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クラウド型(SaaS)文書管理システム|メリットや選び方を解説
お役立ちコラム「文書管理システムの導入を検討しているけど、クラウド型(SaaS)は自社に適した選択なのだろうか?」
「導入にあたり、なじみのあるクラウド型を検討しているけど、機密情報もクラウドで管理して大丈夫?」
このように、クラウド型の文書管理システムについて前向きに検討しつつも、本当にオンプレミス型ではなくクラウド型で良いのか迷われていませんか?
結論からお伝えすると、文書管理システムの運用・管理をベンダー(提供事業者)側に任せたいのであれば、クラウド型がおすすめです。
クラウド型の場合、ベンダー側で適切に管理されている状態の文書管理システムをインターネットを介して利用でき、自社でシステムの運用・管理を担う必要が無いからです。
このため、自社でシステムを運用・管理するのが難しいなら、クラウド型に絞って選定を進めることで自社に合った文書管理システムの導入が叶うはずです。
ただ実は、”最適な”文書管理システムの導入のためには「文書管理システム」と銘打っているクラウドサービス以外にも目を向けることも大切です。
昨今のクラウドサービスは、分類が曖昧になってきており、以下のようなサービスで文書管理のサポートが可能だからです。
これらのクラウドサービスまで含めて検討することで、あなたの会社の課題やニーズに本当にマッチした文書管理システムを見つけられるはずです。
例えば、従業員が独自に作成した資料や知見を共有することで業務の属人化解消を狙っているのであれば、「社内wiki」と銘打っているサービスの中に最適なものが見つかる可能性もあります。
そこで今回は、クラウド型文書管理システムの基本を押さえた上で、さまざまなクラウドサービスも含めた中から最適な文書管理システムを選定できるように、以下の内容を解説します。
本記事の主な内容
- クラウド型の文書管理システムがおすすめなケースについて
- クラウド型文書管理システムのメリット・デメリット
- 文書管理システムの役割を持つその他のサービスについて
- 最適なクラウド型文書管理システムの選定手順
最後までお読みいただければ、あなたの会社にベストな文書管理システムの導入が叶い、理想的な文書管理が行えるようになるはずです。
早速読み進めていきましょう。
1. 運用・管理を任せたい場合はクラウド型(SaaS)の文書管理システムがおすすめ
クラウド型(SaaS)の文書管理システムは、システムの運用・管理をベンダーに任せたい場合におすすめです。
クラウド型では、ベンダー側で運用・管理される文書管理システムをインターネットを介して利用するため、自社でシステムの管理を行わなくて済むからです。
一方、自社のサーバ上に文書管理システムを構築するオンプレミス型では、運用・管理も社内で対応する必要が出てきます。
システム運用・管理のために必要な対応としては、例えば以下のようなものが挙げられます。
システムの運用・管理に必要な対応(一例)
- ハードウェアの管理(適切な室温の維持、清掃、電源管理など)
- 社内ネットワークやシステムの稼働状況の監視
- システムにアップデートがあった際の対応
- ウイルス・不正アクセス等の監視
- システム利用者である従業員からの問い合わせ初期対応
クラウド型の文書管理システムなら、これらの対応はベンダー側が担ってくれるため、自社で管理工数を割かずに済みます。
それだけでなく、以下のように日々安心して文書管理システムを利用することもできるのです。
【ベンダーが管理対応を行ってくれることで得られる安心】
- 急な停電が発生してもシステム上のデータ消失やハードウェアの不具合を心配しなくて済む
- システムに不具合があっても、誰よりもそのシステムに詳しいベンダーに対応してもらえる
- ベンダー側の高度なセキュリティ対策やデータの暗号化などの仕様により、システムもシステム上の文書も守られる
- システムについてわからないことがあればベンダーに相談できる
このように、エンジニアなどシステム管理を行える人材が在籍していない場合や、在籍していてもすでに手一杯で手が回らないという場合でも、クラウド型の文書管理システムなら安心して利用することができます。
こういったことから、自社で運用・管理を行うのが難しく、外部に任せたいという企業においては、クラウド型の方が断然おすすめなのです。
とはいえ、やはり具体的なメリットやデメリットがわからないと、きちんと納得した上で導入することができませんよね。
そこで、次からは、クラウド型の文書管理システムのメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
2. クラウド型(SaaS)文書管理システムのメリット
ここでは、クラウド型文書管理システムのメリットについて押さえておきましょう。
クラウド型文書管理システムのメリット
- 場所やタイミングを問わずデータにアクセスしやすい
- スモールスタートできる
- 仕様の変更が手軽にできる
- BCPとして効果的である
こうしたメリットについてしっかり知っておくことで、
「システム管理を任せられるのはありがたいけど、他にも利点はないの?」
という疑問が解消され、クラウド型の良さを理解した上で導入に踏み切れるようになるはずですよ。
2-1. 場所やタイミングを問わずデータにアクセスしやすい
1つ目のメリットは、場所やタイミングを問わずデータにアクセスしやすいことです。
クラウド型の場合、ベンダーが運用・管理している文書管理システムをインターネットを介して利用することになります。
このため、システム上のデータを閲覧したり、編集したり、といったことも、インターネットを介して行います。
つまり、インターネット(などのネットワーク)さえあれば、どこに居てもシステム上のデータにアクセスできるということです。
これにより、次のように場所やタイミングに制限されることなく、業務を行うことも可能です。
いつでも・どこでも業務を進められる
- 自宅からシステム上に保管されている資料を閲覧・編集できる
- 社用のモバイルWi-Fiを使って外出先でも書類の承認を行える
- 紙の図面を忘れても、社用のモバイルWi-Fiとタブレットを使って現場で図面を閲覧できる
- 事前にデータをローカルやUSBに移さなくても、出張先で柔軟にデータを用いた業務ができる
このように、場所にもタイミングにも制限されず業務を行えることで、ムダな時間が大幅に削減できることはお分かりかと思います。
また、リモートワークも格段に実施しやすくなるはずです。
こうしたシステム上のデータ(文書)へのアクセスの良さは、クラウド型の最大のメリットと言えます。
2-2. スモールスタートできる
2つ目のメリットは、スモールスタートが可能なことです。
クラウド型の文書管理システムは、初期費用がリーズナブル、あるいは不要です。
また、利用条件についても、数人単位から利用可能であり、特に利用条件を設けていないサービスもあります。
このため、特定の部署や拠点で小さく利用し始めて、徐々に利用範囲・規模を拡大していくといった運用が可能なのです。
例えば、弊社が提供する「PROCENTER SaaS」では、初期費用が不要で、初月から月額利用料金のみで利用可能です。
【PROCENTER SaaSの月額利用料金】
通常価格(月額) | |
---|---|
基本サービス | 50,000円
|
追加ユーザ | 1,000円/1ID |
追加ディスク | 3,000円/10GB |
IPアドレス制限 | 100円/1ID
|
追加ヘルプデスク | 100,000円/10インシデント |
例えば20名以内の部署で、特にオプションやディスク容量を追加することなく利用されるなら、月々50,000円で使い始めることができます。別途の初期費用も不要です。
一方で、これがもしオンプレミス型であれば、そうはいきません。
以下は上で例に挙げた「PROCENTER SaaS」のオンプレミス版、「PROCENTER/C」を導入する場合の見積もり例です。
【オンプレミス型文書管理システムの導入費一例】
ハードウェア | Expressサーバ | 700,000円 |
---|---|---|
ミドルウェア | Oracle 12c Standard Edition 2 1 Processor |
2,375,000円 |
WebOTX | ||
ソフトウェア | PROCENTER/C Enterprise サーバライセンス | 1,200,000円 |
PROCENTER/C Enterprise 10ログインユーザライセンス | 240,000円 | |
計 | 4,515,000円 |
- ※導入作業費、ストレージ機器は別途。
こちらの見積もりは、2,000人までの利用を想定した最小構成例をもとに試算したものです。
金額も構成も、「スモールスタート」とは言えない規模になっていますよね。
このように、オンプレミス型と比べると、クラウド型は格段にスモールスタートしやすいことがよく分かります。
こうしたスモールスタートにより、コスト面のリスクも抑えることができ、導入もオンプレミス型よりずっとスムーズに進められるのです。
2-3. 仕様の変更が手軽にできる
3つ目のメリットは、仕様の変更が手軽にできることです。
お伝えしている通り、クラウド型の文書管理システムでは、システムの運用はベンダー側で行われます。
このため、ベンダー側に申し込むだけで手軽に機能や仕様を変更できるのです。
例えば「システムのディスク容量がもう少し欲しい」となれば、ベンダー側に申請して簡単に容量を増設することができます。
クラウド型文書管理システムで変更できること
- ディスク容量の追加
- ユーザ数(ID数)の追加
- オプション機能の追加(例:IPアドレスでのアクセス制限)
オンプレミス型の文書管理システムでこうした変更を行おうとすれば、別途サーバを購入して設定を行ったり、オプション機能実装のための作業が発生したりと、時間も手間も割く必要があります。
それを考えれば、「申し込む」だけで変更ができる点は、嬉しいポイントですよね。
【注意:変更可能な程度は限られる】
クラウド型なら手軽な仕様変更が可能ですが、その程度はベンダー側で用意されているオプションの範囲内に留まります。
例えば、もし自社の複合機と連携させて、FAXの送受信も文書管理システムを介して行いたいと思っても、そもそも導入しているシステムにそのようなオプションが用意されていなければ対応は難しいです。
手軽な変更は可能ですが、思い通りに何でも変更がきくわけではないことは留意しておきましょう。
2-4. BCPとして効果的である
4つ目のメリットは、BCP(事業継続計画)として効果的な点です。
クラウド型の文書管理システムが構築されているサーバは、多くの場合「データセンター」というシステム用の機器類の運用に特化した施設に設置されています。
当然、システム上のデータも、実際はデータセンター内のサーバ上に保管されています。
このため、万が一災害などによって社屋が損壊したとしても、事業や業務に欠かせない文書(データ)は消失せずに済むのです。
またデータセンターは、施設の特性上、強固な耐震・免震構造であったり、火災発生時には、水ではなく窒素や二酸化炭素などで消火する仕組みになっていることが多いです。
そのように、一般的な建物に比べ、サーバを守るための構造・仕組みに優れている点でもデータを守りやすいと言えます。
このように、オンプレミス型とは違い、自社ではなく、データセンター内のサーバ上にデータが保管されるクラウド型なら、大規模な災害等が発生しても、迅速に事業を再開しやすいはずです。
3. クラウド型(SaaS)文書管理システムのデメリット
クラウド型の文書管理システムには、さまざまなメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
クラウド型文書管理システムのデメリット
- ネットワークに不具合があると利用できない
- ランニングコストが大きくなる場合がある
- 自社でコントロールできる範囲が限られる
- データが社外で保管される
実際に導入する前に、こうしたデメリットについても把握し、不測の事態に備えましょう。
3-1. ネットワークに不具合があると利用できない
1つ目のデメリットは、ネットワークに不具合があると利用できないことです。
クラウド型の文書管理システムは、インターネットを介して利用するため、通信障害の発生や、社内のネットワークに不具合があるとシステムにアクセスできなくなるのです。
そうなると、ネットワークが復旧するまでの間はシステム上のデータを使う業務を停止せざるを得なくなってしまいます。
このように大変困った事態に陥る可能性もありますが、とはいえ、実はこれはクラウド型の文書管理システムに限った話ではありません。
オンプレミス型の文書管理システムであっても、社内のネットワークに不具合が生じれば正常な利用はできなくなります。
また、そもそも文書管理システムに限らず、メールや基幹システムなど多くのICTツールはネットワークの不具合によって普段通りに利用できなくなるものです。
そのため、もしこのデメリットに対策を講じるのであれば、
- ネットワークを冗長化する
- ネットワークの保守対応サービスを契約する
といった、ネットワークサイドへの対応が有効となります。
こうした対策を取っていれば、文書管理システムだけでなく、その他のICTツールへのリスクヘッジにもなるはずです。
クラウド型の文書管理システム「PROCENTER SaaS」を提供する弊社NECでは、そのようなネットワーク周りのご相談にも応じることができます。
クラウド型文書管理システムの導入を機に、ネットワークも強化したいという場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
3-2. ランニングコストが大きくなる場合がある
2つ目のデメリットは、ランニングコストが大きくなる場合があることです。
クラウド型の文書管理システムは、月々の利用料をベンダーに支払う必要があり、その利用料は利用人数(ID数)や、ディスク容量・オプションに応じて決まることがほとんどです。
このため、使い方によっては、ランニングコストが大きな負担となってしまうこともあるのです。
ここで再度、弊社の提供する「PROCENTER SaaS」の利用料金を見てみましょう。
【PROCENTER SaaSの月額利用料金】
通常価格(月額) | |
---|---|
基本サービス | 50,000円
|
追加ユーザ | 1,000円/1ID |
追加ディスク | 3,000円/10GB |
IPアドレス制限 | 100円/1ID
|
追加ヘルプデスク | 100,000円/10インシデント |
先ほどお伝えした通り、20人以内の規模で、容量やオプションを追加せずに利用するなら、月々50,000円から利用することができます。
ただ、これが、以下のような条件になった場合、利用料は320,000円となります。
- ID数:100人(30ID追加)
- ディスク容量:500GB(450GB追加)
- IPアドレス制限:あり(オプション)
- 追加ヘルプデスク:あり(オプション)
この条件で2年間利用すれば、単純計算で利用料の総額が7,680,000円です。
そうなってくると、導入費が大きくても月々の利用料がかからないオンプレミス型の方が、長い目で見ればリーズナブルな可能性も出てきます。
クラウド型の場合、この例のようにIDや容量、オプションを追加すればするほど利用料も大きくなるのが一般的です。
だからこそ、ぜひ以下のように余計なコストが発生しないような使い方をするようにしましょう。
余計なコストを発生させない使い方
- 業務上システムを利用しない従業員のIDを発行しない
- 不要な文書はきちんと破棄して余計な容量を使わない
- 実際の利用状況を鑑みてオプションの必要性を検討する
コンスタントにコストがかかるからこそ、ムダの無い使い方を心がけることが大切です。
3-3. 自社でコントロールできる範囲が限られる
3つ目のデメリットは、自社でコントロールできる範囲が限られることです。
クラウド型文書管理システムは、あくまでベンダーが構築・運用するシステムです。
そのため、システムが搭載する機能やセキュリティレベルはベンダー側に委ねられ、自社で自由にコントロールすることはできません。
自由がきくのは、オプションの追加など、あらかじめ用意された範囲内となることを留意しておきましょう。
そして、そのようにコントロールできる範囲が限られるからこそ、システム選定が重要となってきます。
自社の事業や業務にとって、過不足の無いピッタリなシステムを慎重に判断し、導入するようにしましょう。
具体的なシステムの選び方については「5.クラウド型(SaaS)文書管理システムを選ぶための4ステップ」で詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
3-4. データが社外で保管される
4つ目のデメリットは、データが社外で保管されることです。
クラウド型の文書管理システムは、社内に構築するわけではありませんから、システム上のデータは、実際には社外に存在するサーバ上に保管されることになります。
この「データが社外に出る」という点に不安を感じられる場合もあるかと思います。
ただ、データが保管されるサーバは、基本的にデータセンターに設置されているため、高い安全性のもとでデータが保管されている場合が多いと言えます。
その上で、さらに安心・安全にデータを保管するためには、やはりシステム選びが重要です。
「5.クラウド型(SaaS)文書管理システムを選ぶための4ステップ」を参考に、セキュリティ対策・機能が充実したシステムを選ぶようにしましょう。
4. システム選びでは「文書管理システム」以外にも視野を広げることが大切
クラウド型の文書管理システムのデメリットを見ていただきましたが、こうしたデメリットの影響を低減させるために重要なのが、実際に導入するシステム(サービス)選定です。
自社の事業・業務やセキュリティポリシーに適応するシステムを選べば、
「自社でコントロールできる範囲が限られる」
「データが社外で保管される」
の2点は問題となりづらくなります。
また、そのように自社に合ったシステムを選定するためには、「文書管理システム」と銘打ったシステム・サービス以外も含めて検討することが大切です。
というのも、昨今のクラウドサービスは、分類が曖昧になってきており、以下のようなサービスも文書管理システムとしての役割を持つためです。
【文書管理システムの役割を持つクラウドサービス】
オンライン ストレージ |
【概要・強み】 クラウド上にファイル(文書)を保管できるサービス。 共有機能にも優れ、社内外でのデータ共有を柔軟に行える。 |
---|---|
【おすすめなケース】 場所やタイミングを問わずデータの保管・共有を柔軟に行いたい ※オンラインストレージは、文書の保管・共有(閲覧)にフォーカスしたサービス。文書の作成〜廃棄までの段階ごとに適切な管理を実施したいなら、「文書管理システム」の方が優れている。 | |
社内wiki | 【概要・強み】 社内に存在するあらゆる情報や知識を集約・共有できるサービス。 各従業員の投稿によって作り上げる社内版のWikipediaのようなイメージ。 社外ではなく社内での情報共有向け。 |
【おすすめなケース】 各従業員の持つ暗黙知(経験則やコツなど)も含めて共有・一元管理したい | |
特定文書の 管理サービス |
【概要・強み】 帳票や契約書、図面など、特定の文書を管理するためのサービス。 各文書の特徴に特化した機能が備わっている。 |
【おすすめなケース】 あらゆる文書ではなく、特定の文書を管理したい | |
グループウェア | 【概要・強み】 社内の情報共有やコミュニケーションを円滑にし、業務効率を向上させるためのサービス。 文書管理にフォーカスしたサービスではないが、文書管理、チャット、スケジュール管理、プロジェクト管理など、多様な機能が1つのツールで使える。 |
【おすすめなケース】 文書のみに限らず、従業員やプロジェクトの状況など幅広く把握・管理したい |
これらのサービス(+文書管理システム)が、文書のライフサイクルのどの段階をサポートするのかは、以下の表を目安にすると良いでしょう。
【各サービスのサポート対象】
作成 | 閲覧 (共有・利活用) |
保存 | 廃棄 | |
---|---|---|---|---|
文書管理システム | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
オンライン ストレージ |
△ | ◯ | ◯ | △ |
社内wiki | ◯ | ◯ (社内のみ) |
◯ | △ |
特定文書の 管理サービス |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
グループウェア | △ | ◯ | ◯ | △ |
こういったことから、あなたの会社のニーズが、
「多様な文書の作成〜廃棄までの段階ごとに適切な管理を実施したい」
ということであれば、やはり「文書管理システム」がベストと言えます。
ただ、管理したい対象がもっと広い場合は、社内wikiやグループウェア、特定の文書だけ管理したい場合は特定文書の管理サービスの方が適している可能性もあります。
また、閲覧(共有・利活用)や保存を効率化してくれる機能だけで十分なら、オンラインストレージも選択肢となってきます。
そのため、ぜひ今一度、あなたの会社の課題やニーズを突き詰めてみてください。
その上で、サービスタイプから検討し、本当に自社に合った文書管理システムを選びましょう。
具体的な選定手順については続けて解説しますね。
5. クラウド型(SaaS)文書管理システムを選ぶための4ステップ
自社に合ったクラウド型文書管理システムは、以下の4ステップで選ぶことができます。
【クラウド型文書管理システムを選ぶための4ステップ】
STEP.1 | ニーズを明確にする |
---|---|
STEP.2 | サービスの種類を決める |
STEP.3 | 各種条件で絞り込む |
STEP.4 | 操作性を確認する |
ここでは、ステップごとに詳しい選び方を解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
5-1. 【STEP.1】ニーズを明確にする
まずは、自社の文書管理上のニーズを明確にするところから始めましょう。
「どのような文書を、どのように管理したいか」を明らかにすることは、「どのような文書管理システムが必要か」を明らかにする作業でもあります。
自社に本当に合った文書管理システムを導入するため、まずはニーズを追求してみてください。
その際は、以下のように現状実際に抱えている課題から考えると、スムーズです。
【ニーズの明確化の例】
課題 | ニーズ |
---|---|
必要な資料や書類を探すのに手間・時間がかかる | スムーズに検索できるように文書を管理したい |
旧マニュアルや仕掛りファイルを参照してしまうことがある | 最新や承認済み文書を判別できるように管理したい |
各種文書の作成〜廃棄までの各段階で適切な取り扱いができていない | 文書のライフサイクルを適切に管理したい |
資料の保管・共有において誤送や紛失・二次漏えいが心配 | セキュアに資料を保管・共有したい |
契約書を取り交わすのに手間がかかり、誰でも閲覧できる状態で保管している | 契約書の取り交わしや更新を正しく効率的に行い、安全に保管したい |
このように課題を振り返りつつニーズを明確にし、自社に合った文書管理システムがどのようなものかをイメージできるようにしておきましょう。
5-2. 【STEP.2】サービスの種類を決める
ニーズが明確化できたら、クラウドサービスの種類を決めましょう。
STEP.1で明らかにしたニーズによっては、「文書管理システム」と銘打っていないクラウドサービスが適している場合も出てくるかと思います。
そこで、少し視野を広げて、文書管理システムを含む以下5タイプのサービスの中から、自社に導入すべきサービスの種類を決めていきましょう。
【文書管理システムの役割を持つクラウドサービス】
文書管理システム | 【おすすめなケース】 文書の作成〜廃棄までの段階ごとに適切な管理を実施したい |
---|---|
オンライン ストレージ |
【おすすめなケース】 場所やタイミングを問わずデータの保管・共有を柔軟に行いたい |
社内wiki | 【おすすめなケース】 各従業員の持つ暗黙知(経験則やコツなど)も含めて共有・一元管理したい |
特定文書の 管理サービス |
【おすすめなケース】 あらゆる文書ではなく、特定の文書を管理したい |
グループウェア | 【おすすめなケース】 文書のみに限らず、従業員やプロジェクトの状況など幅広く把握・管理したい |
5-3. 【STEP.3】各種条件で絞り込む
サービスの種類が決まったら、さらにその中から導入したいものを絞り込みましょう。
この時、以下のような条件を考慮して、自社に合っているものをピックアップしていってください。
【確認すべき条件】
価格 | 初期費用・月額利用料はいくらか、何に対して料金がかかるか(利用人数・容量など)、プランごとの料金を確認。 |
---|---|
機能 | ニーズを満たす機能が備わっているか確認。 この時、追加実装予定の機能まで含めて確認すると良い。 |
セキュリティ対策 | サービスが攻撃や不正アクセス等のリスクからどのように守られているか確認。 外部認証(ISOなど)の取得状況を確認するのも良い。 |
セキュリティ機能 | サービス(文書管理システム)上のデータを守るための機能を確認。 例: ファイルの暗号化、アクセス権設定機能、操作履歴の記録機能、IPアドレスによるアクセス制限 |
マルチデバイス対応 | パソコンの他、タブレットやスマートフォンからのアクセスも可能か確認。 (必要な場合) |
導入実績 | 自社と同業種の企業への導入実績を確認。 |
サポート体制 | サポート対応時間や対応可能件数などが十分か確認。 |
メンテナンス時の 利用可否 |
サービスメンテナンスが実施される際、利用できるかどうか確認。 メンテナンススケジュール(頻度・曜日・時間)も可能な限り確認。 |
無料トライアルの有無 | 導入前に無料で試用できるか確認。 |
これらの条件が自社に合ったサービスのみを導入候補とすることで、ある程度絞り込みができるはずです。
5-4. 【STEP.4】操作性を確認する
最後に、絞り込んだサービスを無料トライアルで実際に使ってみて、操作性を確認しましょう。
文書管理システムの操作が複雑だったり分かりづらかったりすると、せっかく導入しても利用してもらえない可能性があります。
そうなると、今抱えている文書管理上の課題も改善されませんから、従業員が操作しやすい文書管理システムを選ぶことは重要です。
そこで、無料トライアルを活用し、従業員に実際に使ってみてもらってください。
このことで、従業員がより操作しやすい文書管理システムを導入することができるはずです。
無料トライアル時には、特に以下のポイントを従業員に確認してもらうと良いですよ。
操作性の確認ポイント
- よく利用する機能(文書の登録・検索・共有)がスムーズに使えるか
- 画面表示が分かりやすく直感的に基本操作を行えるか
- マニュアルは見やすいか、内容は分かりやすいか
- 管理担当者がアクセス権をスムーズに設定できるか
実際に業務に活用しながら、こうしたポイントをチェックしてみてくださいね。
6. 文書管理に効率と安全性を求めるなら「PROCENTER SaaS」がおすすめ
クラウド型文書管理システムをどのように選べば良いか説明しましたが、実際に選定を開始すると、多くのサービスの中からどれをピックアップすべきか迷うこともあるかと思います。
そこで、おすすめの文書管理システムとして、当社NECソリューションイノベータが提供する「PROCENTER SaaS」をご紹介します。
220社以上の導入実績があるオンプレミス型文書管理システム「PROCENTER/C」をベースにサービス化された「PROCENTER SaaS」は、文書管理・情報共有に必要な機能を標準装備。
文書を一元的に管理できるのはもちろん、社内外での柔軟な共有も可能にします。
また、高水準なセキュリティレベルで、あなたの会社のデータを強力に守ります。
そのような効率的で安全な文書管理を実現させるのが、以下のような特徴です。
製造業に「PROCENTER/C」がおすすめな理由
- 文書管理と情報共有を効率化する多彩な機能
- 外部認証に裏付けられた強固なセキュリティ
- 豊富なAPIによる柔軟な外部連携
一つずつご紹介しますね。
6-1. 文書管理と情報共有を効率化する多彩な機能
「PROCENTER SaaS」は、ビジネスに活用する画像、動画、図面などを含む多くの文書の一元管理と共有を同時に叶えます。
それを可能としているのが、以下のような多彩な機能です。
PROCENTER SaaSの仕様・機能の一例
【一元管理を支援する機能】
- 作成日、作成者、更新日、絞り込み等による柔軟な検索
- 文書登録時の自動採番
- 保管期限を設定し、不要なファイルを自動削除
【文書の共有を支援する機能】
- 常に最新版のファイルを関係者と共有できる仕組み
- 承認された文書のみを公開日に合わせて指定フォルダで公開
- 2GBを超える大容量ファイルのスムーズな転送
こうした機能により、
「必要な文書がなかなか見つけられない…」
「不要なファイルが削除されず、パソコンやファイルサーバの容量を圧迫している…」
「誤ったマニュアルや図面を参照してしまうことがある…」
「大容量ファイルを共有するのに手間がかかる…」
といった課題を解決に導き、効率的な文書管理・情報共有を実現させます。
6-2. 外部認証に裏付けられた強固なセキュリティ
「PROCENTER SaaS」では、ゼロトラストの考え方に基づいたセキュリティ基盤で、標的型攻撃や内部不正から強力にデータを守ります。
具体的には、
- サーバ内の情報(サービス上に保管されたデータ)の暗号化
- フォルダやファイル単位でのアクセス権制御
- 配布・授受管理機能による情報漏えい防止
- 操作ログの記録・保管による改ざん防止
といった仕様・機能により、セキュリティを高めています。
そしてその高水準なセキュリティレベルは、以下のような外部認証により裏付けられています。
「PROCENTER SaaS」が取得している外部認証
- 防衛産業サイバーセキュリティ基準のベースとなっているNIST SP800-171対応
- ISO27017(クラウドサービスセキュリティ)認証取得
こうした強固なセキュリティで、あなたの会社の文書管理の安全性を飛躍的に向上させます。
6-3. 豊富なAPIによる柔軟な外部連携
「PROCENTER SaaS」は、一般的にカスタマイズ性の低いとされるクラウドサービスでありながら、豊富なAPIにより、他の業務システムやクラウドサービスと柔軟に連携させることができます。
これにより、例えば基幹システムで出力されたファイルを自動で「PROCENTER SaaS」内に登録し、承認・決裁を要する文書のワークフローをスムーズに回すことも叶います。
このような柔軟な外部連携により、文書管理に関わる業務のさらなる効率化を可能とするのです。
ご紹介した通り、「PROCENTER SaaS」は、あなたの会社の文書管理を、より効率的で安全なものへと導きます。
もちろん無料トライアルのご用意もありますので、まずはお気軽に操作性をチェックしてみてくださいね。
7. クラウド型文書管理システムの導入前に知っておくべき注意点
クラウド型文書管理システムは、導入すればそれで終わりというわけではありません。
導入後は、きちんと従業員が活用してくれて、文書管理上の課題が解決されるところを目指していく必要があります。
そのためには、以下のような対応が非常に重要です。
クラウド型文書管理システムの導入前後に必要な対応
- 使い方に関するルールを決める
- 社内教育を実施する
最後にこうした注意点についても押さえておきましょう。
7-1. 使い方に関するルールを決める
クラウド型文書管理システムにより、適切な文書管理を実現させるためには、システムの使い方に関してルールを設けることが欠かせません。
ルールを決めて、それに則ってシステムを活用しなければ、いくらシステムを導入しても、文書管理の安全性や効率性は向上しないためです。
例えば、ファイル名の付け方に関するルールが定まっておらず、各自が好きなように命名し、システム上に保管していれば、検索性を損ねてしまいます。
また、機密情報を誰でもアクセスできる状態で保管されてしまうと、漏えいリスクを低減することはできませんよね。
このような事態を避け、最大限文書管理の質を高めるため、システムの導入前後に以下のようなルールを定めておく必要があるのです。
決めておくべきルール
- ファイルの命名規則
- フォルダの階層構造
- どのような文書をどのフォルダに保管するか
- 文書の種別ごとの保管期限
- 文書の種別ごとのアクセスレベル
- システムにアクセスする際のネットワーク環境
こうしたルールを定めておけば、導入したクラウド型文書管理システムの性能を最大限活かすことができ、文書管理の質も向上していくはずです。
7-2. 社内教育を実施する
クラウド型文書管理システムをどのように使うか、社内教育を実施することも重要です。
導入を担当していると、少しずつその文書管理システムに詳しくなりますから、自然と使いこなせるようになるかもしれませんが、他の従業員はそうではありません。
突然知らないツールが導入されても、どのように使えば良いか分からず困惑してしまいますし、うまく活用してもらえません。
そのようなことにならないよう、クラウド型文書管理システム導入後は、説明会を開くなどして社内教育を実施するようにしてください。
その際に説明すべき主な内容は、以下の通りです。
社内教育において説明すべき内容
- 操作方法
- マニュアルの所在
- マニュアルを見ても分からなかった場合の問い合わせ先
- 事前に決めておいたルールの周知
このように、操作の仕方に関する項目の他、事前に決めた「使い方に関するルール」についても周知させるようにしましょう。
こうした社内教育に際して、ベンダー側のサポートが受けられるようなら、協力してもらうのもおすすめです。
8. まとめ
いかがでしたか?
クラウド型の文書管理システムについて、深い理解が得られたでしょうか。
最後に今回の内容をまとめておきます。
クラウド型の文書管理システムは、ベンダー側で運用・管理される文書管理システムをインターネットを介して利用します。
このため、システムの運用・管理を任せたい場合は特に、クラウド型がおすすめです。
クラウド型文書管理システムには、この他にも以下のようなメリットがあります。
クラウド型文書管理システムのメリット
- 場所やタイミングを問わずデータにアクセスしやすい
- スモールスタートできる
- 仕様の変更が手軽にできる
- BCPとして効果的である
一方、次のようなデメリットもあります。
クラウド型文書管理システムのデメリット
- ネットワークに不具合があると利用できない
- ランニングコストが大きくなる場合がある
- 自社でコントロールできる範囲が限られる
- データが社外で保管される
クラウド型の文書管理システムを選ぶ際には、以下のようなサービスに目を向け、自社のニーズに合ったサービスの種類を絞り込むことが大切です。
文書管理システムの役割を持つクラウドサービス
- クラウド型(SaaS型)文書管理システム
- オンラインストレージ
- 社内wiki
- 特定文書の管理サービス
- グループウェア
具体的なシステム選定手順は以下をご参考ください。
【クラウド型文書管理システムを選ぶための4ステップ】
STEP.1 | ニーズを明確にする |
---|---|
STEP.2 | サービスの種類を決める |
STEP.3 | 各種条件で絞り込む |
STEP.4 | 操作性を確認する |
あなたの会社のニーズをしっかり満たしてくれるクラウド型文書管理システムを導入するために、今回の内容が役立てば幸いです。