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人事・総務コラム・第4回
戦略人事で企業競争力を強化する!求められる役割や実施のポイントを解説

  • しょうわくん、「戦略人事」って何のことだかわかる?

  • 経営者の戦略を実践するために行なう採用活動のことですか?

  • 似てるけどちょっと違うわね
    それはどちらかと言うと人事戦略に近い考え方で、戦略人事はそこから更に進んで、人事担当者が企業の理念や事業戦略を実現するために行なう人的マネジメント全般のことを指すの

  • なるほど…
    企業の間で人材獲得競争が年々激化してる今だからこそ必要なことかもしれませんね

  • 戦略人事を実施するためには、人事部門も自社の経営戦略を深く理解していなくてはならないし、自分の業務を通して経営戦略上の課題を解決するという意識を持つことが大事なのよ

  • 自分たちが当事者になって課題を解決していくなんてやりがいありそうです!

  • そうでしょ!
    今回は今話題の戦略人事について、その役割や実施のポイントをまとめているわ

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戦略人事は、日本ではまだあまりなじみのないことばです。しかし、世界の有力企業が導入を進めているため、注目されています。戦略人事とは、従来の人事部が持つ役割とは一線を画し、経営戦略を遂行して、目標の実現に向けた攻めの人事を行います。ここでは戦略人事の基本的な考え方やその役割、導入のメリットとポイントについて解説します。

戦略人事とは

戦略人事という考え方は、すでに米国企業などを中心に浸透しています。最初に戦略人事の基本的な考え方や従来の人事と人事戦略の違いについて解説しましょう。

戦略人事の概要

戦略人事とは、戦略的人的資源管理(Strategic Human Resources Management)を指します。1990年代に米国ミシガン大学の教授 デイビッド・ウルリッチにより提唱され、著書『MBAの人材戦略』にその概念がまとめられました。
人事分野の担当者が、企業の経営理念や事業戦略に沿うような戦略的人事を行って、経営資源であるヒトを通じ、経営戦略に参加するという考え方です。戦略人事では、人事が経営陣のパートナー的立ち位置にあるとされます。
これまで人事は、コア事業に対しての「支援」として役割を果たしてきました。そこから大きく踏み出し、「戦略部隊」となって企業の経営戦略に積極的に関わっていきます。人事にも経営者とともに、企業の競争力を高めるという意識が求められているのです。

人事戦略との違い

混同されがちなことばに「人事戦略」があります。従来の人事は、採用活動や労務管理、給与関連といった管理業務が中心であり、経営戦略を陰で支える仕事が主でした。
人事戦略は、採用・教育・労務オペレーションなど人事業務に関する改革案を策定するもので、優秀人材の獲得と育成、管理業務の効率化の向上を目的とします。人事戦略は人事分野において非常に重要な施策ですが、経営戦略へは間接的に寄与する立場です。

戦略人事のメリット

戦略人事の実施により、これまでの人事では得られなかった効果が期待されます。
経営戦略と人材マネジメントの融合によって、激しい市場競争の中で求められる経営戦略の各局面に最適な人事配置が可能となるでしょう。時節やプロジェクトの内容に従い、タイムリーで適切な人材活用が実現します。

戦略人事の役割

戦略人事に求められる具体的な機能を解説します。

HRBP(HRビジネスパートナー)

戦略人事の根幹をなす、もっとも重要な機能です。経営トップや戦略リーダーなど、事業の第一線のビジネスパートナーとしての役割を果たします。
経営トップの意図を理解し、人材や組織に関するニーズに応えていくのです。一方、人事として現場で働く社員とその現状についての把握も必要です。各部署に足を運び、状況を的確にとらえながら円滑なマネジメントを目指します。経営と人事の両輪をつなぐ役割を負いつつ、経営課題に貢献する人事を実施していきます。


OD&TD(組織開発&タレント開発)

ODはOrganization Development、TDはTalent Developmentの頭文字を取ったものです。
組織開発は単なる組織構築ではなく、企業理念や経営方針を社員へ浸透させながら、戦略を効果的に実施できる組織づくりを指します。組織の潜在的な課題を表面化し、個人やチーム、組織全体の相互的な作用により改善できるように企業力を強化していくのです。
タレント開発では、個人の知識やスキル、資質・人間力を踏まえながら、戦略実現のための人材マネジメントを実施していきます。企業戦略におけるプロジェクトを実行可能とする管理職の育成も、その一環です。


CoE(センター・オブ・エクセレンス)

エクセレンスとは卓越・優秀といった意味を持つ言葉となり、人事のプロフェッショナルとして高いスキルを発揮し、経営トップを支えていきます。人事領域にて、経営戦略に貢献できる施策の実施が望まれます。

OPs(オペレーションズ)

オペレーションとは給与計算や労務管理、異動の手続きや入社事務、退社処理といった人事における基本業務のこと。OPsを正確性、効率性をもって処理できる能力は戦略人事においても基本スキルとなり、現場の仕事に精通していなければ現実的な施策を打てません。

戦略人事実施のポイント

戦略人事を企業運営で実施する際、留意すべき重要なポイントを解説します。

企業理念・経営戦略への深い理解

戦略人事では、人事担当者がビジネスパートナーとして経営トップやプロジェクトリーダーと意識をすり合わせます。そのため経営陣と同じ目線で、これまで以上に大きな視点からの課題解決が求められるのです。
現場の状況を把握し、喫緊の課題に対応しつつも、短期・中期・長期的な戦略への思考が必要です。経営サポートではなく事業運営の継続・発展を視野に、積極的かつアグレッシブな意見をも持たなければなりません。

経営者の視点を人事に融合

人事のエキスパートとしての知見をよりどころに、経営計画に基づく人材戦略の立案を実施します。人事の枠を越え、各部署との協働を図りながら、適材適所な配置や将来を視野に入れた育成の推進も重要です。
チームや一般社員から情報を収集し、人事からボトムアップで経営戦略へ提案するといったように、新機軸の動きとなる可能性も高いといえます。

アセスメント活用による客観的な評価

戦略人事で効果を生み出すには、人材に対するバイアスのない評価が必要です。業務への適性や遂行能力、ストレス耐性などを数値的、具体的な基準に基づいて客観的に可視化していきます。社員に関する信頼性の高い資料を作成すると説得性が増し、戦略人事の各施策において的確な判断が可能となるのです。

現場との信頼関係構築

戦略人事では経営視点を有しながらも、ヒトを相手にする人事の本分を忘れないようにする必要があります。経営側に傾き過ぎるあまり現場の声が入らなくなってしまうと、各方面からの施策に対する協力が得られにくくなるでしょう。

「人事として社員とコミュニケーションを取る」「公正な評価」「能力に見合った配置」などにより、現場との協働意識の下で信頼関係を構築していきます。社内全体に対して戦略人事への理解を求め、組織開発につなげましょう。

NECソリューションイノベータでは、企業経営に貢献する戦略的人事を支援する統合HCM(Human Capital Management)システムPOSITIVEを提供しています。POSITIVEでは、AI(人工知能)を活用し人材の最適配置を可能とするほか、人事分野の多岐にわたる業務をサポートするのです。
戦略人事における人事エキスパートの活動を容易にし、ビジネスパートナーという新たな役割に邁進するための心強いプラットフォームとなるでしょう。戦略的人材マネジメントの実施に向け、ぜひ一度ご相談ください。

戦略人事は経営戦略に紐付けされる攻めの人事

社員の管理といった従来の人事に対するイメージが根強く残る日本企業では、戦略人事の導入を進めにくい現実があります。カギとなるのは、競争の激化や経営環境の激変が続くなか、最重要リソースである人材をいかに賢く活用していけるかどうか。
人事が経営戦略に積極的に参画すると、企業競争力を強化できます。これからの時代を勝ち抜くためにも、戦略人事を導入するかどうか、検討してみてはいかがでしょうか。

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