業務が集中するのを避けられます。社員の業務が平準化されるため、雇用計画も最適化するでしょう。

  • 人的ミスの減少

計算ミスや処理方法の間違いといった人的ミスが減少するため、確認や修正にかかる時間ロスが少なくなります。各種申請や手続きの際の不備もなくなるため、スムーズな事業運営に貢献するでしょう。

  • 税率・法律改正に即時対応可能

社会保険制度や税制・法律改正は、給与計算や年末調整などにも大きく影響を及ぼすもの。改正への適応は、企業としての社会的な信用に関わる重要事項です。給与システムではこれらの変更に対して即時対応するため、税率・法律改正への対応がスムーズに進みます。
労働基準法への対応という点に関しても、給与システムの導入が大きな役割を果たします。給与システムと勤怠管理システムとの連携により、つねに正確で不備・不正のない給与計算が可能になるのです。企業の責任に厳しい目が向けられる現代において、給与システムがもれのない業務処理をサポートします。

  • 関連書類や帳票のバックアップ・管理が容易

給与システムの導入により、紙ベースからデータへと移行します。保管場所の確保が必要だった関連書類・帳票を電子データでバックアップできるため、管理が容易になります。検索機能を使えば、いつでも瞬時に必要なデータが見つかるでしょう。

  • 電子申請への対応が容易

2020年より対象となる企業に対して、電子申請が義務化されました。また、年末調整の電子化も開始しています。給与システムを導入すると、これらの電子化への対応が容易になります。今後電子化の流れが加速し、対象となる企業も拡大していくと見られるため、給与システム導入への検討が求められるでしょう。


給与システムの種類

給与システムは以下の3つに分類されます。

  • 給与計算専門パッケージソフト

給与計算にのみ特化したパッケージソフトは、総合的なシステムと比較すると低価格で、また、導入も比較的容易です。給与関連の処理のみを効率化したい場合には、有効な手段でしょう。一方、ほか業務システムとの連携が悪い可能性もあります。

  • 人事・勤怠管理関連システムのサブシステム

すでに導入済みの人事・勤怠管理システムに、サブシステムとして給与システムを連携させるサービスもあります。各種経費データ、タイムカードのデータなどと関連付けできるため、経理業務の効率化を図れます。また、同系列のシステムであるためインターフェースが似通っており、社員も操作しやすいといえるでしょう。

  • ERP(基幹システム)のモジュール

通常、ERPには給与計算モジュールが組み込まれていますが、単体で提供しているサービスもあります。先に給与計算システムのみを導入し、必要に応じてパッケージを追加する方法も可能です。最初は最低限のコストで抑えながら、最終的に企業内のシステムを統合・体系化できます。

給与システムの主な機能

一般的に、給与システムで主体となっている機能について紹介しましょう。

給与計算機能

  • 月例給与の自動計算

社員・契約社員・パート・アルバイトなど、各雇用形態別での給与設定が可能です。勤怠管理システムとの連携により、出勤・欠勤日数や残業時間、休憩時間などのデータを自動で取り込んで給与計算へ反映できます。

  • 複数法人の給与計算機能

グループ会社、系列会社など、企業をまたぐ給与計算機能があります。

管理機能

給与に関連する書類や台帳管理が可能です。管理できる例は以下の通りです。

  • 給与に関する書類・台帳の管理
  • 賞与に関する書類・台帳の管理
  • 社会保険に関する書類・台帳の管理
  • 労働保険に関する書類・台帳の管理
  • 年末調整に関する書類・台帳の管理

給与システム選定におけるポイント

給与システム導入に向け、選定時に確認すべきポイントについて解説しましょう。

企業規模と導入目的の明確化

先に紹介したように給与システムには、いくつかのタイプがあります。導入に際しては、導入の目的と情報の用途を明確にしましょう。目的によって最低限の機能でよいか、拡張性のあるタイプが必要なのか、選択が変わります。
企業の社員数や拠点数、規模によって必要な処理能力が異なるため、業務効率の向上を重視した選択がよいでしょう。

製品ごとの対応範囲

同じ給与システムという名称でも、製品やサービスによって対応可能な業務範囲や処理能力は大きく違います。先にもあげた目的とのマッチングや業務効率向上に加え、法律への対応やコンプライアンスへの寄与といった企業運営への貢献を視野に入れた選択が重要です。
必須となる機能についてリスト化し、優先順位をつけて比較選定していくと冷静に判断できます。

既存システムとの連携

すでに導入済みのシステムとの連携可否も重要です。せっかく給与システムを導入しても、勤怠管理データが使えないのでは、作業効率が悪くなってしまいます。また「実際に操作する社員が使い易いと思うか」も重要です。習得まで時間を要さず、操作ミスの起こりにくい製品であるか、確認しましょう。

コスト

多機能であれば当然それだけ導入コストも大きくなるもの。選定の際は導入時のコストだけでなく、実際に運用した際のコストを加味し、トータル的な視点から費用対効果を図りましょう。
月額費用がかかる場合、たとえばサポートが含まれているのかも確認します。メンテナンスやトラブル時を始めとする追加費用の有無についても、確認しておきましょう。

セキュリティ対策

給与システムでは、もっとも機密性の高い個人情報や企業の内部情報を扱うため、高次元のセキュリティが求められます。情報漏えいや不正アクセスに対して万全なセキュリティ対策が備わっているシステムであるかは、絶対条件です。
アクセス制限やパスワード・アクセス管理、ログ解析機能など、どの程度のレベルのセキュリティが可能であるか、確認しましょう。

給与システム導入後の留意点

最後に給与システムを運用する際の留意点について、確認しましょう。

導入後は準備作業が必要

給与システムの導入後は、運用への準備作業が必要です。

  • 計算式の定義付け
  • データ入力
  • セキュリティ設定
  • 給与計算後の処理定義

導入後直ちに作業を開始できるよう、対応する人員の確定や各種設定における具体的な数値に関して確認しておきましょう。

操作時のルール徹底・習熟度の向上

給与システム担当者に対して、システムを扱う際のルールを徹底します。ルールについて不明点を残さず熟知できるよう、研修会といった場を設けてスムーズな運用を目指す必要があります。
毎月の給与計算操作だけではなく、申請提出時を想定した関連事項の確認も適宜実施します。年末・年度末など繁忙期にトラブルや不備を発生させないようにします。

社員への周知の有無

給与計算システムのみであれば、それを扱う部署内・会計事務所だけの共有でも問題はありません。しかし、給与明細の電子化を行う場合、社員へも周知が必要です。
給与システム導入によりウェブ閲覧が可能となる書類には、以下のようなものがあります。

  • 給与明細書
  • 賞与明細書
  • 源泉徴収票
  • 年調明細書
  • 標準報酬月額改定通知書

年末調整といった電子データが必要となる際に備えて、フォロー体制も整備しましょう。

給与システム導入でミスをなくし効率化向上を図る

給与計算は個々の社員や勤務状況の変化により、つねに微調整が求められる作業です。それだけに人為的なミスの発生する可能性も高く、場合によっては非常な労力がかかるでしょう。
給与システムでは単純な給与計算だけではなく、人事・勤怠管理システムとの連携により、さまざまな条件下で自動処理できます。また、保険関連の電子申請や年末調整時の控除申告などでも、スムーズな対応が可能です。導入を検討する際は自社の既存システムとの相性や連携、必要な機能を精査し、適切に選択しましょう。

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