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取締役会とは?役割や流れ・株主総会との違いをわかりやすく解説
お役立ちコラム目次
取締役会は、企業の経営方針等の重要事項を決めるといった重要な役割を持つ機関です。取締役会が設置してあると、企業の信用性を高めることができるだけでなく、企業の重要な方針を決める際の迅速化に繋げることが可能です。
そこで本記事では、取締役会の理解をさらに深めるためにも具体的な役割やメリット・デメリットについて解説します。取締役会の設置を検討している方や、取締役会のあり方について再確認したい方はぜひ参考にしてみてください。
取締役会とは
取締役会とは、経営方針や業務方針など企業の今後に関わる重要事項についての意思決定を行う、株式会社に設置される機関のことです。取締役会は、代表取締役や専務取締役などの役員が組している機関で、主に企業内の上層部の人員によって構成されます。また、構成されるメンバーには株主総会で選任された3名以上の取締役が必要です。
基本的に、取締役会の設置は各企業の自由ではありますが、以下で例示するような企業の場合は会社法で設置が義務付けられています。
- 公開会社
株式の譲渡制限がない株式会社。 - 監査役会設置会社
監査役会(取締役の職務を監査する監査役で構成される機関)を設けている株式会社。
自社が当てはまるかを確認したうえで、取締役会の設置義務があるかどうかを把握しておきましょう。
取締役会と株主総会の違い
取締役会と合わせて知っておきたい用語に株主総会というものがあります。それぞれ重要事項について決議を取ることは同じですが、構成されるメンバーや決議事項に違いがあるため、以下の表を参考にそれぞれの違いを確認しておきましょう。
取締役会 | 株主総会 | |
---|---|---|
決議事項 |
以上のような取締役に一任できない重要事項が該当。 |
取締役会を設置している場合は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議が可能。
|
決議要件 |
以下2つの要件を満たす必要がある。
|
|
招集権者 |
基本は全ての取締役
|
原則は代表取締役 |
招集の手続き |
原則、取締役会が開催される日の1週間前までに行う。
|
原則、株主総会の2週間前までに招集通知を発する。 |
議事録の保管期間 |
10年間 |
10年間 |
それぞれにおける大きな違いは決議要件と招集権者です。決議要件は、株主総会の場合決議事項によって要件が変わってくるのに対して、取締役会の場合は“過半数の出席”と“出席者の過半数の賛成”で要件が満たされます。
また、招集権者については株主総会の場合だと、原則代表取締役にのみ招集権がありますが、取締役会の場合は取締役全員に招集権があります。
取締役会の役割
取締役会は、主に以下で示す3つの役割を持ち合わせています。
【取締役会の役割】
- 取締役会の権限が必要な意思決定の承認
- 代表取締役の選定・解職
- 取締役の職務執行を監督
重要事項のような取締役会の権限が必要な意思決定の承認や、一社員には取り扱うことのできない代表取締役に関する決定権、取締役の監督といった役割があります。全て会社法によって決められている内容となっているため、企業によって上記の内容が異なるといったことは原則ないです。
取締役会の権限が必要な業務執行の決定
業務執行とは、経営に関わる業務や事務処理のことを指します。業務執行の決定のように経営に関わる重要な事項については、取締役会の権限が無いと実行することができません。会社法では、先述した業務のことを“取締役に委任することができない業務”としており、それに該当する項目のことを以下の様に提示しています。
- 一重要な財産の処分及び譲受け
- 二多額の借財
- 三支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
- 四支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
- 五第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
- 六取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
- 七第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
引用:e-Gov第三百六十二条第四項
上記に該当する場合は取締役会で承認を得る必要があります。
代表取締役の選定・解職
代表取締役の選定・解職についても取締役会の役割です。代表取締役は、企業の経営や業務推進を行なう中心人物であり、代表取締役の業務内容次第では経営に大きな影響を与えます。
代表取締役の業務内容に問題等がある場合には、解職と新たな代表取締役の選定をする権限も持ち合わせており、取締役会の重要な役割です。これら2つの権限を持ち合わせていることを通じて、実質的に取締役会による代表取締役に対する監督が行われていると言えるでしょう。
取締役の職務執行を監督
取締役会は取締役の職務執行の監督を行う役割も持ちます。取締役会で決まった経営方針等に沿って業務を推進することは、代表取締役をはじめとした業務を執行する取締役の責務です。取締役の責務が適切に果たせているか、取締役会は取締役の職務執行を監督しなければいけません。
とはいえ、現実的に複数名いる取締役の業務について監督し続けることは難しいため、基本的には3ヶ月に一度行われる取締役会での報告内容をもとに、取締役が方針に基づいた業務に取り組めているかを判断します。
取締役会を設置するメリット
取締役会は、設置することで以下のようなメリットを享受することが可能です。
【取締役会の役割】
- 社会的な信用を得やすくなる
- 株主総会の承認が必要な事項を取締役会で決定できる
取締役会があることで、取締役や代表取締役が個人の判断で企業方針を決めるといったことができなくなり、さらに取締役会が各取締役を監督するため、外部からの信用が高くなります。
また、取締役会が設置されている場合には、株主総会の承認を得ずに重要事項等について決めることが可能です。企業の運営はスピード感も必要とされるため、この点は注目すべきメリットの一つと言えます。
社会的な信用を得やすくなる
取締役会の役割には、「代表取締役の選定・解職」「取締役の職務執行の監督」の2つがあります。これら2つの役割によって、取締役の業務を適切な方向性へ向かうように維持・修正することができるため、外部からの信用を得やすいのが特徴です。
また、取締役会を設置することによって社会的な信用を得ることで、融資を受けやすくなる可能性もあるでしょう。企業の高い信用は、株主に対してだけでなく銀行などにも良い影響を与えることを知っておくことが大切です。
株主総会の承認が必要な事項を取締役会で決定できる
取締役会が設置されている場合には、株主総会の承認が必要な事項(一定の事項を除きます)を取締役会で決議できます。これにより、企業はわざわざ株主総会を開かずとも重要事項を決議できるため、企業の経営等に関した重要事項に対する意思決定を迅速に行うことが可能です。
取締役会を設置するデメリット
取締役会を設置することで重要事項を迅速に決議できる点や、社会的信用を得やすくなるといったメリットがある一方で。以下のようなデメリットも存在します。
【取締役会の役割】
- 最低人数分の役員報酬が必要となる
- 書類作成などの負担がかかる
取締役会を設置するためには3名以上の取締役が必要となるため、その分だけ役員報酬が増えてしまいます。これにより、企業側の負担は増えてしまうでしょう。
また、取締役会には10年間の議事録保管義務があるのですが、この保管をしておく議事録を作成するのに手間がかかります。重要な会議なので議事録を作成するのは当たり前ですが、そういった業務的な負担が増えてしまう点はデメリットとして許容する必要があるでしょう。
最低人数分の役員報酬が必要となる
取締役会を設置すると、開催するのに最低でも3名以上の取締役が必要です。これにより、取締役の人数分だけ役員報酬が必要となってしまいます。取締役会を設置するのであれば、取締役を代表取締役だけにすることはできないため、最低人数分の役員報酬は許容する必要があるでしょう。
書類作成などの負担がかかる
取締役会は、年4回以上開催されるため、その分だけ書類作成が必要になります。議事録の作成はもちろんのこと、アジェンダや共有資料など作成しなくてはいけない書類は様々です。
重要事項を決議するからこそ、こういった資料作成は避けられない部分ではあるので、許容すべきデメリットとして考えておく必要はあるでしょう。また、作成だけでなく書類の保存についても、場所の確保や管理が必要です。作成後の管理や保存にかかる手間もあるので、その点まで見越して業務負担について把握しておくことが重要と言えます。
取締役会開催の流れ
続いては、実際に取締役会を開催する際の流れについて解説します。以下は取締役会の開催から議事録を作成するまでの流れです。
【取締役会開催の流れ】
-
招集通知を出す
-
議題作成
-
取締役会の開催
-
議事録の作成
招集通知を出す権限者や議事録の作成方法など、以降で細かい部分まで確認していきましょう。
①招集通知を出す
招集通知とは、取締役会の開催の連絡と合わせて参加を促す案内のことです。取締役会への招集は、取締役・監査役・株主が行なえます。
少なくとも3ヶ月に一度、年4回以上開催する必要があるため、それに合わせて決められた時期に開催するのが一般的です。そのため、招集の権利を持つ方が開催時期に合わせて招集通知を出します。
また、招集通知は取締役会の一週間前までに行わなければいけません。取り決めによっては3日前など短縮している場合もありますが、特に定めがない場合は一週間前までに通知するようにしましょう。
②議題作成
議題は会議のテーマを指しており、ここでは取締役会のテーマのことを意味します。議題はその時々によって異なり、株式に関する内容や代表取締役の選定といった内容のように重要事項のものもあれば、企業方針についての意思決定など様々です。
決議を議題とする場合には、取締役会に過半数の取締役の出席者が必要となります。そのため、出席者数についても確認しておきましょう。
③取締役会の開催
招集通知後、開催日になったら実際に取締役会を開催します。取締役会の議事進行については特別な決まりが無いため、通常の会議のように進めても問題ありません。
ただ基本的な部分として、取締役会では決議事項と報告事項の2つに分けて議事を構成します。決議事項が無い場合には議事に組み込まずに、報告事項だけを話し合うようにするのが一般的です。
ちなみに、決議事項は「取締役会の権限が必要な業務執行の決定」で取り上げているような重要事項等の決議が該当し、報告事項は代表取締役や業務執行取締役の執行状況の報告などが該当します。
④議事録の作成
取締役会では、議事録を必ず作成しなくてはいけません。作成した議事録には、出席した取締役・監査役の署名または押印をしてもらいましょう。
そして、作成した議事録は開催日から10年間保管しておいてください。10年間の保管については、登記上の会社の本拠地にあたる本店で保存しておかなければいけません。
また、保管する議事録は後から取締役や株主、債権者などが閲覧する可能性があるため、閲覧・コピーができるようにしておきましょう。
取締役会に関するよくある質問
取締役会の開催時期はいつ?
特に決まりはありません。ただし、3ヶ月に1回以上取締役による取締役会での報告という頻度の定めはあるため、それに基づいて開催時期を設定しましょう。
取締役会の開催場所はどこ?
取締役会の開催場所は特に決められていません。そのため、開催場所が決まったら招集通知で各参加者に場所の告知も行いましょう。
取締役会はオンラインでも問題ない?
取締役会はオンラインでの開催でも問題ありません。ただし、開催の際には参加者が分かる録画データや議事録を作成して保管しておくようにしましょう。
取締役会でペーパーレス会議システム「ConforMeeting」を活用するメリット
昨今のペーパーレス化やリモート化の流れによって、会議のオンライン化は注目を集めています。こういった流れに合わせて取締役会を効果的・効率的に運営したいと考える方には、ペーパーレス会議システム「ConforMeeting」がおすすめです。
「ConforMeeting」は取締役会に適したシステムで、以下のような特徴を持ち合わせています。
- 議論の活性化に繋がる
事前の議題把握や会議中の資料の先読み、過去資料の閲覧がシステム内で出来るため、理解促進に繋がるだけでなく議論の活性化にも繋がる。 - 会議における業務負担の軽減
簡単な資料登録によって、取締役会直前まで最新資料の更新が可能。事前に議事の登録ができるため、円滑な会議進行が可能で、会議進行における業務負担を軽減できる。 - 取締役会における議事録等の重要資料も安心して保管できるセキュリティ機能
サーバーで一元管理して端末にデータを残さないため、重要書類の取り扱いがあっても安心して利用できるシステムとなっている。
以上のように、システムを取り入れることでオンラインでの取締役会となったとしても、比較的効率よく取締役会を行うことが可能です。また、このシステムを導入しておけば社外取締役がどこからでも会議に参加することが可能であるため、外部の目によるチェックで経営の透明性を高めることにも繋げやすくなるでしょう。
取締役会の効率化やリモート化について検討している方は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
取締役会とは、経営方針や業務方針など企業の今後に関わる重要事項についての意思決定を行う、株式会社に設置される機関のことです。最低でも3人以上の取締役が必要、開催期間は少なくとも3ヶ月に1回で年に4回以上、議事録は10年間保管しなくてはいけない、といったように様々なことが会社法で決められている取締役会ですが、設置することで得られるメリットがいくつかあります。
例えば、設置することによって株主総会で承認が必要な事項を取締役会で決定できますし、設置によって信用を得やすくなります。以上のようなメリットに価値を感じる場合には、取締役会の設置を推奨します。
取締役会の設置によって発生する業務的な負担については、「ConforMeeting」を導入することで解決できる部分がありますので、これから設置を検討している方はぜひ「ConforMeeting」の導入も合わせて検討してみてください。