今度ウチの会社で新しい人事考課制度が採用になりましたね
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人事・総務コラム・第9回
人事考課とは一体何?用いられる項目3つ、起きやすいエラーと対策を解説
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- 人事・総務コラム・第9回 人事考課とは一体何?用いられる項目3つ、起きやすいエラーと対策を解説
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会社の規模も大きくなってきたから、新しく評価基準を作り直したのね
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評価基準から「会社として何を大切にしているのか」や「どんな人材を求めているのか」がはっきりとわかって、自分の目標が立てやすかったです!
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そうね、人事考課は査定のためだけじゃなくて、組織全体の方向性を社員一人ひとりに浸透させるのにとても効果的なの
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「戦略人事」の一環ですね!
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その通り!でもデリケートな部分でもあるから、人事考課を行うには注意が必要よ
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確かに評価のされ方によって、仕事へのモチベーションって影響受けますもんね
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今回は人事考課に必要な項目や起こりがちなエラーについて解説するわ
適切に行うためのポイントもお伝えするので、最後までお見逃しなく!
すぐに役立つ!人事総務・経理コラム スーパー総務、岡本リカの人事・会計講座 人事・総務コラム・第9回人事考課とは一体何?用いられる項目3つ、起きやすいエラーと対策を解説
人事考課は何のために行われているのか、皆さんはご存じでしょうか。人事考課は、人事査定や適切な評価、社員のモチベーションや能力の向上、組織開発といったさまざまな目的のもと進められているのです。ここでは人事考課の概要や意味、用いられる項目、人事考課で起きやすいエラーやその対策などについて解説します。
人事考課とは?
人事考課とは、社員の実績や能力、態度などを評価することで、ほとんどの企業で導入されています。後述のとおり、さまざまな意味や目的を持つのです。
人事考課の意味や目的
それでは人事考課の意味や目的について、見ていきましょう。
査定に使う基準をつくる
人事考課は、人事査定のために行われます。具体的にいうと、昇進や賃金を決める際の基準にするのです。
社員の評価や育成、業績向上
人事考課は、公平かつ公正に社員を評価するために行うという目的もあります。そこで適切に評価されると、社員のモチベーションや能力もアップするのです。また、企業理念や経営計画にもとづいて評価基準を作成すれば、社員に「業務は何のために行うのか、何を重視するのか」が浸透していきます。その結果、社員は「目的の達成に近づくために取る行動」「決断の際、重視する点」などを明確にできるのです。こうした点から業績向上に結びつけていきます。
組織開発のため
組織開発とは、企業の課題解決に向けた取り組みです。OD(Organization Development)とも呼ばれ、戦略人事のひとつとなっています。たとえば社員エンゲージメントの向上を目指した施策の実施、良い風土や人間関係を生む環境づくりなどです。
戦略人事のため
戦略人事とは、人事担当者が経営理念や事業戦略に沿う人事を進めて、経営資源であるヒトを通じ、経営戦略に参加するという考え方です。戦略人事によって人事の方向性が決まり、組織開発が進みます。
戦略人事に欠かせないのがHRBPです。HRBPとは、戦略・策略・方略といったストラテジーにかかわる人事担当のことで、「Human Resource Business Partner」の略語となります。
人事考課で用いる項目3つ
それでは人事考課で用いる項目3つについて解説しましょう。
業績考課
業績考課とは、業績そのものとそこに至るプロセスを評価する項目です。人事考課の多くでMBOと呼ばれる目標管理制度を活用します。結果と過程双方を評価するため、社員は「自分のやったことだけでなく、取り組みも見ていてくれる」と企業に信頼感を持ちます。その結果、社員の積極性が高まりやすくなるのです。
能力考課
能力考課とは、下記の3つをもとに実施する人事考課のことです。
- 持っている能力や知識に対して評価する(保有能力)
- 能力や知識でどのような結果を得たのか、について評価する(発揮能力)
- 今後、開花すると見込まれる能力に対して評価する(潜在能力)
ただし、潜在能力は見える化できない点が多いです。そのため取り入れていない企業が多いとされています。
情意考課
情意考課とは、業務に対して「どのようなマインドを持ち、どういった方法で取り組んでいるのか」を評価する人事考課のことです。たとえば、協調性や責任性、規律性や積極性など。人間性を重視した評価といえば分かりやすいでしょう。
人事考課で生じるエラーの内容
人事考課の際、起こってしまうエラーがあります。一体どのような内容なのか見ていきましょう。
- 好き嫌いによる評価:考課者の好き嫌いで評価をしてしまう
- ハロー効果:突出して良い項目があると引きずられてほかも良い評価をつけてしまう
- 考課者の先入観による評価:「面談で聴いた話」「質問して得た内容」といった適切な情報にもとづかず考課をしてしまう
- 「~しすぎる」評価:厳しすぎるもしくは寛大すぎる評価
- 基準を無視した評価:たとえば「考課者が自身と被考課者を比較して評価してしまった」というもの。
これらは一部で、ほかにもさまざまなエラーがあります。なぜなら人と人が接する際、心理面でエラーが起きやすいからです。それは、つまり「人事考課にはエラーがつきもの」ということ。「人事考課ではエラーが起きる」とあらかじめ知っておけば、エラーを防ぐ方法についても考えていけるでしょう。
適切な人事考課を行うための方法4つ
最後に適切な人事考課を行うための方法を4つ解説します。
人事考課の評価基準を作成する際は、丁寧に
「評価基準が明確」であればあるほどエラーを防ぎやすくなります。なぜなら「どの内容と照らし合わせて見ていくのか」がはっきりするからです。ただし、意味の取り違えが起こりにくくなるよう、誰にでも分かりやすい項目にする必要があります。なお情意考課は好き嫌いが入りやすいため、要素を分解して基準を作成しましょう。たとえば「このような行動を取っていたら積極性がある」といったものです。これによって好き嫌いが入りにくくなるうえ、考課も明確になります。
人事考課における面談は定期的に
年度末に1回、上半期と下半期で1回ずつといったペースでは変化を見落としやすいもの。また、それにより適切な評価がしにくくなります。なぜなら「変化が分からず、結果だけを見てしまいがち」になるからです。人事考課における面談は月に1回くらいがよいでしょう。このくらいのペースなら小さな変化にも気づけるため、適切な評価につながります。
360度評価の導入
360度評価とは、上司だけでなく同僚やほか部署の社員、取引先といったさまざまな利害関係者による面談のこと。文字どおりあらゆる視点から評価を進めるため、かたよった視点を防げるうえ、良い点も多く見つかるのです。さまざまな面から評価されるため、社員は人事考課の結果に納得しやすくなるうえ、モチベーションも高まります。
考課者に研修を実施
下記のような内容を研修で考課者に学んでもらいましょう。ヒューマンエラーを防ぎやすくなります。
- ヒューマンエラーの内容や事例
- 「そもそも人事考課制度は何のためにあるのか」といった意味や役割の再確認
- 人事考課の模擬実践
しかし、あまりにも多く研修を受けさせすぎると、業務に影響が出てしまいます。「1泊で学べる」「週に1回決まった時間に行う」といった、考課者の負担にならず適切な内容が学べるような方法を探すとよいでしょう。
人事考課は査定や評価など幅広い分野に影響する
人事考課は、「査定に使う基準をつくる」「社員の評価や育成、業績向上」「組織開発」「戦略人事」といった目的のもとに行われます。人事考課によって適正な評価がなされれば、適切な人事査定になり、社員のモチベーションや生産性、業績の向上といった副次効果も見込めるのです。それにより組織の雰囲気も良くなるでしょう。しかし、人事考課ではヒューマンエラーが起きやすいものです。査定や評価など幅広い分野に影響する人事考課を適切に行うためにも、ヒューマンエラーへの正しい理解と対策が必要でしょう。
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