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人事・総務コラム・第12回
改めて知っておきたいOJTとは?メリットデメリット、やり方や手順まで全部解説

  • リカさん、僕今度OJTの担当になったんですよ!

  • すごいじゃない!やりがいあるわね!
    それは何?

  • これまで一生懸命書き溜めた僕の業務メモ全7冊です
    新人さんにはまず初めにこれをじっくりと読んでもらおうと思って

  • え…ちょっと、しょうわくん、これまでにOJTに関わったことある?

  • 今回が初めてですけど…?

  • OJTは闇雲にやっても上手くいかないことが多いわ
    育成のための計画や手順は事前に知っておいた方がいいかもね!

  • やっぱりそうですね…
    実際僕も何から手を付けていいのか、わからなくて困っていたんです

  • せっかく任されたんだから、教育手法や成功のポイントを
    学んでからでも遅くないんじゃない?

  • はい、やるからには後輩の役に立つOJT教育がしたいです!
    もっと詳しいこと教えてください

  • よし!じゃあ今回のコラムでは、OJTの手順やポイントについて詳細に解説するわね
    これを読めばOJTに必要なことがすべてわかるわ

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OJTは新しく入ってきた人材を育成する制度で、その言葉を耳にする状況も多いでしょう。そんな身近なOJTについて、概要、Off JTやメンター制度との違い、メリットやデメリット、手法や流れ、OJTを成功させるポイントなどを改めて解説します。

OJTとは?意味について

OJTとは、新入社員といった「新しく入ってきた人材」を育成する制度のことで、先輩や上司が仕事をしながら指導します。正式名称は「On The Job Training (オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」で頭文字を取ってOJTと呼びます。なかにはOJT研修と呼ぶ場合もあり、多くは3カ月~1年程度の期間で実施されます。
OJTで人材を育成して戦略人事に役立てます。戦略人事とは、人事担当者が経営理念や事業戦略に沿う人事を進めて、経営資源であるヒトを通じ、経営戦略に参加するという考え方のこと。戦略人事によって人事の方向性が決まり、組織開発が進みます。


戦略人事に欠かせない人材がHRBP。HRBPとは、戦略・策略・方略といったストラテジーにかかわる人事担当のことで、「Human Resource Business Partner」の略語です。


OJTとOff JTの違い

Off JTは、職場ではない場所で行う人材育成のことで、正式名称は「Off-The-Job Training」です。たとえば研修やセミナーへの参加、e-ラーニングなど。学びたい内容に集中できる環境のうえ、教える側は専門の人材なので、学習効果が高まりやすいです。対象者に学んで欲しい内容をピンポイントに学んでもらえます。

OJTとメンター制度の違い

メンター制度とは、教わる側の社員へ個別に指導者がつく人材育成制度です。メンター(教える側の社員)とメンティー(教わる側の社員)からなります。メンターの多くは先輩ですが、直属の上司や同じ部署の先輩でない場合がほとんどです。
メンター制度では「メンタリング」と呼ばれる1on1ミーティングをとおして、教わる側が自分で答えを見つけられるよう指導していきます。メンタリングでは、仕事関連だけでなくプライベートな内容も対象になります。

OJTのメリットとデメリット(問題点)

続いて OJTのメリットとデメリット(問題点)について解説しましょう。

OJTのメリット

教わる側は「誰に尋ねたらいいか」迷いませんし、コストをかけずに育成できます。また教わる側と教える側の関係が深まりやすくなるため、人間関係の構築に役立つのです。さらに教える側は「教えること」で仕事を復習できたりマネジメントスキルを学んだりできます。

OJTのデメリット(問題点)

「OJTの担当者だから」といって教える側に育成を任せきりにすると、問題が生じる場合もあります。なぜなら、教える側は自分の業務を進めながら教えているため、負担が大きくなりやすいからです。
教える側の負担を軽くするためには、「困ったとき上司に相談できる」「教えている期間だけ仕事量を減らす」といった仕組みも必要でしょう。
また、教わる内容は教える側のレベルに依存します。そのためにも「教える・伝える」「相手の話を聴く」というスキルを学ぶ適切な研修が必要です。

OJT教育の手法・流れ

続いてOJT教育の手法・流れについて解説します。

育成計画を立てる

まず、

  • 何のために教えるのか
  • 何を教えるのか
  • どのくらいの期間で教えるのか
  • 1日のうちどのくらいの時間を使うのか

といった内容を決めて、育成計画を立てます。その際教える側の社員ひとりだけでなく、上司やほかの同僚にも協力をあおぎましょう。教える社員ひとりだけでは負担が大きくつぶれてしまう可能性も考えられます。周囲もフォローする体制づくりが必要です。

やってみせる

教える際は、実際に業務をやってみせて、「どのように進めるのか」「どういった状態をゴールとするのか」を伝えます。座学だけでは分かりにくいので、実際に見てもらって「何となくでもいいから」内容をつかんでもらうのです。

説明する

そのあと業務内容そのものについて、意味や背景も含めながら改めて説明します。分からない内容があったら質問を受け付け、ゆっくり解説するのです。その際「分からないことがあったら気軽に聞いて」といったように、尋ねやすい雰囲気もつくっていきます。

やってもらう

そのあとは実際にやってみてもらいます。その際、可能な限りかんたんな業務にしましょう。たとえば「ミスをしてもフォローしやすい」「影響が少ない」業務などです。それにより何かあってもリカバリーできますし、教わる側のプレッシャーも少なくなります。

評価とフィードバック、追加指導

ひととおり終わったら「やってもらう」の内容について、評価・フィードバックを行います。その際課題や反省点だけでなく、良かった点もフィードバックしましょう。補足があればこの段階で教わる側に伝えます。

OJTを成功させるポイント

流れを見たところで、OJTを成功させるポイントについて解説します。

報連相で進捗を確認

「やってもらう」の途中で、教わる側に報連相(報告・連絡・相談)をしてもらい、「方向性がズレていないか」確認しましょう。ある程度進んでから修正するより、こまめにチェックしたほうがお互いの手間や負担は少ないです。
その際「分からない点があって業務が止まっている」といった問題はないかもチェックします。最初は誰でも「分からない」もの。もしかしたら「分からないがゆえに進まない」状態が発生しているかもしれません。
つまり「こまめにチェックして方向性が合っていたら引き続き指導し、方向性がズレていたら早めに修正」していくのです。

教える側の事前準備

教える側は事前に「業務内容や工程、やり方」「業務の意味」を振り返り、分かりやすく説明できるようにしておきましょう。また教わる側の成長によって指導が変えられるよう、段階に応じた業務を用意します。ミスを適切にフォローできるよう「ティーチング・コーチング」といった指導スキルの学習も必要です。
さらにこれまで行われたOJTに関する資料があれば目をとおしておきましょう。それによって事例を知っていけるため、OJTを進める際の参考になります。OJTで教える側になった社員から話を聴いて、「よくあるトラブルとその対処法」について知っておくのもよいでしょう。リスク管理が可能となります。

良いフィードバックを行うために

フィードバックの際は、下記の4つをおさえておきましょう。

  1. できた事柄
  2. キープしたほうがよい事柄
  3. 調整したほうがよい事柄
  4. 挑戦したほうがよい事柄

これによって教わる側は「自分をきちんと見てくれている」と安心感を持ちます。また相手の状態をよく観察し、適切な場面でフィードバックしましょう。たとえば疲れているときに指摘があると、モチベーションが下がりやすいもの。そういったときは「できた点を多く伝え、よく休むよう」促します。
また1度に多くではなく、ある程度マメにフィードバックしましょう。1度にたくさんのフィードバックを受けても忘れたり分からなくなったりしてしまいます。ゆっくり見返せるよう、ポイントをおさえた資料をわたすのもよいでしょう。

テレワークでのOJT

テレワークは対面と異なり、細かなニュアンスが伝わりにくいもの。そこでタスクを細分化して、「小さなタスク」を任せ、その点についてチェックやフィードバックを行います。それにより少しずつ学んでいけるでしょう。
「誰が読んでも理解できる、どんな場面にも対処できるような細かいOJTマニュアルをつくっておく」という方法もあります。これにより伝わりにくい場面はありつつも、可能な限り伝えていけるでしょう。
また雑談用のチャットスペースといった「仕事と関係のないスペース」をつくって、気軽に話せるようにします。OJTとはいえ、仕事の話ばかりでは教わる側も緊張が続いてしまうでしょう。雑談でお互いの関係をつくりながら、学べるようにしていくのです。
さらにテレワークでのOJTでも1度に多くではなく、ある程度マメにフィードバックします。こちらでもゆっくり見返せるよう、ポイントをおさえた資料をわたすとよいでしょう。

組織開発を意識する

組織開発とは、企業の課題解決に向けた取り組みで、OD(Organization Development)とも呼ばれる戦略人事のひとつです。たとえば社員エンゲージメントの向上を目指した施策の実施、良い風土や人間関係を生む環境づくりなど。こうした組織開発を意識すると、OJTのカリキュラムも今後に役立つものとなります。

OJTの成功はより良い人材育成と職場環境づくりを導く

OJTとは、新入社員といった「新しく入ってきた人材」を育成する制度のこと。先輩や上司が仕事をしながら指導する方法で、下記のようなメリットがあります。

  • 教える側は「教える」をとおして、業務を再確認したりマネジメントスキルを学んだりできる
  • 教わる側は緊張の少ない状態で業務を知っていける

このように双方にとって良い制度ですが、教える側の負担が大きくなりすぎないよう周りのフォローも必要です。OJTを成功させてより良い人材育成と職場環境づくりを進めてみてはいかがでしょう。

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